★「無敵無敗の格闘女王は雨のリングにいる」002
 乱立する女子プロレス団体の中で一強とも言える存在となった「マーメイドリーム」
 今や他団体もその知名度にあやかり、ブレイクさせたい所属レスラーを無償でマーメイドリームに出場させてもらい、認知を得ると言うPR活動を依頼されるくらいにまで大きな存在感となっている。

 その象徴的な存在――蘭奈まゆみ(らんな まゆみ)、25歳。
 100人いようが1,000人いようが全員がその名を真っ先に挙げるであろう女子プロレスラーである。
 
 空手道場の一人娘として育ち、小さなころから将来を有望視されたが、中学のときに両親が事故で亡くなり、その後も親族が詐欺まがいの方法で、道場や土地を奪われ、空手をやめている。
 その後は高身長を活かしたバレーボールを部活動で続けながら公立の進学校を卒業した。
 進学校のため、バレーボール部は少人数、試合に出場する場合はバレーボール経験者の助っ人に入ってもらう程で大きな大会には出れなかった。
 だが、その才能はプロリーグのスカウトには知れ渡っており、複数のスカウトから卒業後の進路としてプロにならないかと熱心に口説かれていた。
 しかし首を縦に振る事は一切なく、スカウトは全て断り国立大学の法学部へと進学した。

 ――運命の出逢いをしたのは大学2年のときだった。