私は、基本はスカウトされた当時の姿だった。
 (…どうせなら、胸とか大きくしてもらえばよかったのかな?)
 「今まで私―」
 「つばさちゃん…」
 「どれだけプロデューサーの事を誘惑したか、気付いてました?」

 アップにしていた髪をほどき、私はプロデューサーの側まで行って腰の後ろに手をまわす。
 「は、半分くらいは…」
 「じゃあこれから」
 私は瞳を閉じて。
 「残り半分を、教えてあげます」
 唇を重ねた。

 プロデューサーは、鴨井川の完全な女性化に戸惑いながらも、既に退路は絶たれている状況だと理解した。
 (…改めて見ても)
 鴨井川つばさの外見は、最初から「完璧な女性」のそれで。
 むしろ今、股間に仮にアレがあったとしても、自分に彼女の誘いを断れたか怪しいと
思う程に、鴨井川つばさの全てが「女」を感じさせた。
 (やっぱり―アイドルの「器」だよ)

 自分の体をなぞるように滑る鴨井川の指先、熱を帯びていく呼吸、サラサラ流れる髪。不意に絡む視線。
 そこからの舌技―

 (う!…あ?!しまっ―)
 「あ」

 鴨井川の紅潮してきた顔に、白く濁った液がベチャッ、と張り付く。
 「うふふふ…もうプロデューサーったら、気が早いんだから」

 顔射をされた事など、まるで当然の事であるかように鴨井川は笑顔で言う。