本当はそのまま、手で思い切りしごいて、彼女のうんこの中で射精したかった。
 だが右手はその彼女と繋いだままで、ふさがっている。
 左は左で、次々積もっていく彼女の大便で遊びたい。
 もどかしいが、それもまた一興だった。
 下腹部の周りを中心に、胸が、太腿が、ねちゃねちゃと人肌に温かい……。しかし、足や肩、頭はバスタブの底で痛い。
 夢……ではない。
 その痛みが、鹿屋の考えを否定する。

(天使かよ、この娘は……)

 女性の便を実際見ること、浴びることも初めてなら、こんな量の大便を見ることも当然初めてである。
 そして、期待していた通りに温かく、心地よい。そしてとにかく酷い、この大便の刺激的な匂い。
 堪らなく興奮する。
 酒のせいだけでない、顔を赤くして排泄を続ける……目の前にいる女性。
 今この瞬間、自分のためだけに、頑張って排便してくれる彼女が……。
 自分を死の淵から拾い上げてくれた、この人が……。
 この富士谷という女性が愛おしくてたまらなかった。


「あふぅ…! ふっ…! せ…世界一? ほっ……ほんとにそう思う?」
「俺の天使だ。富士谷さんは……」
「天使なんかじゃ……ないよ。バケモノかもしれないよ、私……」

 さみしそうな一言だった。
 繋いでいた右手に、彼女からの動揺のようなものを鹿屋は感じた。
 そこで一旦、軟便の滝は途切れる。
 尽きた……と言うより、彼女が止めたようだった。
 ぐっ、と力を込め、肛門を締めたのが鹿屋には分かった。

「あ? ああ。確かに、モンスター級の腹を持ってるのは分かったけどよ。これだけ出してくれたら感動しかねぇ。いや〜…感激した、ほんとに。下品なこと言うけどよ、もう俺、何も触らなくても射精しそうなんだよ」
「こんなに、じゃないよ」
「……え?」
「まだなんだ。……まだ、これだけしか出してないの。……私がうんち全部出し切った時、同じことを言えるかな? カノさん」
「どっ…… どういう意味だよ……?」