「はっ、はい!」
「はい、書類はこれでOKですよ。これが受理証ですから、大事に保管して下さい」
「でっ、では!」
「ええ、いつでも店を始めて大丈夫です。」
「ほんとですか!ありがとうございます!」

俺は全身の力が抜けた。

「ただ、いつの日か、もし店を閉める時が来たら、かならず廃業届けを出しに来て下さい。
ドロンは無しですよ」

釘を刺されて、俺はドキリとしたが、
「は、はい、わかりました」と返事をした。

思ったより簡単に開業届けが受理された。
少し構え過ぎて、拍子抜けした感もあるけど、晴れて店をオープン出来るんだ。

まだまだ解決しないといけない問題は山積みだけど、
とりあえず俺は一つハードルをクリアできた満足感に浸った。

俺は受け取った届け出証を大事にカバンにしまって、居心地の悪い警察署から速やかに出た。

空腹を覚えた俺は、署に入る前だか、後だか正直覚えていないけど、
四谷署の近くにある、モスバーガーでハンバーガーを食べて腹を満たした。
ずいぶん年配の御夫婦らしき店員さんがいたことを覚えてる。
フランチャイズのオーナー夫婦かもしれないな。

あれから15年経った今でも店はあるんだろうか。
あの年配の店員さんは御健在なのだろうか。