はません 池田前社長インタビュー [無断転載禁止]©bbspink.com
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ベイスターズを5年で再生させたプロ野球最年少球団社長のマネジメントの極意とは。『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方』を書いた横浜DeNAベイスターズ前社長の池田純氏に聞いた。 ──退任して半年が経ちました。
続いての仕事のメインはなかなか決まらない。辞めるのをぎりぎりまで公表できなかったので、職探しをしていない。
いずれは出合えるものだと思っていたし、今もそう思っている。
この5年間、スポーツ全般をわかっている第一人者といえる人は日本にはいないと痛感した。逆にせっかくプロ野球というスポーツビジネスに携わったので、
浪人中にスポーツ全般を勉強して、指名があったときに何でもできるようにしておきたいと考えている。 ──雑誌に「球団経営」をテーマに連載を執筆していましたね。
この本で、それをまったく書き換えた。内容をスポーツ経営だけに限ると読者は限定されるから、
企業経営の目線で読める内容にしたつもりだ。タイトルも「スポーツビジネスの教科書」に
「常識の超え方」を加え、ビジネス本にふさわしく“スライド”させた。 ──5年で黒字化と、ベイスターズの経営に成功したのは、常識を超えたからですか。
まさに既存の常識にとらわれなかったからだと思っている。
経営は、一つひとつのピースが全体にきちんとはまらないといけない。ある領域をポンと任せることができるのは、会社がうまく回り出してから。
うまく回すにはまずいろいろとピースの作り替えが必要だ。あらゆる領域すべてをバランスのとれる方向に向かせる。それでこそブランドになる。 たとえばルイ・ヴィトンでもエルメスでもいい。いろいろなピースがすべてブランドに沿った方向になっている。
そうしないと、会社経営はうまく回っていかない。プロ野球は客があっての人気商売なので、ブランドづくりのため関連するあらゆる領域に目を配る必要がある。
1年目から結果もある程度出さないといけないが、最初の1年はほとんど勉強に費やした。あらゆる領域に精通するには数年かかる。
素人がプロになっていかなければいけない。1年目は過去の「経験値」で結果を出していくしかない。
──5年契約だった?
最初は3年で、5年に延びた。長くやるのも一つの生き方だが、オーナーではないし、あくまで契約で成り立つ雇われ経営者だ。 ──18のメソッドを駆使したマーケティングは2年目から?
会社全体を引っ張っていかないといけない。だが、全員がわかることでは大した結果は出ない。どこにキードライバーがあるのかと自分で目星をつける。
テコの原理が働きそうなポイントをあらゆる領域で見いだし、そこに全体で注力してもらうことを心掛けた。
結局、ポイントは18を超えた。今までの常識でやっていても数字は出せない。常識的な部分は捨ててもらい、
各セクションにおいてテコの原理が働きそうなところを見つけ、そこに重点的に取り組んだ。 ──普通の会社とは違う球団特有の3つのメリットを有効に活用したのですね。
書いてみるとしごく当たり前のことなのだが、そこでテコの原理が大きく働く。特有のメリットとは「つねにメディアで大きく報じられる」
「毎年同じサイクルを繰り返すビジネスモデル」「地域とのつながりが極めて強い」という3つの特殊性だ。それ以外は普通の会社経営とそんなに変わらない。
そこで球団経営者としてやるべきことは、どこのレバーを操作すればいちばん伸びるのか、いちばん従来と変わるのかを知ることだった。
つまりレバー選びとその内容の吟味だ。たとえば独自銘柄のクラフトビールの販売。ほかの球団も追随し始め、もはや常識になっている。
とにかくせっかくのメリットを生かせる新しいことをやる。そうすれば、持ち前のメリットの1つ、メディア報道も最大の効能を発揮してくれる。 ──地域とのつながりでも苦心された?
実は就任3年目まではどの調査でも巨人ファンのほうが多かった。仮説を確認するため、僕は何事でも調査しまくる。
横浜市民の野球ファンは巨人に大きくなびく数字ばかりだ。地域と密着していないことが端的に表れていた。
そこで、地域におけるレバーとなるテコの原理が働く施策は何かと考えた。子どもたちにベースボールキャップを配ることにした。
1億8000万円かけて神奈川県内の小学生以下72万人に配った。お母さんたちはもちろん、子どもたちが同じキャップをかぶっているから周りの住民も意識してくれる。
この効果は絶大だった。このゴールデンウイークにロッテが球場で配り、それ以前も楽天が数万の規模で配っている。ベイスターズが最初ではないが、その配布した数が常識の一線を超えていたと言っていい。 このベースボールキャップの話は示唆的やし考えさせられるわ ──「超常識」をぶれずにやられたのですね。
リーダーがぶれたら、物事は終わりだ。少しの成功の積み上げも必要だが、なるべく大きく成功したい。世の中が大いに認知してくれるぐらいの成功こそが成功と言える。
プロ野球は多くの人に知ってもらう商売だし、社員もそれで元気になる。 ──横浜スタジアムのボールパーク化構想もその一環ですか。
スタジアムとの一体経営はレバーとして極めて大きい。難題だったが、何とかクリアできた。
別に巨人ファンでも広島ファンでもいい。ただ、神奈川県、それも横浜市に住んでいるのなら、横浜スタジアムにぜひ来てほしい。
スタジアムが楽しければ、野球観戦の呼び水に当然なる。 ──黒字化ほか3つの目標を推進しました。これは常識ですか。
目標が定められないとプロセスが組み立てられないし、目標が高くないと、いろいろな試みや挑戦に対するアイデアも出てこない。
──優勝はできませんでした。
優勝はしたかった。ただ、僕はオーナーでもゼネラルマネジャーでもない。経営者なので経営の結果の数字が出ていることで評価されると考えていた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています