ゴローの店も火災以降は泣かず飛ばずだったが、
店の規模が小さいので、家賃など経費も少なく、
1号店ほど火の車というわけではなかった。

それに普通の性感店の1号店とちがって、ゴローの2号店は学園イメクラ、
4号店は人妻店だったので、固定客の割合が多く、客単価が高いのも幸いしていた。

その目のつけどころがゴローのすごいところだ。

「ゴロー、もうこっちはダメだよ・・・もうどうしようもない」
「○○(俺)さん、どうするつもりですか?」

「もう辞めるしかないかなって思ってるんだけど・・・」
「○○さん、辞めるなら、一緒にデリ、やりません?」

「デリヘル?そんな金、もうないよ」

「僕もないですけど、200万くらいなら、女からひっぱれますよ。」
「え、マジで言ってんの?」

「ええ本気ですよ。前から考えてたんです。デリならそれほど金もかからないと思うし、どうですか?」
「一緒にって言うけど、ゴローはどうするの?」

「僕は今のここに残ります。僕がオーナーで、○○さんが店長って形にはなりますが」

俺がゴローの部下になる。
俺は9歳年下のこの男が好きだったから、なんの抵抗もなかった。

なにより、他に行くところもなかったし、まだ東京に残ることができる。
デリの事務所で寝泊まりする場所も確保できるだろう。

俺の決心は固まった。