初霜「うぅっ…あぁ…提督…気持ちいいです。」 [転載禁止]©bbspink.com
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
特に誰かに目撃されるという事も無く私達は無事提督の自室に着いた。
「汚い部屋だが勘弁してくれ。とりあえずベッドにでも腰掛けてて。」
汚い部屋と形容したがそこまでの汚部屋という訳でもなくそれなりに整理はされている。提督は奥で軍服を脱いでいる。これからする事を考えると少し不安だが後はなるに任せるしかあるまい。
「…初霜。もうそちらは大丈夫かな?」
「準備」を終え私の隣に座った提督はそう尋ねてくる。
「…はい、準備万端ですよ。」
その言葉を合図に提督は私を自室のベッドに押し倒した。鍵はかけてあるし、提督の自室なら執務室の様に急に誰かが入って来るという事も無いだろう。
怖い
だが、同時に提督と一つになりたいという願望が心に浮かぶ 銀時「―――あの・・・ 最後の、俺のセリフ・・・」
新八「―――正確には言ったの、さっちゃんさんなんですけどね・・・」
なんとなく思いつきで作ってみました。
もし良ければ、初代リクスレみたいに最後に載せてみたいのですが・・・
よろしいでしょうか? ミス
>>168-169の間の文章
銀時「・・・・・・ハ、ハハハハハ、まさか銀魂に限ってそんな終わり方する訳ないだろ!!」
新八「そ、そうですよ!!きっとギャグやって、
『かぶき町は今日も平和です』って感じで終わりだよ!」
神楽「そ、そうアルな、アハハハハ!!」 2 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2007/10/21(日) 17:10:00
早速ですが、2を頂きます(笑)
SSの最新作が出来たので、アップします。
東京都 講談社本社ビル 入口前
東京都の郊外に聳え立つ数十階はあろう巨大なビル。
これこそが、日本が世界に誇る出版社として名高い講談社の本社ビルである。
そして、そのビルの入口に、講談社の発行する漫画雑誌である週刊少年マガジンの編集者であり、
かつてその中で発足した組織“MMR”の隊員でもあった男、ナワヤは立っていた。
ナワヤ「・・・・・・ (チラッ)」
ナワヤは腕時計に目を移し、すぐに目の前の道路に視線を戻した。
暫くして、ナワヤはビル街の雑踏の中から一人の面長の男を見つけた。 ,. -─- 、._
,. ‐'´ `‐、
/ ヽ、_/)ノ
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ
i. /  ̄l 7
,!ヘ. / ‐- 、._ |/
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / ナワヤ「!! ・・・おーい!イケダ――!!」
/`゙i ´ ヽ !
_/:::::::! ,,..ゝ!
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' /
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /
.! \ `‐、. `ー;--'´
ヽ \ \ /
その男に向け、ナワヤは手を振り呼びかけた。
,. -─v─- 、 、
__, ‐'´ `ヽ
..≦ `i,
..≦ i、
1 イ/l/|ヘ ヽヘ i
l,_|/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、,l`ヘ .,| イケダ「あっ・・・ あれはナワヤさん!
.レ二ヽ、 、__∠´_"` ! / ナワヤさ―――ん!!」
riヽ_(:)_i '_(:)_/ |i)'
!{ ,! ` μ!
゙! ヽ ' ,i!
!、 ‐=ニ⊃ ,,ハ
ヽ ‐- / "ト、
ヽ.___,._/ // \
//イ;;::::: //〃 ヽ、 そして、その面長の男・・・ かつてのMMRの隊員の一人、イケダは、
講談社ビル前のナワヤの姿を見つけると、一目散で駆け寄った。
イケダ「お久しぶりです!ナワヤさん!」
ナワヤ「お前も相変わらず元気そうだな、イケダ!
タナカとイケダも中で待ってるぞ!」
イケダ「タナカさんとトマルも・・・ キバヤシさんは?」
ナワヤ「あ・・・ えーと・・・ あいつは・・・」
―――かつて、彼らは“MMR”という組織に身を置いていた時期があった。
MMRは講談社の発行する漫画雑誌『スーパーマガジン』の企画の一環として行ったUFO体験談の
調査から発展した、当時多発していたミステリー現象をジャーナリスティック的な視点から
本格的な調査を行うという組織であり、かつてはUFOや超能力、心霊現象等を調査していたが、
「予知」に関する調査を行った時に、謎の人物から脅迫状を送られて以降、超常現象を利用し、
世界を破滅に陥れようとしている謎の組織と関わる事が多くなり、その結果、調査中に
妨害工作を受けたり、時に暗殺されかけたりした事もあった。
それでも奮闘の結果、なんとか組織の目的と真相に目前まで近づく事が出来た
のだが、組織の本拠地と思われる中国に出発する直前に組織から
「MMRを解散しなければ中国行きの飛行機を爆破する」
という脅迫を受け、やむを得ずMMRは解散してしまった。
しかし、読者からの応援の手紙を見た一同は、MMRが解散しても、自分達が
「あきらめない」限り負けではない事に気付き、タナカ、イケダ、トマルは海外に旅立った。
ナワヤ、そしてMMRの隊長だった男、“キバヤシ”は講談社に残り、
編集者の立場から様々な情報を探索していたのだが――― イケダ「まだ、帰っていないんですか・・・? キバヤシさん・・・」
ナワヤ「全くだ。携帯もいなくなってすぐに繋がらなくなったし・・・
ったく、少しは連絡してもいいだろうに・・・」
―――そう、キバヤシは突如行方を眩ましてしまったのである。
いつもの様にナワヤが編集部にやって来たら、
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| ナワヤへ .|
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /____
./ 俺は 旅に出る。 /ヽ__/ /
/ ナワヤは編集部に / / /
./ 残って 調査を / / 木 ./
/ 続けてくれ。 / / 林 /
/ いずれ帰る。 / / /
/ / / 伸 /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・・・と、そのような手紙が机の上に置かれていたのであった。
以降、キバヤシとは音信普通になり、今に至るわけである。
なお、謎の組織に関しては、ショッカーや地球教ではないかという説も挙がったが、
キバヤシがいない今、その正体は不明確である。
イケダ「・・・でも、タナカさんとトマルさんはいるんですよね?
もしかしたら、嗅ぎ付けて帰ってくるかも知れませんよ!」
ナワヤ「・・・だったら、嬉しいんだがな・・・」 ナワヤの表情が曇る。
イケダ「とりあえず、中に入りましょう。色々話したい事もありますし」
ナワヤ「・・・そうだったな、確かお前、アメリカへ行ったんだっけな。
二人も待ってるだろうから、とりあえず中にいくぜ」
そう言って、二人はビルの中に入っていった。
ナワヤとイケダがビルの中に入ってしばらくした後、一人の眼鏡をかけた男が雑踏の奥の方から現れた。
背はそこそこ高く、おそらく180cmは超えているだろう。
男は講談社のビルの前で止まり、ビルを見上げる。
.ト│|、 |
. {、l 、ト! \ / ,ヘ |
i. ゙、 iヽ / / / ヽ │
. lヽミ ゝ`‐、_ __,. ‐´ / ,.イ \ ヽ |
`‐、ヽ.ゝ、_ _,,.. ‐'´ //l , ‐'´, ‐'`‐、\ |
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | } キバヤシ「・・・・・・久しぶりだな、講談社。3年ぶりか・・・」
゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ //
. i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::|
! |: |
ヽ ー‐==:ニニニ⊃ !:: ト、
ヽ 、__,,.. /:;;: .!; \
ヽ ::::::::::: /:::;;:: / その男・・・ かつてのMMRの隊長、“キバヤシ”は、
講談社のビルの中に入っていった。
ビルが立ち並ぶ街の雑踏の中に、一人の眼鏡をかけた少年が立っていた。
少年は講談社ビルの前のキバヤシを見ながら、ヨーヨーをしつつ歌を口ずさむ。
少年「・・・好〜きです、好〜きです、心から・・・ 愛していますよと・・・
甘い言葉の裏には・・・ 一人暮らしの寂しさがあった・・・」
眼鏡をかけた少年は、キバヤシがビルの中に入るのを確認すると、
雑踏の中に消えていった・・・
新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!! 3 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2007/10/21(日) 17:11:43
○ナワヤ→イケダを迎える。タナカ、トマルも既にビルの中にいる模様。
○イケダ→ナワヤとの再開に喜ぶ
○キバヤシ→数年ぶりに講談社に行く。
◎謎の少年→“巡恋歌”を歌いながらMMRメンバーを監視。
【今回の新規登場】
○ナワヤ(MMR マガジンミステリー調査班)
キバヤシを補佐するMMRの副リーダー格。キバヤシが出張中に臨時的にリーダーに任命されている。
キバヤシの発言に反論のできる数少ない人物。女好きでスケベな性格。 MMR唯一のお笑い担当として
様々なゲストやエキストラに弄ばれていたが、そんなコメディリリーフである所の彼も、後催眠で
暗殺されかけたり、赤痢の疑いで入院したりとそれに劣らず散々な目に遭っている。
大学では航空学を専攻。MMR解散後は講談社本社に残り、編集者の立場から様々な情報を探索する。
○イケダ(MMR マガジンミステリー調査班)
週刊少年マガジン編集長のイガラシ編集長の推薦によりMMRに加わった面長の男。
フルネームはイケダ・マサユキ。英語が堪能で海外在籍が長く、国際事情に詳しいことから海外調査では
重宝されている。謎の研究所付近で胴の長い猫を目撃している。インターネットに精通していたり、海外から
「The X-Files(X-ファイル)」を手に入れ参考としていたりとその方面でも大きな戦力となっていた
(テープを見たナワヤはアメリカ製AVと思っていた)。また謎の組織による化学兵器攻撃を受けたという
未確認情報もあるが、真偽は闇の中である。友人にチャーリー・ライアンという男がいる。
MMR解散後、最先端の遺伝子技術を求めてアメリカに渡米する。 ○キバヤシ(MMR マガジンミステリー調査班)
MMRのリーダー。196X年7月22日生まれ。身長182cm、体重は77kg、血液型O型。視力右0.2、左0.1。
IQは170の超天才で、日本語・英語・フランス語の三ヶ国語を扱える。超常現象・ノストラダムス解釈に
精通しており、何でも直ぐに大予言の大破局に結び付ける。主張に偏りがあるようにも見受けられるが、
確実な根拠がなくとも物凄い威圧感で自己の主張を他の隊員に納得させてしまうという特技をみせる。
彼自身の信条は、「即断は禁物」。自分が納得行くまで調査し、MMR内でも最も真面目に描かれる。
超常現象なら全肯定的に見られがちだが、当初は超能力に否定的な姿勢も見せていた。
どんな謎も調べて結論を下してしまうが、詳細が分からない場合も多い。使用携帯電話はJ-PHONE。
MMR解散後は講談社に残り、ナワヤと共に編集者の立場から様々な情報を探索していたが、ある日突然
置き手紙を残して音信不通となる。
そんな訳で、新章に突入しました。
銀時達の話はもう少し待ってください(苦笑)
音楽使用の許可を得たので、早速使用させてもらいました。
謎の少年は・・・ 解る人なら解ると思われます(特にヤバイバ様
後、ナワヤのAA失敗してしまいました。
正しくはこちら↓
,. -─- 、._
,. ‐'´ `‐、
/ ヽ、_/)ノ
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ
i. /  ̄l 7
,!ヘ. / ‐- 、._ |/
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / ナワヤ「!! ・・・おーい!イケダ――!!」
/`゙i ´ ヽ !
_/:::::::! ,,..ゝ!
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' /
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /
.! \ `‐、. `ー;--'´
ヽ \ \ / 東京都 講談社本社ビル・待合室
講談社本社ビルのとある場所にある、待合室。
そこのソファに、かつてのMMR隊員、タナカとトマルは座っていた。
トマル「遅いですね・・・ ナワヤさん。
イケダさんを迎えにいったはずじゃ・・・」
タナカ「まさか、どっかの組織がMMRメンバーが再結集する事を知って、
前みたいにナワヤさんを狙ったんじゃ・・・」
タナカがそんな事を口走った、その時・・・
|┃. 、ー'´ \ /''⌒ヽ-─‐- 、
|┃三 > , ! ゝ ,、.___, \
|┃ ≧ , ,ィ/ハヽ\ | 「 ./ \ | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ガラッ.|┃ .1 イ/./ ! lvヾ,.ゞ、 ! |./ ヽ | < 待たせたな、二人とも!
|┃ _レ「゙f.:jヽ ーT'f.:j'7`h r|´゙>n-、ヽ-rj='^vヽ | イケダも来たぞ!!
|┃三 {t|!  ̄" } ` ̄ !リ :|r| ー "j `ー ′ h゙リ \____________
|┃. ヾl ヾ_ /' ヾ! ヾ イ‐'
|┃三 ト ヾー-' ` /.| ト.、 ー― , ' |
|┃ | :\ /,' ト、_ ⊥:`ヽ. __ / ,' |
|┃三 ,、.._ノ :: `ー ' /,.イ / ̄\ :: , '/ ̄\
タナカ「ナワヤさん!無事だったんですか!」
タナカは、安心した様子で答える。 ナワヤ「何言ってんだ、それじゃ俺が毎日命を狙われてるようじゃねーかよ」
タナカ「実際狙われてましたよ。確か、予知能力を調べた際に一回、
遺伝子技術の調査の際に一回、計二回ナワヤさんは殺されかけてますよ」
ナワヤ「そ・・・ そうだったか? ・・・よく覚えてねーな」
タナカ「全く・・・ そんなだからよく狙われるんじゃないですか?」
ハァ・・・、とタナカは溜息をつく。
トマル「それにしても・・・ 本当にみんな久しぶりですね・・・」
ナワヤ「全くだな・・・ あの時、俺達は『神の言葉』の真相に近づきながら、
もう一歩のところで調査を断念せざるを得なかった・・・
それでも、「あきらめない」事が俺達にできる唯一の戦い方だった事が
わかって、みんなバラバラに旅立ったからな・・・」
トマル「・・・キバヤシさん、一体今何処にいるんでしょうか・・・」
ナワヤ「・・・さあな、でもあいつの事だ、きっとどこかで頑張ってるんじゃないか?
タナカ「・・・だと、いいですけどね・・・」
一同「・・・・・・」
一同の中を、重い空気が覆う。
トマル「ま、まあ、とりあえず、会議室に行きましょう。
お互い、色々話したいこともあるでしょうしね」
トマルが、重い空気を切り開き、話を進めた。
ナワヤ「そうだな・・・ あれからもう数年も経ったんだ。
会議室でゆっくり話そうぜ」 ダッ ナワヤは、通路へのドアを開き、進もうとしたが・・・
ドカッ!
ナワヤ「ブッ!」
ナワヤはドアの向こうに立っていた人物に頭をぶつけ、声を上げる。
ナワヤ「だ・・・ 誰だ!?ボケッとつっ立ってんのは!!」
イケダ「ナ・・・ ナワヤさん・・・」
ナワヤ「あん?」
ナワヤは頭を押さえながら頭を上げた。そこに立っていたのは・・・ ,ィ, (fー--─‐- 、、
. ,イ/〃 ヾ= 、
N { \
ト.l ヽ l
、ゝ丶 ,..ィ从 |
\`.、_ _,. _彡'ノリ__,.ゝ、 |
`ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ
. |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ
ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐' ,ン
l r─‐-、 /:|
ト、 `二¨´ ,.イ |
_亅::ヽ、 ./ i :ト、
-‐''「 F′:: `:ー '´ ,.' フ >ー、
ト、ヾ;、..__ , '_,./ /l
ヽl \\‐二ニ二三/ / /
キバヤシ「久しぶりだな・・・ みんな」 / , ,ィ ハ i、 、 ! /''⌒ヽ-─‐- 、 、ー'´ \ .イ , ,ィ ハ i 、 . |
/イ ,ィ/l/ |/ リuヽlヽト、 | ゝ ,、.___, \ > , ! | ,ィ/l/ l/ uハlヽトiヽ. |
イ /r >r;ヘj=:r‐=r;<ヽ│ 「 ./ u \ | ≧ , ,ィ/ハヽ\ | |/゙>r;ヘ '-‐ァr;j<`K
r、H ┴'rj h ‘┴ }'|ト、 |./ ヽ | 1 イ/./ ! lvヾ,.ゞ、 ! .ry ┴ 〉 └'‐ :|rリ
!t||u`ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ r|´゙>n-、ヽ-rj='^vヽ _レ「゙f.:jヽ ーT'f.:j'7`h |t|. ヾi丶 u レ'
ヾl. fニニニヽ u/‐' :|r| ー "j `ー ′ h゙リ {t|!v ̄" } ` ̄ !リ ヾl u iニニニヽ /|
ト、 ヽ. ノ u,イl. ヾ! v ヾ__ v イ‐' ヾl ヾ_ v ./' ト、 、__丿u ,イ ト、
,.| : \ `ニ´ / ; ト、 ト.、u L_ フ , ' |. ト、u ヾー `> /.|. ,| ::\ / ; / \
-‐''7 {' :: ` ー ' ,; ゝ:l`ー- ⊥:`ヽ. __ / ,' | | :\  ̄ /,' ト、_ /〈 :: ` ー ' ,'/ 「
/ \ :: , '/ :| `'''ー- 、 , ' '>-,、.._ノ :: `ー ' /,.イ \:: / |
/ \ / | | ヽ-‐'´ _,.ヘ< _:: _,. イ/ | ,.へ、 /´\ |
ナワヤ「キ・・・ キバヤシィィィ!!!!」
タナカ・イケダ・トマル「キ… キバヤシさあぁぁぁぁん!!!!!」
すかさず、ナワヤとタナカはキバヤシに駆け寄る。
ナワヤ「キバヤシ・・・ お前、今まで一体何処で何してたんだ!?」
タナカ「心配してたんですよ!!」
キバヤシ「済まない・・・ 長い間連絡が取れなくてな・・・
・・・だが、それ相応の収穫はあったぞ」
トマル「それ相応の収穫・・・?」
トマルは首を傾げる。
イケダ「例えば・・・ 『神の言葉』の正体とかですか? ハハハ・・・」
イケダは恐らく冗談まじりで言ったと思われる。本人もそのつもりだった。
だが、キバヤシの答えは・・・・・・ キバヤシ「フッ・・・ 流石だなイケダ。その通りだ」
ミミ:::;,! u `゙"~´ ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ ゞヾ ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/  ゙̄`ー-.、 u ;,,; j ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\ ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/ J ゙`ー、 " ;, ;;; ,;; ゙ u ヾi ,,./ , ,、ヾヾ | '-- 、..,,ヽ j ! | Nヾ|
'" _,,.. -─ゝ.、 ;, " ;; _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ | 、 .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
j / ,.- 、 ヾヽ、 ;; ;; _,-< //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─-- エィ' (. 7 /
: ' ・丿  ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、 i u ヾ``ー' イ
\_ _,,......:: ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... ' u ゙l´.i・j.冫,イ゙l / ``-、..- ノ :u l
u  ̄ ̄ 彡" 、ヾ ̄``ミ::.l u j i、`ー' .i / /、._ `'y /
u `ヽ ゙:l ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_  ̄ ー/ u /
_,,..,,_ ,.ィ、 / | /__ ``- 、_ l l ``ーt、_ / /
゙ u ,./´ " ``- 、_J r'´ u 丿 .l,... `ー一''/ ノ ト 、,,_____ ゙/ /
./__ ー7 /、 l '゙ ヽ/ ,. '" \`ー--- ",.::く、
/;;;''"  ̄ ̄ ───/ ゙ ,::' \ヾニ==='"/ `- 、 ゙ー┬ '´ / \..,,__
、 .i:⌒`─-、_,.... l / `ー┬一' ヽ :l / , ' `ソヽ
ヾヽ l ` `ヽ、 l ./ ヽ l ) ,; / ,' '^i
ナワヤ・タナカ・イケダ・トマル「なっ… なんだって―――――!!?」
四人は、思わず大声を上げてしまった。無理も無い。
かつて、五人があれだけ賢明に捜索して、それでも正体がわからなかった
『神の言葉』の正体を、キバヤシが掴んだというのだから。
ナワヤ「それは本当なのか・・・!? キバヤシ!!」
ナワヤは、すかさずキバヤシに問いただす。 キバヤシ「ああ、本当だ」
そして、キバヤシは即答した。
イケダ「一体、奴らは何者だったんですか!?教えてください!!」
キバヤシ「まあ、慌てるな。お前達も色々話したいことがあるだろう。
まずは会議室に行こう。そこで話す」
ナワヤ「お・・・ おう!」
そして、彼らは会議室に向かっていった。
かつて知ることの出来なかった真実にもう一度挑むために・・・ 110 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2007/11/30(金) 18:32:31
○キバヤシ→数年ぶりにナワヤ達の前に姿を現す。『神の言葉』の正体を掴んだらしい。
○ナワヤ、タナカ、イケダ、トマル→数年ぶりに集結。キバヤシの来訪に驚きを隠せない。
【今回の新規登場】
○トマル(MMR マガジンミステリー調査班)
補助要員としてMMRに参加した眼鏡をかけた男。弱点は太もも。東京大学卒。
MMR解散後、ジャンクDNAの研究を志す。
○タナカ(MMR マガジンミステリー調査班)
MMR結成当初からいた隊員。かなりキバヤシに影響されており、「予言博士」と自称する。
ノストラダムスの大予言以外にも「ヨハネの黙示録」にも詳しい。筑波大学において考古学を専攻。
トルコの遺跡カマン・カレホユックの調査にも参加。余談ではあるが、実は予言詩や外国語文の翻訳は
殆ど彼の手に由るものでキバヤシ自身が読み上げる場面は滅多にない。
MMR解散後、世界中の様々な遺跡を調べるため、海外に旅立つ。
◆『神の言葉』
正体不明の組織。その正体はナチスドイツの残党とも軍産複合体とも言われるが
真相は定かではない。「レジデント・オブ・サン」という人物が関わっている以外は
構成員は不明。かつて始皇帝陵の隷属遺伝子を巡り、MMRと対峙した。 東京都 講談社本社ビル・会議室
講談社本社ビルの会議室、そこにかつてのMMRメンバー、
ナワヤ、タナカ、イケダ、トマル ・・・そして突如現れたキバヤシは集合していた。
キバヤシは会議室のホワイトボードの前の教壇に立ち、
後の四人はその真正面の席に座っていた。
タナカ「こうして集まるのも・・・ 何年ぶりでしょうか・・・」
イケダ「ほんと、久しぶりですね・・・」
ナワヤ「でも、みんな、よく集まってくれたな・・・ 俺からも礼を言うぜ」
全員が懐かしさを口に含め談笑する中、キバヤシは口を進めた。
キバヤシ「・・・今回、ナワヤがお前達を収集したのは他でもない・・・
俺達はMMRの解散後、散り散りになりながらも、世界各地に向かい、
そこで様々な情報を求め続けていた・・・
そして今日集まり、これまで各々で調べてきた調査の内容を
ここでお互いに発表し、皆で再検証する・・・ という事だったらしいな、ナワヤ」
キバヤシは、ナワヤに確かめるように問う。
ナワヤ「ああ・・・ ま、お前が来た事だし・・・
お前がやりたいんなら進行役は任せるぜ」
ナワヤは、そう即答した。やはり、長年リーダーを務めてきたキバヤシなら
話の流れを任せられるということなのだろう。 キバヤシ「そうか・・・ では俺が進めさせてもらう。
誰からでもいい・・・ 自分が調べてきた調査内容を話してくれ」
キバヤシがそう発言した直後、一名が挙手した。
イケダ「ハイ!!」
キバヤシ「イケダか・・・ 確かお前は最先端の遺伝子技術を求め、
アメリカに行っってたな・・・ 話してくれ」
イケダは席から立ち上がり、話し始めた。
イケダ「僕はアメリカに渡米した後、チャーリーの協力を得て、
様々な遺伝子操作の技術を研究している施設を見て回りました。
その中でも、特に注目したのは、やはり『コーディネイター』関連の話題です」
キバヤシ「フム・・・」
イケダは険しい表情で話を続けた。
イケダ「今現在は当時のブルーコスモス的思想の定着等により、いわゆる
『第一世代のコーディネイター』は殆ど生まれなくなっていますが、現在でも
コーディネイターとナチュラルの間の確執は消えたとは言えず、人権、社会、
国家的な問題が依然残ったままだと言えます。つい数ヶ月前にも、ナチュラルの
排除を目的としたパトリック・ザラ率いる過激派がグランショッカー・・・
現ディバイン・ショッカーと手を組み、プラントの首都「アプリリウス・ワン」を
占領したという事件が起きています」
ナワヤ「自分達の主張の為なら悪党と手を組んで、同胞すら容赦なしか・・・ ひでぇな・・・」
ナワヤは苦い顔をし、心の中で舌打ちする。イケダは表情を崩さず、さらに話を続ける。 イケダ「幸いにもこの事件はヒーロー達や、当時のクライン派の軍勢によって
鎮圧されましたが、まだ安全な状況だとは言えません。かつて僕達は
「遺伝子∞(インフィニット)」や「寿命コントロール遺伝子」等による
遺伝子操作の技術による人類間の確執を危惧してきましたが、それはまさに
今、現実の問題となっていると言っても過言じゃないでしょう。僕はそこに恐怖を感じます」
イケダは全てを言い終わると、着席した。
キバヤシ「なるほど・・・ 遺伝子操作による人類間の確執か・・・」
キバヤシの言葉の後、トマルは席から立ち上がり、話し始めた。
トマル「確かに遺伝子操作による人類間の確執も大きな問題だと思いますが・・・
僕は他にも、自然発生的な人類の進化に興味を持っています」
ナワヤ「自然発生的な・・・ オルフェノクとかか?」
ナワヤはトマルに質問した。
トマル「ええ、その進化によっても様々な種類があり、いわゆる
「ニュータイプ」「超能力者等」、他の人間と姿形が変わらない者もいれば、
「オルフェノク」「アギト」の様に、外見からして形を変えてしまう者もいて、
特に後者には現人類を下等生物とみなす勢力も多いようです」
タナカ「確か・・・ オルフェノクはイケダさんの話に出てきたプラントの
占領事件にも関わってましたよね・・・」
トマル「ええ、俗に言う「地球至上主義勢力」が主導のTVやインターネットの
ニュース報道等では、オルフェノクが人類に害をもたらす存在の様に
言われていますが、実際にはDショッカー等に関わっている者以外は
大半が人間への敵意を持たず、仮面ライダー等、ヒーロー側の勢力に
協力している者達も一部ながら存在しているようです」
キバヤシ「だが、そんな連中だけじゃないというのが問題だ・・・」
ナワヤ「何てこった・・・ 人類は一体どうなっちまうんだ・・・」 ナワヤは冷や汗をかきながら、戦慄する。
トマル「・・・人類は有史以前より、様々な脅威にさらされ続けていました。
宇宙や地球の内部からの脅威・・・ 魑魅魍魎、悪鬼悪霊の類・・・
・・・僕個人の考えなんですが、もしかしたら、これらの人類の進化は、
人類がこれらの脅威に耐えうるため、ジャンクDNAが自発的に進化を
始めたのではないか・・・ そんな気もするんです」
そう言うと、トマルは着席した。
キバヤシ「なるほど・・・ 現在地球にはDショッカーや宇宙連合の過激派等、様々な
敵対勢力が大頭している・・・ それらの脅威に立ち向かうための進化か・・・」
そう言い、キバヤシはナワヤに目を向けた。
キバヤシ「ナワヤ、お前はどうだ。MMR解散後も講談社に残って、編集者の立場から
様々な情報を探索してたらしいが、何か目立ったことはあったか?」
ナワヤ「俺か・・・ 俺が編集部で仕入れた情報で目立ったのは、やっぱり、
中学生や高校生の起こす事件や社会問題だな」
イケダ「事件・・・ イジメ、薬物、ひきこもりとかですか・・・
確か雑誌の方でも漫画の形式で取り上げてましたね・・・」
イケダがそう言うと、ナワヤは自分の座っていた
パイプ椅子の下から、新聞を取り出す。
ナワヤ「最近も、ほら」 バッ
ナワヤは、イケダに新聞を投げ渡した。 イケダ「こ、これは・・・?」
ナワヤ「四日前の新聞だ。一面を読んでみろ」
イケダ「えーと・・・ 何々・・・」
イケダは、新聞の一面を読み上げた。
『マンションの惨劇!学生二人の命が失われたその原因は?
その残酷極まりない事件は神奈川県原巳浜で起きた。地元の榊野学園に在学していた学生の
伊藤誠さん(16)、西園寺世界さん(16)の二名が早朝、無残な姿でマンションで発見された。
西園寺さんの遺体ははマンションの屋上に血まみれで横たわっており、腹部を刃物の様な
物で裂かれていた。また、伊藤さんは首から上を切断されて持ち去られており、DNA鑑定で
本人であることが判明した。なお、血痕などから、伊藤さんを殺害したのは同じく殺害された
西園寺さんである事が判明しており、目撃情報などからその西園寺さんを殺害したと思われる
同学園に所属の桂言葉容疑者(16)を現在警視庁は全力を挙げて捜索中である』
イケダ「・・・酷いですね、こんな事件が起こるなんて・・・」
ナワヤ「・・・ったく、世も末って奴だよ・・・ あのノストラダムスでも
人類破局の危機は予言できても、こーいう現実的な問題までは
予測できなかったって訳さ・・・」
キバヤシ「・・・・・・・・・」
全員、沈黙する。
ナワヤ「・・・正直、俺個人としては、Dショッカーや宇宙連合も脅威だとは思うけど、
こういった人類内部での破局も、より身近な恐怖として脅威を感じるぜ・・・」
・・・暫く沈黙が続いた後、話を進めたのはタナカであった。 タナカ「・・・そういえば最近、「スクランブルフォース」って組織ができましたよね?
あれに関しては皆さんはどう思いますか?」
タナカの問いに対し、ナワヤは椅子の背もたれに寄りかかりながら、
腕組みをした姿勢で答えた。
ナワヤ「・・・確か、小学生から高校生くらいの子供達で結成された自警団だったっけな。
正直な所を言うと・・・ 俺はどちらかっつーと反対だ。
俺たちの雑誌を読んでるくらいの年齢の奴らが武器を持って
危ない連中と殺し合うなんて、正直、あまり考えたくねぇな・・・」
ナワヤが言い終わった直後、トマルも口を開いた。
トマル「・・・僕は、どっちかというと、賛成です。
確かに彼らはまだ10代程度の少年少女です。その上で誰かに強制されて
戦わせるというなら反対ですが、彼らがDショッカー等の悪が許せず、
それらの驚異から人類を守るため、自分達の意志で戦いに赴くのなら、
それを僕ら大人がどうこう言う権利は無いんじゃないでしょうか」
トマルの発言したスクランブルフォースの擁護論に対し、
ナワヤは表情を変え、トマルに詰め寄った。
ナワヤ「おいおい、何言ってんだ!自分の意志だか何だか知らねぇが、
子供が戦争に巻き込まれていいわけねぇだろーが!!
そうだな・・・ 確かお前の従兄弟にシゲキってやつがいたよな!
もしあいつがそのスクランブル・・・ 何とかに入るって言ったら
お前はそれでも平気なのか!?」
ナワヤの顔が真ん前にあるという、凄まじくプレッシャーがかかっているだろう状態にも関わらず、トマルは表情を崩さず答えた。 トマル「・・・シゲキ君が、少なくとも100%自分の意志でスクランブルフォースに
入るというのなら、僕は止めはしません」
トマルの言葉に、ナワヤは怒りの表情で彼の胸ぐらを掴み上げた! ガバッ
ナワヤ「お、お前なぁ!!」
トマル「ぼ、僕は、間違ったことは言ってるとは思いません!」
まさに一触即発の状態の二人。流石にこの状況は不味いと思ったのか、
タナカとイケダは声を揃え、二人に向かって一喝した。
タナカ・イケダ「い───かげんにして下さい! ボケェ
ナワヤ「うおっ!?」 バッ
トマル「うわっ!?」 ドサッ
突然の大声にナワヤは驚き、トマルの胸ぐらを掴んでいた手を緩めてしまう。
その結果、トマルは床に音を立てて尻餅をついてしまった。
タナカ「確かに最初に言い出したのは僕ですし、スクランブルフォースに関しても
人それぞれ賛否両論があるでしょうけど、今はもっと別にしなくちゃいけない
話があるでしょ──が!!」
イケダ「そうですよ!せっかくキバヤシさんがMMRとしての活動時には尻尾を
掴みながら、全貌までは知ることのできなかったあの『神の言葉』の
正体を掴んだって言うんですよ!?知りたくないんですか!?」 二人はナワヤとトマルに対して険しい見幕で詰め寄った。
この状況に対して、ナワヤとトマルは自分達の表情を引きつらせるしか無かった。
ナワヤ「わ、解った!悪かったよ!
お、俺もそろそろ話を切り上げる頃だと思ってたんだよ!」
トマル「ぼ、僕もそう思ってた所ですよ!」
二人の表情には明らかに焦りが見えていた。
イケダ「ったく・・・ ナワヤさんとトマルは本当に相変わらずですね・・・」
イケダはため息をつく。
キバヤシ「・・・だが、それはナワヤ達がMMR解散から数年経った今でもかつてのMMRとしての
志を失っていないという何よりの証拠だ。悪いことではないさ。」
キバヤシは、口元に少し笑顔を含み、そう言った。
キバヤシ「・・・さて、そろそろ本題に移ろうか」
そう言い、キバヤシは表情を変え、教壇に向かい直った。
ナワヤ「・・・その前に、一つ聞きたいことがある」
ナワヤは挙手し、キバヤシに問いかけた。 キバヤシ「・・・何だ?ナワヤ」
ナワヤ「お前、数年前に「旅に出る」って手紙に書いて、それ以来
音信不通だったわけだが、一体今まで何処で何をやっていた?
後、何で俺たちに一度も連絡をよこさなかった?
もし無事だったんなら、俺達に一回くらい連絡してもいいじゃねえのか!?」
キバヤシ「・・・・・・」
キバヤシは、少し黙り込む。
そして、数秒の沈黙の後、口を開いた。
キバヤシ「俺は、MMRが解散した後も、編集部に残って編集者として活動していた。
できることなら直ぐにでも『神の言葉』の正体を知るために、アメリカや中国に
向かいたかったが、直ぐに活動したら、奴らに感づかれてしまう・・・
それでお前達にまで危険が及ぶのは、できれば避けたかったんだ・・・」
ナワヤ「・・・・・・」
タナカ「・・・・・・」
イケダ「・・・・・・」
トマル「・・・・・・」
四人は、ひたすら黙ってキバヤシの話に耳を傾けている。
キバヤシ「だが・・・ ある時、"夢”を見たんだ」
四人「「「「夢!??」」」」
キバヤシ「ああ・・・ あれは夏の蒸し暑い夜の事だった・・・」
◇ ◇ ◇ ◇ キバヤシ「ウ、ウ〜ン・・・」
──あまりの寝心地の悪さに、俺は少し目が覚めたんだ。
──そして、辺りを見回すと・・・
キバヤシ「こ、ここは・・・!!?」
──目が覚めたとき、俺は、異空間のような所にいたんだ。
風景はなく、ただ歪んだ色とりどりの曲線だけの空間で、
俺は、一体自分の身に何が起きたのか理解できなかった。
その時──
???「・・・シ。・・・キバヤシ」
突如、俺を呼ぶ声がしたんだ。
キバヤシ「だ、誰だ!?」
そして、俺が声の方向に振り返ると・・・
謎の老人「・・・・・・」
キバヤシ「だ、誰だお前は!?」
俺のすぐ傍に、黒い帽子を被り、全身を黒い服装に包んだ、
白い髭を生やした老人が立っていたんだ。
謎の老人「・・・我の名はノストラダムス。お主も存じているはずだ」
キバヤシ「ノ、ノストラダムス!!?あ、あなたが!!?」
ノストラダムス「いかにも。我こそがノストラダムスだ」 そう──、俺の傍に立っていた老人は、
紛れもなくかつての大予言者、ノストラダムスだった。
俺は恐縮し、言葉も出なかった。
そんな俺に、彼はこう言い残したんだ。
ノストラダムス「キバヤシよ・・・ 今、地球には危機が迫っている!!」
キバヤシ「何ですって!?それは恐怖の大王のことではないのですか!?」
俺は、ノストラダムスに対し問いかけた。
ノストラダムス「・・・『恐怖の大王』は今の時代を生きる英雄達の活躍により、去った。
・・・だが、『アンゴルモア』は未だ姿を現さなぬ」
キバヤシ(そ、そういえば・・・ 確かノストラダムスの予言集の記述には
恐怖の大王はアンゴルモアの大王を甦らせる者として書かれていた・・・
恐怖の大王が消えても、アンゴルモアの大王は未だ存在している・・・)
ノストラダムス「・・・キバヤシよ、お主は立ち上がらなければならぬ」
キバヤシ「た、立ち上がる・・・!? 一体何を・・・」
ノストラダムスの突然の言葉に、俺は一瞬だけ困惑してしまった。
ノストラダムス「・・・キバヤシ、アメリカへ行け」
キバヤシ「アメリカ・・・ ですか?」
ノストラダムス「うむ。そこで「ペガサス・J・クロフォード」という男に会え。
彼こそが、『神の言葉』の正体を知っている男だ。
彼に会えば、奴らの真実に迫ることができるだろう・・・
お主を信じているぞ・・・ キバヤシ・・・」
そう言うと、ノストラダムスの体は徐々に薄くなり、消えていった・・・ キバヤシ「ま、待ってください!」
ノストラダムス「キバヤシ・・・ 地球、いや全平行宇宙の未来はお主達にかかっている。
頼んだぞ!!」
ピカッ!!
キバヤシ「うわっ!」
突如光った閃光に目がくらみ・・・ もう一度目を開けると・・・
キバヤシ「・・・・・・」
──俺は、自室のベッドに戻っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
キバヤシ「───と、言う訳だったんだ」
キバヤシは、全てを言い終わると、少し表情を緩めた。 ナワヤ「ほ、本当に・・・ ノストラダムスが・・・?」
ナワヤは、明らかに困惑の表情を浮かべていた。
キバヤシ「ああ・・・ 本当だ。信じられないかもしれないが・・・ 事実だ」
タナカ・イケダ・トマル「・・・・・・・・・」
一方、トマル達は、完全に沈黙状態に陥っていた。
ナワヤ「そ、それで・・・ そのペガサスって男に・・・ 会えたのか!?」
ナワヤは動揺しながらも、キバヤシに質問した。
キバヤシ「それは・・・ これから話そう」
182 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2007/12/31(月) 22:36:07
○キバヤシ→自分の経緯をナワヤ達に説明中
○ナワヤ達→キバヤシの夢にノストラダムスが登場したことに対し、驚きを隠せないでいる
△ノストラダムス→キバヤシの夢の中に出現。「ペガサス・J・クロフォード」という男に会うようキバヤシに伝えた。
(※諸事情によって一部修正しました)
【今回の新規登場】
△ノストラダムス(MMR マガジンミステリー調査班)
フルネームはミシェル・ド・ノートルダム。予言書「諸世紀」で有名なフランスの
予言者。過去の人物なので直接MMRとは関わっていないが、キバヤシ曰く人類に
危機を警告する「時空を超えて立ちはだかる」存在。 キバヤシ「夢を見た後、俺はすぐにアメリカに向かった。
ペガサスという男に会うためにな」
ナワヤ「お、おう・・・」
ナワヤは、腕組をして頷く。
キバヤシ「俺は渡米した後、「ペガサス・J・クロフォード」の行方を調べ・・・・・・ その所在を掴む事に成功した」
タナカ「!! ・・・本当ですか!?」
キバヤシの言葉にタナカは目を大きくして驚いた。
キバヤシ「ああ・・・ そして、本人と直接話す機会も得ることが出来た」
キバヤシは、自分とペガサス・J・クロフォードが行った話の内容を、
ナワヤ達に話し始めた・・・
◇ ◇ ◇ ◇ 一年前
山々や森林に囲まれた湖の畔に建っている洋風の大きな古城・・・
それこそが、インダストリアル・イリュージョン社の名誉会長であり、世界中で大ブレイクしている
TCG「デュエルモンスターズ」の生みの親、ペガサス・J・クロフォードの住む古城である。
その豪邸の屋外の、湖を一望できるプールサイドの前に置かれた白色の折り畳み式の
テーブルを挟み、キバヤシと銀色の長髪の男性―――ペガサスの二名は会談を行っていた。
キバヤシ「――――という訳です。『神の言葉』について、知っている事を教えて頂けないでしょうか・・・?」
ペガサス「成程、それで日本からはるばるアメリカまで来たという訳デスか・・・
MMRの活躍は、アメリカでも一度耳にした事がありマース」
キバヤシはペガサスに真剣な表情で問いかけており、ペガサス自身もその問いに対し、
冷静な表情で対応を行っていた。
キバヤシ「お願いです!! 今は一刻も無駄にはできないんです!!」
ペガサス「・・・・・・」
ペガサスは、少し黙り込むと、微妙に真剣な表情になり、数秒置いてキバヤシに返答した。
ペガサス「いいでしょう、Mr.キバヤシ、お話しマース」
キバヤシ「!! ・・・ありがとうございます!」
ペガサスは、キバヤシの目を見ながら、話を続けた。 ペガサス「まず、あなた方が退治していた組織・・・ 『神の言葉』について話しマース。
『神の言葉』・・・ 彼らの最終的な目的は、大国の軍産複合体と結びつき、
世界中に軍事国家を張り巡らせる事でした・・・」
キバヤシ「ああ・・・ そこまでは我々も知っています・・・
その為に奴らは、スーパーモスキートや隷属遺伝子など、様々な計画を打ち立ててました・・・」
ペガサス「そこまで知ってるとは・・・ 流石デース」
その言葉と共に、ペガサスの目の光が多少変わったように感じた。
正直、ペガサスはMMRの事を耳に挟んでいても、具体的にどんな集団なのかは知ってなかった。
その為、初対面時はキバヤシに対し所謂三流雑誌記者のようなイメージも持っていたが、
キバヤシの真剣な表情、そして彼らが掴んだ『神の言葉』の作戦を聞き、彼らが単なる三流記者の
集まりでない事を確認し、態度を改めたのだった。
―――無論、最初から表情にも言葉にも出してないため、キバヤシが知る事は無かったが。
キバヤシ「・・・肝心なのは、そこまで奴らの真実に踏み込んでも、俺達が判らなかった謎です。
『神の言葉』の正体・・・ 知っているのなら、教えていただきたいのです・・・
ペガサス「・・・彼らの正体、デスか」
ペガサスの表情が、微妙に曇る。
キバヤシ「お願いします!! 『神の言葉』とは一体何者なんですか!!」
ペガサス「・・・・・・Mr.キバヤシ、ユー達が興味本位ではなく、真剣に彼らの事を知りたいと
言う気持ちは理解してマース・・・ ですが、彼らは非常に危険な組織デース・・・
貴方達がこの世界の“表”に位置する者なら、彼らは“裏”に位置する者。
表の者が不用意に裏に踏み込めば・・・ 悲劇が生まれマース」
そう言うと、ペガサスは、左目を覆っている銀髪を掻き分け、キバヤシの前に露にした。
そこに・・・ 彼の左目は無かった。 キバヤシ「なっ・・・!?」
ペガサス「これが不用意に“裏”の世界に関わった者の末路の姿・・・ Mr.キバヤシ、
これ以上“裏”の世界に関わろうととすれば、これだけじゃ済まないかも知れまセーン。
―――それでもユーは、彼らの正体を知りたいデスか?」
ペガサスが左目を失った理由は、実際の所、かつてエジプトのクル・エルナ村を訪れた際に、
村の地下神殿で決して見てはならぬ千年アイテムの儀式を見てしまった為、千年アイテムに
選ばれるか否かの闇の試練を受け、千年アイテムの一つ「千年眼」を手に入れた代償として
失ったという経緯であり、『神の言葉』とは全く関係は無かった。
しかし、秘密結社とオカルトの違いはあれど、どちらも“表”の世界に対する“裏”である事は事実。
そんな“裏”の世界の者達がどういう存在であるかを知った上で、キバヤシがそれでも臆せず
彼らに立ち向かう覚悟を有しているか。もしここで臆するようならば、『神の言葉』の真相に辿り着く前に
『神の言葉』の手にかかり、下手したら、片目を失うだけでは済まないかもしれない。
ペガサスはそれを確かめる為に、自分の失った左目を彼に見せたのだった。
―――そして、キバヤシは自分の答えをペガサスに告げた。
キバヤシ「・・・忠告はありがたく受け取っておきます。ですが、我々は奴らの作戦を阻止する為にも
ここで立ち止まるつもりはありません。覚悟はできてます」
ペガサスは、キバヤシの顔を見る。
彼の目は、真っ直ぐな光を放っているような、真っ直ぐな眼光を備えていた。
ペガサス「・・・判りました。お話しシマース」
◇ ◇ ◇ ◇ ナワヤ「――――それで、結局『神の言葉』ってのは何だったんだよ?」
タナカ「ちょ、ちょっとナワヤさん・・・ まだキバヤシさんが話してる最中ですよ・・・」
キバヤシの話の途中で、ナワヤは話を中断してキバヤシに問いかける。
それと同時に、他の二人と共に話に聞き入っていたタナカもナワヤを制止した。
それを見計らっていたかのように、キバヤシはナワヤに視線を向け、彼に語りかけた。
キバヤシ「・・・・・・ナワヤ、『GOD機関』という組織を知っているか?」
ナワヤ「『GOD機関』? え、え〜と・・・、確か・・・ ショッカーとかと同じ、
改造人間でテロとかやった組織だよな? 仮面ライダーに大分前に潰されたって聞いたけど・・・」
キバヤシ「その通りだ・・・ では、GODとはどういう背景の組織だったのか、わかるか?」
ナワヤ「そ、それは・・・ えーと・・・ そこまでは知らねぇな・・・」
ナワヤは困惑してしまうが、無理も無い。
ショッカーやGOD機関等、人体改造などの技術を悪用した秘密組織の存在や活動は、
TVの報道やインターネットのニュースでも度々報じられているが、それらの組織が一体どういう
組織なのかという情報は、彼ら一般人には中々届かない物であった。
キバヤシは、彼に対しGOD機関に関する説明を行った。
キバヤシ「・・・アメリカで聞いた、確かな筋の情報によれば、GOD機関とは、当時核問題などで
対立し合っている東西の大国同士が水面下で手を結び、日本を滅ぼす目的で組織した秘密結社らしい。
最も、その結成にはかつての秘密結社ショッカーが大きく関わっているらしいがな・・・」
ナワヤ「なるほどな・・・ で、それが『神の言葉』と何の関係があるんだ?」
ナワヤはキバヤシに再び問いかけるが・・・ キバヤシは何故か無言のままであった。
そんな彼に対し、ナワヤ以外のメンバーも彼に話しかけた。 イケダ「・・・・・・キバヤシさん?」
キバヤシ「・・・それが、ペガサスが話してくれた『神の言葉』の正体だ」
一同「「「「!!!!?」」」」
その言葉に、ナワヤを始めとするキバヤシ以外の全員は、驚きの声を上げた。
タナカ「ど、どういう事なんですか!? キバヤシさん!!」
キバヤシ「よく思い出してみろ・・・ 俺達が追ってきた『神の言葉』が起そうとしてきた計画を・・・」
キバヤシがそう言ったと同時に、全員が何かに気付いた様な表情を浮かべた。
ナワヤ「!? まさか・・・ キバヤシ・・・」
キバヤシ「そうだ・・・ 似てると思わないか・・・? 『GOD機関』と組織の方向性が・・・」
イケダ「た、確かに・・・ 『神の言葉』が起こそうとしていた計画の中には、
風水を利用して日本の穀倉地域を壊滅させようとしたり、殺人プログラムをネットに流そうとしたりと、
日本を壊滅状態に追い込む事を目的としたものが少なくなかった・・・」
イケダが話し終わると同時に、黙り込んでいたトマルも何かに気付いたような
表情を浮かべ、直後にキバヤシ達の方を向き、口を開いた。
トマル「・・・それだけではありません!」
ナワヤ「ま、まだ何かあるのかよ・・・」
トマル「GOD機関と神の軍団・・・ 共に「神」を組織名としてます!」
ナワヤ「!!! た、確かに・・・!」
キバヤシ「GOD機関のGODは、Government Of Darkness・・・ 「暗黒政府」の略らしいが、
組織の体質から考えて、神を意味する『GOD』になるように単語を選んだと言うのは
十分考えられる話だ・・・」 全員が神妙な表情を浮かべ、黙り込んでしまう。
その中で先に口を開いたのは、ナワヤであった。
ナワヤ「確か・・・ GOD機関の結成にはショッカーが大きく関わってるって言ったよな・・・
って事は・・・ まさか・・・」
―――そして、キバヤシもそれに答えた。
キバヤシ「そうだ・・・ 『神の言葉』とは、やはり『GOD機関』の事だったんだ・・・
つまり・・・」 ,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ >
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ 『神の言葉』の計画を裏で操っていたのは、
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' / 他ならないショッカーだったんだよ!!!
l `___,.、 u ./│ /_
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
/ !./l;';';';';';';\ ./ │ _
_,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i
. | |:.l. /';';';';';|= ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
l. |:.:.l./';';';';';';'! /:.:.| i´|.ー‐' | / | |. ! l
. l. |:.:.:.!';';';';';';';'| /:.:.:.:!.|"'|. l' │-==:|. ! ==l ,. -‐;
l |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l | l. | | / //
l |:.:.:.:.:l;';';';';';';'|/:.:.:.:.:.:.!│ l l、 :| | } _|,.{:: 7 ))
l |:.:.:.:.:.:l;';';';';'/:.:.:.:.:.:.:.:| |__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ' ::::::|; 7
. l |:.:.:.:.:.:.l;';';'/:.:.:.:.:.:.:.:.:.|. \:::::\::::: ヽ ::::::!′ :::| .:/
. l |:.:.:.:.:.:.:∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! /ヽ::: `::: :::: ....::..../ ミミ:::;,! u `゙"~´ ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ ゞヾ ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/  ゙̄`ー-.、 u ;,,; j ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\ ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/ J ゙`ー、 " ;, ;;; ,;; ゙ u ヾi ,,./ , ,、ヾヾ | '-- 、..,,ヽ j ! | Nヾ|
'" _,,.. -─ゝ.、 ;, " ;; _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ | 、 .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
j / ,.- 、 ヾヽ、 ;; ;; _,-< //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─-- エィ' (. 7 /
: ' ・丿  ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、 i u ヾ``ー' イ
\_ _,,......:: ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... ' u ゙l´.i・j.冫,イ゙l / ``-、..- ノ :u l
u  ̄ ̄ 彡" 、ヾ ̄``ミ::.l u j i、`ー' .i / /、._ `'y /
u `ヽ ゙:l ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_  ̄ ー/ u /
_,,..,,_ ,.ィ、 / | /__ ``- 、_ l l ``ーt、_ / /
゙ u ,./´ " ``- 、_J r'´ u 丿 .l,... `ー一''/ ノ ト 、,,_____ ゙/ /
./__ ー7 /、 l '゙ ヽ/ ,. '" \`ー--- ",.::く、
/;;;''"  ̄ ̄ ───/ ゙ ,::' \ヾニ==='"/ `- 、 ゙ー┬ '´ / \..,,__
、 .i:⌒`─-、_,.... l / `ー┬一' ヽ :l / , ' `ソヽ
ヾヽ l ` `ヽ、 l ./ ヽ l ) ,; / ,' '^i
ナワヤ・タナカ・イケダ・トマル
「なっ… なんだって―――――!!? トマル「そ・・・ そんな・・・ ショッカーって言ったら、今は・・・」
ナワヤ達はショックを隠せないが、無理も無い。
なにせ自分達が追っていた『神の言葉』の正体が、あの世界規模で暗躍していた秘密結社
「ショッカー」と非常に深い部分で繋がっていた事を知ってしまったのだから。
それだけでは無い。今やショッカーやGOD機関は、三柱の至高邪神の元、
他の数多の悪の組織や集団を統合し、今や他に類を見ない規模を誇る悪の組織、
『無限なる帝国ディバイン・ショッカー』となっているのである。
『神の言葉』がもし本当にGOD機関やショッカーと繋がっているのであれば・・・
―――――彼らの前に立ち塞がる相手は、想像以上に強大な存在であった。
ナワヤ「な・・・ 何てことだ・・・ Dショッカーって言ったら、ショッカーのような秘密結社以外にも、
外宇宙や異世界の連中、妖怪とかもいるって言うじゃねぇか・・・」
イケダ「そんな連中が相手じゃ、対策の立てようなんてあるはずも無い・・・」
トマル「幾らなんでも、絶望的です・・・」
ナワヤ達は深く沈んでしまった。周囲を重たい空気が包む。
タナカ「いっその事、最初から関わってなければ・・・」
――――誰もが希望を失いかけたそんな中、キバヤシは意を決した表情に変わり、言葉を発した。 , / `ー---─一''"~´ ̄`ヾヽ
i i| ilレ ミミミミ''"`─- 、
, .,i! i !/i i ミミミミヾ ミヾ ゙ヽ
.i ,!i l.| ' i ゞ 彡ミミミヾ ミヾヾ `ヽ
, i!、k ヽ、 ヽ 彡ミミ ミヾヾ ゙
li l ヾ、 ヾ _,,== ミヘベ
, |i、ヽ ヽ、 ヽ ヾ ゙
!ヾ ヽー- _ ー- ,,__ 〃ヾ
ヾヽヾ ‐- ,,___ /ソツ、ヾゞ、ヾヾ
` 、`ー- 、...,,─-- __,, 彡ソソ ヾゞゞミミ
ヽ.、 `ー --- .,,─-- __,, 彡ソソノ,; ,,-弋ミミミミ
\ ゙ー‐- 、..,,,____,,. --彡彡彡'"'",ィ'-====、ヽミミミ
``,.-、-─r,=====、:;;,,::;;::f" ,.'i´ o`i 冫ヽ ]-'´
゙iヾ ニill 〈 (.O)ーi` ̄´i _`_-_'....' li ゙
゙i ill::::::::;ー-‐γ'i'::l,⌒ヾ`)::::::::::;;'' 〃u
゙i :ill::::::::;; ソ::::;i,、, ヾ:::::::;''' _,,ノ' ,r-
゙i、 ゙`‐=='"..::::::;i,, .,,, ゙゙'''''"~´ l
ヾ.イ '''"..-一、 u .l
ヽ :;;l ̄´ _,,,...,.ヽ ,イ
゙i. u ;;iェ'´ i' ヾト! ./:!
゙!. :;;Fi、 ,,.ツ ./;:;:
./゙i ヽ ゙;ヽニ二ニ-'´ ./ :;:; /
/ i ヽ :..,,-‐' /::;' ;:; /
キバヤシ「――――うろたえるなおまえ達!! ナワヤ「ッ!!?」
タナカ「!!?」
イケダ「!!!?」
トマル「!!? ・・・・・・キバヤシ、さん?」
四人は我を取り戻したかのように、表情を変え、キバヤシの方を向いた。
キバヤシはなおも話を続ける。
キバヤシ「――――俺達はもう既に『神の言葉』の事を知りすぎた。
奴らが本格的に活動を開始している以上、俺達手が回ってくるのも時間の問題だ。
・・・だが、逆に言えば、俺達はこの世界の中でも数少ない、『神の言葉』やGOD機関・・・
そう、Dショッカーに深く近づいた物達とも言える」
ナワヤ「・・・・・・それが、どうかしたのかよ・・・」
キバヤシ「―――かつて、俺達が奴らの手によってMMRを解散に追い込まれた際、
俺達は今と同じくらい絶望した筈だ。
だが、そんな俺達にでも出来た事は何だった・・・?」
キバヤシは、真剣な眼差しでナワヤ達に語りかけた。
自分達が、過去に交わした信念の誓いを、思い出させる為に・・・
ナワヤ「俺達に・・・ 出来た事は・・・ はっ・・・!!」
タナカ「あきらめない・・・ 事・・・!」
言葉と同時に、ナワヤとタナカの表情から暗さが消えうせ、目に光を取り戻す。
それに合わせ、イケダとトマルの表情にも変化が現れた。
キバヤシ「『あきらめない!』 それがMMRを失った俺達にできた唯一の闘いだったはずだ!」 / , ,ィ ハ i、 、 ! /''⌒ヽ-─‐- 、 、ー'´ \ .イ , ,ィ ハ i 、 . |
/イ ,ィ/l/ l/ リ ヽ!ヽト、 .| ゝ ,、.___, \ > , ! | ,ィ/l/ l/ lハlヽトiヽ. |
イ /r >rjヘ;=:r‐=tj<ヽ│ 「 ./ \ | ≧ , ,ィ/ハヽ\ | |/゙>rjヘ '-‐ァt:j<`K
r、H ┴'rj h ┴' }'|ト、 |./ ヽ | 1 イ/./ ! l ヽヾ、_ ! .ry ┴ 〉 └'‐ :|rリ
!t||. `ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ r|´゙>uー、ヽ-tj='^vヽ _レ「゙fぅヽ ーT'tラ'7`h |t|. ヾi丶 レ'
ヾl -─-、 /‐' :|r| ー "j `ー ′ h゙リ {t|!.  ̄" } ` ̄ !リ ヾl -─ - /|
ト、 ‐‐ ,イl. ヾ!. ヾ ,イ‐' ヾl ヾ /' ト、 ‐- ,イ ト、
,.| : \ / ; ト、 ト.、 ´_ ̄` , ' |. ト、 ´_ ̄` ./.|. ,| ::\ / ; / \
-‐''7 {' :: ` ー ' ,; ゝ:l`ー- ⊥:`ヽ. __ / ,' | | :\ /,' ト、_ /〈 :: ` ー ' ,'/ 「
/ \ :: , '/ :| `'''ー- 、 , ' '>-,、.._ノ :: `ー ' /,.イ \:: / |
/ \ / | | ヽ-‐'´ _,.ヘ< _:: _,. イ/ | ,.へ、 /´\ |
――――あきらめない!!
――――その瞬間、彼らの顔から絶望の色が完全に消え、目に希望の光が灯った。 キバヤシ「そうだ・・・。俺達の所属は幸いにも講談社と言う大手の出版社だ。確かに俺達にはウルトラマンや
仮面ライダーのような力は無いが、その代わり『報道の自由』という名の武器があるんだ!
俺達が奴らの情報を記事にし、雑誌やネットなどのメディアで報じれば、
いずれ奴らの力を削ぎ、ヒーロー達の手助けにもなるはずなんだ!」
キバヤシの言葉に続き、ナワヤも口元に笑みを浮かべて口を開く。
ナワヤ「―――フッ、そうだったな・・・ 俺達は記者なんだ。
それなら、やる事はお前の言ったとおりだ。Dショッカーの素顔、暴いてやろうぜ!!!」
トマル「・・・でも、具体的にどんな事をすればいいんでしょうか?」
トマルの質問はもっともだ。いくら精神論を語った所で、
実際に結果を残せなければ、単なる机上の理論でしかない。
キバヤシ「―――それなら問題は無い。俺がこの数年間で掴んだ情報は、
単に奴らの正体だけではないんだ。
・・・お前達、比留子古墳(ひるここふん)という名を聞いた事はないか?」
ナワヤ「ヒルコ・・・ 古墳・・・?」
一同は首を傾げる。これまで彼らはMMRとして、様々な遺跡や施設を調査して回ったが、
比留子古墳と言う名の古墳など、誰も耳にした事はなかった。
そう・・・ 正確には約一名を除いて、だが。
タナカ「・・・ひょっとして、九州の比留子の里にある比留子古墳の事ですか!?」 タナカは、かつて与那国島沖の海底遺跡の存在に言及し、実際に来日し調査した作家の著書に
感銘を受け、以来、世界各地に点在する古代遺跡に惹かれるようになり、トルコの遺跡の調査にも
参加したと言う経歴を持つ。それ故、MMRが解散した後も、国内外の様々な古代遺跡に関する調査を
独自で行っていた。だからこそ比留子古墳の存在も知っていたのだろう。
キバヤシ「その通りだ。 さて、本題に入るが・・・
確かな筋の情報によると、その比留子古墳を、Dショッカーが狙っているらしい」
トマル「!! なんですって!?」
タナカ「・・・そういえば、比留子古墳の周辺では、怪物が出ると言う噂が流れてました・・・
何でも、昔、古墳を調べていた郷土史家が首無し死体で見つかったとか・・・
ナワヤ「で、でもよ、何でDショッカーがその古墳を狙うんだよ!?」
キバヤシ「・・・・・・それは俺にもわからん。あくまで“狙っている”という情報しか聞けなかったからな。
・・・だが、俺達以上にその比留子古墳の事を知っている人物が一人いる。
彼はかつて比留子古墳に赴き、そこでの研究ノートを今も残し、所持しているとの事だ。
既にアポは取ってある」
キバヤシの言葉に、全員がざわめく。
タナカを除き、誰も知らなかった遺跡の事に関し、研究ノートを残しているほど
調べ上げた人物がいると言うのだ。一体誰なのだろうか・・・
ナワヤ「・・・だ、誰なんだ!?」
キバヤシ「・・・『古墳の呪的文様』『天孫降臨』 ・・・耳に挟んだ事ぐらいはあるはずだ」
タナカ「!? キバヤシさん、ひょっとして・・・」
ナワヤやイケダには見当もつかない。 ・・・だが、タナカには心当たりがあった。
かつて自らの著書において、装飾古墳の文様を独自の解釈で斬新な考察を行い、それ以降も
幾つかの大学の客員教授や著述活動を行いながら、奇怪な事例の研究を続けていると言われている
“妖怪ハンター”のアダ名を持った考古学者・・・ タナカ「・・・・・・・・・ 稗田・・・ 礼二郎・・・ ですか?」
547 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2008/06/13(金) 23:07:19
○MMR一同→キバヤシの見つけた手がかりから、比留子古墳の調査を決定。
比留子古墳に詳しいと言う考古学者「稗田礼二郎」の元を訪ねる事を決定する。
○ペガサス・J・クロフォード→過去にキバヤシに助言する。
【今回の新規登場】
○ペガサス・J・クロフォード(遊☆戯☆王シリーズ)
身長188cm、体重65kg。10月8日生まれ。血液型はA型。CV:高杉Jay二郎。
アメリカのラスベガス出身。インダストリアル・イリュージョン社(略称:I2社)の名誉会長。
カードゲーム「デュエルモンスターズ」の生みの親で天才ゲームデザイナー。当初は、経営が悪化した
海馬コーポレーションに目をつけ、企業買収を計画し、決闘者の王国イベントを開き、武藤遊戯を自分の下へと
招待する。「デース」「マース」といったカタコト言葉、ギャグっぽい言動から慇懃無礼で掴み所の無い印象の
持ち主だが、デュエルに敗北した相手の魂をカードに封印したり、ルール違反を犯したキースを顔色一つ変えずに
私刑する等、冷徹な顔を見せる事も。海馬とのデュエルでは千年眼の力と「トゥーン・ワールド」という反則的な
効果を持ったカードで翻弄し、あっさりと海馬に勝利し、彼の魂を奪う事に成功する。その後、決勝戦においても
トゥーンデッキで遊戯を追い詰めるが、その弱点を見抜かれて苦戦。闇のゲームを展開させ、「サクリファイス」と
いう強力な儀式モンスターで遊戯を翻弄するが、彼と仲間の結束力の前に敗北した。千年アイテムの一つである
「千年眼(ミレニアム・アイ)」の所持者だったが、決闘者の王国終了後にバクラに千年眼を刳り貫かれてしまう。
それでも治療を施されて一命は取りとめ、以降は遊戯達に協力するようになった。デュエル・アカデミアにも度々
訪れている。デュエリストとしての腕は超一流であり、当初は千年眼の力でイカサマを行っていたが、千年眼を
失った後も相手の伏せカードをズバリ読み当てたりと、人の心理を読むのが十八番であることは変わらないようである。 翌日、MMR一行は、異様な事例や奇怪な題材などを中心に研究している
“妖怪ハンター”のアダ名を持った考古学者稗田 礼二郎(ひえだ れいじろう) の元を訪れた・・・
都内 某大学の研究室
稗田「なるほど・・・ そのような事が・・・」
キバヤシ達は、黒いスーツに身を包んだ長髪の男性・・・ もとい、稗田礼二郎とテーブルを挟んで
互いに向かい合わせになり、ソファーに座りながら取材を行っていた。
キバヤシ「稗田先生・・・ 我々はMMRを一度解散した後、『神の言葉』の正体を求めて
世界中を巡り、 ・・・その結果、今話した通り、奴らがあの“ショッカー”と
繋がっていた事を突き止めました」
稗田「ふむ・・・」
キバヤシは稗田に対し、自分達がこれまでの調査で掴んだ『神の言葉』 ・・・もとい、
ショッカーの活動、そして彼らがかつて稗田が現地に赴いて調査したと言われる遺跡
“比留子古墳”を狙っていることを真剣な面もちで語っていた。
稗田は、神妙な面もちで彼らの話に耳を傾ける。
キバヤシ「―――そして、かつて先生が研究に携わり、調査したと言う遺跡“比留子古墳”・・・
理由は知りませんが、彼らはその古墳を狙っているらしいのです」
稗田「・・・・・・」
稗田はキバヤシの言葉に、その表情に僅かに焦りの色を見せる。 キバヤシ「―――申した通り、我々は比留子古墳の事を先生の『古墳の呪的文様』の中で
記させていた情報しか知りえません。
―――そして、あなたはその著書の執筆後に実際に比留子古墳に赴き、
古墳に関する情報を研究ノートに残したと聞いています・・・
先生も存じている通り、Dショッカーは非常に危険極まりない組織です・・・
だからこそ、先生が比留子古墳で何を見たのか、教えていただきたいのです・・・」
稗田「――――比留子、古墳・・・」
タナカ「お願いします!! 比留子古墳には一体何が隠されているんですか!?」
キバヤシの強い要望に対し、稗田は表情を曇らせたまま、その口を開く、だが・・・
稗田「――――もし、あなた達の言うように、神の言葉・・・ いや、Dショッカーが
比留子古墳を狙っているのであれば・・・ 非常に恐ろしい事だ・・・
しかし、比留子古墳に隠されていた“あれ”は、絶対に外には出してはいけない存在・・・
どんな理由にしろ、果たして“あれ”の存在を公にするべきかどうか・・・」
稗田はハッキリとこそ言わなかったが、発言内容、 そしてうつむいた顔から覗かせる
彼の表情が『真実を語ることはできない』と言っていた。
タナカ「で、ですが・・・(ここまできて諦める訳には・・・)」
タナカは、表情に僅かに絶望の色を浮かべながらも、その心をギリギリのところで引き留めようとする。
キバヤシ「稗田先生、お願いします!!!
今は一刻たりとも無駄にはできないんです!!」
イケダ「教えて下さい、先生!!」
キバヤシ達は稗田に頼み込むが・・・ 稗田「・・・・・・・・・」
――――稗田は額から汗を流し、切羽詰まった様な険しい表情を浮かべ、
何も喋ろうとはしていない。
――――稗田が険しい表情のまま一言も喋らなくなり、MMR一行も深い不安に包まれていき、
重い空気が室内を包み、そのまま全員が無言の状態のまま、1分・・・ 10分と過ぎていき・・・
―――30分経過した、その時・・・
キバヤシ「・・・・・・・・・・・・」 (ガタッ)
―――あまりにも重い空気を切り払うかのように、キバヤシがソファーを立ち上がり、
真剣な表情で、稗田に口を開いた。
キバヤシ「・・・・・・稗田先生、我々MMRは発足して以来、様々な要因によって人類に降りかかるやも知れぬ
数多の破局を独自に調査することにより、様々な人達に危機意識を持ってもらう事を
基本方針として活動を続けてきました。
――――しかし、今ここで何の手がかりも得ることが出来なければ・・・
それこそ我々は突然訪れる破局を前に、何も出来ずにその運命に
身を任せることになってしまうのです!!」
稗田「・・・・・・」 稗田は無言のままだったが、キバヤシ達は瞬き以外の一切の動作を行わず、稗田に目を向けている。
――――10分過ぎ・・・ ――――30分過ぎ・・・
稗田「・・・・・・」
――――そして、15分経過時点で、稗田はその口を開いた。
稗田「――――わかりました。Dショッカーのような組織が動いている以上、
・・・・・・・・・今回ばかりはやむを得ないでしょう」
キバヤシ「!! ・・・ありがとうございます、先生!!」
キバヤシ達は、歓喜の表情を浮かべ、稗田に感謝の言葉を述べた。
稗田は近くのタオルで汗を拭うと、キバヤシ達に向き直り、話し始めた。
稗田「ノートを見せる前に、まず・・・
あなた方は“擬似生命”と呼ばれる存在をご存知だろうか」
ナワヤ「“擬似生命”・・・?」
聞きなれない単語に、一同は若干戸惑う。
稗田は、なおも話を続ける。 稗田「―――擬似生命とは、この地球に最初の生命が誕生したと同時に、現れた存在・・・
我々のような生命体に対し、相反する生命・・・ その名の通り“擬似生命体”と言うべき存在です」
キバヤシ「擬似、生命体・・・」
稗田「我々人類が属する生命系統に、原生動物から哺乳類まで存在するように、
“やつら”にも系統樹がある。 ・・・そして、“やつら”の生命系統は
本質的に、我々の生命系統と対立する邪悪なものなんだ。
私は“擬似生命”と仮に呼んでいるが・・・
やつらは基本的に伝説の中でしか知られておらず、古来より様々な名前で
呼ばれていた・・・ 悪魔、妖怪、鬼・・・
そして、古事記には“水蛭子(ひるこ)”という名でその姿を見せている」
キバヤシ「!? ヒルコですって!?」
タナカ「ちょっと待ってください、ヒルコって言ったら・・・」
稗田が擬似生命の説明の中で出してきたたった一つの単語・・・ “ヒルコ”
その単語に、キバヤシ達は驚きを隠せなかった。
稗田「・・・そう、あなた方が言っている九州の史跡・比留子古墳」
稗田はそのまま立ち上がると、研究室の本棚に向かい、
その本棚の中から、一冊の古いノートを持ち出してきた。
稗田「かつて、私は装飾古墳について研究していた時期があった。
その中で出版した「古墳の呪的文様」の読者から、一通の手紙が届いた事が始まりだった。
手紙には差出人の名前の他、差出人の村に存在する古墳についての情報、そしてその古墳が
その地方の妖怪伝説と密接な関係がある事などが記されていた。
私はその古墳こそが自分の説を証明してくれるかも知れないと思い、
差出人の住む村へ向かった・・・」
キバヤシ「・・・・・・」 先程とは逆に、今度はキバヤシ達が稗田の話に聞き入ってしまっている。
稗田は再びソファーに腰を下ろすと、ノートを捲りつつなおも話を続けた。
稗田「私は手紙を送ってくれた少年と共に、深夜に古墳に忍び込んだ。
そして、古墳の中に存在していた、“やつら”が・・・」
タナカ「擬似生命、ですか・・・?」
稗田の表情が、僅かに険しくなる。
稗田「ああ・・・ 奴ら・・・ “ヒルコ”は、かつて古代人によって古墳に封じ込められていた
存在だったが、同行していた少年の父親が興味本位で古墳の扉を開けてしまい、
外に出ようとしていたのだ・・・」
トマル「それが、比留子古墳の付近で噂された、怪物の正体だったんですね・・・」
稗田「その通りだ・・・ 私は少年と共に何とか逃れ、
古墳の文様を消す事で、再びヒルコを封印する事に成功した。
今では、古墳は密閉されて、中には入れないような設備になってるはずだが・・・」
キバヤシ「だが、Dショッカーがそのヒルコを狙っている・・・」
稗田「先も言ったとおり、ヒルコは古代に封印された擬似生命そのものだ・・・
そして、その体には、地球の誕生と共に誕生し、日本ではアメノミナカヌシ・・・
聖書ではエホバなど、あらゆる国の神話で世界最初の神と伝えられている、
原始生命と擬似生命の先祖を生んだ巨大な超生命体から受け継がれた遺伝子が
現在、この世界に存在するあらゆる生命、擬似生命より遥かに色濃く
受け継がれているだろう・・・」
ナワヤ「それにDショッカーが目を付けたって訳か・・・ 全く、抜け目の無い連中だぜ・・・」 稗田「さて・・・ 私は先程、擬似生命に連なる存在・・・ ヒルコや妖怪は、基本的には
伝説の中でしか知られていないと言ったが・・・ 現在はどうだろうか・・・」
唐突に、稗田はキバヤシ達に質問を投げかけた。
突然の質問にキバヤシ達は少し考え込み・・・ 僅かな間の後に問いへの答えを出した。
キバヤシ「――――妖怪軍団、災魔一族、オルグ、インフェルシア・・・
既に幻想の存在になりつつあった存在が、この数年の間に
次々と大規模な破壊活動や侵略を行っている・・・」
キバヤシは、数年前に起きた、妖怪軍団のダラダラやハイネスデュークオルグのウラによる
破壊活動、冥府門や冥府十神の出現などを脳裏で思い出しながら、稗田に告げた。
稗田「―――無論、裏の世界ではそういった存在との戦いが数世代にわたって続けられてただろうが、
その戦いや存在が、表社会に知られたりする事は非常に稀だった・・・
・・・ここ数年、これだけ奴らが表立って行動しているのは単なる偶然では無いだろう」
その言葉からそう時間が経たない内に、ナワヤら他のMMRメンバーも、
稗田の問いに答えた。
イケダ「確か・・・ 半年前に、フランスのパリに怪物の大群が出現して、
パリの市民が大量に虐殺された事件もありましたよね。
気になって文献や調べたら、戦国時代を中心に日本でも似たような怪物が
“幻魔”と呼ばれ、跳梁跋扈してたみたいです」
イケダは、半年前にフランスの首都・パリに突如無数の異形の怪物が現れ、
それから数週間の間、パリを中心に怪物たちが跳梁跋扈していた事件を振り返っていた。 稗田「文献・・・ 確か幻魔に関して詳しく取り扱っていたのは、
民明書房の『新装版 戦国時代暗黒史』だけだったな・・・」
ナワヤ「あと、半年前って言ったら、その事件の少し前にも、東京のド真ん中にデッケぇ城が現れて、
その周辺に鳩のバケモンが無数に現れて、一般人を襲った事もあったよな・・・」
トマル「ええ。幸い政府の対応が早かった為、レスキューポリスや自衛隊、
地球連邦地上軍の特殊遊撃隊ストームチームによって怪物の群は掃討されたらしいですけどね。
ただ、城自体は直接接触する前に、消失したって聞きました。
聞いた話じゃ、城が消失する前後に、上空に人影が8つほど見えたらしく、
異世界のヒーローが活躍したなんて噂が都市伝説レベルで流れてるらしいですけど、
こんな世の中、何が起こっても不思議じゃ無い気がしますね・・・」
ナワヤとトマルの脳裏には、その時の戦いの様子が再生されていた。
―――東京都心に現れた巨大な洋風の城を中心に、無数の人間より大きな体格をした鳩の怪物が
数百匹と群れをなし、無力な一般市民を襲い、街を壊し、東京を蹂躙する姿・・・
―――しかし、謎の城から広がり続けた鳩の怪物の群れは、都心より広がることは無かった。
当時、総理に就任したばかりの現日本國内閣総理大臣・剣桃太郎。
事件当時の防衛庁長官・・・ 現日本國防衛大臣・大豪院邪鬼。
そして警視庁警視総監・冴島十三と、特別救急警察隊の本部長・正木俊介警視監。
彼らが事件の発生とともに、自衛隊やレスキューポリスの出動、国防省を通じた地球連邦軍への
協力要請を迅速に行い、そして丁度その時、他に大きな事件が偶々重なってなかった事が幸運し、
出動した自衛隊やソルブレイン、エクシードラフトを始めとするレスキューポリス、
G3システムを参考に製造されたG5システム部隊、そしてストーム1を始めとする日本に駐留していた
地球連邦地上軍によって、敵の殲滅、並びに被害者の救出を迅速に行うことができたため、
これまで起きた怪獣や怪人の都市の襲撃によ被害よりも、遥かに小さい被害で終わらせることができたのだった。 尤も、トマルが言ったように、怪物を指揮していたと思われる城自体は、接触する前に消失してしまった。
―――だが、その戦いの際に残留した怪物の肉片や血液などを自衛隊が採取し、
過去のデータと照合し、その結果・・・ 超常現象を対処する特務機関『森羅』が過去に戦闘した
“妖怪”の遺伝子構造に非常に酷似している事が判明した。
結果、その事件のすぐ後に起こったパリの事件、度重なる時空クレパスの出現、
その他の様々な事件も重なって、時空クレバス制御システム"ディオドス"の開発へと
繋がっていくのであった・・・
―――――そんな感じでMMR一同と稗田は暫く話していたが、やがて話が収束し始めていった。
それを見計らったかのように、タナカはソファーから立ち上がり、キバヤシに声をかけた。
タナカ「・・・キバヤシさん!」
そして、それの待っていたかのように、キバヤシはタナカに顔を向け、自身も立ち上がる。
キバヤシ「ああ、分かっている。
奴らの目的が確定した以上、ここで留まっている訳にはいかないだろう」
イケダ「では・・・」
キバヤシ「九州の比留子の里の“比留子古墳”・・・ 奴らがそこに眠る擬似生命の遺伝子を
手に入れる前に、俺達が先回りして阻止する!!」
キバヤシの言葉と共に、ナワヤ、イケダ、トマルも意を決した一転の曇りもない表情で
ソファーから立ちあがった。 稗田「・・・・・・」 (ガタッ)
立ち上がったのはMMRのメンバーだけではなかった。
稗田も立ち上がり、MMRの面々に体を向きなおす。
稗田「私も行こう。Dショッカーがヒルコを何の目的で狙っているのかは知らないが、
かつて奴らに関わった一人の人間として、ここで見過ごすわけには行かない」
トマル「!! ・・・ありがとうございます!!」
―――かつて彼らMMRは、多くの罪無き人々の生命を盾にした『神の言葉』の非道な策略により、
組織の核心に迫る一歩手前で、その活動を停止することを余儀なくされた。
―――しかし、彼らに届いた大きな段ボール箱一杯に詰まった読者達の応援の手紙を
受け取った彼らは、“あきらめない”事を選んだ。
そしてMMRの活動が中止した後も、それぞれ独自の手段で調査を続けていたのだ。
イケダは最先端の遺伝子技術と、それによって生み出される利益と弊害を。
タナカは世界中に点在する、様々な古代の遺跡、そこに残された技術を。
トマルは人間の体に眠っているジャンクDNA、そしてそれによって起きる人類の進化の可能性を。
ナワヤは講談社に残り、一人の編集者として人間の心と精神の変換とその行く末を。
そしてキバヤシは・・・ それらの技術を悪用し、地球の全ての国家、企業、自然、果ては
人間個人の精神と心までも掌握しようとした組織『神の言葉』の目的と手段、
その背後に存在する強大な存在の正体を・・・
彼らは独自の力で調査を続け、自分なりにその答えを導き出し、今再び集結したのだ。
それぞれの調査の結果を結び合わせ、導かれた『神の言葉』の背後に存在する真の邪悪・・・
無限なる帝国 ディバイン・ショッカーに立ち向かう為に・・・ ナワヤ「フッ・・・ ようやくMMR活動再開ってか・・・」
ナワヤは、その顔に笑みを浮かべた。
かつて活動を停止したMMRが、今この瞬間、再び動き出そうとしていた。
彼らが“あきらめない”事を選び続けた事によって・・・
キバヤシ「さあ・・・ 行くぞ!!」
,ィ, (fー--─‐- 、、
. ,イ/〃 ヾ= 、
_,,r-‐''"´ ^ `N /l/ `ヽ
彡 N! l `、
,, -‐- ,,-彡 l ヽ l` ´ ``‐ 、
彡´ | ,,w,,wヽヽ ,, | `ヽ‐‐-- 、
_彡 | //レ/ハl/ハ\ヾー _,, ,,r,,/lヾ | } `‐、
ハl/ ,/ハlヾヾ,l、 /三f、,,_ _,ヾニ_ ____彡ノノノノノ_ヾヾ | ,l、 、 l、_ ,、-‐、 |
/レ /l,,_/__ヽ lヾ ヽモ-ヽl ´fモチ7ヽ={ r‐ィッヾ ヽ-r'´〒fデF`lェr‐、ハlヽヽヽ l ヽ |
l`=l fモチ)_{´ヽl!l :l l ll !l `┴ー/ソl⌒ッ`┴┴' }//l l、 ,,、ァtッヒヽ、rゥ _,,ェヒ‐ l,-、
ヾ}弋_シl弋 ヽl ヽ- ヽl lゝ__,ノ | ゞ___ノl/l / l `~゙´ lァノl 、fモチ lヾ;|
ヾl `' `''´lヽ ── /l\l l、, l_ノ 〈 _ l!ノ l、, lソ
}\  ̄ ̄ ,ィl \  ̄ / l l ___ / ── 丿 ─‐ 丿
,/\ \__// \ \___/ ,,-''\|\ _ /|\ - / |、 ` / ,|、
-‐' \_,,-‐'\ `ヽ、 ,,r' /| \ / .| \__/ ,,rヽ‐-‐ '' / l`ヽ
,,-‐'' \ /\/\ / \. \____/ /\ ,,-‐'' /\ ,/ l ヽ
-‐''´ \/ }゙ _,,,‐''\ \ / /l\‐'' / `ヽ、_ l
_,,-‐'' ヽ \ / / l ''‐-、,/ `‐-、_
_,,-‐''´ ヽ /V<´ / l `‐- 、,,_
<center>MMR、出動だ!!!</center> その頃、大学から少し離れた所に建っている7階程度のビルの屋上に、眼鏡をかけた少年が立っていた。
先日、講談社本社ビルに入って行ったキバヤシ達を雑踏の中から覗いていたあの少年である。
謎の少年「・・・・・・好〜きです、好〜きです、心から・・・ 愛していますよと・・・
甘い言葉の裏には・・・ 一人暮らしの寂しさがあった・・・」
少年は大学のキバヤシ達と稗田が話をしている研究室の窓のほうを覗きながら、
先日同様、ヨーヨーに興じながら歌を口ずさんでいた。
そして、その研究室から「MMR、出動だ!!!」と外に聞こえるほどの大声が聞こえた瞬間、
少年は手に戻っていたヨーヨーを握りしめ・・・
謎の少年「・・・・・・ッッ」
無表情のまま、それを粉々に握り潰した。
672 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2008/08/16(土) 16:00:03
○MMR一同→稗田礼二郎と会見し、事情を話して比留子古墳に眠っている存在が古代に封印された
“擬似生命”だと知る。Dショッカーの野望を阻止するため、遺跡に向かう。
○稗田礼二郎→キバヤシ達の事情を知り、比留子古墳に眠る存在を彼らに教える。
その後、彼らの比留子古墳行きに同行する意思表示を見せる。
?謎の少年→昨日に引き続きMMRの面々を監視している。 【今回の新規登場】
○稗田礼二郎(ひえだ れいじろう) (妖怪ハンターシリーズ/稗田礼二郎のフィールド・ノートより)
元K大学教授の考古学者。民俗学や宗教学、古文書学などにも幅広い興味を示す。
異様な事例や奇怪な題材にばかり手を出すため、学会からは異端児扱いされている。
若い学生や一部のマスコミ等からは妖怪ハンターというアダ名も付けられている。
自らも怪奇事件に遭遇した事が多々あり、それゆえか手紙で呼ばれたりして全国を渡り歩き、
様々な事件に巻き込まれる。特技としてスキューバダイビングや裸眼立体視が挙げられる。
長身で髪型は20年変わらず、長髪である。彼のゼミに参加した生徒曰く、容姿は沢田研二似らしい。 ――――遥かなる天より豪雨が降り注ぎ、雷鳴が轟く深夜。
とある病院の一室において、二人の男性・・・ もっと正確に言うのであれば、
一人の若い男を背に抱えた、黒い服装に身を包んだ別の男性が、
一人の白衣に身を包んだ・・・ 医者と思しき男の眼前に立っていた。
黒い服装の男に背負われた若い男は、彼もまた黒い色のスーツを身に纏っている。
その身体には、彼を背負っている男が自らの衣服を破って、包帯替わりに用いたと思しき
ボロボロの布が何重にも重ねられて巻かれており、そこからは赤黒い血が滲み出し、
布が吸い切れなかった分が、彼の身体を赤く濡らしていた。
その顔からは、大分生気が失われているように感じられた。
闇に染まったような黒い服と、清潔感を感じさせるような純白の白衣・・・
一見対照的な服装に身を包んだ二名+一名であったが、第三者がもしこの場に居るとしたら、
両者の衣服に覆われて隠れている、無駄な筋肉や脂肪の削ぎ落として絞り込み、数多の実戦を
経て鍛え上げられた肉体のうねりを、感じ取ることができそうであった。
部屋の窓枠に先程まではまっていた硝子は、粉々になって床に散らばっており、
遮蔽物を失った窓は、外の冷たい空気と、降り注ぐ雨をそのまま部屋へと通している。
黒い服を身に纏った男の身体には、硝子の破片が幾つか突き刺さったままに
なっており、露出した肌からは血が少しばかり滲んでいた。 そして、黒衣の男と対面した、彼と同じく実用的な絞り込まれた肉体を保持する
白衣の医者・・・ 鎬 紅葉は、彼らが元ZECTの一員にして、現在は組織から離れた者達・・・
仮面ライダーキックホッパー・・・ 矢車 想、
仮面ライダーパンチホッパー・・・ 影山 瞬である事を、己の知識から見抜いた。
矢車「あんた・・・ 医者だろ?」
紅葉「・・・私に何の用だ。 矢車想・・・ 仮面ライダーキックホッパー」
矢車「・・・俺の相棒を、助けてほしい」
◆ ◆ ◆ ◆
――――時は流れ。 東京都練馬区と埼玉県の中間辺りの町 石神井総合病院
東京都練馬区と埼玉県のほぼ中間に石神井総合病院という病院が建っている。
そんな当病院には、今日もまた変わった患者が来ているようで・・・
病院の一室において、白衣のナースと思われる若い女性が、患者の基本情報を収集するように
言われたのか、ソファーに腰掛けている黒い服を来た二人組の男・・・ もとい、矢車想と影山瞬に対し、
色々と質問を繰り返していた。 ・・・最も、一筋縄には行っていない様ではあるが。
Ns「―――まず、お名前は?」
矢車&影山「・・・・・・忘れた」
Ns「・・・・・・忘れたんですか?」
矢車&影山「・・・・・・はい」
・・・そんなやり取りが暫く続き、診察していた女性看護師・しえは、幾つか文章を書いた診察書を閉じると、
しえ「―――解りました。それでは、少し待っててください」
そう言って、矢車と影山を待機させ、部屋から出て行った。 しえ「・・・ふう」
???「どうかしたの?」
部屋から出たばかりのしえが振り向くと、そこには病院に努める女医であり、
彼女の上司である彩園すずが目の前に立っていた。
しえ「・・・先生、あの患者さんですが・・・ やっぱり記憶喪失みたいです」
すず「・・・そう」
しえ「あの人達の身元は、まだ解んないんですか?」
すず「今現在、総力を尽くして調べている所よ。3日前に、近くの山の麓の雑木林で、
全身に怪我を負ってる所を見つかって、この病院に搬送されたらしいのよ。
怪我は2日・・・ 丁度昨日でほぼ完治したけど、どうやら記憶を失ってるみたいね・・・」
しえ「何か・・・ 身元が解るような物品は無かったんですか?」
すず「腰に変なベルトを着けていた以外は、ポケットの小さい財布に5円玉が一つだけ
入ってただけで、手がかりになるようなものは何も無かったわ」
しえ「・・・ベルト、ですか」 神崎「先生、急患です!」
廊下の奥から、別の女性看護師が声を上げ、駆け寄ってきた。
すず「・・・私は行くわ。あなたは診察室に戻って」
しえ「は・・・ はい」
そう言って、すずは女性看護師と共に、廊下の奥に向かっていった。
しえはそれを確認すると、診察室の扉を開けたが・・・
しえ「・・・・・・あれ?」
――――そこには、すでに二人の姿は無かった。
◇ ◇ ◇ ◇ その頃、ホッパー兄弟は病院の廊下を歩いていた。
失った記憶はというと・・・・・・
矢車「俺の名前は・・・ そうそう、矢車だ。ようやく思い出したぜ・・・」
影山「で、俺の名前は・・・ そうそう、影山だ。思い出せて良かったね、兄貴」
・・・・・・すっかり取り戻したようだ。
ついでに、腕には物色したと思われる食料品の箱が幾つか抱えられている。
矢車「さてと・・・ 名前も思い出したし、さっさと帰るぞ」
影山「うん、そうだね・・・」
そう言って歩いていた二人の前に、一人の男性医師が姿を現した。
その医師は二人に気付くと、彼らに近寄って話しかけた。
医師「矢車想に、影山瞬・・・ こんな所で会うとは思わなかったな」
彼らに声をかけた医師の姿を見た矢車は、少し驚いたような表情を浮かべた。
・・・何故なら、その医師は、あの豪雨の夜に出会った、あの「鎬 紅葉」であったのだから。
首筋にまでかかったロングヘアに、医療関係者とは思えないほどの完成された肉体・・・
どこからどう見ても、「鎬 紅葉」本人に相違なかった。見間違えるはずもない。 矢車「・・・先生、あんたはここの病院の勤務だったのか?」
紅葉「いや、後進の指導も兼ねて、近々講演を行う為に招かれたのだが・・・
・・・つい先程、近くの市街で、時空クレパスから迷い込んだ、異世界のモンスターが
出現した。機動隊の応戦でモンスターは撃退できたんだが、民間人が数名重軽傷を負い、
死傷者も二名ほど出てしまった。偶然、その現場に私も居合わせていてね。
最寄りの病院であるここで、医師として協力している」
矢車と影山はそこまで聞くと、彼の履いている靴が、異様に傷だらけである事に注目した。
“現場に居合わせた”と言ったが・・・ 恐らく、一人の医者であると同時に、地下闘技場の
戦士であった彼は、モンスターの数匹でも返り討ちにしたに違いない。二人はそう確信した。
紅葉「・・・そういう訳だ。今は忙しいのでね」
そう言うと、紅葉は二人の傍らを通り過ぎようとする。
そして、彼が二人の背後へと出たとほぼ同時に、矢車は彼に声をかけた。
影山「・・・先生」
影山の言葉に、紅葉は振り向かずに立ち止まって返事する。
紅葉「・・・何だね」
影山「あの夜は・・・ 俺を助けてくれて、ありがとうございます」
◆ ◆ ◆ ◆ ・・・そう、あの豪雨の夜、影山 瞬の命は風前の灯であった。
ネイティブへと変貌しつつある細胞に強力なダメージを与え、壊死させることで彼のネイティブ化は
引き留めたものの、結果的にキックホッパーの強烈な一撃は、彼に相応のダメージも与える事となった。
・・・そして、矢車は影山の身体を抱え、一人の医者の元へと走ったのだ。
そう、ZECTに所属していた時代に名前を聞いた、日本中の医者にその名が知られている
医学界の権威にして、地下闘技場の戦士でもあった男・・・ 鎬 紅葉の元へ。
◆ ◆ ◆ ◆
矢車と影山は、病院のとある窓から飛び降ると、草むらに着地する。
それを見計らったかのように、周囲の草陰から、一匹の異形の怪物が姿を現した。
怪物は二人を視界に見据えると、その口から涎を垂れ流しながら、牙をむいた。
矢車「・・・市街に現れた奴の、生き残りか」
影山「やっちゃおう、兄貴」
矢車「ああ・・・ 行くぞ、相棒」 ―――――そして、二人の手に、それぞれのゼクターが握られる。
矢車・影山「「――――変身!!」」
キックホッパーの資格者・・・ 矢車 想。
パンチホッパーの資格者・・・ 影山 瞬。
闇の中を生きようとも、彼らもまた“仮面ライダー”である。 623 名前:新章/外伝 地獄兄弟とスーパー・ドクター:2009/11/18(水) 23:31:26
△矢車想&影山瞬→トラップコースを打破し、大怪我と記憶喪失も四日で回復。
かつて、鎬紅葉に影山の命を救われており、石神井総合病院において偶然再会する。
○しえちゃん→矢車と影山の情報を聞いていたが、彼らにトンズラされる。
○彩園すず&神崎美智子→急患に向かう。
○鎬紅葉→後進の指導も兼ねて講演に招かれたが、偶然異世界のモンスターの襲撃に遭遇。
機動隊と協力してモンスターを返り討ちにし、石神井総合病院で急患に対応する。
【今回の新規登場】
○しえちゃん(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女性看護師。動物好きの普通の人物。
○彩園すず(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女医。いいかげんな性格に見えるが、
退院した患者の為にお金を溜め込むなど、結構面倒見がいい。
○神崎美智子(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女性看護師。アニメや漫画の大好きで、私生活の
趣味(同人活動)を職場ではひたすら隠そうとしている典型的な「隠れオタク」。 ○鎬紅葉(グラップラー刃牙)
医者兼格闘家。別名「スーパー・ドクター」。身長184cm、体重131kg。 CV:宮本充
普段は端正な顔立ちと紳士的な振る舞いで女性看護士たちの人気の的になっている優男だが、
屈強な「超肉体」を持つアスリートの一面を持つ。日本中の医者にその名が知られている医学界の
権威で、地下闘技場のドクターも彼を知っていた。鎬昴昇の実兄であり、彼を馬鹿にするような
発言も多いが、内実かけがえのない弟として溺愛している。当初は人の痛みを何とも思わない
冷酷な医者であり、膨大な数の犠牲者を伴う不正な治療によって人体を研究し、転移しかけた癌を
数十秒で摘出する技術を会得していた。その技術は人体の治療・修復のみならず人体の破壊にまで
及び、医学を応用した格闘術をもって戦う。最終的には地下闘技場で範馬刃牙に敗北したが、彼の
行った人体実験の犠牲者たちに助けられ、改心する。現在は一線から退き、怪我をした格闘家を
治療する役割に徹している。ジャック・ハンマーに骨延長を施したり、花山薫の脳髄から弾丸を
摘出する手術も手がけている。 日本の首都、東京の中央にそびえ立つ数百mはあろう巨大な赤いタワー・・・
言わずと知れた、日本の象徴ともいえる建造物、日本電波塔、通称“東京タワー”である。
戦後日本の復興の象徴とも言えるそのタワーは、かつて数多の大怪獣や侵略者に
よって何回も倒壊し、最近でも壊されはしなかったものの、大魔王ガノンが付近で
暴れ回る等、ある意味一種の心霊スポットではないかとも思わせてしまう程の災難が
降りかかる建造物である。
それでも東京タワーは壊されては再建され続け、今日もネオン等の光を
放ちながら、眠らない町「東京」を静に見下ろしていた・・・・・・
――――深夜午前2:00、草木も眠る丑三つ時。 ???「・・・爆裂ゥゥゥゥゥ!!寸指破アアアァァァァァァ!!!」
突如、東京タワーに、一筋の光が走った!
光が収まった後、東京タワーの大展望台の天井に、四人の男が空中から降り立つ。
その内一人は非常に巨大で古代中国の武将のような外見をしており、手には巨大な
長刀を持っている。その体からは、どことなく妖気のようなものが感じ取れた。
それ以外の3人の男は、その武将の前に立ち塞がるかのように並んで立っていた。
一人は武将姿の男に負けず大柄な体格をしており、恐らく2m位はあるだろう。
手には中国風の刀を握り、構えている。
もう一人の男は、中国の道士のような服装をしており、手に数枚の札を持っている。
そして、その2人の傍らに、手に棍棒のような武器を持った修験行者が構えていた。
身長は大柄な男の半分程度といったところか。
姿格好は違う四人だが、その衣服は部分的に傷ついており、
少し前から激しい戦いを行っていたことが素人目にも解る状態だった。
蘭陵王「フッフッフ・・・・・・」
武将の姿の男・・・ 南北朝時代の中国の北斎という国の王であり、この現代に
悪霊として復活した男「蘭陵王」は、巨大な長刀を構えながら、眼前の
三人に対し、不敵な笑いを見せた。 乱蔵「・・・復活しても、相変わらずのようだな、蘭陵王!!」
大柄な男・・・ 祟られ屋「九十九乱蔵」は、蘭陵王に向けて大声で言った。
玄角「・・・だが、それもここで終わりだ!!」
霊能力を持った修験行者「玄角」も、続けて蘭陵王に向けて叫ぶ。
カイルン「・・・貴様のお陰で、中国では罪のない人々が大勢殺された。
だが、もはや逃げ場はない!!」
道士服を着た中国出身の霊符師「ヤン・カイルン」はそう言うと、
手に持っていた文字の書かれた霊符を蘭陵王に向けて放った!!
カイルン「天道晴明地道安寧人道虚寧!!!
真空斬!!!」
真空斬とは、霊符の力によりカマイタチを発生させ、相手を切り刻む技である。
放たれた霊符は蘭陵王の体に向かって行き、彼の周辺に群がる。
そして、蘭陵王に向けてカマイタチを放つが・・・
蘭陵王「フンッ!!」
バシュッ! バシュッ!
蘭陵王は、持っていた長刀を振るうと、
自分に向かってきたカマイタチを霊符もろとも叩き落とした!!
カイルン「・・・やはり、一筋縄ではいかないか」
カイルンは、苦い顔で蘭陵王を睨む。 蘭陵王「フハハハハ!!中国から遥々わしを追ってきたようだが、その程度か?
言っておくが、わしは以前のわしとは違うぞ!!
ハッハッハッハ!!!」
蘭陵王は、勝ち誇ったかのように、彼らに向けて笑い声を放つ。
カイルン「くっ・・・ 奴め、中国で戦ったときより格段に強くなっている・・・」
玄角「復活して時間がたって、本来の力を取り戻してるって事か・・・」
そう呟く二人。だが・・・
乱蔵「・・・いや、まだ勝機はある」
玄角「ほ、本当か?」
玄角は目を丸くして乱蔵を見る。
乱蔵「さっきの寸指破もギリギリで避けられたが・・・ 完全に見切った訳じゃなさそうだ」
乱蔵は、蘭陵王に目を向ける。
見ると、蘭陵王は先の寸指破を完全に避けられなかったらしく、
体の部分部分に焦げ痕らしきものが見える。
乱蔵「ただ闇雲に攻撃するんじゃ駄目だ・・・ 三人で連携して隙を作るんだ」
カイルン「・・・それしか無い様だな」
三人は、それぞれ蘭陵王に向け構え直す。そして・・・ 乱蔵「・・・・・・行くぞ!!」
バッ!
乱蔵は、刀を蘭陵王に向け、飛びかかった!!
カイルン「ハアッ!!」
玄角「おりゃあああ!!」
乱蔵に合わせ、カイルンと玄角も各々の武器を手に蘭陵王に飛びかかる!!
蘭陵王「ムオッ!?」
それに合わせ、蘭陵王も彼らに向けて武器を向けた!!
乱蔵・カイルン・玄角「うおおおおおおおおおおお!!!!」 新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−
―――――夜は、まだ長い。 244 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/17(木) 12:27:31
○九十九乱蔵→かつて倒した悪霊・蘭陵王と再び対峙。東京タワーで戦っている
○玄角→乱蔵と共に蘭陵王に立ち向かう
○ヤン・カイルン→中国から蘭陵王を追い、日本へ
●蘭陵王→東京タワーで三人の退魔師と決戦。
【今回の新規登場】
○九十九乱蔵(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
身長2m、体重145kg。中国拳法を体得した妖魔封じを稼業とする「祟られ屋」。
通称「ミスター仙人」。美男とは言え無いが、笑うと堪らないほど人を惹きつける
魅力を持つ。「寸指破」や「八卦掌爆裂剣」、「羅王神流烈破竜剣」等の奥義を
体得している。
○ヤン・カイルン(地獄先生ぬ〜べ〜)
中国人の霊符師。
霊符師としての能力は極めて高く、霊符だけで妖怪を退治する程の実力を持つ。
子供の頃に妖怪によって妹を殺された経験があり、その悲しみから妖怪に憎しみを
抱くようになり、鵺野鳴介達と敵対したが、改心し「悪い妖怪」を退治し続ける事を
決意した。
○玄角(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
霊能力を持った修験行者。九十九乱蔵の知り合い。
武器は悪霊退治用の棍棒「玄角棒」。
●蘭陵王(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
南北朝時代の中国の北斎という国の王。戦の時につけていた仮面を媒体に
現世に蘇ったが、九十九乱蔵によって倒された。 285 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/31(木) 20:23:38
埼玉県・銀成市 とある書店 午後7:00
客「―――では、この本をお願いします」
コートを着た三十代くらいの男性が、書店のレジに向かい、
レジの店員に『ピンキー先生のクネクネヨガ道場』と表紙に書かれた本を手渡す。
レジに立つツインテールの少女は、顔立ちから察するに
高校生程度だと思われ、恐らくバイトで働いている事を推測させる。
沙織「はい。では千円ちょうどになります」
レジに立つ少女、銀成学園の1年生河井沙織は、男性客から千円札を受け取ると、
本を紙袋に包み、レシートと共に男性客に手渡す。
その後、男性客は一礼をし、レジを去っていった。
沙織「ありがとうございまーす。 ・・・ふぅ」
沙織は笑顔で客を見送ると、少々顔の表情に疲れを見せた。
六舛「大丈夫?沙織ちゃん」
疲れた表情を見せた沙織を気遣うように、同じくレジに立つ眼鏡をかけた
高校生程度の少年六舛孝二は声を彼女にかけた。
沙織「あっ・・・ だ、大丈夫ですよ、この程度」
沙織は、表情を持ち直し、そう返答する。
沙織「でも・・・」
沙織は、六舛の顔を不思議そうな顔で見る。 六舛「? ・・・何か顔についてる?」
六舛はそれに気付き、沙織に質問した。
沙織「意外ですね・・・ 六舛先輩がバイトをするなんて・・・」
六舛「あー、前はみんなバイトしてた中、俺だけやってなかったから。
何となく、やってみたくて」
彼らは、以前寄宿舎でクリスマスパーティをした事があるのだが、その際に理事長室に
飾ってあった大皿(古伊万里・推定30万円)を破損してしまった事があった。
それでその弁償代を全員でバイトで稼いで返済しようと計画したのだが、
何故か六舛のみバイトをしようとせず、部屋に篭りっきりだった。
実際は割れた大皿を修復するため、陶器の修復の練習をしていたのであったが・・・
沙織「“何となく”・・・?」
六舛「うん」
沙織「・・・はあ」
そうこう言っている間に、六舛の立つレジの前に一人の男が近寄ってきた。
???「店員さん、ちょっといいかな?」
六舛「はい?」
レジに立っていた六舛に話しかけてきた、その人物は・・・
―――細身の身体にピッタリとフィットした、胸元から大きく股間近くまで開いた衣装。
―――顔に装着したオレンジ色の蝶々の仮面。
紛れも無く、今この銀成市を中心に大きな話題となっている
謎の蝶人・パピヨン本人であった。 パピヨン「一週間前にここで3冊本を予約したが、届いているか?」
相変わらず尊大不遜な態度を取っているが、その雰囲気からか、どこか憎めない
オーラを持ったパピヨンは、どうやら予約した本を取りに来たらしい。
六舛「えー、本のタイトルは?」
パピヨン「『驚異の昆虫世界』、『世界の怪虫・奇虫』という本だ。
民明書房の出版だが・・・ 届いてるか?」
六舛は、後ろの棚に体を反転させ、棚の「ハ行」と書かれた列に目を移し、
そこから、2冊のそこそこ厚い大判の本を取り出した。
六舛「これで間違いありませんか?」
六舛は、事務的にパピヨンに質問する。
パピヨン「そうそう、それそれ」
パピヨンも、目当ての本である事を確認すると、口元に笑みを浮かべ、
股間からニュッと五千円札を抜き出した。
六舛「はい。では合計四千二百円となります」
六舛はパピヨンの股間に入ってた生暖かい五千円札を物怖じせず受け取った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 沙織「六舛先輩・・・ なじんでる・・・(汗」
???「ちょっと・・・ いいかしら?」
不意に、沙織の前方から女性の声が聞こえた。
沙織「は、はい!」
沙織は我に返り、前方を振り向く。
そこにいたのは・・・
沙織「あ・・・」
レジを挟んだ前方には、一人の女性がいた。
ただ・・・ その女性は、一人の客と言うには、少々不思議な雰囲気を纏っていた。
怪しげな裾の長い白い道士服のようなドレスに未を包み、店の中だというのに白い日傘を差しており、
その体は服を着ている上からも抜群のプロポーションである事が窺える。
ウェーブのかかった金髪を揺らしながら、その美しい女性は沙織に対して笑顔を浮かべていた。
・・・最も、沙織自身は何故かその笑顔に底知れない胡散臭さを感じていたが・・・
沙織「あの・・・ ご用件は・・・」
とりあえず、怪しいとはいえ客なので、沙織はその女性客に話しかけた。
女性客「本を予約したのですけど、届いてないかしら?」
沙織「えーと・・・、何という本でしょうか?」 沙織は内心、少々思索した。
何というか・・・ 笑顔に胡散臭さは感じるものの、その女性客の底知れない何か・・・
女性はそこそこ・・・ というか非常に顔立ちの整った美人なのだが、それとはまた別の・・・
同じく女性である沙織が見ても心を奪われてしまいそうな魅力とはまた違った
「何か」が感じられた。
沙織(こんなキレイな人が本の予約を・・・ まあ、予約しても変じゃないけど・・・
一体どんな本だろ・・・ 料理の本とかかな・・・)
―――だが、その女性客の口から出た本の名前は、彼女の予想を100%裏切るタイトルだった。
女性客「『ウホッ!!いい男たち ヤマジュンパーフェクト』っていう本よ」
沙織「ブッ!!」
沙織は、レジに思いっきりズッこけた。
本の名前自体は始めて聞いたものだが、タイトルの「ウホッ」「いい男」のフレーズだけで、
どんな内容の本かは大方予想がついてしまった。そして恐らく当たっているだろう。
女性客「??? ・・・何か?」
沙織「・・・いえ、何でも・・・」 沙織は、精神と体を持ち直し、再び立ち上がる。
そして、レジを挟んだ前方に立つ女性客に、再び質問した。
沙織「お名前は・・・?」
紫「八雲紫(ゆかり)。紫よ」
沙織「あ、ハイ・・・ では今探しますので、少し待っててください・・・」
そう言って、沙織は体を反転させ、棚に目を移す。
沙織「えーと、『や』は・・・ ここかな・・・?」
沙織は棚の「ヤ行」と書かれた列から一冊のかなり分厚いA5判程度の大きさの本を取り出す。
沙織(・・・うわ〜)
沙織は本の表紙を見た瞬間、言葉を失った。
本の表紙には上半身裸の男性の振り向き姿が書かれており、『ウホッ!!いい男たち』と
タイトルが大きく書かれている。正直、目の前の女性客・・・ 八雲紫と名乗った女性が見るには
似つかわしくないイメージの漫画だった。
沙織「・・・えー、五千円となります」
佐織がそう言うと、紫は袖の中から一万円札を取り出し、沙織に渡した。
沙織はそれを清算し、本を紙袋に入れ、機械からレシートと五千円札を取り出した。
沙織「・・・お釣です」
紫「フフッ♪ ありがとう、可愛い店員さん♪」
紫は、沙織に笑いかけた。 沙織「は・・・ はい・・・///」
その笑みに多少胡散臭さを感じながらも、沙織はそれに対し
照れながら笑みを浮かべ返した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 六舛「――またのご利用をお待ちしております」
一方その頃、パピヨンと六舛の方も本の精算を終えていた。
パピヨン「ああ、今後も、・・・ん?」
紫「あら?」
ふと、丁度本の精算を終え、レジから離れようとしたパピヨンと八雲紫の両者は、
偶然にも目を合わせてしまった。
パピヨン「・・・・・・」
紫「・・・・・・」
一瞬、両者の間に沈黙が流れる。
先に口を開いたのは、紫だった。
紫「・・・蝶人パピヨンだったかしら?私は八雲紫。
噂は聞いてるわ。中々素敵な格好じゃない。特にそのマスク」
紫は、そう言ってパピヨンに微笑みかける。
パピヨン「それはどうも」
パピヨンは笑みを浮かべ、そう返答した。
紫に対し胡散臭さは感じたものの、自分のマスクを「素敵」と呼ばれた事に対しては、
内心少々嬉しく感じた。
紫「それじゃ」
パピヨン「・・・ウム」 二人はお互いに別々の出入り口に向かい、店を後にした。
六舛「・・・沙織ちゃん、大丈夫?顔が赤いよ」
沙織「ハッ!? ・・・す、済みません、何か、ボーっとしちゃって・・・」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
星が、寒さに震えるようにまたたく空の上。
パピヨンは、背中に赤く、炎のように燃える蝶の羽を輝かせ、空を優雅に飛んでいる。
手には、先程買った本を包んだ紙袋を抱えていた。
パピヨン(あの女・・・ 人間の匂いでは無かったな・・・ 恐らく妖怪、
もしくはそれに近い存在・・・ まあでも・・・ もう会う事はないだろう)
そんな事を考えながら、パピヨンは何処へと飛んでいく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
冬真っ只中、空気が肌寒い季節。
人々の雑踏の渦巻く町の中を、八雲紫は歩いていた。
やはり人が多いとはいえ、彼女の服装は人ごみの中でも目立っていた。
紫(蝶人パピヨン・・・ やはり噂通り、人間じゃないみたいね・・・
妖怪ではないようだけど・・・ もう会う事は無いわね・・・
さっさとDMC-デトロイト・メタル・シティ-の「魔界遊戯」買ってマヨヒガに帰るか・・・)
そう思いつつ、紫は数10m先にあるCDショップに突き進む。
ブワッ・・・
紫「ん・・・・・・?」 一瞬だったが、紫は銀成市から離れた東京の方向に、何か大きな“力”を感じ、立ち止まる。
紫「フフッ・・・、暇つぶしにはなりそうね・・・
じゃあさっさと買い物を済ませましょうか」
紫は口元に笑みを浮かべると、再びCDショップに向かい歩き始めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
人を捨て“蝶人”へと生まれ変わった男、パピヨンこと“蝶野攻爵”
境界を操る神に等しい力を持った妖怪“八雲紫”
彼らが再び顔を合わせる事になるのは・・・ もう少し先の事である。 286 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/31(木) 20:30:01
○六舛孝二、河井沙織→本屋でバイト中、パピヨン及び八雲紫と遭遇する
△パピヨン→書店で八雲紫と邂逅。八雲紫の正体を感じ取る。
△八雲紫→書店でパピヨンと邂逅。東京方面に何らかの力を感じ取る。
【今回の新規登場】
○河井沙織(武装錬金)
銀成学園の1年生。1月13日生まれ。ツインテールが特徴。武藤まひろの友人。
通称「さーちゃん」。いつも元気で活発な少女。まひろのことを「まっぴー」と呼ぶ。
ホムンクルス調整体に銀成学園が襲撃された際は、恐怖で腰が抜けてしまった千里を
助けようとするなど勇気のある面も持っている。勉強は苦手。
○六舛孝二(武装錬金)
銀成学園の2年生。1月25日生まれ。眼鏡を着用している。武藤カズキの友人。
「四バカ」の1人(ただ、カズキや岡倉と違って成績は優秀)。沈着冷静な性格だが
友情には熱く、銀成学園がLXEに襲撃された時は震洋と頭脳戦を繰り広げ、カズキと斗貴子を
援護した。また、かなり謎の多い一面(読唇術、声色の才能、「逆胴」に関する正確な知識等)
を持ち、岡倉からも「オメー何モンだ!!」とよくツッコまれている。料理や美術品の扱いでも
意外な才能を持っている。 △八雲紫(東方Project)
境界という境界をすべて操れる妖怪。二つ名は「幻想の境界」等。神隠しと呼ばれる現象は、
紫が境界に揺らぎを起こすために起こると言われる。胡散臭い風貌・信用できない・誰から
見ても心が読めない性格を持つ。普段は余り動かず一日に12時間の睡眠を取り、冬眠までする。
寝ている間のことは全て藍に任せっぱなし。「スキマ妖怪」とも呼ばれ「他に類を見ない
“一人一種族”の妖怪」らしい。「妖怪の賢者」とも呼ばれている。また1200年以上前に記された
資料にも紫と思われる妖怪が登場し、博麗大結界の創造に協力しているなどの事実からも、
幻想郷でも最古参の妖怪の一人であると考えられる。計算能力に秀でているらしく、無間の底の
深さや北斗七星が北極星を食べるまでの時間ですら求めてしまえるらしい。かつては幻想郷の
妖怪を集めて月面戦争を引き起こしたが、返り討ちにあった事がある。外の世界から幻想郷に
流れ着く物品の管理もやっているらしい。故に幻想郷の外の世界も知っている。
△パピヨン/蝶野攻爵(武装錬金)
蝶を模ったマスクと全身黒タイツを身に着けた「超人(蝶人)」。極めてハイテンションな性格。
元々は銀成学園の3年生だったが、原因不明の難病を患ったために身体が弱くなり、高祖父・爆爵の
残した研究ノートからホムンクルスの製造技術を手に入れ、自らを人間型ホムンクルスとすることで
命を永らえさせようとするが、幼生体が不完全だった為、不治の病を持つ不完全なホムンクルスとなった。
カズキに敗北後、バタフライに保護されLXEに加わるが、自ら離反。当所は世界を破壊し、ヴィクター化する事が
目的だったはずだが、カズキとの決着を最優先にしていくうちにその気はなくなったらしい。ホムンクルス化
以降は人間の名を捨て、自身が認めたカズキ以外からは本名を呼ばれることを好まない。カズキの事を
「偽善者」呼ばわりするが、心根では尊敬しており、「偽善者」と呼ぶのも彼なりの敬意の表現でもある。
人間時からIQ230の天才であり、僅か一ヶ月で完璧な「白い核鉄」を創り出すなど、天才ぶりを随所で発揮した。
なお、不完全なホムンクルスである為、食人衝動は一切無い。カズキとの決戦後は銀成市の蝶人パピヨンと
して神出鬼没に活動しており(蝶野の財産の一部を相続してるらしく、資金面では不自由はない模様)、
その存在は都市伝説とまで化している(銀成市の人々にとっては「友達感覚」)。 6月26日生まれ。 ◇ピンキー先生のクネクネヨガ道場(ハニ太郎です。)
ポプラ社から発行されている本。著者は漫画家のピンキー前嶋。
呼んでヨガを実践すれば肌がつるつるになるらしいが、真偽は不明。
◇民明書房(魁!!男塾/天より高く/暁!!男塾)
東京神田神保町に所在する出版社。1926年(大正15年〜昭和元年)創業。
代表取締役は創業者でもある大河内民明丸。
◇魔界遊戯(デトロイト・メタル・シティ)
インディーズ界で人気を誇る悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」
のファーストアルバム。「ヘルズ・コロシアム」「SATUGAI」等、全12曲収録。 342 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/11(火) 18:20:21
――――本屋での邂逅より、およそ7時間後 午前2:00 東京都内・某所
もぐもぐ・・・ むしゃむしゃ・・・
東京都内のどこかにそびえ立つ一般のマンション。
そのマンションのとある一室で、一人の背広姿の男が食事を摂っている。
もぐもぐ・・・ もぐもぐ・・・ その男・・・ 個人経営の輸入雑貨の貿易商、井之頭五郎は、
作業用の机に向かいながら、発泡スチロール製の容器に入った牛丼を、黙々と食べ続けていた。
机の傍らには、容器の蓋が置かれており、表面には「キッチンがいなも」と表記されている。
五郎「うん、美味しい。味付けが中々いいな」
五郎は、弁当の味に満足すると、残りをさらに食べ続ける。
五郎「(偶々目に付いた弁当屋の店主が異星人だと知ったときは、少々ビックリしたが・・・
人柄も良かったし・・・ この味だ。選んで正解だったな・・・)」
彼・・・ 井之頭五郎は、取引の後や、時間の余った時、はたまた道に迷った時等に、よく散歩をする。
そういった時、彼は昼飯を食べ損ねていた等の理由で空腹を抱えている事が多く、そのまま行きずりの
良さそうな店に駆け込む事が多い。そして店に腰を落ち着けた後は、じっくりと店内の雰囲気や人の
様子を観察しており、単なる味覚だけではなく、五感で食事を楽しむのである。
残念ながら今回は、仕事の都合もあり、マンション自室へ持ち帰る事となってしまったが・・・
もぐもぐ・・・ もぐもぐ・・・ そうしている内に、五郎は既に弁当を平らげてしまっていた。
五郎「(美味かった・・・ 何か、甘いものでもあればな・・・
そういえば、弁当屋の近くに「芋長」っていう和菓子屋があったな・・・
今度、行ってみるか・・・)
そんな事を考えてながら、五郎は窓の外を見渡す。
彼の在住しているマンションの部屋はそんなに高い部屋ではなかったが、
何とか東京タワーはビルの隙間から覗くことができた。
五郎「・・・・・・?」
一瞬、東京タワーの展望台付近で、強い光が光ったのを五郎は見逃さなかった。
一体何の光だろうかとも考えたが・・・
五郎「・・・まぁ、気にするほどの事でもないか」
そう脳内で片付けると、五郎は食べ終わった弁当の容器を片付け始めた・・・
◇ ◇ ◇ ◇ 午前2:10 東京都内・東京タワー
玄角「おりゃあああ!!!」
玄角は、自慢の棍棒「玄角棒」を、蘭陵王に対し振りぬいた!!
蘭陵王「フンッ!!」
ガキィィン!!!
すかさず、蘭陵王は手にした巨大な長刀を振るい、玄角の攻撃を受け止め・・・
蘭陵王「・・・うおおおおおッ!!」
そのまま、玄角を長刀の一振りで叩き飛ばした!!
玄角「ぐおっ!!」
蘭陵王「フン・・・ その程度・・・」
カイルン「はあッ!!」
蘭陵王「ヌッ!?」
カイルン「天道晴明地道安寧人道虚寧三才一体!!!
大炎焦熱符!!!」
蘭陵王が気を逸らした隙を突き、カイルンは、手に持っていた霊符を眼前の敵に撃ち放った!!! バッ!!!
放たれた霊符は炎を纏い、蘭陵王に向かって高速の速さで飛び交った!!
蘭陵王「ムオッ!?」
ゴオオオオオォォッ!!!
蘭陵王が霊符を打ち払う隙も無く、蘭陵王の体は紅蓮の炎に包まれた!!
蘭陵王「ぐおおおおおっ!!」
カイルン「蘭陵王!!貴様が滅ぼした村の人々は、それ以上の苦しみの中で死んでいった!!
今度は貴様がその苦しみを味わう番だ!覚悟して貰おう!!」 ――――蘭陵王は、中国で復活した際に付近の農村を幾つか襲撃し、壊滅させていた。
襲撃された農村の住民達は女子供に至るまで皆殺しにされ、その骸はある者はそのまま
野晒しに、またある者は頭を潰され、酷いものは生きたまま生皮を剥がされ、数時間
苦しみながら死んでいった物まで散乱していた。
幼い頃に実の妹を妖怪に殺されたカイルンにとって、いや例えそのような経験が
無かったとしても、その光景は正常な思考の人間ならば、まさに眼を覆いたくなるような、
まさに“地獄絵図”と呼ぶものに相応しいものであったに違いない。
その後カイルンは蘭陵王を追い、再びこの日本に足を運んだのだった。
そこで自分と同じ妖怪退治を生業としており、過去に蘭陵王と戦った経験のある
“祟られ屋”九十九乱蔵と知り合い、彼の知り合いの修験行者、玄角も含め、三人で
蘭陵王と戦い、今現在、ようやくこの東京タワーまで蘭陵王を追い詰めたのだった。
なお、カイルンは来日した当初はかつて戦った霊能力者、“鵺野鳴介”に協力を頼む事も
考えたが、乱蔵から彼が今現在日本国内で物議を醸している“スクランブルフォース”に
関わりの深い組織“ATP”に所属している事を知り、恐らく彼にとって状況的に厳しい
かもしれないと考慮し、あえて連絡をしなかったという事情があった。
蘭陵王「おのれ・・・ これしきの炎ごときで・・・」
蘭陵王はそう言い、自分の体の炎を消し去るが、既にその体は所々焦がされていた。
乱蔵「蘭陵王・・・ もう終わりだ。観念して貰おうか」
九十九乱蔵は、手にした刀を蘭陵王に向け、その足を進める。
蘭陵王「ぬぐぅ・・・ わしは蘭陵王・・・ この世界の頂点に立つ男・・・
もう二度と貴様ごときには負けはせぬわ〜〜〜!!!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
蘭陵王は、手に持った長刀を上に掲げ、この穂先に禍々しい妖魔気を纏わせた!
乱蔵「カイルン、玄角・・・ 下がってくれ。奴との決着はこの俺がつける!!」
カイルン「解った・・・ だが、無理はするなよ」
乱蔵は剣を携え、蘭陵王に歩み寄っていく・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
――――風が、音を立てて吹いている中、東京タワーで九十九乱蔵と蘭陵王の両者は対峙した。
蘭陵王「地獄に行けェェェ!!!乱蔵オォォォォ!!!!!」
乱蔵「蘭陵王オオォォォォォォ!!!!」
ドドドドドドドド!!!!!
九十九乱蔵と蘭陵王の両者は、自らの手にする獲物に気功及び妖魔気を帯びさせ、
猛烈な勢いで相手に向かって突撃していった!!!
ザシュッ!!!
―――――そして、一瞬の内に決着は付いた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています