どうやら。
救われたのは、自分だけではなかったらしい……。
それを悟った鹿屋は、汲取りの便槽と化したバスタブの中で、富士谷を抱きしめた。
お互い顔だけは汚れないよう注意して、見つめあう。
改めて、かわいい娘だと思った。
その数秒後には、衝動的にキスをしていた。
「あんたと一緒に居たい。いいか?」
「うん!」
「これから毎日、俺のためにうんこ風呂作って欲しい。一緒に入ろう」
「うん! うん……!」
一組の男女が、どろどろの酷い姿で情熱の言葉を語らう。
おどおどしていた最初の頃とは打って変わった、男振りを見せる鹿屋だった。
その言葉一つ一つに、富士谷は嬉しそうに応える。
尻尾があったら物凄いスピードで振っていそうな勢いだった。