「んじゃあ、服も脱いだし、お風呂行くぞー!」
「お、おお……」

 この女……男らしすぎる。
 彼女の異常なテンションに圧され、思わずそう呟きそうになった鹿屋である。
 脱いで更に一段階ひどくなったような気がする。
 一体この女の倫理観はどうなっているのか、酒癖がひど過ぎるだけなのか……それとも出身が薩摩隼人なのか。
 冨士谷は、本当に完全に脱いでしまった。
 連れ込んだ男の目の前で。
 全裸のまま、堂々たる「仁王立ち」で、その男、鹿屋と相対しているのである。
 背すじ真っ直ぐ、腕組みをして……
 何がそんなに楽しいのか、満面の笑みで、下も上もまったく隠さない。
 黒い髪も肩までしかないので、何の遮りにもならなかった。

(女の裸を生で見るなんて、どのくらい振りだっけ……。しかし、見ていいのか……いいんだよな……?)

 こうも見せつけられては、逆に疑問符を付けざるを得ない鹿屋だった。
 が、小柄で、白く柔らかな彼女の肌は美しい。小さく茂った股間も、程よい大きさの胸も、すっかり露わになった。
 確かに、堂々と見せ付けるレベルのスタイルではあった。
 スーツ姿の時の、何となくの鹿屋のイメージ通りに、スレンダーな裸体だ。
 背が低めなこともあって、27よりもかなり若く見える。
 現役女子大生でも通りそうだ。
 あまりに堂々たる態度と相変わらずの酒臭さが玉に瑕であった。
 鹿屋の方も、彼女に促されるままトランクスまで全部脱いでしまったのだが、

(せっかく腕組みしてるんだから、せめて胸を隠せよ……)

 などと考えていた。
 アニメファンにならば「ガイナ立ち」と言った方が通りが良いだろうか。
 いっそ清清しい。
 何が彼女をそうさせるのか、得意げですらある。