やはり、何となく叩いてみたくさせる者というのはいるらしい。矯正官たちも、特段の差別をしている
つもりは無くても、それぞれの矯正官が少しずつ多めの懲戒をする結果、鞭跡の数にこれだけの
差が生じるらしかった。
 だんだんに後ろの列に玲子は進んで、1年生を見ることとなった。彼らはきょろきょろとして落ち
着きが無い。明らかに玲子を凝視し続けている者もいる。その者の前に行ってみると、ペニスを勃起
させている。収容初日にそんな気分になれるものなのか。玲子は呆れながら、少し試してみようと思
って傍らの技官に、ちょっと鞭を貸して、と申し出た。鞭を借りると、玲子はその収容者に「頭を床に付
けなさい」と命じた。彼が再び不慣れな土下座の姿勢を取ると、玲子はその頭を踏みつけて「式の最
中に何を考えているの」と言いながら、背中に斜めに一条の鞭を入れた。