ジリリリリリリリリリリ…。

まどろみの中から呼び覚まされた僕は、眠い目を擦りながら布団から這い出し、目覚まし時計のスイッチを止めた。
眩しい陽射しが窓から射し込んで、僕の頬を暖めている。
僕は一度、ゆっくりと伸びをしながら大きなあくびをし、ひと息ついてからベッドを下りた。
今日は休日だった。
頭の中がまだはっきりしてなくて、何の休日だったのかは曖昧だが、とにかく今日は家でゆっくりできるはずだった。
パジャマがわりに使用しているTシャツを脱いで、昨日と同じシャツを羽織る。
僕は心地よい陽射しを背中に受けながら、そのまま立ち惚け、シャツのボタンを止めることさえ忘れていた。
世界は春の訪れを感じさせていた。
今日もいい天気になりそうだ。
僕はじっとしたまま、思いにふける。
夢を見ていたような気がした。
何か…長い、長い、夢を…。
なにかとても嫌な夢だったかも知れないし、とてもいい夢だったのかも知れない。
とにかく心に残る夢だったはずなのに、不思議と、その内容を思い出すことはできなかった。
時折、映画のワンカットのような光景が、ポツポツと頭に思い浮かぶ。
そのばらばらの映像を順に繋げても、とても一本のストーリーにはならない。
そんな、夢らしい夢だった。
ただ、そのワンシーンずつが、各々かなりの臨場感と鮮やかなリアリティをおびていたような気がした。