ウチの店は、正式に警察に届けを出した非本番系の出張型ヘルスだ。
無届けのホテトルとは違う。
当然、本番は絶対禁止行為だ。

だけど、マナミがお金を必要としてること、それに・・・
マナミが売春に抵抗が無い女だということを再確認してしまった俺は、
何かふっきれた感があったんだ。

少し間をおいて、俺は、
「うん。かまわないけど、避妊は自己責任だぞ?歌舞伎町の店と違って、助けに行けない。」
と答えてしまった。

「うん・・・ゴム置いてる?」
ホテトルやソープじゃないんだから、コンドームなんか用意してるわけがない。
「俺が近所のドラッグストアで買ってくるよ、待ってて。」

あとから思うと、俺が本番許可を出したのは、
俺とマナミが、単なる従業員と店の女という関係ではなく、
そこそこ深い男女関係がある間柄にもかかわらず、
マナミが俺に本番の許可を得ようとしてきたことに対する、
俺のささやかな反抗だったのではないだろうか。

(お前がそういうつもりなら勝手にしろ。ただし俺も考えさせてもらう)

そういうセリフを、俺は口に出せない男だから、その代替の本番許可だった気がする。

マナミは俺から受け取ったコンドーム3つを、店で用意した出張用のエコバックの底にしまった。
今夜、いくつ使うんだろう。

「ちょっと時間早いけど、そろそろ行こっか。」