ざらついた画像の中で、あどけない顔がゆがんでいく。その横で、うつろな目をした
小学生が姉へのわいせつ行為を見させられている−−。鬼畜行為がマニアの間で人気を呼び、
インターネット上で「関西援交シリーズ」と名づけられた児童ポルノのシーンだ。

2日、奈良家裁で開かれた児童福祉法違反の法廷に、その「製作者」がいた。「出所したら
おわびの手紙を書き、働いて被害を弁済したい」。遊佐隆被告(42)は血の気のない顔で
繰り返し、涙をぬぐった。検察側は「児童性愛欲の矯正は容易でない」として懲役7年を求刑した。

「おたくの生徒がビデオに出ている」。昨年7月、奈良県内の高校のホームページへの
書き込みが端緒となり、6府県警の合同捜査で「関西援交シリーズ」事件が摘発された。
生徒に出演料が振り込まれた銀行の防犯カメラから浮かんだのが遊佐被告だった。

シリーズは計157巻作られ、1本5000円で販売された。暴力団が関与する組織の
犯行との見方もあったが、逮捕された男はみな、ネット上で知り合った「素人」だった。

「少女が幼ければ幼いほど売れた」と遊佐被告は供述した。客の一人は「女優の演技ではない、
素人っぽさがいい」と言う。客の大半は20〜30代の会社員。大手コンピューター会社に
勤めていた男性は仕事がきつくて長期欠勤した末に解雇され、部屋にこもってビデオを見ていた。

押収したテープに映っていた少女は計95人。小児科医の意見などから、79人が18歳未満と
推測された。画像に映っていた計算ドリルや制服、被告のメモなどを元に、捜査本部は約10府県に
住む28人を割り出す。小学生も2人いた。「うちの子を撮って」と娘を売った母親もいたが、
大半は普通の家庭で暮らしていた。

撮影後、リストカットを繰り返すようになった子がいる。心療内科に通う子もいる。
10代前半の少女は母親に問いただされ「もうどうでもいいと思った。前のお父さんにも
されていたから……」と打ち明けた。

客が持っていたビデオは処分された。しかし、素顔の映像は今も匿名の大人たちの手で
ネット上に流されている。そのことを知らず、少女たちは今日も学校に通う。(一部略)

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051103ddm041040182000c.html