職員室に戻ったばあちゃるは席に座るや否やほう、と大きくため息をついた。最近どうにも気疲れをしている。
原因は分かってはいるのだが、簡単には解消できそうにない問題だった。さて、どうしたものかと考えると余計に体が重くなってくる。

背もたれに体を預け、もう一度ゆっくりと息を吐くと、胸ポケットのスマホが震える。どうやらメッセージが来たらしい。相手のアイコンは可愛らしい狐耳の少女だった。

『ばあちゃるさんいつもお疲れ様なのじゃー。今度また二人で飲みに行きませんか? 久しぶりにいろいろ話したいのじゃ』
ばあちゃるは、のじゃのじゃことねこますからの誘いに思わず口角を緩めた。
まるで疲れている自分を気遣ってくれているかのようなタイミングだ。会ってお酒を片手に下らないことでも話せば、気も晴れるだろう。

疲れているときでも会いたい、そう思えるような友人を得れて自分は幸せものだと思う。
自然と返信を打つスピードも速くなった。
『いいっすねー。ただばあちゃる君今日は空いてるんですけど、明日から二週間くらい時間とれなくなっちゃうんすよ』
『妾は今日でも大丈夫なのじゃ』
『マジンガー!? じゃあ今日にしちゃいましょう! 待ち合わせはいつものところでいいっすか?』
『ですね。お店は妾がとっとくのじゃ』
『じゃあそこは任せます。やーこんなとんとん拍子に進むなんて、今日はのじゃのじゃと会う運命みたいだったでフゥゥ』
『……あんまそういうこと他の女の子に言わないほうがいいですよ。ま、楽しみにしてるのじゃ』

ばあちゃる君も楽しみにしてますねと返信し、スマホをポケットにしまう。いつの間にか休憩時間も終わりそうだ。
「よし、それじゃあ行きますか!」
膝を叩き、気合いを入れて立ち上がる。午後の授業も頑張れそうだった。