「罪人、曽我りやは、10年以前殺された父の復讐
のため姉・曽我虎子と共に剣道や拳法で心身を鍛えた。昨夜遅く、将軍参加の巻狩りに出席し、寝ていた伝経の宿舎に侵入。りやは、逃げ惑う伝経の
高股を割き、姉・虎子と何度も伝経の体に刀で切ったり、拳法で鍛えた脚で蹴って殺した。
虎子・りや両人とも女とは思えぬ怪力で、伝経は
即死し、その体は原型を留めぬほどであった。」
将軍は言った。
傍聴席で伝経の息子が、父の死の悲しみと
女の手で、誇りだった父がいとも簡単に斬られた
ことに震えていた。