【『世界忍者戦ジライヤ』より、貴忍麗破】

「うっ」
絡みつく毒グモの白い糸
拘束される靭やかな躰

しどけなく倒れ、霰もなく呻く
「ぁぁ……」
覗く白い胸元、唆る肢体……

0 貴忍麗破ver.

そこで麗破が目にしたものは、地に突っ伏した花忍夢破。見る影もない程、
泥土に塗れた桜色の装束。至る所に焦痕、噛痕。呼びかけても反応がなく、
意識がない。心肺が停止している。一刻も早く脳に新鮮な酸素を送らなけれ
ば。硬い地面に仰向けに寝かせ、顎を持ち上げて気道を確保する。両乳頭の
中間に手の付け根を置いて圧迫し、救命のため痩身に残された力の限りを
エネルギーに変え、意識のない夢破に注ぎ込む。瞳が輝き、放たれた光線が
優しく夢破を包む。

「ぁぁぁぁっ……」
躰から力が搾り取られる。およそ耐え難い程の過酷な消尽が麗破の肉体と
精神とを蝕む。益々全身が萎えてくる。使命感が、今の儚げな麗破を支えて
いる。肩で息をつき、蹲りそうになる。地が揺れているようにさえ感ずる。
心臓が急激に早鐘のように打ち始め、削られるように気力が無くなっていく。
尽きる寸前、夢破に呻き声があがり、幸いに息が戻る。双眸が虚ろに漂い、
崩れ落ちるように両手を地につく。押し潰されるような疲弊に意識が途絶え
そうになる。

その刹那、太腿に、長く鋭い魔針が深々と突き刺さる!
激痛に顔を歪め、腿を押さえて身悶え、敢え無くへたりこむ麗破。
「ぅぅ…… か、躰が…… あっ、あああ……」
「暫く身動きできないよ、麗破!」
「紅牙! くぅっ……」

右肱をつき、左手で支えて、唆る腰を重く振りながら、気丈に起き上がろう
とするところを、四つん這いの脚の間から股を思いっ切り蹴り上げられる。
「あうっ!」
息も出来ない激痛が襲う。緩く盛り上がった股間をレオタードの上から抑え、
無様に蜿き、のた打ち回る。

追い撃つように、質感溢るる魔杖が麗破の後頭部に目がけて振り降ろされる。
鈍い音と、振り絞るような呻き声。がくりと膝を折った貴忍に、さらに一撃!
無意識のうちにも夢破を庇うように、うつ伏せに倒れ込む麗破。その緑の黒髪
に、容赦なく幾度も振り降ろされる杖。長い髪が乱れ、首筋にへばりついてい
る。腰から下はすっかり萎えて、全く力が入らない。後頭部への衝撃に、意識
が徐々に薄れていく……

傷つき消耗し、遂に力尽きて、霰もない姿で倒れ伏す麗破。端正な容が歪み、
くぐもった呻きが洩れている。下肢が痙攣の波動に弱弱しく打ち震え、タイト
なレオタードにフィットする胸の膨らみが寂しく波打っている……