この街は女性の比率が圧倒的に多い。
トイレを借りるにしても、同性ならいくらか借りやすいだろうと踏んでいたのだが。
「えっと、何か御用でしょうか?」
「あ、ああ、あのっ…!」
男性にトイレを借りるなんて、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
けど、もうお腹が持たない。便意と恥ずかしさと焦燥感でかき混ぜられた思考は、全く定まらない。
ぐりゅるるるっ……
「ひぐ、うっ………!」
「……もしかして、お腹痛いんですか?」
「ッ……!あ、えっ、その…は、はいっ」
見抜かれた。お腹の音も聞かれた。けど、もう頷くしか出来ない。
「その…トイレが今、ちょっと使用済み、というか…」
「だ、ダメなんですの…!?」
「…いえ、使ってください、その、躊躇せず全部していいので…」
…どういう意味だろうか?深く考える余裕が無い。
「か、感謝いたします、おトイレ、お、お借りしますわ…!」
彼に案内されるまま、トイレになだれ込む、と。
「なっ…!?」
使用済み、の意味を今、理解した。
白い和式便器の中に鎮座する、特大サイズのうんこが2本。
自分でもそうそう出ないような、目に焼きつくような大物。
この上に出せ、ということだろう。
「あ、貴方、これっ……!」
ドアを少し開けて顔だけ出し、これはどういう事か、と問いただそうとするが。
――フ゛ホ゜ッ!
「…っ、ぁっ……!」
廊下に響くほど大きなオナラが漏れてしまう。
慌ててドアを閉めるが、遅すぎる。
聞かれた。情けない、恥ずかしい、はしたない。
泣きそうなくらいに、恥ずかしい。
けど、もう降りてきたうんこは止まってくれなくて。
慌てて下着を下ろし、お尻を下ろす。
便器の中の大便が放つ温度と残り香が、尻を撫でる。
――このウンコ、誰のだろうか。
先ほど浮かんだ疑問、その答えに気付いてしまった。
(これっ…まさかさっきの女の子のっ……!)