初霜「うぅっ…あぁ…提督…気持ちいいです。」 [転載禁止]©bbspink.com
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特に誰かに目撃されるという事も無く私達は無事提督の自室に着いた。
「汚い部屋だが勘弁してくれ。とりあえずベッドにでも腰掛けてて。」
汚い部屋と形容したがそこまでの汚部屋という訳でもなくそれなりに整理はされている。提督は奥で軍服を脱いでいる。これからする事を考えると少し不安だが後はなるに任せるしかあるまい。
「…初霜。もうそちらは大丈夫かな?」
「準備」を終え私の隣に座った提督はそう尋ねてくる。
「…はい、準備万端ですよ。」
その言葉を合図に提督は私を自室のベッドに押し倒した。鍵はかけてあるし、提督の自室なら執務室の様に急に誰かが入って来るという事も無いだろう。
怖い
だが、同時に提督と一つになりたいという願望が心に浮かぶ 一年前
山々や森林に囲まれた湖の畔に建っている洋風の大きな古城・・・
それこそが、インダストリアル・イリュージョン社の名誉会長であり、世界中で大ブレイクしている
TCG「デュエルモンスターズ」の生みの親、ペガサス・J・クロフォードの住む古城である。
その豪邸の屋外の、湖を一望できるプールサイドの前に置かれた白色の折り畳み式の
テーブルを挟み、キバヤシと銀色の長髪の男性―――ペガサスの二名は会談を行っていた。
キバヤシ「――――という訳です。『神の言葉』について、知っている事を教えて頂けないでしょうか・・・?」
ペガサス「成程、それで日本からはるばるアメリカまで来たという訳デスか・・・
MMRの活躍は、アメリカでも一度耳にした事がありマース」
キバヤシはペガサスに真剣な表情で問いかけており、ペガサス自身もその問いに対し、
冷静な表情で対応を行っていた。
キバヤシ「お願いです!! 今は一刻も無駄にはできないんです!!」
ペガサス「・・・・・・」
ペガサスは、少し黙り込むと、微妙に真剣な表情になり、数秒置いてキバヤシに返答した。
ペガサス「いいでしょう、Mr.キバヤシ、お話しマース」
キバヤシ「!! ・・・ありがとうございます!」
ペガサスは、キバヤシの目を見ながら、話を続けた。 ペガサス「まず、あなた方が退治していた組織・・・ 『神の言葉』について話しマース。
『神の言葉』・・・ 彼らの最終的な目的は、大国の軍産複合体と結びつき、
世界中に軍事国家を張り巡らせる事でした・・・」
キバヤシ「ああ・・・ そこまでは我々も知っています・・・
その為に奴らは、スーパーモスキートや隷属遺伝子など、様々な計画を打ち立ててました・・・」
ペガサス「そこまで知ってるとは・・・ 流石デース」
その言葉と共に、ペガサスの目の光が多少変わったように感じた。
正直、ペガサスはMMRの事を耳に挟んでいても、具体的にどんな集団なのかは知ってなかった。
その為、初対面時はキバヤシに対し所謂三流雑誌記者のようなイメージも持っていたが、
キバヤシの真剣な表情、そして彼らが掴んだ『神の言葉』の作戦を聞き、彼らが単なる三流記者の
集まりでない事を確認し、態度を改めたのだった。
―――無論、最初から表情にも言葉にも出してないため、キバヤシが知る事は無かったが。
キバヤシ「・・・肝心なのは、そこまで奴らの真実に踏み込んでも、俺達が判らなかった謎です。
『神の言葉』の正体・・・ 知っているのなら、教えていただきたいのです・・・
ペガサス「・・・彼らの正体、デスか」
ペガサスの表情が、微妙に曇る。
キバヤシ「お願いします!! 『神の言葉』とは一体何者なんですか!!」
ペガサス「・・・・・・Mr.キバヤシ、ユー達が興味本位ではなく、真剣に彼らの事を知りたいと
言う気持ちは理解してマース・・・ ですが、彼らは非常に危険な組織デース・・・
貴方達がこの世界の“表”に位置する者なら、彼らは“裏”に位置する者。
表の者が不用意に裏に踏み込めば・・・ 悲劇が生まれマース」
そう言うと、ペガサスは、左目を覆っている銀髪を掻き分け、キバヤシの前に露にした。
そこに・・・ 彼の左目は無かった。 キバヤシ「なっ・・・!?」
ペガサス「これが不用意に“裏”の世界に関わった者の末路の姿・・・ Mr.キバヤシ、
これ以上“裏”の世界に関わろうととすれば、これだけじゃ済まないかも知れまセーン。
―――それでもユーは、彼らの正体を知りたいデスか?」
ペガサスが左目を失った理由は、実際の所、かつてエジプトのクル・エルナ村を訪れた際に、
村の地下神殿で決して見てはならぬ千年アイテムの儀式を見てしまった為、千年アイテムに
選ばれるか否かの闇の試練を受け、千年アイテムの一つ「千年眼」を手に入れた代償として
失ったという経緯であり、『神の言葉』とは全く関係は無かった。
しかし、秘密結社とオカルトの違いはあれど、どちらも“表”の世界に対する“裏”である事は事実。
そんな“裏”の世界の者達がどういう存在であるかを知った上で、キバヤシがそれでも臆せず
彼らに立ち向かう覚悟を有しているか。もしここで臆するようならば、『神の言葉』の真相に辿り着く前に
『神の言葉』の手にかかり、下手したら、片目を失うだけでは済まないかもしれない。
ペガサスはそれを確かめる為に、自分の失った左目を彼に見せたのだった。
―――そして、キバヤシは自分の答えをペガサスに告げた。
キバヤシ「・・・忠告はありがたく受け取っておきます。ですが、我々は奴らの作戦を阻止する為にも
ここで立ち止まるつもりはありません。覚悟はできてます」
ペガサスは、キバヤシの顔を見る。
彼の目は、真っ直ぐな光を放っているような、真っ直ぐな眼光を備えていた。
ペガサス「・・・判りました。お話しシマース」
◇ ◇ ◇ ◇ ナワヤ「――――それで、結局『神の言葉』ってのは何だったんだよ?」
タナカ「ちょ、ちょっとナワヤさん・・・ まだキバヤシさんが話してる最中ですよ・・・」
キバヤシの話の途中で、ナワヤは話を中断してキバヤシに問いかける。
それと同時に、他の二人と共に話に聞き入っていたタナカもナワヤを制止した。
それを見計らっていたかのように、キバヤシはナワヤに視線を向け、彼に語りかけた。
キバヤシ「・・・・・・ナワヤ、『GOD機関』という組織を知っているか?」
ナワヤ「『GOD機関』? え、え〜と・・・、確か・・・ ショッカーとかと同じ、
改造人間でテロとかやった組織だよな? 仮面ライダーに大分前に潰されたって聞いたけど・・・」
キバヤシ「その通りだ・・・ では、GODとはどういう背景の組織だったのか、わかるか?」
ナワヤ「そ、それは・・・ えーと・・・ そこまでは知らねぇな・・・」
ナワヤは困惑してしまうが、無理も無い。
ショッカーやGOD機関等、人体改造などの技術を悪用した秘密組織の存在や活動は、
TVの報道やインターネットのニュースでも度々報じられているが、それらの組織が一体どういう
組織なのかという情報は、彼ら一般人には中々届かない物であった。
キバヤシは、彼に対しGOD機関に関する説明を行った。
キバヤシ「・・・アメリカで聞いた、確かな筋の情報によれば、GOD機関とは、当時核問題などで
対立し合っている東西の大国同士が水面下で手を結び、日本を滅ぼす目的で組織した秘密結社らしい。
最も、その結成にはかつての秘密結社ショッカーが大きく関わっているらしいがな・・・」
ナワヤ「なるほどな・・・ で、それが『神の言葉』と何の関係があるんだ?」
ナワヤはキバヤシに再び問いかけるが・・・ キバヤシは何故か無言のままであった。
そんな彼に対し、ナワヤ以外のメンバーも彼に話しかけた。 イケダ「・・・・・・キバヤシさん?」
キバヤシ「・・・それが、ペガサスが話してくれた『神の言葉』の正体だ」
一同「「「「!!!!?」」」」
その言葉に、ナワヤを始めとするキバヤシ以外の全員は、驚きの声を上げた。
タナカ「ど、どういう事なんですか!? キバヤシさん!!」
キバヤシ「よく思い出してみろ・・・ 俺達が追ってきた『神の言葉』が起そうとしてきた計画を・・・」
キバヤシがそう言ったと同時に、全員が何かに気付いた様な表情を浮かべた。
ナワヤ「!? まさか・・・ キバヤシ・・・」
キバヤシ「そうだ・・・ 似てると思わないか・・・? 『GOD機関』と組織の方向性が・・・」
イケダ「た、確かに・・・ 『神の言葉』が起こそうとしていた計画の中には、
風水を利用して日本の穀倉地域を壊滅させようとしたり、殺人プログラムをネットに流そうとしたりと、
日本を壊滅状態に追い込む事を目的としたものが少なくなかった・・・」
イケダが話し終わると同時に、黙り込んでいたトマルも何かに気付いたような
表情を浮かべ、直後にキバヤシ達の方を向き、口を開いた。
トマル「・・・それだけではありません!」
ナワヤ「ま、まだ何かあるのかよ・・・」
トマル「GOD機関と神の軍団・・・ 共に「神」を組織名としてます!」
ナワヤ「!!! た、確かに・・・!」
キバヤシ「GOD機関のGODは、Government Of Darkness・・・ 「暗黒政府」の略らしいが、
組織の体質から考えて、神を意味する『GOD』になるように単語を選んだと言うのは
十分考えられる話だ・・・」 全員が神妙な表情を浮かべ、黙り込んでしまう。
その中で先に口を開いたのは、ナワヤであった。
ナワヤ「確か・・・ GOD機関の結成にはショッカーが大きく関わってるって言ったよな・・・
って事は・・・ まさか・・・」
―――そして、キバヤシもそれに答えた。
キバヤシ「そうだ・・・ 『神の言葉』とは、やはり『GOD機関』の事だったんだ・・・
つまり・・・」 ,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ >
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ 『神の言葉』の計画を裏で操っていたのは、
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' / 他ならないショッカーだったんだよ!!!
l `___,.、 u ./│ /_
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
-‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
/ !./l;';';';';';';\ ./ │ _
_,> '´|l. ミ:ゝ、;';';_/,´\ ./|._ , --、 | i´!⌒!l r:,=i
. | |:.l. /';';';';';|= ヽ/:.| .|l⌒l lニ._ | ゙ー=':| |. L._」 ))
l. |:.:.l./';';';';';';'! /:.:.| i´|.ー‐' | / | |. ! l
. l. |:.:.:.!';';';';';';';'| /:.:.:.:!.|"'|. l' │-==:|. ! ==l ,. -‐;
l |:.:.:.:l;';';';';';';';| /:.:.:.:.:| i=!ー=;: l | l. | | / //
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ミ::::;/  ゙̄`ー-.、 u ;,,; j ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\ ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/ J ゙`ー、 " ;, ;;; ,;; ゙ u ヾi ,,./ , ,、ヾヾ | '-- 、..,,ヽ j ! | Nヾ|
'" _,,.. -─ゝ.、 ;, " ;; _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ | 、 .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
j / ,.- 、 ヾヽ、 ;; ;; _,-< //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─-- エィ' (. 7 /
: ' ・丿  ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、 i u ヾ``ー' イ
\_ _,,......:: ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... ' u ゙l´.i・j.冫,イ゙l / ``-、..- ノ :u l
u  ̄ ̄ 彡" 、ヾ ̄``ミ::.l u j i、`ー' .i / /、._ `'y /
u `ヽ ゙:l ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_  ̄ ー/ u /
_,,..,,_ ,.ィ、 / | /__ ``- 、_ l l ``ーt、_ / /
゙ u ,./´ " ``- 、_J r'´ u 丿 .l,... `ー一''/ ノ ト 、,,_____ ゙/ /
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ヾヽ l ` `ヽ、 l ./ ヽ l ) ,; / ,' '^i
ナワヤ・タナカ・イケダ・トマル
「なっ… なんだって―――――!!? トマル「そ・・・ そんな・・・ ショッカーって言ったら、今は・・・」
ナワヤ達はショックを隠せないが、無理も無い。
なにせ自分達が追っていた『神の言葉』の正体が、あの世界規模で暗躍していた秘密結社
「ショッカー」と非常に深い部分で繋がっていた事を知ってしまったのだから。
それだけでは無い。今やショッカーやGOD機関は、三柱の至高邪神の元、
他の数多の悪の組織や集団を統合し、今や他に類を見ない規模を誇る悪の組織、
『無限なる帝国ディバイン・ショッカー』となっているのである。
『神の言葉』がもし本当にGOD機関やショッカーと繋がっているのであれば・・・
―――――彼らの前に立ち塞がる相手は、想像以上に強大な存在であった。
ナワヤ「な・・・ 何てことだ・・・ Dショッカーって言ったら、ショッカーのような秘密結社以外にも、
外宇宙や異世界の連中、妖怪とかもいるって言うじゃねぇか・・・」
イケダ「そんな連中が相手じゃ、対策の立てようなんてあるはずも無い・・・」
トマル「幾らなんでも、絶望的です・・・」
ナワヤ達は深く沈んでしまった。周囲を重たい空気が包む。
タナカ「いっその事、最初から関わってなければ・・・」
――――誰もが希望を失いかけたそんな中、キバヤシは意を決した表情に変わり、言葉を発した。 , / `ー---─一''"~´ ̄`ヾヽ
i i| ilレ ミミミミ''"`─- 、
, .,i! i !/i i ミミミミヾ ミヾ ゙ヽ
.i ,!i l.| ' i ゞ 彡ミミミヾ ミヾヾ `ヽ
, i!、k ヽ、 ヽ 彡ミミ ミヾヾ ゙
li l ヾ、 ヾ _,,== ミヘベ
, |i、ヽ ヽ、 ヽ ヾ ゙
!ヾ ヽー- _ ー- ,,__ 〃ヾ
ヾヽヾ ‐- ,,___ /ソツ、ヾゞ、ヾヾ
` 、`ー- 、...,,─-- __,, 彡ソソ ヾゞゞミミ
ヽ.、 `ー --- .,,─-- __,, 彡ソソノ,; ,,-弋ミミミミ
\ ゙ー‐- 、..,,,____,,. --彡彡彡'"'",ィ'-====、ヽミミミ
``,.-、-─r,=====、:;;,,::;;::f" ,.'i´ o`i 冫ヽ ]-'´
゙iヾ ニill 〈 (.O)ーi` ̄´i _`_-_'....' li ゙
゙i ill::::::::;ー-‐γ'i'::l,⌒ヾ`)::::::::::;;'' 〃u
゙i :ill::::::::;; ソ::::;i,、, ヾ:::::::;''' _,,ノ' ,r-
゙i、 ゙`‐=='"..::::::;i,, .,,, ゙゙'''''"~´ l
ヾ.イ '''"..-一、 u .l
ヽ :;;l ̄´ _,,,...,.ヽ ,イ
゙i. u ;;iェ'´ i' ヾト! ./:!
゙!. :;;Fi、 ,,.ツ ./;:;:
./゙i ヽ ゙;ヽニ二ニ-'´ ./ :;:; /
/ i ヽ :..,,-‐' /::;' ;:; /
キバヤシ「――――うろたえるなおまえ達!! ナワヤ「ッ!!?」
タナカ「!!?」
イケダ「!!!?」
トマル「!!? ・・・・・・キバヤシ、さん?」
四人は我を取り戻したかのように、表情を変え、キバヤシの方を向いた。
キバヤシはなおも話を続ける。
キバヤシ「――――俺達はもう既に『神の言葉』の事を知りすぎた。
奴らが本格的に活動を開始している以上、俺達手が回ってくるのも時間の問題だ。
・・・だが、逆に言えば、俺達はこの世界の中でも数少ない、『神の言葉』やGOD機関・・・
そう、Dショッカーに深く近づいた物達とも言える」
ナワヤ「・・・・・・それが、どうかしたのかよ・・・」
キバヤシ「―――かつて、俺達が奴らの手によってMMRを解散に追い込まれた際、
俺達は今と同じくらい絶望した筈だ。
だが、そんな俺達にでも出来た事は何だった・・・?」
キバヤシは、真剣な眼差しでナワヤ達に語りかけた。
自分達が、過去に交わした信念の誓いを、思い出させる為に・・・
ナワヤ「俺達に・・・ 出来た事は・・・ はっ・・・!!」
タナカ「あきらめない・・・ 事・・・!」
言葉と同時に、ナワヤとタナカの表情から暗さが消えうせ、目に光を取り戻す。
それに合わせ、イケダとトマルの表情にも変化が現れた。
キバヤシ「『あきらめない!』 それがMMRを失った俺達にできた唯一の闘いだったはずだ!」 / , ,ィ ハ i、 、 ! /''⌒ヽ-─‐- 、 、ー'´ \ .イ , ,ィ ハ i 、 . |
/イ ,ィ/l/ l/ リ ヽ!ヽト、 .| ゝ ,、.___, \ > , ! | ,ィ/l/ l/ lハlヽトiヽ. |
イ /r >rjヘ;=:r‐=tj<ヽ│ 「 ./ \ | ≧ , ,ィ/ハヽ\ | |/゙>rjヘ '-‐ァt:j<`K
r、H ┴'rj h ┴' }'|ト、 |./ ヽ | 1 イ/./ ! l ヽヾ、_ ! .ry ┴ 〉 └'‐ :|rリ
!t||. `ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ r|´゙>uー、ヽ-tj='^vヽ _レ「゙fぅヽ ーT'tラ'7`h |t|. ヾi丶 レ'
ヾl -─-、 /‐' :|r| ー "j `ー ′ h゙リ {t|!.  ̄" } ` ̄ !リ ヾl -─ - /|
ト、 ‐‐ ,イl. ヾ!. ヾ ,イ‐' ヾl ヾ /' ト、 ‐- ,イ ト、
,.| : \ / ; ト、 ト.、 ´_ ̄` , ' |. ト、 ´_ ̄` ./.|. ,| ::\ / ; / \
-‐''7 {' :: ` ー ' ,; ゝ:l`ー- ⊥:`ヽ. __ / ,' | | :\ /,' ト、_ /〈 :: ` ー ' ,'/ 「
/ \ :: , '/ :| `'''ー- 、 , ' '>-,、.._ノ :: `ー ' /,.イ \:: / |
/ \ / | | ヽ-‐'´ _,.ヘ< _:: _,. イ/ | ,.へ、 /´\ |
――――あきらめない!!
――――その瞬間、彼らの顔から絶望の色が完全に消え、目に希望の光が灯った。 キバヤシ「そうだ・・・。俺達の所属は幸いにも講談社と言う大手の出版社だ。確かに俺達にはウルトラマンや
仮面ライダーのような力は無いが、その代わり『報道の自由』という名の武器があるんだ!
俺達が奴らの情報を記事にし、雑誌やネットなどのメディアで報じれば、
いずれ奴らの力を削ぎ、ヒーロー達の手助けにもなるはずなんだ!」
キバヤシの言葉に続き、ナワヤも口元に笑みを浮かべて口を開く。
ナワヤ「―――フッ、そうだったな・・・ 俺達は記者なんだ。
それなら、やる事はお前の言ったとおりだ。Dショッカーの素顔、暴いてやろうぜ!!!」
トマル「・・・でも、具体的にどんな事をすればいいんでしょうか?」
トマルの質問はもっともだ。いくら精神論を語った所で、
実際に結果を残せなければ、単なる机上の理論でしかない。
キバヤシ「―――それなら問題は無い。俺がこの数年間で掴んだ情報は、
単に奴らの正体だけではないんだ。
・・・お前達、比留子古墳(ひるここふん)という名を聞いた事はないか?」
ナワヤ「ヒルコ・・・ 古墳・・・?」
一同は首を傾げる。これまで彼らはMMRとして、様々な遺跡や施設を調査して回ったが、
比留子古墳と言う名の古墳など、誰も耳にした事はなかった。
そう・・・ 正確には約一名を除いて、だが。
タナカ「・・・ひょっとして、九州の比留子の里にある比留子古墳の事ですか!?」 タナカは、かつて与那国島沖の海底遺跡の存在に言及し、実際に来日し調査した作家の著書に
感銘を受け、以来、世界各地に点在する古代遺跡に惹かれるようになり、トルコの遺跡の調査にも
参加したと言う経歴を持つ。それ故、MMRが解散した後も、国内外の様々な古代遺跡に関する調査を
独自で行っていた。だからこそ比留子古墳の存在も知っていたのだろう。
キバヤシ「その通りだ。 さて、本題に入るが・・・
確かな筋の情報によると、その比留子古墳を、Dショッカーが狙っているらしい」
トマル「!! なんですって!?」
タナカ「・・・そういえば、比留子古墳の周辺では、怪物が出ると言う噂が流れてました・・・
何でも、昔、古墳を調べていた郷土史家が首無し死体で見つかったとか・・・
ナワヤ「で、でもよ、何でDショッカーがその古墳を狙うんだよ!?」
キバヤシ「・・・・・・それは俺にもわからん。あくまで“狙っている”という情報しか聞けなかったからな。
・・・だが、俺達以上にその比留子古墳の事を知っている人物が一人いる。
彼はかつて比留子古墳に赴き、そこでの研究ノートを今も残し、所持しているとの事だ。
既にアポは取ってある」
キバヤシの言葉に、全員がざわめく。
タナカを除き、誰も知らなかった遺跡の事に関し、研究ノートを残しているほど
調べ上げた人物がいると言うのだ。一体誰なのだろうか・・・
ナワヤ「・・・だ、誰なんだ!?」
キバヤシ「・・・『古墳の呪的文様』『天孫降臨』 ・・・耳に挟んだ事ぐらいはあるはずだ」
タナカ「!? キバヤシさん、ひょっとして・・・」
ナワヤやイケダには見当もつかない。 ・・・だが、タナカには心当たりがあった。
かつて自らの著書において、装飾古墳の文様を独自の解釈で斬新な考察を行い、それ以降も
幾つかの大学の客員教授や著述活動を行いながら、奇怪な事例の研究を続けていると言われている
“妖怪ハンター”のアダ名を持った考古学者・・・ タナカ「・・・・・・・・・ 稗田・・・ 礼二郎・・・ ですか?」
547 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2008/06/13(金) 23:07:19
○MMR一同→キバヤシの見つけた手がかりから、比留子古墳の調査を決定。
比留子古墳に詳しいと言う考古学者「稗田礼二郎」の元を訪ねる事を決定する。
○ペガサス・J・クロフォード→過去にキバヤシに助言する。
【今回の新規登場】
○ペガサス・J・クロフォード(遊☆戯☆王シリーズ)
身長188cm、体重65kg。10月8日生まれ。血液型はA型。CV:高杉Jay二郎。
アメリカのラスベガス出身。インダストリアル・イリュージョン社(略称:I2社)の名誉会長。
カードゲーム「デュエルモンスターズ」の生みの親で天才ゲームデザイナー。当初は、経営が悪化した
海馬コーポレーションに目をつけ、企業買収を計画し、決闘者の王国イベントを開き、武藤遊戯を自分の下へと
招待する。「デース」「マース」といったカタコト言葉、ギャグっぽい言動から慇懃無礼で掴み所の無い印象の
持ち主だが、デュエルに敗北した相手の魂をカードに封印したり、ルール違反を犯したキースを顔色一つ変えずに
私刑する等、冷徹な顔を見せる事も。海馬とのデュエルでは千年眼の力と「トゥーン・ワールド」という反則的な
効果を持ったカードで翻弄し、あっさりと海馬に勝利し、彼の魂を奪う事に成功する。その後、決勝戦においても
トゥーンデッキで遊戯を追い詰めるが、その弱点を見抜かれて苦戦。闇のゲームを展開させ、「サクリファイス」と
いう強力な儀式モンスターで遊戯を翻弄するが、彼と仲間の結束力の前に敗北した。千年アイテムの一つである
「千年眼(ミレニアム・アイ)」の所持者だったが、決闘者の王国終了後にバクラに千年眼を刳り貫かれてしまう。
それでも治療を施されて一命は取りとめ、以降は遊戯達に協力するようになった。デュエル・アカデミアにも度々
訪れている。デュエリストとしての腕は超一流であり、当初は千年眼の力でイカサマを行っていたが、千年眼を
失った後も相手の伏せカードをズバリ読み当てたりと、人の心理を読むのが十八番であることは変わらないようである。 翌日、MMR一行は、異様な事例や奇怪な題材などを中心に研究している
“妖怪ハンター”のアダ名を持った考古学者稗田 礼二郎(ひえだ れいじろう) の元を訪れた・・・
都内 某大学の研究室
稗田「なるほど・・・ そのような事が・・・」
キバヤシ達は、黒いスーツに身を包んだ長髪の男性・・・ もとい、稗田礼二郎とテーブルを挟んで
互いに向かい合わせになり、ソファーに座りながら取材を行っていた。
キバヤシ「稗田先生・・・ 我々はMMRを一度解散した後、『神の言葉』の正体を求めて
世界中を巡り、 ・・・その結果、今話した通り、奴らがあの“ショッカー”と
繋がっていた事を突き止めました」
稗田「ふむ・・・」
キバヤシは稗田に対し、自分達がこれまでの調査で掴んだ『神の言葉』 ・・・もとい、
ショッカーの活動、そして彼らがかつて稗田が現地に赴いて調査したと言われる遺跡
“比留子古墳”を狙っていることを真剣な面もちで語っていた。
稗田は、神妙な面もちで彼らの話に耳を傾ける。
キバヤシ「―――そして、かつて先生が研究に携わり、調査したと言う遺跡“比留子古墳”・・・
理由は知りませんが、彼らはその古墳を狙っているらしいのです」
稗田「・・・・・・」
稗田はキバヤシの言葉に、その表情に僅かに焦りの色を見せる。 キバヤシ「―――申した通り、我々は比留子古墳の事を先生の『古墳の呪的文様』の中で
記させていた情報しか知りえません。
―――そして、あなたはその著書の執筆後に実際に比留子古墳に赴き、
古墳に関する情報を研究ノートに残したと聞いています・・・
先生も存じている通り、Dショッカーは非常に危険極まりない組織です・・・
だからこそ、先生が比留子古墳で何を見たのか、教えていただきたいのです・・・」
稗田「――――比留子、古墳・・・」
タナカ「お願いします!! 比留子古墳には一体何が隠されているんですか!?」
キバヤシの強い要望に対し、稗田は表情を曇らせたまま、その口を開く、だが・・・
稗田「――――もし、あなた達の言うように、神の言葉・・・ いや、Dショッカーが
比留子古墳を狙っているのであれば・・・ 非常に恐ろしい事だ・・・
しかし、比留子古墳に隠されていた“あれ”は、絶対に外には出してはいけない存在・・・
どんな理由にしろ、果たして“あれ”の存在を公にするべきかどうか・・・」
稗田はハッキリとこそ言わなかったが、発言内容、 そしてうつむいた顔から覗かせる
彼の表情が『真実を語ることはできない』と言っていた。
タナカ「で、ですが・・・(ここまできて諦める訳には・・・)」
タナカは、表情に僅かに絶望の色を浮かべながらも、その心をギリギリのところで引き留めようとする。
キバヤシ「稗田先生、お願いします!!!
今は一刻たりとも無駄にはできないんです!!」
イケダ「教えて下さい、先生!!」
キバヤシ達は稗田に頼み込むが・・・ 稗田「・・・・・・・・・」
――――稗田は額から汗を流し、切羽詰まった様な険しい表情を浮かべ、
何も喋ろうとはしていない。
――――稗田が険しい表情のまま一言も喋らなくなり、MMR一行も深い不安に包まれていき、
重い空気が室内を包み、そのまま全員が無言の状態のまま、1分・・・ 10分と過ぎていき・・・
―――30分経過した、その時・・・
キバヤシ「・・・・・・・・・・・・」 (ガタッ)
―――あまりにも重い空気を切り払うかのように、キバヤシがソファーを立ち上がり、
真剣な表情で、稗田に口を開いた。
キバヤシ「・・・・・・稗田先生、我々MMRは発足して以来、様々な要因によって人類に降りかかるやも知れぬ
数多の破局を独自に調査することにより、様々な人達に危機意識を持ってもらう事を
基本方針として活動を続けてきました。
――――しかし、今ここで何の手がかりも得ることが出来なければ・・・
それこそ我々は突然訪れる破局を前に、何も出来ずにその運命に
身を任せることになってしまうのです!!」
稗田「・・・・・・」 稗田は無言のままだったが、キバヤシ達は瞬き以外の一切の動作を行わず、稗田に目を向けている。
――――10分過ぎ・・・ ――――30分過ぎ・・・
稗田「・・・・・・」
――――そして、15分経過時点で、稗田はその口を開いた。
稗田「――――わかりました。Dショッカーのような組織が動いている以上、
・・・・・・・・・今回ばかりはやむを得ないでしょう」
キバヤシ「!! ・・・ありがとうございます、先生!!」
キバヤシ達は、歓喜の表情を浮かべ、稗田に感謝の言葉を述べた。
稗田は近くのタオルで汗を拭うと、キバヤシ達に向き直り、話し始めた。
稗田「ノートを見せる前に、まず・・・
あなた方は“擬似生命”と呼ばれる存在をご存知だろうか」
ナワヤ「“擬似生命”・・・?」
聞きなれない単語に、一同は若干戸惑う。
稗田は、なおも話を続ける。 稗田「―――擬似生命とは、この地球に最初の生命が誕生したと同時に、現れた存在・・・
我々のような生命体に対し、相反する生命・・・ その名の通り“擬似生命体”と言うべき存在です」
キバヤシ「擬似、生命体・・・」
稗田「我々人類が属する生命系統に、原生動物から哺乳類まで存在するように、
“やつら”にも系統樹がある。 ・・・そして、“やつら”の生命系統は
本質的に、我々の生命系統と対立する邪悪なものなんだ。
私は“擬似生命”と仮に呼んでいるが・・・
やつらは基本的に伝説の中でしか知られておらず、古来より様々な名前で
呼ばれていた・・・ 悪魔、妖怪、鬼・・・
そして、古事記には“水蛭子(ひるこ)”という名でその姿を見せている」
キバヤシ「!? ヒルコですって!?」
タナカ「ちょっと待ってください、ヒルコって言ったら・・・」
稗田が擬似生命の説明の中で出してきたたった一つの単語・・・ “ヒルコ”
その単語に、キバヤシ達は驚きを隠せなかった。
稗田「・・・そう、あなた方が言っている九州の史跡・比留子古墳」
稗田はそのまま立ち上がると、研究室の本棚に向かい、
その本棚の中から、一冊の古いノートを持ち出してきた。
稗田「かつて、私は装飾古墳について研究していた時期があった。
その中で出版した「古墳の呪的文様」の読者から、一通の手紙が届いた事が始まりだった。
手紙には差出人の名前の他、差出人の村に存在する古墳についての情報、そしてその古墳が
その地方の妖怪伝説と密接な関係がある事などが記されていた。
私はその古墳こそが自分の説を証明してくれるかも知れないと思い、
差出人の住む村へ向かった・・・」
キバヤシ「・・・・・・」 先程とは逆に、今度はキバヤシ達が稗田の話に聞き入ってしまっている。
稗田は再びソファーに腰を下ろすと、ノートを捲りつつなおも話を続けた。
稗田「私は手紙を送ってくれた少年と共に、深夜に古墳に忍び込んだ。
そして、古墳の中に存在していた、“やつら”が・・・」
タナカ「擬似生命、ですか・・・?」
稗田の表情が、僅かに険しくなる。
稗田「ああ・・・ 奴ら・・・ “ヒルコ”は、かつて古代人によって古墳に封じ込められていた
存在だったが、同行していた少年の父親が興味本位で古墳の扉を開けてしまい、
外に出ようとしていたのだ・・・」
トマル「それが、比留子古墳の付近で噂された、怪物の正体だったんですね・・・」
稗田「その通りだ・・・ 私は少年と共に何とか逃れ、
古墳の文様を消す事で、再びヒルコを封印する事に成功した。
今では、古墳は密閉されて、中には入れないような設備になってるはずだが・・・」
キバヤシ「だが、Dショッカーがそのヒルコを狙っている・・・」
稗田「先も言ったとおり、ヒルコは古代に封印された擬似生命そのものだ・・・
そして、その体には、地球の誕生と共に誕生し、日本ではアメノミナカヌシ・・・
聖書ではエホバなど、あらゆる国の神話で世界最初の神と伝えられている、
原始生命と擬似生命の先祖を生んだ巨大な超生命体から受け継がれた遺伝子が
現在、この世界に存在するあらゆる生命、擬似生命より遥かに色濃く
受け継がれているだろう・・・」
ナワヤ「それにDショッカーが目を付けたって訳か・・・ 全く、抜け目の無い連中だぜ・・・」 稗田「さて・・・ 私は先程、擬似生命に連なる存在・・・ ヒルコや妖怪は、基本的には
伝説の中でしか知られていないと言ったが・・・ 現在はどうだろうか・・・」
唐突に、稗田はキバヤシ達に質問を投げかけた。
突然の質問にキバヤシ達は少し考え込み・・・ 僅かな間の後に問いへの答えを出した。
キバヤシ「――――妖怪軍団、災魔一族、オルグ、インフェルシア・・・
既に幻想の存在になりつつあった存在が、この数年の間に
次々と大規模な破壊活動や侵略を行っている・・・」
キバヤシは、数年前に起きた、妖怪軍団のダラダラやハイネスデュークオルグのウラによる
破壊活動、冥府門や冥府十神の出現などを脳裏で思い出しながら、稗田に告げた。
稗田「―――無論、裏の世界ではそういった存在との戦いが数世代にわたって続けられてただろうが、
その戦いや存在が、表社会に知られたりする事は非常に稀だった・・・
・・・ここ数年、これだけ奴らが表立って行動しているのは単なる偶然では無いだろう」
その言葉からそう時間が経たない内に、ナワヤら他のMMRメンバーも、
稗田の問いに答えた。
イケダ「確か・・・ 半年前に、フランスのパリに怪物の大群が出現して、
パリの市民が大量に虐殺された事件もありましたよね。
気になって文献や調べたら、戦国時代を中心に日本でも似たような怪物が
“幻魔”と呼ばれ、跳梁跋扈してたみたいです」
イケダは、半年前にフランスの首都・パリに突如無数の異形の怪物が現れ、
それから数週間の間、パリを中心に怪物たちが跳梁跋扈していた事件を振り返っていた。 稗田「文献・・・ 確か幻魔に関して詳しく取り扱っていたのは、
民明書房の『新装版 戦国時代暗黒史』だけだったな・・・」
ナワヤ「あと、半年前って言ったら、その事件の少し前にも、東京のド真ん中にデッケぇ城が現れて、
その周辺に鳩のバケモンが無数に現れて、一般人を襲った事もあったよな・・・」
トマル「ええ。幸い政府の対応が早かった為、レスキューポリスや自衛隊、
地球連邦地上軍の特殊遊撃隊ストームチームによって怪物の群は掃討されたらしいですけどね。
ただ、城自体は直接接触する前に、消失したって聞きました。
聞いた話じゃ、城が消失する前後に、上空に人影が8つほど見えたらしく、
異世界のヒーローが活躍したなんて噂が都市伝説レベルで流れてるらしいですけど、
こんな世の中、何が起こっても不思議じゃ無い気がしますね・・・」
ナワヤとトマルの脳裏には、その時の戦いの様子が再生されていた。
―――東京都心に現れた巨大な洋風の城を中心に、無数の人間より大きな体格をした鳩の怪物が
数百匹と群れをなし、無力な一般市民を襲い、街を壊し、東京を蹂躙する姿・・・
―――しかし、謎の城から広がり続けた鳩の怪物の群れは、都心より広がることは無かった。
当時、総理に就任したばかりの現日本國内閣総理大臣・剣桃太郎。
事件当時の防衛庁長官・・・ 現日本國防衛大臣・大豪院邪鬼。
そして警視庁警視総監・冴島十三と、特別救急警察隊の本部長・正木俊介警視監。
彼らが事件の発生とともに、自衛隊やレスキューポリスの出動、国防省を通じた地球連邦軍への
協力要請を迅速に行い、そして丁度その時、他に大きな事件が偶々重なってなかった事が幸運し、
出動した自衛隊やソルブレイン、エクシードラフトを始めとするレスキューポリス、
G3システムを参考に製造されたG5システム部隊、そしてストーム1を始めとする日本に駐留していた
地球連邦地上軍によって、敵の殲滅、並びに被害者の救出を迅速に行うことができたため、
これまで起きた怪獣や怪人の都市の襲撃によ被害よりも、遥かに小さい被害で終わらせることができたのだった。 尤も、トマルが言ったように、怪物を指揮していたと思われる城自体は、接触する前に消失してしまった。
―――だが、その戦いの際に残留した怪物の肉片や血液などを自衛隊が採取し、
過去のデータと照合し、その結果・・・ 超常現象を対処する特務機関『森羅』が過去に戦闘した
“妖怪”の遺伝子構造に非常に酷似している事が判明した。
結果、その事件のすぐ後に起こったパリの事件、度重なる時空クレパスの出現、
その他の様々な事件も重なって、時空クレバス制御システム"ディオドス"の開発へと
繋がっていくのであった・・・
―――――そんな感じでMMR一同と稗田は暫く話していたが、やがて話が収束し始めていった。
それを見計らったかのように、タナカはソファーから立ち上がり、キバヤシに声をかけた。
タナカ「・・・キバヤシさん!」
そして、それの待っていたかのように、キバヤシはタナカに顔を向け、自身も立ち上がる。
キバヤシ「ああ、分かっている。
奴らの目的が確定した以上、ここで留まっている訳にはいかないだろう」
イケダ「では・・・」
キバヤシ「九州の比留子の里の“比留子古墳”・・・ 奴らがそこに眠る擬似生命の遺伝子を
手に入れる前に、俺達が先回りして阻止する!!」
キバヤシの言葉と共に、ナワヤ、イケダ、トマルも意を決した一転の曇りもない表情で
ソファーから立ちあがった。 稗田「・・・・・・」 (ガタッ)
立ち上がったのはMMRのメンバーだけではなかった。
稗田も立ち上がり、MMRの面々に体を向きなおす。
稗田「私も行こう。Dショッカーがヒルコを何の目的で狙っているのかは知らないが、
かつて奴らに関わった一人の人間として、ここで見過ごすわけには行かない」
トマル「!! ・・・ありがとうございます!!」
―――かつて彼らMMRは、多くの罪無き人々の生命を盾にした『神の言葉』の非道な策略により、
組織の核心に迫る一歩手前で、その活動を停止することを余儀なくされた。
―――しかし、彼らに届いた大きな段ボール箱一杯に詰まった読者達の応援の手紙を
受け取った彼らは、“あきらめない”事を選んだ。
そしてMMRの活動が中止した後も、それぞれ独自の手段で調査を続けていたのだ。
イケダは最先端の遺伝子技術と、それによって生み出される利益と弊害を。
タナカは世界中に点在する、様々な古代の遺跡、そこに残された技術を。
トマルは人間の体に眠っているジャンクDNA、そしてそれによって起きる人類の進化の可能性を。
ナワヤは講談社に残り、一人の編集者として人間の心と精神の変換とその行く末を。
そしてキバヤシは・・・ それらの技術を悪用し、地球の全ての国家、企業、自然、果ては
人間個人の精神と心までも掌握しようとした組織『神の言葉』の目的と手段、
その背後に存在する強大な存在の正体を・・・
彼らは独自の力で調査を続け、自分なりにその答えを導き出し、今再び集結したのだ。
それぞれの調査の結果を結び合わせ、導かれた『神の言葉』の背後に存在する真の邪悪・・・
無限なる帝国 ディバイン・ショッカーに立ち向かう為に・・・ ナワヤ「フッ・・・ ようやくMMR活動再開ってか・・・」
ナワヤは、その顔に笑みを浮かべた。
かつて活動を停止したMMRが、今この瞬間、再び動き出そうとしていた。
彼らが“あきらめない”事を選び続けた事によって・・・
キバヤシ「さあ・・・ 行くぞ!!」
,ィ, (fー--─‐- 、、
. ,イ/〃 ヾ= 、
_,,r-‐''"´ ^ `N /l/ `ヽ
彡 N! l `、
,, -‐- ,,-彡 l ヽ l` ´ ``‐ 、
彡´ | ,,w,,wヽヽ ,, | `ヽ‐‐-- 、
_彡 | //レ/ハl/ハ\ヾー _,, ,,r,,/lヾ | } `‐、
ハl/ ,/ハlヾヾ,l、 /三f、,,_ _,ヾニ_ ____彡ノノノノノ_ヾヾ | ,l、 、 l、_ ,、-‐、 |
/レ /l,,_/__ヽ lヾ ヽモ-ヽl ´fモチ7ヽ={ r‐ィッヾ ヽ-r'´〒fデF`lェr‐、ハlヽヽヽ l ヽ |
l`=l fモチ)_{´ヽl!l :l l ll !l `┴ー/ソl⌒ッ`┴┴' }//l l、 ,,、ァtッヒヽ、rゥ _,,ェヒ‐ l,-、
ヾ}弋_シl弋 ヽl ヽ- ヽl lゝ__,ノ | ゞ___ノl/l / l `~゙´ lァノl 、fモチ lヾ;|
ヾl `' `''´lヽ ── /l\l l、, l_ノ 〈 _ l!ノ l、, lソ
}\  ̄ ̄ ,ィl \  ̄ / l l ___ / ── 丿 ─‐ 丿
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-‐' \_,,-‐'\ `ヽ、 ,,r' /| \ / .| \__/ ,,rヽ‐-‐ '' / l`ヽ
,,-‐'' \ /\/\ / \. \____/ /\ ,,-‐'' /\ ,/ l ヽ
-‐''´ \/ }゙ _,,,‐''\ \ / /l\‐'' / `ヽ、_ l
_,,-‐'' ヽ \ / / l ''‐-、,/ `‐-、_
_,,-‐''´ ヽ /V<´ / l `‐- 、,,_
<center>MMR、出動だ!!!</center> その頃、大学から少し離れた所に建っている7階程度のビルの屋上に、眼鏡をかけた少年が立っていた。
先日、講談社本社ビルに入って行ったキバヤシ達を雑踏の中から覗いていたあの少年である。
謎の少年「・・・・・・好〜きです、好〜きです、心から・・・ 愛していますよと・・・
甘い言葉の裏には・・・ 一人暮らしの寂しさがあった・・・」
少年は大学のキバヤシ達と稗田が話をしている研究室の窓のほうを覗きながら、
先日同様、ヨーヨーに興じながら歌を口ずさんでいた。
そして、その研究室から「MMR、出動だ!!!」と外に聞こえるほどの大声が聞こえた瞬間、
少年は手に戻っていたヨーヨーを握りしめ・・・
謎の少年「・・・・・・ッッ」
無表情のまま、それを粉々に握り潰した。
672 名前:新章/MMR緊急報告 謎の古墳に隠されし謎を暴け!!・SSテスト:2008/08/16(土) 16:00:03
○MMR一同→稗田礼二郎と会見し、事情を話して比留子古墳に眠っている存在が古代に封印された
“擬似生命”だと知る。Dショッカーの野望を阻止するため、遺跡に向かう。
○稗田礼二郎→キバヤシ達の事情を知り、比留子古墳に眠る存在を彼らに教える。
その後、彼らの比留子古墳行きに同行する意思表示を見せる。
?謎の少年→昨日に引き続きMMRの面々を監視している。 【今回の新規登場】
○稗田礼二郎(ひえだ れいじろう) (妖怪ハンターシリーズ/稗田礼二郎のフィールド・ノートより)
元K大学教授の考古学者。民俗学や宗教学、古文書学などにも幅広い興味を示す。
異様な事例や奇怪な題材にばかり手を出すため、学会からは異端児扱いされている。
若い学生や一部のマスコミ等からは妖怪ハンターというアダ名も付けられている。
自らも怪奇事件に遭遇した事が多々あり、それゆえか手紙で呼ばれたりして全国を渡り歩き、
様々な事件に巻き込まれる。特技としてスキューバダイビングや裸眼立体視が挙げられる。
長身で髪型は20年変わらず、長髪である。彼のゼミに参加した生徒曰く、容姿は沢田研二似らしい。 ――――遥かなる天より豪雨が降り注ぎ、雷鳴が轟く深夜。
とある病院の一室において、二人の男性・・・ もっと正確に言うのであれば、
一人の若い男を背に抱えた、黒い服装に身を包んだ別の男性が、
一人の白衣に身を包んだ・・・ 医者と思しき男の眼前に立っていた。
黒い服装の男に背負われた若い男は、彼もまた黒い色のスーツを身に纏っている。
その身体には、彼を背負っている男が自らの衣服を破って、包帯替わりに用いたと思しき
ボロボロの布が何重にも重ねられて巻かれており、そこからは赤黒い血が滲み出し、
布が吸い切れなかった分が、彼の身体を赤く濡らしていた。
その顔からは、大分生気が失われているように感じられた。
闇に染まったような黒い服と、清潔感を感じさせるような純白の白衣・・・
一見対照的な服装に身を包んだ二名+一名であったが、第三者がもしこの場に居るとしたら、
両者の衣服に覆われて隠れている、無駄な筋肉や脂肪の削ぎ落として絞り込み、数多の実戦を
経て鍛え上げられた肉体のうねりを、感じ取ることができそうであった。
部屋の窓枠に先程まではまっていた硝子は、粉々になって床に散らばっており、
遮蔽物を失った窓は、外の冷たい空気と、降り注ぐ雨をそのまま部屋へと通している。
黒い服を身に纏った男の身体には、硝子の破片が幾つか突き刺さったままに
なっており、露出した肌からは血が少しばかり滲んでいた。 そして、黒衣の男と対面した、彼と同じく実用的な絞り込まれた肉体を保持する
白衣の医者・・・ 鎬 紅葉は、彼らが元ZECTの一員にして、現在は組織から離れた者達・・・
仮面ライダーキックホッパー・・・ 矢車 想、
仮面ライダーパンチホッパー・・・ 影山 瞬である事を、己の知識から見抜いた。
矢車「あんた・・・ 医者だろ?」
紅葉「・・・私に何の用だ。 矢車想・・・ 仮面ライダーキックホッパー」
矢車「・・・俺の相棒を、助けてほしい」
◆ ◆ ◆ ◆
――――時は流れ。 東京都練馬区と埼玉県の中間辺りの町 石神井総合病院
東京都練馬区と埼玉県のほぼ中間に石神井総合病院という病院が建っている。
そんな当病院には、今日もまた変わった患者が来ているようで・・・
病院の一室において、白衣のナースと思われる若い女性が、患者の基本情報を収集するように
言われたのか、ソファーに腰掛けている黒い服を来た二人組の男・・・ もとい、矢車想と影山瞬に対し、
色々と質問を繰り返していた。 ・・・最も、一筋縄には行っていない様ではあるが。
Ns「―――まず、お名前は?」
矢車&影山「・・・・・・忘れた」
Ns「・・・・・・忘れたんですか?」
矢車&影山「・・・・・・はい」
・・・そんなやり取りが暫く続き、診察していた女性看護師・しえは、幾つか文章を書いた診察書を閉じると、
しえ「―――解りました。それでは、少し待っててください」
そう言って、矢車と影山を待機させ、部屋から出て行った。 しえ「・・・ふう」
???「どうかしたの?」
部屋から出たばかりのしえが振り向くと、そこには病院に努める女医であり、
彼女の上司である彩園すずが目の前に立っていた。
しえ「・・・先生、あの患者さんですが・・・ やっぱり記憶喪失みたいです」
すず「・・・そう」
しえ「あの人達の身元は、まだ解んないんですか?」
すず「今現在、総力を尽くして調べている所よ。3日前に、近くの山の麓の雑木林で、
全身に怪我を負ってる所を見つかって、この病院に搬送されたらしいのよ。
怪我は2日・・・ 丁度昨日でほぼ完治したけど、どうやら記憶を失ってるみたいね・・・」
しえ「何か・・・ 身元が解るような物品は無かったんですか?」
すず「腰に変なベルトを着けていた以外は、ポケットの小さい財布に5円玉が一つだけ
入ってただけで、手がかりになるようなものは何も無かったわ」
しえ「・・・ベルト、ですか」 神崎「先生、急患です!」
廊下の奥から、別の女性看護師が声を上げ、駆け寄ってきた。
すず「・・・私は行くわ。あなたは診察室に戻って」
しえ「は・・・ はい」
そう言って、すずは女性看護師と共に、廊下の奥に向かっていった。
しえはそれを確認すると、診察室の扉を開けたが・・・
しえ「・・・・・・あれ?」
――――そこには、すでに二人の姿は無かった。
◇ ◇ ◇ ◇ その頃、ホッパー兄弟は病院の廊下を歩いていた。
失った記憶はというと・・・・・・
矢車「俺の名前は・・・ そうそう、矢車だ。ようやく思い出したぜ・・・」
影山「で、俺の名前は・・・ そうそう、影山だ。思い出せて良かったね、兄貴」
・・・・・・すっかり取り戻したようだ。
ついでに、腕には物色したと思われる食料品の箱が幾つか抱えられている。
矢車「さてと・・・ 名前も思い出したし、さっさと帰るぞ」
影山「うん、そうだね・・・」
そう言って歩いていた二人の前に、一人の男性医師が姿を現した。
その医師は二人に気付くと、彼らに近寄って話しかけた。
医師「矢車想に、影山瞬・・・ こんな所で会うとは思わなかったな」
彼らに声をかけた医師の姿を見た矢車は、少し驚いたような表情を浮かべた。
・・・何故なら、その医師は、あの豪雨の夜に出会った、あの「鎬 紅葉」であったのだから。
首筋にまでかかったロングヘアに、医療関係者とは思えないほどの完成された肉体・・・
どこからどう見ても、「鎬 紅葉」本人に相違なかった。見間違えるはずもない。 矢車「・・・先生、あんたはここの病院の勤務だったのか?」
紅葉「いや、後進の指導も兼ねて、近々講演を行う為に招かれたのだが・・・
・・・つい先程、近くの市街で、時空クレパスから迷い込んだ、異世界のモンスターが
出現した。機動隊の応戦でモンスターは撃退できたんだが、民間人が数名重軽傷を負い、
死傷者も二名ほど出てしまった。偶然、その現場に私も居合わせていてね。
最寄りの病院であるここで、医師として協力している」
矢車と影山はそこまで聞くと、彼の履いている靴が、異様に傷だらけである事に注目した。
“現場に居合わせた”と言ったが・・・ 恐らく、一人の医者であると同時に、地下闘技場の
戦士であった彼は、モンスターの数匹でも返り討ちにしたに違いない。二人はそう確信した。
紅葉「・・・そういう訳だ。今は忙しいのでね」
そう言うと、紅葉は二人の傍らを通り過ぎようとする。
そして、彼が二人の背後へと出たとほぼ同時に、矢車は彼に声をかけた。
影山「・・・先生」
影山の言葉に、紅葉は振り向かずに立ち止まって返事する。
紅葉「・・・何だね」
影山「あの夜は・・・ 俺を助けてくれて、ありがとうございます」
◆ ◆ ◆ ◆ ・・・そう、あの豪雨の夜、影山 瞬の命は風前の灯であった。
ネイティブへと変貌しつつある細胞に強力なダメージを与え、壊死させることで彼のネイティブ化は
引き留めたものの、結果的にキックホッパーの強烈な一撃は、彼に相応のダメージも与える事となった。
・・・そして、矢車は影山の身体を抱え、一人の医者の元へと走ったのだ。
そう、ZECTに所属していた時代に名前を聞いた、日本中の医者にその名が知られている
医学界の権威にして、地下闘技場の戦士でもあった男・・・ 鎬 紅葉の元へ。
◆ ◆ ◆ ◆
矢車と影山は、病院のとある窓から飛び降ると、草むらに着地する。
それを見計らったかのように、周囲の草陰から、一匹の異形の怪物が姿を現した。
怪物は二人を視界に見据えると、その口から涎を垂れ流しながら、牙をむいた。
矢車「・・・市街に現れた奴の、生き残りか」
影山「やっちゃおう、兄貴」
矢車「ああ・・・ 行くぞ、相棒」 ―――――そして、二人の手に、それぞれのゼクターが握られる。
矢車・影山「「――――変身!!」」
キックホッパーの資格者・・・ 矢車 想。
パンチホッパーの資格者・・・ 影山 瞬。
闇の中を生きようとも、彼らもまた“仮面ライダー”である。 623 名前:新章/外伝 地獄兄弟とスーパー・ドクター:2009/11/18(水) 23:31:26
△矢車想&影山瞬→トラップコースを打破し、大怪我と記憶喪失も四日で回復。
かつて、鎬紅葉に影山の命を救われており、石神井総合病院において偶然再会する。
○しえちゃん→矢車と影山の情報を聞いていたが、彼らにトンズラされる。
○彩園すず&神崎美智子→急患に向かう。
○鎬紅葉→後進の指導も兼ねて講演に招かれたが、偶然異世界のモンスターの襲撃に遭遇。
機動隊と協力してモンスターを返り討ちにし、石神井総合病院で急患に対応する。
【今回の新規登場】
○しえちゃん(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女性看護師。動物好きの普通の人物。
○彩園すず(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女医。いいかげんな性格に見えるが、
退院した患者の為にお金を溜め込むなど、結構面倒見がいい。
○神崎美智子(かってに改蔵)
石神井総合病院に勤める女性看護師。アニメや漫画の大好きで、私生活の
趣味(同人活動)を職場ではひたすら隠そうとしている典型的な「隠れオタク」。 ○鎬紅葉(グラップラー刃牙)
医者兼格闘家。別名「スーパー・ドクター」。身長184cm、体重131kg。 CV:宮本充
普段は端正な顔立ちと紳士的な振る舞いで女性看護士たちの人気の的になっている優男だが、
屈強な「超肉体」を持つアスリートの一面を持つ。日本中の医者にその名が知られている医学界の
権威で、地下闘技場のドクターも彼を知っていた。鎬昴昇の実兄であり、彼を馬鹿にするような
発言も多いが、内実かけがえのない弟として溺愛している。当初は人の痛みを何とも思わない
冷酷な医者であり、膨大な数の犠牲者を伴う不正な治療によって人体を研究し、転移しかけた癌を
数十秒で摘出する技術を会得していた。その技術は人体の治療・修復のみならず人体の破壊にまで
及び、医学を応用した格闘術をもって戦う。最終的には地下闘技場で範馬刃牙に敗北したが、彼の
行った人体実験の犠牲者たちに助けられ、改心する。現在は一線から退き、怪我をした格闘家を
治療する役割に徹している。ジャック・ハンマーに骨延長を施したり、花山薫の脳髄から弾丸を
摘出する手術も手がけている。 日本の首都、東京の中央にそびえ立つ数百mはあろう巨大な赤いタワー・・・
言わずと知れた、日本の象徴ともいえる建造物、日本電波塔、通称“東京タワー”である。
戦後日本の復興の象徴とも言えるそのタワーは、かつて数多の大怪獣や侵略者に
よって何回も倒壊し、最近でも壊されはしなかったものの、大魔王ガノンが付近で
暴れ回る等、ある意味一種の心霊スポットではないかとも思わせてしまう程の災難が
降りかかる建造物である。
それでも東京タワーは壊されては再建され続け、今日もネオン等の光を
放ちながら、眠らない町「東京」を静に見下ろしていた・・・・・・
――――深夜午前2:00、草木も眠る丑三つ時。 ???「・・・爆裂ゥゥゥゥゥ!!寸指破アアアァァァァァァ!!!」
突如、東京タワーに、一筋の光が走った!
光が収まった後、東京タワーの大展望台の天井に、四人の男が空中から降り立つ。
その内一人は非常に巨大で古代中国の武将のような外見をしており、手には巨大な
長刀を持っている。その体からは、どことなく妖気のようなものが感じ取れた。
それ以外の3人の男は、その武将の前に立ち塞がるかのように並んで立っていた。
一人は武将姿の男に負けず大柄な体格をしており、恐らく2m位はあるだろう。
手には中国風の刀を握り、構えている。
もう一人の男は、中国の道士のような服装をしており、手に数枚の札を持っている。
そして、その2人の傍らに、手に棍棒のような武器を持った修験行者が構えていた。
身長は大柄な男の半分程度といったところか。
姿格好は違う四人だが、その衣服は部分的に傷ついており、
少し前から激しい戦いを行っていたことが素人目にも解る状態だった。
蘭陵王「フッフッフ・・・・・・」
武将の姿の男・・・ 南北朝時代の中国の北斎という国の王であり、この現代に
悪霊として復活した男「蘭陵王」は、巨大な長刀を構えながら、眼前の
三人に対し、不敵な笑いを見せた。 乱蔵「・・・復活しても、相変わらずのようだな、蘭陵王!!」
大柄な男・・・ 祟られ屋「九十九乱蔵」は、蘭陵王に向けて大声で言った。
玄角「・・・だが、それもここで終わりだ!!」
霊能力を持った修験行者「玄角」も、続けて蘭陵王に向けて叫ぶ。
カイルン「・・・貴様のお陰で、中国では罪のない人々が大勢殺された。
だが、もはや逃げ場はない!!」
道士服を着た中国出身の霊符師「ヤン・カイルン」はそう言うと、
手に持っていた文字の書かれた霊符を蘭陵王に向けて放った!!
カイルン「天道晴明地道安寧人道虚寧!!!
真空斬!!!」
真空斬とは、霊符の力によりカマイタチを発生させ、相手を切り刻む技である。
放たれた霊符は蘭陵王の体に向かって行き、彼の周辺に群がる。
そして、蘭陵王に向けてカマイタチを放つが・・・
蘭陵王「フンッ!!」
バシュッ! バシュッ!
蘭陵王は、持っていた長刀を振るうと、
自分に向かってきたカマイタチを霊符もろとも叩き落とした!!
カイルン「・・・やはり、一筋縄ではいかないか」
カイルンは、苦い顔で蘭陵王を睨む。 蘭陵王「フハハハハ!!中国から遥々わしを追ってきたようだが、その程度か?
言っておくが、わしは以前のわしとは違うぞ!!
ハッハッハッハ!!!」
蘭陵王は、勝ち誇ったかのように、彼らに向けて笑い声を放つ。
カイルン「くっ・・・ 奴め、中国で戦ったときより格段に強くなっている・・・」
玄角「復活して時間がたって、本来の力を取り戻してるって事か・・・」
そう呟く二人。だが・・・
乱蔵「・・・いや、まだ勝機はある」
玄角「ほ、本当か?」
玄角は目を丸くして乱蔵を見る。
乱蔵「さっきの寸指破もギリギリで避けられたが・・・ 完全に見切った訳じゃなさそうだ」
乱蔵は、蘭陵王に目を向ける。
見ると、蘭陵王は先の寸指破を完全に避けられなかったらしく、
体の部分部分に焦げ痕らしきものが見える。
乱蔵「ただ闇雲に攻撃するんじゃ駄目だ・・・ 三人で連携して隙を作るんだ」
カイルン「・・・それしか無い様だな」
三人は、それぞれ蘭陵王に向け構え直す。そして・・・ 乱蔵「・・・・・・行くぞ!!」
バッ!
乱蔵は、刀を蘭陵王に向け、飛びかかった!!
カイルン「ハアッ!!」
玄角「おりゃあああ!!」
乱蔵に合わせ、カイルンと玄角も各々の武器を手に蘭陵王に飛びかかる!!
蘭陵王「ムオッ!?」
それに合わせ、蘭陵王も彼らに向けて武器を向けた!!
乱蔵・カイルン・玄角「うおおおおおおおおおおお!!!!」 新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−
―――――夜は、まだ長い。 244 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/17(木) 12:27:31
○九十九乱蔵→かつて倒した悪霊・蘭陵王と再び対峙。東京タワーで戦っている
○玄角→乱蔵と共に蘭陵王に立ち向かう
○ヤン・カイルン→中国から蘭陵王を追い、日本へ
●蘭陵王→東京タワーで三人の退魔師と決戦。
【今回の新規登場】
○九十九乱蔵(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
身長2m、体重145kg。中国拳法を体得した妖魔封じを稼業とする「祟られ屋」。
通称「ミスター仙人」。美男とは言え無いが、笑うと堪らないほど人を惹きつける
魅力を持つ。「寸指破」や「八卦掌爆裂剣」、「羅王神流烈破竜剣」等の奥義を
体得している。
○ヤン・カイルン(地獄先生ぬ〜べ〜)
中国人の霊符師。
霊符師としての能力は極めて高く、霊符だけで妖怪を退治する程の実力を持つ。
子供の頃に妖怪によって妹を殺された経験があり、その悲しみから妖怪に憎しみを
抱くようになり、鵺野鳴介達と敵対したが、改心し「悪い妖怪」を退治し続ける事を
決意した。
○玄角(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
霊能力を持った修験行者。九十九乱蔵の知り合い。
武器は悪霊退治用の棍棒「玄角棒」。
●蘭陵王(九十九乱蔵 −闇狩り師−(石川賢版))
南北朝時代の中国の北斎という国の王。戦の時につけていた仮面を媒体に
現世に蘇ったが、九十九乱蔵によって倒された。 285 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/31(木) 20:23:38
埼玉県・銀成市 とある書店 午後7:00
客「―――では、この本をお願いします」
コートを着た三十代くらいの男性が、書店のレジに向かい、
レジの店員に『ピンキー先生のクネクネヨガ道場』と表紙に書かれた本を手渡す。
レジに立つツインテールの少女は、顔立ちから察するに
高校生程度だと思われ、恐らくバイトで働いている事を推測させる。
沙織「はい。では千円ちょうどになります」
レジに立つ少女、銀成学園の1年生河井沙織は、男性客から千円札を受け取ると、
本を紙袋に包み、レシートと共に男性客に手渡す。
その後、男性客は一礼をし、レジを去っていった。
沙織「ありがとうございまーす。 ・・・ふぅ」
沙織は笑顔で客を見送ると、少々顔の表情に疲れを見せた。
六舛「大丈夫?沙織ちゃん」
疲れた表情を見せた沙織を気遣うように、同じくレジに立つ眼鏡をかけた
高校生程度の少年六舛孝二は声を彼女にかけた。
沙織「あっ・・・ だ、大丈夫ですよ、この程度」
沙織は、表情を持ち直し、そう返答する。
沙織「でも・・・」
沙織は、六舛の顔を不思議そうな顔で見る。 六舛「? ・・・何か顔についてる?」
六舛はそれに気付き、沙織に質問した。
沙織「意外ですね・・・ 六舛先輩がバイトをするなんて・・・」
六舛「あー、前はみんなバイトしてた中、俺だけやってなかったから。
何となく、やってみたくて」
彼らは、以前寄宿舎でクリスマスパーティをした事があるのだが、その際に理事長室に
飾ってあった大皿(古伊万里・推定30万円)を破損してしまった事があった。
それでその弁償代を全員でバイトで稼いで返済しようと計画したのだが、
何故か六舛のみバイトをしようとせず、部屋に篭りっきりだった。
実際は割れた大皿を修復するため、陶器の修復の練習をしていたのであったが・・・
沙織「“何となく”・・・?」
六舛「うん」
沙織「・・・はあ」
そうこう言っている間に、六舛の立つレジの前に一人の男が近寄ってきた。
???「店員さん、ちょっといいかな?」
六舛「はい?」
レジに立っていた六舛に話しかけてきた、その人物は・・・
―――細身の身体にピッタリとフィットした、胸元から大きく股間近くまで開いた衣装。
―――顔に装着したオレンジ色の蝶々の仮面。
紛れも無く、今この銀成市を中心に大きな話題となっている
謎の蝶人・パピヨン本人であった。 パピヨン「一週間前にここで3冊本を予約したが、届いているか?」
相変わらず尊大不遜な態度を取っているが、その雰囲気からか、どこか憎めない
オーラを持ったパピヨンは、どうやら予約した本を取りに来たらしい。
六舛「えー、本のタイトルは?」
パピヨン「『驚異の昆虫世界』、『世界の怪虫・奇虫』という本だ。
民明書房の出版だが・・・ 届いてるか?」
六舛は、後ろの棚に体を反転させ、棚の「ハ行」と書かれた列に目を移し、
そこから、2冊のそこそこ厚い大判の本を取り出した。
六舛「これで間違いありませんか?」
六舛は、事務的にパピヨンに質問する。
パピヨン「そうそう、それそれ」
パピヨンも、目当ての本である事を確認すると、口元に笑みを浮かべ、
股間からニュッと五千円札を抜き出した。
六舛「はい。では合計四千二百円となります」
六舛はパピヨンの股間に入ってた生暖かい五千円札を物怖じせず受け取った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 沙織「六舛先輩・・・ なじんでる・・・(汗」
???「ちょっと・・・ いいかしら?」
不意に、沙織の前方から女性の声が聞こえた。
沙織「は、はい!」
沙織は我に返り、前方を振り向く。
そこにいたのは・・・
沙織「あ・・・」
レジを挟んだ前方には、一人の女性がいた。
ただ・・・ その女性は、一人の客と言うには、少々不思議な雰囲気を纏っていた。
怪しげな裾の長い白い道士服のようなドレスに未を包み、店の中だというのに白い日傘を差しており、
その体は服を着ている上からも抜群のプロポーションである事が窺える。
ウェーブのかかった金髪を揺らしながら、その美しい女性は沙織に対して笑顔を浮かべていた。
・・・最も、沙織自身は何故かその笑顔に底知れない胡散臭さを感じていたが・・・
沙織「あの・・・ ご用件は・・・」
とりあえず、怪しいとはいえ客なので、沙織はその女性客に話しかけた。
女性客「本を予約したのですけど、届いてないかしら?」
沙織「えーと・・・、何という本でしょうか?」 沙織は内心、少々思索した。
何というか・・・ 笑顔に胡散臭さは感じるものの、その女性客の底知れない何か・・・
女性はそこそこ・・・ というか非常に顔立ちの整った美人なのだが、それとはまた別の・・・
同じく女性である沙織が見ても心を奪われてしまいそうな魅力とはまた違った
「何か」が感じられた。
沙織(こんなキレイな人が本の予約を・・・ まあ、予約しても変じゃないけど・・・
一体どんな本だろ・・・ 料理の本とかかな・・・)
―――だが、その女性客の口から出た本の名前は、彼女の予想を100%裏切るタイトルだった。
女性客「『ウホッ!!いい男たち ヤマジュンパーフェクト』っていう本よ」
沙織「ブッ!!」
沙織は、レジに思いっきりズッこけた。
本の名前自体は始めて聞いたものだが、タイトルの「ウホッ」「いい男」のフレーズだけで、
どんな内容の本かは大方予想がついてしまった。そして恐らく当たっているだろう。
女性客「??? ・・・何か?」
沙織「・・・いえ、何でも・・・」 沙織は、精神と体を持ち直し、再び立ち上がる。
そして、レジを挟んだ前方に立つ女性客に、再び質問した。
沙織「お名前は・・・?」
紫「八雲紫(ゆかり)。紫よ」
沙織「あ、ハイ・・・ では今探しますので、少し待っててください・・・」
そう言って、沙織は体を反転させ、棚に目を移す。
沙織「えーと、『や』は・・・ ここかな・・・?」
沙織は棚の「ヤ行」と書かれた列から一冊のかなり分厚いA5判程度の大きさの本を取り出す。
沙織(・・・うわ〜)
沙織は本の表紙を見た瞬間、言葉を失った。
本の表紙には上半身裸の男性の振り向き姿が書かれており、『ウホッ!!いい男たち』と
タイトルが大きく書かれている。正直、目の前の女性客・・・ 八雲紫と名乗った女性が見るには
似つかわしくないイメージの漫画だった。
沙織「・・・えー、五千円となります」
佐織がそう言うと、紫は袖の中から一万円札を取り出し、沙織に渡した。
沙織はそれを清算し、本を紙袋に入れ、機械からレシートと五千円札を取り出した。
沙織「・・・お釣です」
紫「フフッ♪ ありがとう、可愛い店員さん♪」
紫は、沙織に笑いかけた。 沙織「は・・・ はい・・・///」
その笑みに多少胡散臭さを感じながらも、沙織はそれに対し
照れながら笑みを浮かべ返した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 六舛「――またのご利用をお待ちしております」
一方その頃、パピヨンと六舛の方も本の精算を終えていた。
パピヨン「ああ、今後も、・・・ん?」
紫「あら?」
ふと、丁度本の精算を終え、レジから離れようとしたパピヨンと八雲紫の両者は、
偶然にも目を合わせてしまった。
パピヨン「・・・・・・」
紫「・・・・・・」
一瞬、両者の間に沈黙が流れる。
先に口を開いたのは、紫だった。
紫「・・・蝶人パピヨンだったかしら?私は八雲紫。
噂は聞いてるわ。中々素敵な格好じゃない。特にそのマスク」
紫は、そう言ってパピヨンに微笑みかける。
パピヨン「それはどうも」
パピヨンは笑みを浮かべ、そう返答した。
紫に対し胡散臭さは感じたものの、自分のマスクを「素敵」と呼ばれた事に対しては、
内心少々嬉しく感じた。
紫「それじゃ」
パピヨン「・・・ウム」 二人はお互いに別々の出入り口に向かい、店を後にした。
六舛「・・・沙織ちゃん、大丈夫?顔が赤いよ」
沙織「ハッ!? ・・・す、済みません、何か、ボーっとしちゃって・・・」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
星が、寒さに震えるようにまたたく空の上。
パピヨンは、背中に赤く、炎のように燃える蝶の羽を輝かせ、空を優雅に飛んでいる。
手には、先程買った本を包んだ紙袋を抱えていた。
パピヨン(あの女・・・ 人間の匂いでは無かったな・・・ 恐らく妖怪、
もしくはそれに近い存在・・・ まあでも・・・ もう会う事はないだろう)
そんな事を考えながら、パピヨンは何処へと飛んでいく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
冬真っ只中、空気が肌寒い季節。
人々の雑踏の渦巻く町の中を、八雲紫は歩いていた。
やはり人が多いとはいえ、彼女の服装は人ごみの中でも目立っていた。
紫(蝶人パピヨン・・・ やはり噂通り、人間じゃないみたいね・・・
妖怪ではないようだけど・・・ もう会う事は無いわね・・・
さっさとDMC-デトロイト・メタル・シティ-の「魔界遊戯」買ってマヨヒガに帰るか・・・)
そう思いつつ、紫は数10m先にあるCDショップに突き進む。
ブワッ・・・
紫「ん・・・・・・?」 一瞬だったが、紫は銀成市から離れた東京の方向に、何か大きな“力”を感じ、立ち止まる。
紫「フフッ・・・、暇つぶしにはなりそうね・・・
じゃあさっさと買い物を済ませましょうか」
紫は口元に笑みを浮かべると、再びCDショップに向かい歩き始めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
人を捨て“蝶人”へと生まれ変わった男、パピヨンこと“蝶野攻爵”
境界を操る神に等しい力を持った妖怪“八雲紫”
彼らが再び顔を合わせる事になるのは・・・ もう少し先の事である。 286 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−:2008/01/31(木) 20:30:01
○六舛孝二、河井沙織→本屋でバイト中、パピヨン及び八雲紫と遭遇する
△パピヨン→書店で八雲紫と邂逅。八雲紫の正体を感じ取る。
△八雲紫→書店でパピヨンと邂逅。東京方面に何らかの力を感じ取る。
【今回の新規登場】
○河井沙織(武装錬金)
銀成学園の1年生。1月13日生まれ。ツインテールが特徴。武藤まひろの友人。
通称「さーちゃん」。いつも元気で活発な少女。まひろのことを「まっぴー」と呼ぶ。
ホムンクルス調整体に銀成学園が襲撃された際は、恐怖で腰が抜けてしまった千里を
助けようとするなど勇気のある面も持っている。勉強は苦手。
○六舛孝二(武装錬金)
銀成学園の2年生。1月25日生まれ。眼鏡を着用している。武藤カズキの友人。
「四バカ」の1人(ただ、カズキや岡倉と違って成績は優秀)。沈着冷静な性格だが
友情には熱く、銀成学園がLXEに襲撃された時は震洋と頭脳戦を繰り広げ、カズキと斗貴子を
援護した。また、かなり謎の多い一面(読唇術、声色の才能、「逆胴」に関する正確な知識等)
を持ち、岡倉からも「オメー何モンだ!!」とよくツッコまれている。料理や美術品の扱いでも
意外な才能を持っている。 △八雲紫(東方Project)
境界という境界をすべて操れる妖怪。二つ名は「幻想の境界」等。神隠しと呼ばれる現象は、
紫が境界に揺らぎを起こすために起こると言われる。胡散臭い風貌・信用できない・誰から
見ても心が読めない性格を持つ。普段は余り動かず一日に12時間の睡眠を取り、冬眠までする。
寝ている間のことは全て藍に任せっぱなし。「スキマ妖怪」とも呼ばれ「他に類を見ない
“一人一種族”の妖怪」らしい。「妖怪の賢者」とも呼ばれている。また1200年以上前に記された
資料にも紫と思われる妖怪が登場し、博麗大結界の創造に協力しているなどの事実からも、
幻想郷でも最古参の妖怪の一人であると考えられる。計算能力に秀でているらしく、無間の底の
深さや北斗七星が北極星を食べるまでの時間ですら求めてしまえるらしい。かつては幻想郷の
妖怪を集めて月面戦争を引き起こしたが、返り討ちにあった事がある。外の世界から幻想郷に
流れ着く物品の管理もやっているらしい。故に幻想郷の外の世界も知っている。
△パピヨン/蝶野攻爵(武装錬金)
蝶を模ったマスクと全身黒タイツを身に着けた「超人(蝶人)」。極めてハイテンションな性格。
元々は銀成学園の3年生だったが、原因不明の難病を患ったために身体が弱くなり、高祖父・爆爵の
残した研究ノートからホムンクルスの製造技術を手に入れ、自らを人間型ホムンクルスとすることで
命を永らえさせようとするが、幼生体が不完全だった為、不治の病を持つ不完全なホムンクルスとなった。
カズキに敗北後、バタフライに保護されLXEに加わるが、自ら離反。当所は世界を破壊し、ヴィクター化する事が
目的だったはずだが、カズキとの決着を最優先にしていくうちにその気はなくなったらしい。ホムンクルス化
以降は人間の名を捨て、自身が認めたカズキ以外からは本名を呼ばれることを好まない。カズキの事を
「偽善者」呼ばわりするが、心根では尊敬しており、「偽善者」と呼ぶのも彼なりの敬意の表現でもある。
人間時からIQ230の天才であり、僅か一ヶ月で完璧な「白い核鉄」を創り出すなど、天才ぶりを随所で発揮した。
なお、不完全なホムンクルスである為、食人衝動は一切無い。カズキとの決戦後は銀成市の蝶人パピヨンと
して神出鬼没に活動しており(蝶野の財産の一部を相続してるらしく、資金面では不自由はない模様)、
その存在は都市伝説とまで化している(銀成市の人々にとっては「友達感覚」)。 6月26日生まれ。 ◇ピンキー先生のクネクネヨガ道場(ハニ太郎です。)
ポプラ社から発行されている本。著者は漫画家のピンキー前嶋。
呼んでヨガを実践すれば肌がつるつるになるらしいが、真偽は不明。
◇民明書房(魁!!男塾/天より高く/暁!!男塾)
東京神田神保町に所在する出版社。1926年(大正15年〜昭和元年)創業。
代表取締役は創業者でもある大河内民明丸。
◇魔界遊戯(デトロイト・メタル・シティ)
インディーズ界で人気を誇る悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」
のファーストアルバム。「ヘルズ・コロシアム」「SATUGAI」等、全12曲収録。 342 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/11(火) 18:20:21
――――本屋での邂逅より、およそ7時間後 午前2:00 東京都内・某所
もぐもぐ・・・ むしゃむしゃ・・・
東京都内のどこかにそびえ立つ一般のマンション。
そのマンションのとある一室で、一人の背広姿の男が食事を摂っている。
もぐもぐ・・・ もぐもぐ・・・ その男・・・ 個人経営の輸入雑貨の貿易商、井之頭五郎は、
作業用の机に向かいながら、発泡スチロール製の容器に入った牛丼を、黙々と食べ続けていた。
机の傍らには、容器の蓋が置かれており、表面には「キッチンがいなも」と表記されている。
五郎「うん、美味しい。味付けが中々いいな」
五郎は、弁当の味に満足すると、残りをさらに食べ続ける。
五郎「(偶々目に付いた弁当屋の店主が異星人だと知ったときは、少々ビックリしたが・・・
人柄も良かったし・・・ この味だ。選んで正解だったな・・・)」
彼・・・ 井之頭五郎は、取引の後や、時間の余った時、はたまた道に迷った時等に、よく散歩をする。
そういった時、彼は昼飯を食べ損ねていた等の理由で空腹を抱えている事が多く、そのまま行きずりの
良さそうな店に駆け込む事が多い。そして店に腰を落ち着けた後は、じっくりと店内の雰囲気や人の
様子を観察しており、単なる味覚だけではなく、五感で食事を楽しむのである。
残念ながら今回は、仕事の都合もあり、マンション自室へ持ち帰る事となってしまったが・・・
もぐもぐ・・・ もぐもぐ・・・ そうしている内に、五郎は既に弁当を平らげてしまっていた。
五郎「(美味かった・・・ 何か、甘いものでもあればな・・・
そういえば、弁当屋の近くに「芋長」っていう和菓子屋があったな・・・
今度、行ってみるか・・・)
そんな事を考えてながら、五郎は窓の外を見渡す。
彼の在住しているマンションの部屋はそんなに高い部屋ではなかったが、
何とか東京タワーはビルの隙間から覗くことができた。
五郎「・・・・・・?」
一瞬、東京タワーの展望台付近で、強い光が光ったのを五郎は見逃さなかった。
一体何の光だろうかとも考えたが・・・
五郎「・・・まぁ、気にするほどの事でもないか」
そう脳内で片付けると、五郎は食べ終わった弁当の容器を片付け始めた・・・
◇ ◇ ◇ ◇ 午前2:10 東京都内・東京タワー
玄角「おりゃあああ!!!」
玄角は、自慢の棍棒「玄角棒」を、蘭陵王に対し振りぬいた!!
蘭陵王「フンッ!!」
ガキィィン!!!
すかさず、蘭陵王は手にした巨大な長刀を振るい、玄角の攻撃を受け止め・・・
蘭陵王「・・・うおおおおおッ!!」
そのまま、玄角を長刀の一振りで叩き飛ばした!!
玄角「ぐおっ!!」
蘭陵王「フン・・・ その程度・・・」
カイルン「はあッ!!」
蘭陵王「ヌッ!?」
カイルン「天道晴明地道安寧人道虚寧三才一体!!!
大炎焦熱符!!!」
蘭陵王が気を逸らした隙を突き、カイルンは、手に持っていた霊符を眼前の敵に撃ち放った!!! バッ!!!
放たれた霊符は炎を纏い、蘭陵王に向かって高速の速さで飛び交った!!
蘭陵王「ムオッ!?」
ゴオオオオオォォッ!!!
蘭陵王が霊符を打ち払う隙も無く、蘭陵王の体は紅蓮の炎に包まれた!!
蘭陵王「ぐおおおおおっ!!」
カイルン「蘭陵王!!貴様が滅ぼした村の人々は、それ以上の苦しみの中で死んでいった!!
今度は貴様がその苦しみを味わう番だ!覚悟して貰おう!!」 ――――蘭陵王は、中国で復活した際に付近の農村を幾つか襲撃し、壊滅させていた。
襲撃された農村の住民達は女子供に至るまで皆殺しにされ、その骸はある者はそのまま
野晒しに、またある者は頭を潰され、酷いものは生きたまま生皮を剥がされ、数時間
苦しみながら死んでいった物まで散乱していた。
幼い頃に実の妹を妖怪に殺されたカイルンにとって、いや例えそのような経験が
無かったとしても、その光景は正常な思考の人間ならば、まさに眼を覆いたくなるような、
まさに“地獄絵図”と呼ぶものに相応しいものであったに違いない。
その後カイルンは蘭陵王を追い、再びこの日本に足を運んだのだった。
そこで自分と同じ妖怪退治を生業としており、過去に蘭陵王と戦った経験のある
“祟られ屋”九十九乱蔵と知り合い、彼の知り合いの修験行者、玄角も含め、三人で
蘭陵王と戦い、今現在、ようやくこの東京タワーまで蘭陵王を追い詰めたのだった。
なお、カイルンは来日した当初はかつて戦った霊能力者、“鵺野鳴介”に協力を頼む事も
考えたが、乱蔵から彼が今現在日本国内で物議を醸している“スクランブルフォース”に
関わりの深い組織“ATP”に所属している事を知り、恐らく彼にとって状況的に厳しい
かもしれないと考慮し、あえて連絡をしなかったという事情があった。
蘭陵王「おのれ・・・ これしきの炎ごときで・・・」
蘭陵王はそう言い、自分の体の炎を消し去るが、既にその体は所々焦がされていた。
乱蔵「蘭陵王・・・ もう終わりだ。観念して貰おうか」
九十九乱蔵は、手にした刀を蘭陵王に向け、その足を進める。
蘭陵王「ぬぐぅ・・・ わしは蘭陵王・・・ この世界の頂点に立つ男・・・
もう二度と貴様ごときには負けはせぬわ〜〜〜!!!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
蘭陵王は、手に持った長刀を上に掲げ、この穂先に禍々しい妖魔気を纏わせた!
乱蔵「カイルン、玄角・・・ 下がってくれ。奴との決着はこの俺がつける!!」
カイルン「解った・・・ だが、無理はするなよ」
乱蔵は剣を携え、蘭陵王に歩み寄っていく・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
――――風が、音を立てて吹いている中、東京タワーで九十九乱蔵と蘭陵王の両者は対峙した。
蘭陵王「地獄に行けェェェ!!!乱蔵オォォォォ!!!!!」
乱蔵「蘭陵王オオォォォォォォ!!!!」
ドドドドドドドド!!!!!
九十九乱蔵と蘭陵王の両者は、自らの手にする獲物に気功及び妖魔気を帯びさせ、
猛烈な勢いで相手に向かって突撃していった!!!
ザシュッ!!!
―――――そして、一瞬の内に決着は付いた。 乱蔵「・・・・・・」
蘭陵王「・・・・・・」
乱蔵と蘭陵王はつい数秒前まで、相手が立っていた位置にお互い背を向けて全く動かず武器を構えていた。
そして、カイルンと玄角はその光景を見守っている。
乱蔵と蘭陵王が動きを止めてから一分・・・ 二分と過ぎ・・・
――――勝敗は、五分経過した時点で明らかとなった。
蘭陵王「グハアァッ!!」
バシュゥゥゥッ!!
――――蘭陵王の体に、左肩から斜め一直線に切り傷が走り、そこから赤い血が吹き出た。
グワオオオォォォォォ・・・・・・
それと同時に、彼の体は、切り傷を中心に黒い霧と化し崩れていった。
――――誰が言うまでもない、闇狩り師・九十九乱蔵一行の勝利であった。 蘭陵王「負けん・・・ わしはまだ負けんぞおぉぉぉぉ!!!!
わしは大英雄、蘭陵王だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
乱蔵「ムッ!」
体が黒い塵と化し崩れつつも、蘭陵王は武器を手に握り締め、
乱蔵の方向に体を向き直し、斬りかかろうとするが・・・
カイルン「真空斬!!!」
バシュッ! バシュッ!
蘭陵王「ぐおおっ!!」
その猛攻は、カイルンの放った霊符の斬撃によって止められる。
それと同時に、乱蔵は蘭陵王の方に体を向け直し、両手の掌で存在しない“球”を形作るかのよう構えた。
乱蔵「―――はああああぁぁぁぁぁ!!」
乱蔵は、掌と掌の間に気を集中させ――――
乱蔵「寸指破アアアァァァァァァ!!!!!」
ドワアアァァァ!!!
――――蘭陵王に向け、撃ち放った!
蘭陵王「ギャオオオオオ!!!」
寸指破の光に飲まれ、蘭陵王の姿は見えなくなる―――― ――――数秒後、寸指破の光が静かに消え、蘭陵王の姿が光の中から浮き出た。
乱蔵「・・・・・・」
カイルン「・・・・・・」
玄角「・・・・・・」
――――蘭陵王の身体は、乱蔵の寸指破を受けた箇所がそのまま吹き飛んで消えていた。
蘭陵王「乱・・・ ぞ・・・・・・」
ドドドドドドドド・・・・・・
その言葉を最後に、蘭陵王の身体は完全に黒い塵となり・・・・・・
――――数刻後、蘭陵王の姿は完全に消え去った。
それと同時に、彼が手にしていた長刀が音を立てて展望台に転げ落ちた。 カイルン「――――終わったな」
乱蔵「ああ、蘭陵王さえ倒せば後は・・・」
パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・
突如、乱蔵達の近くで、拍手らしき音が響いた。
玄角「!? ・・・なっ、何なんだ、この音は?」
乱蔵「拍手か・・・? だが、こんな場所で、一体誰が・・・」
突然夜空に響いた拍手の音に、驚く二人。
カイルン「!? ・・・強い妖気を感じる・・・
二人とも気をつけろ!この近くに妖怪がいるぞ!それも強力な!」
乱蔵「何だって!?」
カイルンの言葉を二人が聞き取ると同時に、乱蔵と玄角は
自分達の後方に強力な妖気を感じ取り、とっさにその方向を振り向いた。
乱蔵「!! 奴は・・・」 そこには・・・ 拍手の主であると思われる一人の女性がいた。
その女性は、怪しげな裾の長い白い道士服のようなドレスに未を包み、白い日傘を差していた。
ウェーブのかかった金髪を揺らしながら、その女性は怪しい微笑を浮かべている。
外見自体は人間とそう変わらないが、人間との決定的な違いとして、
その女性は、単身で空を飛んでいたのである。
そして、その身体から発せられる妖気。
乱蔵、カイルン、玄角の三人は、彼女が妖怪である事を瞬時に確信した。
???「フフッ・・・ 中々面白かったわ」
カイルン「誰だお前は!?」
女性に対し、問いただすカイルン。
紫「私は“八雲紫”。お察しの通り妖怪よ」
そう言うと彼女は、乱蔵たちに向け、再び怪しい微笑を浮かべた・・・ 343 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/11(火) 18:22:52
○九十九乱蔵&ヤン・カイルン&玄角→苦戦の末、蘭陵王を倒す。
●蘭陵王→乱蔵達に敗れ、撃破される。
△八雲紫→突如乱蔵達の前に姿を現す。目的は今の所不明。
○井之頭五郎→マンションの自室で食事中。乱蔵達の戦闘を目撃(?)するが、特に気にならなかった模様。
【今回の新規登場】
○井之頭五郎(孤独のグルメ)
輸入雑貨の貿易商を個人で営んでいる中年男性。普段は背広を着ている。自由な
生き方をモットーとし、そのため自分の店を構えるつもりはなく、結婚もしていない。
彼にとっての食事とは、他人に構わず、時間や社会に捉われずに、ほんの一時だけ
自分勝手になって幸福に空腹を満たす行為であり、そこには一種の癒しさえも包括している。
その為、己なりの食事に対する信念やポリシーを幾つも持っており、常にこれに則って
食事を楽しんでいる。自分の買わなかった方の弁当に入っていた干しアンズが美味そうだった
等々の細かい事柄にまで、いつまでもあれこれと悩み続ける小市民的な思考の持ち主である一方、
平和で静かな食事を邪魔する人間に対しては容赦がなく、そのような相手に対しては実力行使に
よる制裁も厭わないという、極めて行動的な一面も持ち合わせている。喫煙者で全くの下戸。
高校まで古武術を習っていたため、実はかなりの筋肉質。
はい、そんな訳で、ようやく「妖を狩る者達」編の続きが執筆できました。
戦闘シーンは結構苦心しながら執筆したので、若干変な部分があるかもしれません。
もし違和感を感じる部分があれば、教えてもらえたら幸いです。 384 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/29(土) 22:41:39
午前2:19 東京都内・東京タワー
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・)
星が、寒さに震えるようにまたたく寒空の下、乱蔵達は東京タワーの展望台にて
境界の妖怪・八雲紫と対峙していた。
乱蔵「・・・・・・・・・」
カイルン「・・・・・・・・・」
玄角「・・・・・・・・・」
紫「フフッ・・・・・・♪」
突然の来訪者に、驚きを隠せない乱蔵達。
だが、相手が妖怪だと解っている以上、各々の武器を構え、
いつ戦闘になっても迎撃できる体勢を取っていた。
乱蔵「八雲紫・・・ だったか?」
乱蔵は、紫に対し、口を開いた。
紫「ええ・・・ そうよ」
それに対し、紫も返答する。 乱蔵「――― 一つ質問するぞ、八雲紫。お前が俺たちの前に現れた理由は何だ?」
紫「あら?理由なんて聞いてどうするの?」
乱蔵「俺はこれまで、数えられないほどの悪霊や妖怪を相手にして、そして退治してきた。
・・・・・・だから分かる。お前は俺が戦ってきた連中が足元にも及ばない程の妖気を放っている。
今俺達が束になって戦っても、万に一つも勝てるかどうかは分からない・・・」
カイルン「・・・・・・」
玄角「・・・・・・」
乱蔵は確信していた。そしてカイルンと玄角も分かっていたに違いない。
自分達が退治している妖怪・八雲紫の実力が、先ほど戦ってきた蘭陵王の比ではないという事を。
そして、この場で彼女と争えば、間違いなく、眼下の市外に被害が及ぶと言う事を・・・・・・
紫「―――それで、何かしら?」
乱蔵「お前が俺達を狙っているのなら、応戦せざるをえないが・・・
それ以外の目的なら、どういう理由か言って貰いたい」
紫「・・・・・・」
乱蔵「・・・・・・」
カイルン「・・・・・・」
玄角「・・・・・・」
四人の間に、一瞬の沈黙が訪れる。
僅か数秒にも満たない間であったが、乱蔵達にとっては数分にも感じられた。
―――そして、紫はその口を開いた。 紫「フフッ・・・ 少なくとも、あなた達を襲おうとは考えてないわ」
カイルン「―――じゃあ目的は何だ!言え!」
カイルンは激昂しかけながらも、紫に対し問い詰めた。
しかし紫はなんのこともなく、普通に返答を行った。
紫「そうね・・・ しいて言うなら、“面白そうだったから”かしら」
カイルン「面白そうだったから・・・ だと?」
カイルンの目に不信の色が移る。
元から彼は目の前の“八雲紫”と名乗る妖怪に対し胡散臭さを感じていたが、
今のあまりにも怪しい返答に不信感を募らざるを得なかった。
紫「ここ最近、こっちも色々と大変なのよ。変な連中がやってきて、
流石に幻想郷のバランスが崩れそうだったから、どっか遠い星に追い出したりして・・・
なんか、外もこっちも色々と面倒な事が起こりすぎてるのよ」
カイルン「変な連中? 幻想郷? 何の事だ、俺にはさっぱり・・・」
カイルンは、紫の言った単語に、さらに不信感を覚えたが―――
乱蔵「なに!?幻想郷だと? まさか貴様は幻想郷の妖怪か!?」
突如、乱蔵が驚いた様子で大声を上げた。
カイルン「なんだって!?、知ってるのか乱蔵!?」
乱蔵「ああ、聞いた事がある」 遥か昔、東の国にある人里離れた辺境の地に、「幻想郷」と呼ばれる土地が存在したと言われている。
幻想郷には様々な妖怪が多く住み着き、ここに迷い込んだら最後、妖怪に喰われてしまうとして恐れられていた為、
普通の人間は幻想郷には近づかなかったが、中には妖怪退治の為に幻想郷へ住み着く人間もいた。
そして千年以上の月日が流れ、明治時代の文明開化の過程で非科学的な事象は「迷信」として排除されていき、
幻想郷はそこに住み着いた妖怪達や一部の人間達の末裔と共に、強力な結界の中に封印されてしまった。
その後幻想郷の存在は人々から忘れ去られていったが、結界に封印された後も幻想郷には以前と変わらず
多くの妖怪たちと僅かな人間たちが住んでおり、結界によって幻想郷が閉鎖された為、外の世界とは異なる
精神・魔法中心の独自の文明を築き上げていったらしい。現在では妖怪たちは既に結界など容易に解けるように
なっているらしいが、現在は逆に以前よりさらに強い力で結界を張り直して外部からの侵入を防いでいると
言われている。現在の幻想郷は、人間と妖怪とのバランスの関係により、昔に比べると妖怪が人間を食う事は
ほぼ無くなっているらしいが、幻想郷全体の力と均衡を保つため、妖怪が人間を襲い、人間が妖怪を退治すると
言う関係はそのまま残っていると言われている。
なお、幻想郷が結界に封印される以前の描写は、筆者が自身で資料に書かれていた事柄を纏めたものであるが、
結界に封印された後の描写は、筆者が個人的に連絡を取ることができた人物からの証言に基づくものである。
その人物の詳細は、本人のプライバシー保護の為、某ゲームメーカー所属のゲーム開発者であること以外は
書けないが、現在でも稀に、外の世界の人間(我々の事である)が幻想郷に迷い込んでしまい事があるらしい。
民明書房刊 『決定版 世界の魔境・秘境』より 紫「―――へえ、幻想郷の事を知ってるの。少し驚いたわ。
驚いたついでに折角だから一つ、ニュースを教えてあげるわ。
さっき私が言った変な連中って言うのは、幻魔の事よ。
連中が、再び動き出そうとしてるわよ」
玄角「“幻魔”? 一体なんだそりゃ? 新種の妖怪か?」
玄角は、紫の言った言葉を理解できなかった。だが―――
カイルン「何だって!? 幻魔だと!? 奴らがまた動き出していると言うのか!?」
カイルンは、紫の言葉に、表情を引きつらせて戦慄していた。
その表情に、玄角も困惑を隠せなかった。
玄角「お、おい!その幻魔ってやつも何だよ!?」
玄角は、近くにいた乱蔵に困惑しながらも問いただした。
乱蔵「―――玄角、半年前にパリで起きた事件を知っているか」
玄角「確か・・・ 凱旋門付近を中心に、無数のバケモンが現れて、パリの住民が虐殺された事件だったっけか?
新聞やネットの情報じゃ、事態を解決するために軍隊や対外治安総局の他にも、
「シャッセール」とか言う対特殊犯罪組織まで出動して、何とかバケモンを全滅させたとか・・・」
乱蔵「ああ、その時現れた怪物こそ、幻魔と呼ばれる妖物だ。
日本でも、平安時代から戦国時代を中心に暴れまわっていたらしい。
実際に会ったことは無いが、雲斎先生に当時の文献を見せて貰った事があるぜ」 数百年前の戦国時代、この国では織田信長や武田信玄を始めとする数多の武将が覇権を争っていた。
だがその裏で“幻魔”と呼ばれる怪物が戦乱の世で戦火を煽っていた事は殆ど知られていない。
この幻魔に関する文献は現在は殆ど残っておらず、つい最近まで歴史の闇に葬られていたが、
つい半年前、パリに突如無数の怪物の軍勢が現れると言う事件が発生し、その際出現した怪物が、
巻物に載っていた“幻魔”に酷似しているという情報が、とある神社からの匿名の連絡で発表された。
それに便乗するかのように、当時の“幻魔”の絵姿を映した資料が続々と各地の仏閣から発表されたが、
その実像は未だ分からない事も多く、またパリ側も現地に出現した“幻魔”に関する情報は、
一部を除き一般には公表されていないため、事件は知っていても“幻魔”の事は知らない者が大多数である。
余談ではあるが、先のパリの事件において、日本の戦国時代の甲冑を着た侍が幻魔と戦っていたと言う
突拍子も無い噂が現地で都市伝説レベルで語られているが、“黄泉還り”等の人知を超えた怪奇現象が
多発している中、戦国時代の侍が時空を超えて現代に現れたとしても何の不思議も無いと思われる。
民明書房刊 『戦国時代暗黒史』より
紫「・・・それじゃ、そろそろおいとまするわ」
ブワアアァァッ!!!
紫がそう言うのに合わせるかのように、突如彼女の背後に巨大な空間の裂け目が現れた。
空間の裂け目の中は赤や紫、黒色等の色が混ざっており、大きな目らしきものも見える。
裂け目・・・ “スキマ”と称されるそれは、そのまま彼女の体を包むように飲み込んだ。
カイルン「待て、八雲紫! お前は今回の事件をどこまで知っているんだ! 答えろ!」 丁度紫はスキマ隙間から頭部だけが見える状態になっていた。
彼女はそのまま乱蔵達に対し、こう言った。
紫「―――“アンゴルモアの大王”に気をつけることね」
紫はそう言うとクスリ、と怪しい笑みを浮かべ、頭部をスキマの中に沈め・・・
乱蔵「おい、待て!」
――――乱蔵が問いかけた頃には、既に紫はスキマもろとも虚空にその姿を消していた。
カイルン「くそっ・・・・・・」
乱蔵「・・・・・・」
玄角「・・・・・・」
――――乱蔵達は、東京タワーの展望台に、つい先程まで八雲紫が存在していた
虚空を見上げながら、その場に立ち尽くしていた。 午前4:00 東京都内・東京タワー
戦いを終えた乱蔵達は、東京タワーの展望台から、タワーの根元の地面に降り立っていた。
カイルン「乱蔵・・・ あの妖怪の女の言った言葉・・・ どう思う?」
カイルンは、乱蔵に問いかけた。
乱蔵「さあ、どうだろうな・・・ ただ、今の状況じゃ謎が多すぎる。
一旦どこかで落ち着いて、話を纏めよう」
カイルン「そうだな―――」
乱蔵「玄角」
玄角「な、何だよ、いきなり」
乱蔵は、腰のポケットから一枚の紙切れを玄角に渡した。
乱蔵「雲斎先生の住所が書いてある。先生の所に言って、
今回あった事を伝えてくれないか。何か解るかも知れない」
雲斎先生とは、乱蔵の師匠であり、退魔師としても一流の能力を持った
真壁雲斎の事である。
玄角「・・・解ったぜ。俺も、何か嫌な予感がするぜ。
会うついでに、“幻想郷”や“幻魔”について色々聞いてくるぜ」
そう言うと、玄角はとっとと駅の方向に向かっていった。 カイルン「乱蔵・・・ 俺たちはどうする?」
乱蔵「・・・とりあえず、日を改めてどこかで待ち合わせしよう。
それと、知り合いの退魔師にも来てもらうつもりだ」
乱蔵の言った“退魔師”と言うフレーズに、カイルンは少し表情を変える。
カイルン「知り合いの退魔師・・・? 俺たちと同じか・・・?」
乱蔵「ああ、草波 龍志郎って奴だ。
少し硬いが、いい奴だし、退魔師としての実力も問題ない」
カイルン「フム・・・ 解った」
その後、乱蔵はカイルンの宿泊しているホテルの電話番号を聞くと、
カイルンと別れた・・・ 祟られ屋・九十九 乱蔵。
霊符師ヤン・カイルン。
彼らもまた、この地上のみならず、様々な異世界を巻き込んだ
騒乱の歯車の中に巻き込まれつつあった。 385 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/29(土) 22:44:06
○九十九乱蔵、ヤン・カイルン→後日再開する事を約束し、今は別れる。
○玄角→乱蔵の師匠・真壁雲斎の所に向かう。
△八雲紫→意味深な言葉を幾つか残し、退場。 255 名前:新章/遠い星で −In land that no one knows...−:2008/01/23(水) 07:16:16
遥か宇宙の果て…
誰も辿り着く事のできない銀河の片隅に、一つの名も無き星が存在していた。
その星は、見る限り海はあるようだが、地表は岩だらけで、
わずかに植物らしき物体が地表に生えている以外は、特に見るべきものもなかった。
―――その星のとある砂漠で、四人組の男たちが無数の異形の怪物達を相手に
暴れまわっている以外は・・・・・・
悟空「―――お前らどっからわいて来んだよっ!」
茶髪金眼の頭に金色の輪をつけた少年孫悟空は、自分の右手に如意棒を携えつつ、
自分の目の前の怪物たちに向かい叫んだ。
刀足軽「ギシャアァァァ・・・」
槍足軽・改「ギギギ・・・」
ゴザレス「グググ・・・」
フォボラ「・・・・・・」
笠を被った骸骨型の怪物刀足軽、槍を持った甲冑姿の槍足軽・改、
巨大な身の丈ほどあろう巨大な棍棒を持ったゴザレス、
姿格好は西洋鎧そのものだが、赤い光を不気味に放つフォボラ等、
その他にも様々な外見をした無数の怪物達が悟空の眼前で武器を構えていた。
悟空達とは別の世界において“幻魔”と呼ばれる怪物達は、
理由は不明だが、この名も無き星に大量に集結しており、
同じくその世界に流れ着いていた悟空達に群を成して襲い掛かって来るのであった。 ザシュッ!!
鎖に繋がれた三日月状の刃が飛び交い、一人の紅髪の男の周囲の怪物達を薙ぎ払う。
悟浄「・・・流石に飽きるぜ」
紅髪紅眼の革ジャンを着用した長髪の男沙悟浄は、先程怪物達を薙ぎ払った
刃を鎖で繋ぐ錫杖を手に、そう呟いた。
悟空と悟浄が奮闘する一方、金髪紫瞳の僧侶を彷彿とさせる衣装の男玄奘三蔵と、
黒髪緑眼の片目にのみ眼鏡をかけた青年猪八戒は、背中合わせになりなが周囲を
取り囲む無数の怪物達に向き合っていた。
ズモー「グオオオォォォオオオ!!」
ドンガッチャ「ゴガアァァァァアア!!!」
怪物達の群の中から突如、紫の体表の大柄な幻魔ドンガッチャと、全身が白と茶色の
毛に覆われた雪男を思わせる幻魔ズモーが、三蔵と八戒に向かい突進してきた!! 三蔵「・・・おい、今週は見たことも無い怪物のキャンペーン中か何かか?
八戒「・・・そうかもしれませんね、・・・これでもう」
そう言いつつ、八戒は右手を構え、気を集中させ――――
八戒「二日連続ですからねっ!!!」
コオオオォォォ・・・ バアアアアアッ!!
眼前の2匹に向け、撃ち放った!!!
ズモー「グオオォォオオ!!」
ドンガッチャ「ゴガアァァァア!!!」
八戒の放った気の光に飲まれ、ズモーとドンガッチャは消滅する。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 悟浄「―――とりあえず、ここは何処だ?三蔵」
三蔵「・・・俺が知るか」
四人組の男の内、紅髪紅眼の革ジャンを着用した長髪の男「沙悟浄」は、
辺りを見回しながら金髪紫瞳の僧侶を彷彿とさせる衣装の男「玄奘三蔵」と会話していた。
悟空「確か、二日前に俺達がジープに乗ってたら、目の前がいきなり“ピカーッ”って
光って、気が付いたら、こんな所にいて・・・ あぁ〜、もう、何がどうなってるんだよっ!!」
八戒「・・・これは、ひょっとしてアレじゃないでしょうか?」
悟空「“アレ”?」
八戒「いわゆる“異世界に飛ばされた”ってやつです」
ジープ「ピ―――」
八戒はいつもの笑顔でそう答えた。彼の方に乗った白い小さな竜の白竜こと
ジープもそれに相槌を合わせるかのように鳴き声を上げた。
悟浄「・・・お前、それマジで言ってんのか?」
悟浄は、八戒に対してそう問いかける。
八戒(三蔵と悟空ともだが)とは結構長い付き合いの悟浄は、
彼がどういう人物なのかはある程度理解していたが、
流石に“異世界に飛ばされた”という発言には少々戸惑いを隠せなかった。
八戒「じゃあ、他に理由が思いつきますか?」
その問いに対し、八戒も笑顔で返答する。
悟浄「―――そう言われても、なぁ・・・」
困惑顔の悟浄。無理もない。 三蔵「まあ何にせよ、俺達にとって今一番重要なのは・・・」
三蔵は口に銜えた煙草(ソフトケースのマルボロ赤)に火を点け、周囲を見渡す。
(グルルルル・・・・・・)
(ギギギギ・・・・・・)
(ギシャアアァァ・・・・・・)
彼らの周囲には、無数の幻魔達が群を成して蠢いていた。
ある個体は骸骨の様な外見をしており、またある個体は甲冑に身を包んで槍を構えている。
他にも、空を飛ぶ個体、蜘蛛と人間を足して2で割ったようなもの、河童や猿を思わせるもの、
長い触手を生やしたもの、般若の顔をしたもの、ボクサーと剣闘士の中間のような外見のもの、
挙句には、どうみてもキャノン砲にしか見えないような大型の個体など、様々な外見をした
幻魔達が三蔵達を取り囲む形で陣取っていた。
八戒「この数相手に、どう対処するかですね」
八戒はそう呟く。もちろん笑顔で(笑)
三蔵「―――オイ、前にも何回かこんな事無かったか?」
八戒「何回かどころか、何十回もあったような気が気がしますねぇ」
悟浄「『三蔵様ご一行襲撃ツアー』ってか?美人コンパニオンはいねえのかよ」
悟空「ツアーときたらフルコース料理だろっ」
八戒「最近は、食べ放題ツアーってのもありますけど」
悟空「!! ・・・俺それがいいっ!!」
悟空は目を輝かせてそう答える。 三蔵「・・・しかし、流石にこいつは勘弁だ」
三蔵は、自分達の周囲の幻魔の軍勢を見回し、そう呟く。
幻魔の軍勢の数は、目測だけでも数百匹を越えているのは明らかだ。
流石の三蔵も、この状況には苦笑いを隠せなかった。
悟浄「ノルマは・・・ 正直、数える気にもならねェな・・・」
八戒「最低でも一人百匹くらいでしょうか?」
三蔵「・・・ゴチャゴチャ言ってる暇は無いな」
悟空「おっしゃー!!」
悟空、三蔵、八戒、悟浄は各々の戦闘体勢を取り、幻魔の軍勢に突撃した!!!
新章/遠い星で −In land that no one knows...− 256 名前:新章/遠い星で −In land that no one knows...−:2008/01/23(水) 07:17:52
○三蔵一行→宇宙の彼方の辺境の名も無き星に時空転移する。
とりあえず幻魔の軍勢が襲い掛かってくるので撃退する。
●幻魔の軍勢→時空転移でこの星に送られた模様。総勢数百匹以上いるらしい。
同じく時空転移してきた三蔵一行に襲い掛かる。
【今回の新規登場】
●刀足軽(鬼武者シリーズ)
ギルデンスタンが最初に造った兵士を素体とした幻魔(造魔)。下等幻魔程度の戦闘能力を
持ち、主に先兵として活動する。武器は日本刀。呼吸音などを頼りに獲物を探す。思考能力は
低いが、原始的な「狩り」の能力を高める為に脳内に手術が施されており、その名残として
笠の下は頭蓋骨が剥き出しになっている。豊臣軍は兵士に幻魔蟲を埋め込む事で製造していた。
強化バージョンの「刀足軽・改」も存在する。
●槍足軽・改(鬼武者シリーズ)
槍術に長けた兵士を素体とした幻魔(造魔)の「槍足軽」の上級種。
敵を追いかけるように突進して攻撃する。甲冑の色は茶色。
●ゴザレス(鬼武者シリーズ)
仁王のごとき容姿の中等幻魔。棒術に長けており、身の丈ほどの巨大な長尺の棍棒を
巧みに操る怪力の持ち主。上位種に「バイゴザレス」「ライゴザレス」がいる。
●フォボラ(鬼武者シリーズ)
謎の存在「闇傀儡」を参考にギルデンスタンがパリの軍事博物館から略奪した
西洋鎧を用いて生み出した特殊な造魔。赤い光を放っている。武器は剣と「幻魔弾」。
ギルデンスタンが自らの護衛用に作った「ネロフォボラ」という個体も存在する。 ●ドンガッチャ(鬼武者シリーズ)
知能が低い下等幻魔「ガッチャ」が齢百歳を超えたもの。
老練のその強さはガッチャの比ではない。額の角が特徴。
●ズモー(鬼武者シリーズ)
未来に送られたギルデンスタンが動物園のゴリラに象の心臓を移植し、幻魔の血を配合
させた変異体を素体とした幻魔(造魔)。非常にタフで抜群の環境適応能力を持つ。
性質は凶暴で、敵と認識した生物には容赦なく襲い掛かる。 500キロ以上ある巨体を
活かしたボディプレスや、鋭い爪を備えた豪腕の一撃は並の造魔の比ではない。上位種の
「グリズモー」は、時のねじれ装置によって戦国時代に転送されたズモーが、極寒地帯と
化した琵琶湖に環境適応した個体である。
○ジープ/白竜(最遊記シリーズ)
禁断の汚呪と呼ばれる、「化学と妖術の合成」によって作り出された存在。
普段は翼を持つ白い小竜だがジープに変身することができる。ジープに変身後も
ある程度は自身の意思で動くことが可能。三蔵、八戒を偉い人、悟空を自身と同等、
悟浄を下に見ている(決して仲が悪い訳では無く、むしろ良好)。
◆幻魔【鬼武者シリーズ】
異世界「幻魔界」に存在する魔物。平安時代から戦国時代を中心に日本でも暗躍した。
外見は人型から不定形まで存在し、その他知能、生態、寿命も千差万別である。
分類としては以下のようになる。
■幻魔王……全ての幻魔を総括する存在。
■高等幻魔……十万分の一の割合しか存在しない。人の及びもしない知能と戦闘力を有する。
■中等幻魔……下等幻魔に比べ戦闘能力、知性共に大幅に向上いている。武器による戦闘を好む。
■下等幻魔……知能が低く、昆虫のような習性を持つ。自分より上の幻魔の言葉に本能的に従う。
■造魔……高等幻魔が幻魔以外の生物(主に人間)を素体として造った幻魔。 そんな訳で、最遊記編の冒頭です。
本当は、MMR編を書き上げるつもりでしたが、談話室の>785でも
書いている通り、話の流れ的にこちらを先に仕上げないと、少々
面倒になりそうなので、先にこちらを仕上げて投稿することになりました。
三蔵達と幻魔の軍勢が送られた名も無き星の正体は、
もう少し話を進めたら明かそうかと思います。
・・・まあ、見ようによっては、
「空間も時間も違う戦士達は、各々の武器を振るい、戦場を駆けるのだった。
――――彼らが同じ戦場を共に戦うのは、まだ少し先のことである」
・・・ともとれるかもしれませんが(苦笑
後、鬼武者の幻魔の更に詳細を知りたい方は以下リンク参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AC%BC%E6%AD%A6%E8%80%85#.E5.B9.BB.E9.AD.94.E3.83.BB.E6.95.B5.E5.8B.A2.E5.8A.9B 702 名前:新章/遠い星で −In land that no one knows...−・SSテスト:2008/09/11(木) 00:04:05
三蔵、悟空、八戒、悟浄が幻魔の軍勢に突撃してから、十数分後――――
ベガバンクヲー「・・・・・・・・・!!!」
装甲に身を包んだ巨体の幻魔ベガバンクヲーが、両腕の大砲を悟空に向け、
強力なチャージショットを撃ち放った!
悟空「どわッ!! ・・・っと!」
悟空はその砲撃を紙一重でかわすと、素早い動きでベガバンクヲーの懐に潜り込み、
そのままベガバンクヲーの真正面にジャンプし、如意棒を振り上げ―――
悟空「―――如意棒ッッ!!!」
ベガバンクヲーの頭めがけ、振り下ろす!!
ベガバンクヲー「・・・・・・・・・ッッ!!!」
如意棒の強烈な一撃を頭部に食らったベガバンクヲーは、地面に崩れ落ち、
そのまま赤い塵となって消滅した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 一方悟浄は、バズーやドラバズーといった幻魔の兵の群に周囲を取り囲まれていた。
数はおよそ十数体といったところか。
悟浄「ケッ・・・ そんなに俺に用があるってのか?
どうせだったらイケてるネーちゃんにでも囲んで貰いたいところだけどな」
悟浄はそう言いながら、錫月杖を構える手を少し緩めた。
幻魔達はそれを待ってたとばかり、一斉に悟浄に飛びかかってきた!!
悟浄「・・・・・・・・・」
幻魔達の脳裏には、かつて炎に包まれたパリの都で、幻魔から逃げようとした人間の頭を、
大きな鉈で叩き割り、そこから滴る脳漿、脳髄の味、白い骨を噛み砕いた時の歯応えが思い出されていた。
幻魔達は、もはや目前となった悟浄を見据え、口から涎を垂らしながら、鉈を振り上げた。
――――もう少しで、あの味を再び口にできる。幻魔達は、自分たちの勝利を確信した。
―――――しかし、彼らがその味を味わうことは二度と無かった。
バズー「―――――ッッ!?」
幻魔達が気付いた時には、悟浄の錫月杖から伸びた長い鎖が、彼らの周囲を雑じっていた。
そして、その鎖の先に繋がれた巨大な三日月型の刃によって、幻魔達の体は細切れにされていた。
ドラバズー「ガアアァァァァ・・・・・・ッッ」
幻魔達“だった”残骸は、走馬灯を見る暇も無く、地面に転げ落ちて赤い塵と化し、消え去った。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
八戒「必殺っっ、害虫駆除!!」
ボルチマンド「ジャアアァァッッ!!!」
ドロガンド改「・・・・・・・・・・・・」
八戒は、掌から放たれる気の光を周囲に撒き散らし、
彼の周囲に密集していた幻魔達を、悟浄同様一網打尽にしていた。
八戒「――――ふぅ」
八戒は、自分の周囲の幻魔が全滅したことを確認すると、
掌に纏っていた気を、少し緩めるが・・・
黄泉土竜「ガアアアアッッ!!!」
突如、八戒の背後の砂丘から、4本の鋭い爪をもった幻魔・黄泉土竜が飛び出し、
八戒に襲いかかった!!
八戒「―――なっ!?」
八戒は振り向き、すぐに反撃をしようとするが、いかんせん相手の動きが早い。
万事休すという言葉が、八戒の脳裏を過ったが・・・ ザシュッ!!
黄泉土竜の爪が八戒を傷付ける前に、悟浄の錫月杖から伸びた刃により、
黄泉土竜の頭部は、胴体と永遠の別れを告げていた。
悟浄「ヤレヤレ、っと・・・ 八戒、そっちはどうだ?」
八戒「――――ええ、粗方片付けましたよ。後は・・・」
そう言うと、二人は自分達から若干離れた場所にいる、三蔵に目を向けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ バラワッシャ「ゴガアアアッッ!!!」
バラゼダン「ジャアアッッ!!!」
ダイアマンド「・・・・・・・・・ッッ!!!」
赤い体色の巨大な体躯のバラワッシャ、巨大な剣を手にした骸骨のような外見のバラゼダン、
そして中世の剣闘士のような外見のダイアマンドといった幻魔達を筆頭に、
数十、もしくはそれ以上はあろう幻魔の軍勢が、三蔵に向かって飛び掛かっていった!!
三蔵「・・・・・・・・・」
三蔵は、自分の肩に掛かっている経文「魔天経文」に手をかけ、肩から取り外す。
取り外された経文は、外れたと同時に一束の経文へと変わり、三蔵の手に収まる。
三蔵「観自在菩薩行深般若波・・・・・・ ・・・・・・即説咒日・・・・・・」
(コオォォォォォォ・・・・・・)
三蔵が読経を唱えると同時に経文は解け、元々の経文のサイズからは
想像できないほどの長さとなって、周囲に広がっていき・・・
三蔵「――――――オン・マ・ニ・ハツ・メイ・ウン!! 魔戒、天浄オオオォォッッ!!!」
三蔵が叫んだと同時に、経文の束が光を発し、幻魔の軍勢に解き放たれたッ!!
バラワッシャ「ゴガアアアァァァ・・・・・・ッ」
幻魔の軍勢は魔天経文の光に呑まれ、跡形も無く消滅した――――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ―――――暫くして、悟空、悟浄、八戒は、三蔵の元へと集まっていた。
悟空「・・・相変わらず、スゲェなぁ、そいつ」
三蔵「フンッ・・・ これは特別な経文だ。あの程度の奴ら何ぞ」
悟空「ふ〜ん」
彼らの周囲には、幻魔達が使っていたと思われる武器や防具が、
もはや使い物にならないほどにボロボロになった状態で散らばっていた。
悟浄「―――にしても、三日前からよく見かけるが、こいつら一体何なんだ?」
八戒「う〜ん・・・ 少なくとも、妖怪ではないと思います。
紋様上の痣もありませんし、妖力制御装置らしきものも見当たらないですし・・・
やはり、人間とも妖怪ともまったく別の存在なんじゃないでしょうか」
悟空「うーん、倒すので精いっぱいで考えてなかった」
三蔵「―――どちらにせよ、俺達を襲ってきた以上、敵に変わりはない。
殺されたって、文句は言えねぇだろ」
三蔵がそう言い捨てた、次の瞬間――――
金剛「ヌオオオオッッ!!!」
突如、黄色い衣に身を包んだ幻魔武将金剛が、付近の砂の中から飛び出し、
三蔵の背後から大鉈を振り上げ、斬りかかってきた!!
三蔵「――――――ッ!?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています