全員が行方不明届 警察探索及ばず

前略

 警察庁によると、2016年に行方不明になった人は約8万5000人。
このうち「犯罪に巻き込まれる危険がある」「遺書があり自殺の恐れがある」など6項目のいずれかに該当すると判断した場合、各警察は「特異行方不明者」として捜査レベルを引き上げ、イチタンや防犯カメラ映像の収集などを進める。

 今回の事件の被害者とみられる群馬県邑楽(おうら)町の高校1年の女子生徒(15)について、
同県警の担当者は「年間800人近くの不明届を受けているが、(高1の生徒は)その中で特に若いので、犯罪に巻き込まれた恐れも視野に特異行方不明者として対応していた」と話す。

 16年の特異行方不明者は約5万6000人。捜索にイチタンは有効だが、通信事業者には通信の秘密を守る義務があり、警察幹部は「全ての事案で実施することは難しい」と話す。
捜査関係者も「よほど事件性が疑われるケースでなければ、速やかな協力は得られない。手続きに手間もかかり、不明事案に要員を割く余裕のある警察署は少ない」と口をそろえる。

 被害者全員の家族から届け出がありながら、警視庁の捜査員が白石隆浩容疑者(27)のアパートを確認するまで事件を把握できなかったことに警察庁も衝撃を受ける。
同庁幹部は「各警察が必要な捜査をしたか精査しなければならない」と話す。【川上晃弘、杉直樹、高井瞳】


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