「写真はHPにすぐアップするよ。」
「うーさん、わたし、顔出しはダメだからね。」
「わかってるさ。ちゃんと目線入れとくから。」

少し気まずい雰囲気のまま、マナミは2着のTバックをリュックにしまって、帰宅した。

マナミには、歌舞伎町の店は辞めずに、掛け持ちしてもらうことにした。
こっちでは完全予約制にして、予約が入ったときだけ出勤する。
こっちの専属になってほしい気持ちは山々だけど、息子のヒロキとの生活費を保証できるものがなかったから。

こっちでの源氏名は、本人の希望で「アヤ」に決まった。


何日後だったろうか。
ダミーのしょうこちゃん目当てでかかってきた客の電話を、
上手くアヤに振り替えることに成功した。

「あ、お客様、しょうこちゃんはあいにく予約でいっぱいですが、
HPのトップに載せてる新人のアヤちゃんなら、まだ枠が空いております。素人で性格の良い子ですよ。」

少なくとも素人ぽさではマナミは誰にも負けない。バリバリのプロだけど。

予約は何時だっただろうか。結構遅い時間だったと思う。
22時とか23時とかだったかな。
出張先は、志村三丁目あたりの自宅マンションだ。