では、三津子はどうか?
まったく緊張さえ浮かべず長く細い脚を組み、その口許に笑みさえ浮べている。
三津子は<神の結社>が新規プロジェクトとして開発した特殊細胞に期待を寄せていた。
何故なら、このプロジェクトは首領自ら三津子に命じ、化学班が開発した物だからだ。
”テッポウウオ女・・・・。”
三津子は、その言葉を再び脳裏に転がす。
首領ー 黒髪の10歳くらいの少女が椅子に座り、三津子は片膝を着き頭を下げた。
時々、鼻腔に少女の髪が風で揺れて甘い匂いが漂ってくる。
三津子が首領に御目通りしたのは改造された直後だから10才である。
あれから容姿も年齢も変わっていない。
「どんどん世の中が汚れているわ・・・・。」
少女は容姿のままの子供の声で言った。
「我々も常日頃、お掃除に励んで居りますが追いつかないのが現状で・・・・・。」
たしかに暴力団はお掃除、大掃除の御陰で激変した。とはいえ、人間が居る限り、善良な人間がいるように悪い人間も増える。
「では、改造少女の種類を増やすといいわ・・・・。」
髪を撫で首領が言った。光で黒髪に天使の輪が出来ている。
「新改造少女・・・・?」
「そう、その選定を三津子ちゃんが遣って。」
甘える様な声で言う。三津子は頭を下げ「はっ。」と答えた。
早速、選定に入り、幾つかの候補が浮かんでは消え、浮かんでは消え、最終的に残ったのがテッポウウオ
女であった。
「さぁ、楽しみですわ・・・・。」
眠る恋を見下ろし、三津子は微笑む。