口にそれが達した瞬間、舌に触れ同時にレーコの髪は逆立ち、肉体が悲鳴を上げながら身体中から汗をドッと吹き出させる。
涙や鼻水が溢れ、穴という穴が緩み下り物や便や尿と言った物も全てが垂れ流されていく。
それでも落ちてくるものは止め処なくレーコに向かって降り注ぎ、人の皮の中身をドス黒く染め
未知の細胞が混じり、人ではない物にすげ替えていく。
光の中で降り注ぐ闇が人間の肉体を漆黒に染め上げるとようやく降り注いでいたものが止まる。
頭髪はすべて抜け落ち、ドロドロと蕩けるように肉体が地面に広がり、両腕を上げたまま固まっていた人骨までも
立っている足元から朽ちるように地面に広がったドス黒いモノに塗れてハラハラと崩れていく。
・・・ボォぉ〜〜ラァ〜〜・・・ハヤカワレイコよ。約定と命により授けた呆裸。始祖として
相応しく、汝には全智と無尽蔵の細胞を与え置くゆえに大いに使うが良い。・・・・・・
・・・ボォぉ〜〜ラァ〜〜・・・汝には、更に呆裸の意に添い新たなる姿を思う猶予を与える・・・
・・・ボォぉ〜〜ラァ〜〜・・・汝、呆裸の魔として生まれ変わるが良い・・・ボォぉ〜〜ラァ〜〜
光の滝が消え、夕闇はすでに夜の闇に変わっている。
ドス黒い肉塊のようなものはにちゃにちゃグチャグチャと嫌な音をさせて盛り上がり、人型になると
「ボォぉ〜〜ラァ〜〜!大いなる呆裸よ。我が名は珍膨巨呆裸。呆裸の種を巻く雄性器の魔人。
ワタクシの姿をご覧あれ!ボォぉ〜〜ラァ〜〜!」
ビカビカっ無音の稲光りが走り、悍ましい姿に変わり果てたレーコの姿が照らされる。
そして、天空とレーコの変わり果てた身の前が大きな鏡のようになり己の姿を己で見るレーコに
天から祝福のように闇の稲妻が直撃する。
脳天から地上へとレーコの肉体を伝う悪闇の意志が駆け抜ける。
悍ましい人外の姿から、人間だった頃の姿に戻るレーコ。
脱ぎ捨てていた衣類をその場で纏うとその場を後にしまずは自宅へと戻った。