つながった肛門から硬さが失われたことに気づき、富士谷が言った。
本当は、彼女もずっとこのまま交わっていたかったのだが、現実にそうも行かない。
二人が動き、うんこ風呂にまた大きな波が立つ。
あの逞しさが嘘のような、軟体動物と化した鹿屋の男性器が、滑り落ちるように彼女の穴から引き抜かれた。
そこでようやく、二人の長風呂は終わった。
しかし――
この長時間汚物に浸かり、二人とも髪まで便が染み付いてる。
洗っても確実に、ニオイまではしばらく取れないだろう。
鹿屋は覚悟した。
「…お? おおおっ!? ぬ…お、重っ……! 体が……!」
まず上がろうとしたのは鹿屋だった。
が、うんこ風呂から体を引き抜くのも、立ち上がってバスタブを乗り越えるのも、勝手が違っていた。
繰り返すが、それはお湯ではない。
粘着力が違う。
腕が、胴体が、両脚が……べたべたの大便で、重くなっている。
次々すべり落ちて行く汚物で、きれいなままだった洗い場の床も、べちゃべちゃと汚れていった。
「バランスが……突然体重増えた感じだ。……危ねぇ」
「ふふっ… そうでしょ〜 うんこって集まると意外と重いのよね」
実際の重さ以上に疲れの影響もあったのだが、鹿屋は少々ふらついてしまった。
ガラスの間仕切りにも、返り血のように茶色い飛沫が飛ぶ。
湯船に残り、体を起こしただけの富士谷は、それを見て微笑んでいた。
彼女の方は、これも慣れたもの……と言った風だ。
立ち上がると、バスタブから出る前に、両手であらかた体の便をそぎ落として身軽になる。
「じゃ〜、まず私がやったげるね。座って。まずざっと流そうか…頭は後で…… あ、シャンプー私の普段のやつしかないけど、いいかな」
「ああ……分かった。しかし、いいのか? 富士谷さん、そっちは仕事とか……大丈夫なのか」