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「係長、今ちょっとお時間いただけますか? ご覧いただきたいものがあるんです」
「あら今村君、なにか新しいものでもあるの?」
「新しい…と言えば言えるかも知れませんが、うちの会社ではあまりやる人がいなかったのは
確かだと思います」
「このPCから見られる?」
「ちょっと申し訳ないんですがまだ自分のローカルに保存しているだけなので…
自分の席までお願いします」
今村君の席まで行ってPCをのぞき込んでみると、なんだか難しいコマンド?
とかグラフとかが並んでいた。
「以前『世代別・地域別市場調査』っていうデータ、自分が作りましたよね」
「ええ、お願いしたわね」
「それで、そこをもうちょっと突っ込んでみたくなったんです。それで情報システム部に
統計ソフトをインストールする許可を取ったところまでは係長もご存じだと思うんですが」
「ああ、そういえばそういうこともやっていたわね」
「と言うわけで、布や糸の価格から工場の人件費やら、とにかく数字になるものは全部確認して
統計ソフトにぶち込んでみたんです。どんなデザインがどんな購買者に好かれるとか嫌われるとか、
原価率が低い高いっていうのが購買者の好感度にどんな関係があるのかないのか、
そういうデータを全部引っ張ってこれるような分析にならないかなと思ってやってみたら、
まあ予想外な部分もありましたし予想どおりだった部分もありました。
今この画面はデータを入力する画面ですから何も出てませんけど、整理してアウトプットしたら
結構いろんな結果が出てきますよ」
「ええ…なんかすごそうだけど、例えばどんなことがわかるの?」
「じゃあ、とりあえず子供の年齢と好きな模様の関係とか見てみましょうか」
「そんなことまでわかるの?」
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続きます。