「俺の夢……! 死んで生まれ変わったら、大量娘のいる世界へ行けますように! 大量娘の嫁をもらって、毎日一緒にうんこ風呂に入れますようにっ!」

 どんなに、幸せであろうか。
 芥川の古典小説ではないが、一度でいいから、飽きるほどの……かわいい女の子の、大量のうんこに全身包まれたなら、どれほど幸せであろうか。
 それはきっと楽園だ。
 一度に大量に排泄されて物でなくてもいい、肥溜めのようにバスタブに、ちょっとずつ貯糞してもらって……それでもいい。
 どう考えても無茶苦茶な願い、と彼自身分かっていたが、とにかく現世で叶う事が無いのは確かだ。
 ……まぁ、そもそも、大量でない普通の女の子のうんこだって、彼は現実に見たことはないのだが。
 過去に付き合った女性にも、打ち明けることも叶わなかった。
 満たされない欲求と、彼女を大事にしたいというまじめな性格と、色んな所で気持ちのズレが起こって上手く行かなくなるのだ。
 元からそんな趣味を持った女性と知り合い、付き合うなど、それもどう考えたって不可能。
 全ては来世に期待である。

 ……さて、これでもう良い。もういい。
 思い残すことは――


「――はい、そこの人。ちょっといい?」

「はへっ!?」

 不意に彼は、声をかけられた。
 そして、今実際に死ぬ所であったのだが……文字通りに、死ぬほど驚いた。
 誰も来るはずが無い。
 そう思っていた、この場所に人が居たからである。
 たまに車が通過することはあっても、深夜、この橋を渡る通行人などいない筈なのに……。