………世界って広い。本当にそう思った。
この屋敷のトイレが無い理由も、この容器が部屋にある理由も全てわかった。
自分もサキュバスである以上、性癖には理解があるが、まさか"女の子の極太ウンコが大好き"なんて事があるとは――!
「それにサリアさん。それ、流すには勿体無いって、ほんの少し思っていませんか?」
「うぐっ……」
「私もそう思います。サリアさんの立派なうんこ、流すには少し勿体無いかと。」
残念ながらアタリだ。
ここまでどっさり出ると、手放すのは本当に本当にちょっぴり、惜しいと思う。
そう思うと、誰かにコレを見て欲しいという変態的願望も少なからず沸いてきた。
「それに―」
アンネが私に耳打ちする。
「私も、ちょっとサリアさんのウンコは、欲しいと思いますから。
サキュバスだからなのかはわかりませんが、見てるとムラムラします」
耳元でソレを言われてゾクリとするあたり、自分も少し目覚めてるのかもしれない。
「アンネちゃん、あなた、そのご主人様にかなり毒されてるみたいね…」
「ええ。あの人は私達の大好きな変態さんですから。」
一種の開き直りとも取れる台詞と共に、彼女はほんの少し微笑んだ。
「……わかったわ、これはあなた達の好きにして頂戴。
それに夜とはいえこれだけ詰まった容器を持ち歩くわけにもいかないし。」
「ええ、ありがとうございます。コレを見たご主人様の感想は後日お伝えしますので。」
「そ、そういうのいいから!!」
いいとは言ったが、少し気になるのもまた事実ではある。

とりあえず帰ろうとは思うが、その前に質問を1つ。
「ねえアンネちゃん、もしかしてエルフ達って、うんこ、凄いの?」
「はい。皆さんいっぱい食べますし、便秘にもなりやすいです。溜め込んで一度に大量に出すのが好きな方も多いそうで。
快便の方は一日に何本も出ますし、清掃業者さん達がいないとこの街のトイレは恐らく……。」
「ああ、うん…だいたいわかったわ…。」
2週間も出なかった理由。食事の量も増え、ここまで大便が肥大化した理由。
それは、エルフの魔力にあてられていたのだろう。
あれだけ美味しい魔力に、こんな効果があったとは…
「と、とりあえず今日はこれで帰るわね。」
窓に足を掛け、翼を広げる。
「サリアさん。…"また"いつでも来てください。」
「…うん、考えておくわ。じゃまたね、アンネちゃん。」
それだけ言って窓を蹴り、夜の空へ飛び立った。

――正直な所。
とても、気持ちよかった。
あんなに太いのをもりもり出すなんて、生まれて初めてだ。
もうあんな凄まじいのを味わったら、中途半端に出すのは勿体無い。
流すのなんて勿体無い、誰かに見てもらわないなんて勿体無い。
そんなアブノーマルな考えが頭をよぎる。
「……排泄管理されてるメイド、かぁ…」
それに彼女がベタ惚れしているご主人様とやら。
「どんな男なんだろ。変態なのは明らかだけど…」
そんな事を呟きながら、彼女は月明かりが照らす夜の街を飛んでいく―――。

                          
                              つづく