【地獄の】イヤリング官女官能スレ【三人官女】
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0001名無しさん2014/06/15(日) 02:02:09.58ID:P/i8Ux01
このスレはスーパー戦隊シリーズ第17作目。
「五星戦隊ダイレンジャー」に登場する悪の組織、ゴーマ族の侍女
地獄の三人官女の三女「イヤリング官女」でHな妄想をするスレです。

ルール(最初に読んでください)

・人の好みは千差万別、好みに合わなかった方は見なかったことにしてください。
・荒らしやアンチはスルーしてください。皆さん、仲良く妄想しましょう。
・SS投下や画像の貼り付けは、このスレではOK。
 ただし、基本的にイヤリング官女のみで。
 例外として指輪官女とネックレス官女もOK。(姉妹だからね)
・人を不快な気持ちにさせる言葉遣いは控えましょう。

以上です、追加事項が増えるかもしれません。

それでは、お願いします。
0101名無しさん2014/06/22(日) 02:49:22.76ID:AsFATnCm
 記念すべき100が訂正分になってしまったことと
なんかズレてしまった訂正分になってしまったことを
お詫び申し上げます。すいませんでした。

文字列をピッタリに合わせた筈なのに……。何故……。
0102名無しさん2014/06/22(日) 03:23:13.98ID:AsFATnCm
第2章「プロジェクト・コロニー」

 地球から何億光年も彼方にある惑星「マウス星」では
今まさに、一大計画を始めようとしていた……。

 マウス星、それは我々以外の知的生命体が住んでいる惑星である。
地球とは似たような外観の惑星で、水や酸素、その他諸々の物質が存在している。

 マウス星が誕生した最初のころ、地球の生命の誕生の歴史と同じように、海から生物の進化が始まったが
ある時、陸上に繁栄した生物の中で、突然変異で誕生した種族が、この星の頂点に君臨し
さらに、その数を増やしながら進化をどんどん繰り返していくにつれて
その種族は高い知性を身につけ、体が活動に適応するように二足歩行に進化し
文字や言葉によるコミニュケーション能力まで備えたのだから驚愕だ…………。
まあ、我々人類も似たよう進化だが、その進化後がもっと凄かった。
その知性はとどまることを知らず成長し続けて…………。

 なんと!!我々と同じ社会形態をとり、我々が想像するような未来都市を開発するまでに至っていた。

 この星の科学技術は現在、今の人類の科学技術を遥かに上回っており
生み出した物は、我々人類が作り上げるには、まだまだ時間が掛かりそうな物ばかりである。

 タイムマシンや物体転送装置、汎用型宇宙船などが存在し
人々は、人工知能を搭載したロボット達と共に働き、高度な文明を築いている。

 だが、この星の住人達は我々人類から見ると、とても驚くべき姿をしている。
その体は、首から上が動物の「齧歯目」それより下は我々「人間」と同じ体型で
全身には、フサフサと短い毛が生えており、前歯が鋭い。
種族によってはなかったり短い者もいるが、尻尾が伸びている。

 顔がネズミっぽく、体が人間の生物は地球上には存在しない為
大変、奇怪な姿かもしれないが、これがこの星の人々の当たり前の姿である。

 彼らは、強大な軍事力を保有しているが、一部の種族を除いて非常に温厚な性格の種族で
争いの為にその力を使わず、軍隊は災害救助などのレスキュー部隊として活躍し
科学技術は、この星の発展を願って作られた物ばかりである。

 ところが…………。マウス星はある厄介な問題を抱えていた。
0103名無しさん2014/06/22(日) 04:32:34.31ID:AsFATnCm
 それは、このマウス星の人口が増えすぎて
土地不足問題と食料不足問題に苦しみ始めた。

 マウス星の人々は素晴らしい科学力を持っていても
この難問を合理的に解決するのは難しかったようだ。

 その為、朝から晩まで会議が開かれ、
一つの会議室に種族の代表が集結し、あれこれ議論をしていた。

 彼らは最初に、海を埋め立てて土地を増やすという計画を出したが
海が埋め立てられたら貴重な海産物資源が大量死滅する可能性に加えて、
労力も時間もかなり掛かるという結論に達し、海を埋め立てるのは没になった。

 次の意見は、空に家を浮かせて滞在しようという意見だったが
しかし、それには浮き続ける為のエネルギーを莫大に消費する上に
星の大気を狂わせてしまう。効率的ではないと意見がまとまり、これも没となった。

 地中にシェルターを作り、その中で住むという意見も出たが
大地震が来た際に崩れて、生き埋めになったら危険だし、救助をするのも一苦労だと
意見が出て、すぐに没にされた。

 理想のアイデアは、時間が余り掛からず、食糧不足も解決ができ
かつ、エコロジーでこの星に負担を与えないというのが、基準だった。

 会議はなかなか最高のアイデアが出ずに
時間だけが悪戯に過ぎて行った。

 その間に、少子化条例で人口の爆発的な増加は収まったが
少しずつ確実に増え続け、食料も配給制へと変更された。

 常に満員電車状態での環境と空腹で
温厚な性格の彼らも次第にイライラし始め
このままでは、暴動が起こる可能性も危惧された。

 そんな中で、また一つ、アイデアが提案された。
0104名無しさん2014/06/22(日) 06:01:11.85ID:AsFATnCm
 そのアイデアとこれまでとは一線を越していた提案だった。

 それは他の星に移住する計画だった。

 その内容は、まずはマウス星のスーパーコンピュータに移住できそうな星を割り出させて
移住が可能か判断する。だが、宇宙は広いので判断できるのは
マウス星の人々がその星に住めるか、住めないかどうかでしか分からない。

 その場合はその星に、調査部隊を派遣し知的生命体の有無などを確認して、星の環境を調査
細かい基準を満たしていたら、通信でマウス星から移住ができると伝え
大型物体転送装置をその星に運び込み、マウス星側から都市開発に必要なものを転送させる。

 もう既に知的生命体が繁栄している場合はその星を諦めて別の星を探す。

 そして、十分に暮らしていける環境を整えてから人々を移住させて
土地と食料の負担を二つに分けるという提案だった。

 意外と基準を満たす星はたくさん存在するが
他の生物が既に繁栄している星も多く。
なかなかいい星は見つからない。

 とはいっても、彼らは他の生物が既に住んでいる星を侵略をして
土地や食料を奪い取る気はない。

 彼らは平和的に、問題の解決がしたかった。

 そこで、移住できる星の条件を書き出した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・調査するのは、マウス星と限りなく環境が似ていると判断された星。

 理由(あまりにもかけ離れていると生命維持装置などの準備に時間と手間がかかる。)

・知的生命体のいる星には移住をしてはいけない。

 理由(争いの元になるから。相手の進化の阻害をするから。)

・生物が進化を遂げている星にも移住をしてはいけない。

 理由(これから誕生する星の生命と進化の歴史を変えてしまったらいけないから。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 そして軍隊は「惑星調査部隊」へと、編成され候補の星が見つかると
基準を満たした星か調査をするために派遣されていった。

 調査部隊は何億光年の距離を地球の時間で換算して8時間ほどで
宇宙空間の移動が出来る「探査型宇宙船」に
5人1組の部隊で乗り込み、惑星調査に向かうのである。
 
0105名無しさん2014/06/22(日) 06:50:13.00ID:AsFATnCm
マウス星が夕方の頃、調査部隊がまた星に派遣されようとしていた。
4人がモニターの前に集合し指令を待っている。

?「今日は確か……この星か……。」

真ん中のリーダー格の男が、星のデータを見ながら
今回の目的地の確認をする。

?「そうみたいだな……。」

右隣の男が言葉を軽く返す。あまり話さないタイプの男なのだろう。

?「あのコは集合するのがいつも遅いわね〜。」

真ん中の男から左隣の女性が、やる気のなさそうにつぶやく。

?「全くだよ!!……アイツはいつも……ウンコが長いんだよ!!」

女の左にいる男はイライラしている。

?「嫌よ〜そういう汚い言い方、もっと増しな言葉が選べないの〜。」

?「うるせぇな!!この上品かぶれが!!」

?「まあ〜、酷ーいこの人、レディに向かって〜、私〜泣いちゃうかも〜。」

?「なんだとぉ!!てめぇ!!」

口論を始めた2人を周りが諌める。

?「2人とも、静かにしろ。もうすぐ出発時刻だ。」

?「奴も直に来るだろう……少し黙っとけ……。」

2人に怒られて静かになる部屋。

?「ハイハ〜イ。」

?「チッ……。」

その時、此方に向かって急ぐ足音が聞こえる。」

?「おっ、来たみたいね。」

?「やっとかよ……。」

?「…………。」
0106名無しさん2014/06/22(日) 07:25:13.42ID:AsFATnCm
?「すみません、遅れてしまって……。」

?「遅〜い、もう待ち疲れちゃって眠いわ〜。」

?「トイレぐらい早めに行って終わらせろよ!!」

?「すみませんでした……。」

?「…………。」

?「オイオイそれぐらいにしとけよ。もうすぐ指令が来るぞ。」

そう言った瞬間にモニターが付き、軍服を着た男が現れた。

?「こんばんは、諸君。」

5人「「「こんばんは!!ゲンシ大佐!!」」」

ゲンシ大佐「うむ、では名前を読み上げる、呼ばれた者は返事をしてくれ。」

5人「「「ハイ!!」」」

ゲンシ大佐「ブラウン・ワン。」

ブラウン「ハイ!!」

ゲンシ大佐「ブラック・ツー。」

ブラック「ハイ。」

ゲンシ大佐「ホワイト・スリー。」

ホワイト「ハーイ。」

ゲンシ大佐「ゴールド・フォー。」

ゴールド「ハイ……。」

ゲンシ大佐「シルバー・ファイブ」

シルバー「ハ、ハイ」

ゲンシ大佐「以上5名、今回の任務については分かるな。」

5人「「「ハイ!!」」」
0107名無しさん2014/06/22(日) 08:15:58.05ID:AsFATnCm
ゲンシ大佐「では、いつもと同じように惑星調査を頑張ってくれ。健闘を祈る。」

5人「「「ハイ!!」」」

モニターの電源が消えて、部屋の後ろのシャッターが開く。

ブラウン「よし、皆行くぞ。」

ブラック「おう……。」

ホワイト「ファ〜イ。」

ゴールド「ヘイ……。」

シルバー「ハ、ハイ」

5人が向かった先にあったのは探査型宇宙船
これに乗り込んで惑星探査に出発だ。

乗るといっても、目的地への大体の距離を入力し
自動操縦に設定してカプセル型の衝撃防御装置に入り
後はスリープ状態になることで、寝てしまえば
すぐに目的地に到着したように感じるのだ。

ブラウン「防御カプセル異常なし。」

ゴールド「燃料タンク満タン、異常なし。」

ブラック「スピード装置、コントロール装置……共に異常なし。」

ホワイト「パワーエンジンも異常ないよ。」

シルバー「レーダーや計器、アイテムケースも多分平気です……。」

ゴールド「ハァ!!そんなチェックでいいのかよ。抜けてたらどうすんだよ。」

ホワイト「コラーあまりイジメないの〜可哀そうでしょ〜。」

シルバー「すいません……。でも……大丈夫です……。」

ブラック「安全確認終了だ……ブラウン。」

ブラウン「よし、全員防御カプセルに入れ、出発だ。」

全員がカプセルに入り込むとプシュー、パタンと蓋が閉じ
ガチャンとロックが掛かる。スリープガスが流れ出たかと思うと
それと同時に、エンジンが唸りを上げて火を噴きだす。

宇宙船用の滑走路が開き、一気に加速する。
その頃にはもう5人は眠りについている。

激しい衝撃と共に機体は光の速度と化してマウス星を飛び出し
移住先を求めて飛び立った。素晴らしい物を積み荷を載せて…………。
0108名無しさん2014/06/22(日) 09:50:17.35ID:AsFATnCm
第3章「遭遇」

 あれから家に帰った男は、ベッドの上で、虚ろな目をしながらゴロゴロしていた 。
そのまま、次の日を迎えた。とはいってもまだ日付が変わったばかりの時間帯。
町は暗黒の眠りについている。

男(ああダメだ……友人と自分の価値を比べてしまって辛い……。)

男(そういえば……裏山はアイツとよく登りに行ったな……。)

 彼と友人は高校生の時に出会った。
彼とはそこまで親しくはなかったけど
この町を二人でウロウロ歩いて散歩したぐらいの仲だった。

 二人で行った一番多く遊びに行った場所は裏山だった。
学校が終わった後に頂上から町を見下ろした。

男(夕焼け色に染まる町は感動的なほど綺麗だったな…………。)

男「…………。」

 男は暇だったので、久しぶりに裏山にでも散歩しに行くかと思いつき
服を着替えて、靴紐を結び直し、暗闇の中に歩き始めた。
0109名無しさん2014/06/22(日) 10:53:09.52ID:AsFATnCm
散歩といっても、裏山に何かがあるわけでもない。単なる暇つぶしだ。
ただ、何もせずにジッとしていると、自分の将来をを考えてしまうだけではなく
イヤリング官女のことも考えてしまう。

男(こんな遅くに裏山に一人で行くのは初めてだな。)

男(今までせいぜい7時ぐらいでアイツと二人だったからな。)

急に暗闇が怖くなり、何かから逃げるように
忍者の如く、闇夜へと走り去る。

途中、またイヤリング官女が頭の中をよぎるので
振り払うように月と競争しながら突っ走る。

男(山道が見えてきたし久しぶりに登るか。)

頂上を目指せ。走れ、月はいつもとなりで走ってくれるから。

男(俺みたいな物好きに付き合ってくれるなんて、優しいんだな君は。)
0110名無しさん2014/06/22(日) 11:23:24.53ID:AsFATnCm
変な想像しながら、ついに頂上に到着。
息を切らしながら夜空を見上げる。

たくさんの小さな星と 、たった一つの大きな月が
闇の中に散りばめられている。
 
星の瞬きと月の光が天高くから、この町に降り注いでいる。
その美しさに折れた心が浄化されていくようだ。
言葉にできないほどの輝きを放つ。
その美しさに汚れた心が、浄化されていくようだ。

月がこちらを見下ろし微笑んでいる……ように見えた。

男(俺の神経もどうかしちまったみたいだな。)

こんなに、夜空が綺麗なんだから。
一つくらい流れ星があってもいいのにな……と思う。

星空に頼む願いは一つ。
「イヤリング官女に会いたい。」
0111名無しさん2014/06/22(日) 13:58:36.69ID:AsFATnCm
その時、流れ星がキラリと空を駆けた……。

男(やった、流れ星だ。ああいけね、願い事をしなくちゃな……。)

男「イヤリング官女に会いたい。」
男「イヤリング官女に会いたい。」
男「イヤリング官女に会いたい。」

男(ほら、3回も唱えたぞ……。)

真面目な流れ星なら、汚い願いを無視してそのまま空の旅を続けるのだろう。
怒りっぽい流れ星なら、汚れた願いに怒り、真っ赤な隕石と化して俺を粛正するのだろう。
優しい流れ星なら、汚れちまった悲しみに満ちた俺を、この苦しみから解放してくれるだろう。

男(さぁ、流れ星よ……。どうする……。)
0112名無しさん2014/06/22(日) 14:07:26.76ID:AsFATnCm
流れ星は遠くへ消えた……。

男(何をやっているんだ俺は……。)
男(自分が恥ずかしい……。まるで恋する乙女みたいだったじゃん……。)
男(あー気持ち悪い、バカやってるぜ。)

帰ろうとした矢先、流れ星が空で運動会を開催した。
流星群は綺麗だが、男の気持ちはガタ落ちする。

男(おいおい、叶わぬ願いを流れ星は笑うのかよ……。)

男「あー馬鹿にされてイライラするな。」

急に吹っ切れた俺は、なりふり構わず願い事を精一杯で叫んだ。
0113名無しさん2014/06/22(日) 14:50:17.96ID:AsFATnCm
男(誰にも聞かれず、通報されませんように…………。)

 性的な欲求のことばかりを叫んだ。

男「イヤリング官女とセックスしたい!!」

男「イヤリング官女にフェラしてもらいたい!!」

男「イヤリング官女にクンニしたい!!」

男「イヤリング官女にパイズリしてもらいたい!!」

男「イヤリング官女に手コキしてもらいたい!!」

男「イヤリング官女に手マンしたい!!」

男「イヤリング官女に足コキしてもらいたい!!」

男「イヤリング官女に髪コキしてもらいたい!!」

男「イヤリング官女をレイプしたい!!」

男「イヤリング官女に逆レイプしてもらいたい!!」

 とりあえず10個も叫んだ。まだ流星群は流れ続けている。
まだまだ、叫ぶぞと喉に気合を込める。
0114名無しさん2014/06/22(日) 15:18:55.67ID:AsFATnCm
男(これくらいの声なら、人に聞かれはしないだろう……。)

 次は、真面目に考えてこうつぶやいた。

男「イヤリング官女と結婚したい……。」

男「イヤリング官女と幸せな家庭を築きたい……。」

男「イヤリング官女といろいろな場所に遊びに行きたい……。」

男「イヤリング官女と美味しいもの食べたい……。」

男「イヤリング官女をキバレンジャーからを守りたい……。」

男「イヤリング官女の温もりを感じたい……。」

 男はこの願いをあまり声を出さずに唱えた。
密かな願いだからね……。
最後の願いを最大パワーで叫ぶ為に……。

男(フフフ我ながら、赤面失神級の願いがポンと出てくるな。6個も言えたぜ。)

男(自分の変なところに感心、感心。おや、最後に一つデカめな流れ星が来たな……。)

男(これが最後だァァッ!!、大音量で願いを叫ぶぞと、手に力を込めた……。)

呼吸を整え、いざ最大限の声で星に願いをかけた……。
0115名無しさん2014/06/22(日) 17:41:19.24ID:AsFATnCm
男「頼む!!一生分のお願いをここで使う!!」

今までで一番大きな声ながらも、悲痛な声は願いを叫び続ける。

男「イヤリング官女に会うことが出来るのなら!!
  一度だけでいいので!!チャンスを僕にください!!
  もし!!それも駄目なら!!僕をこの世界から一瞬で消してください!!」

叫び終わっても、当然、何も起きない。

男「ハァハァ…ハァハァ…ウッ……アッ……。」ドシン!!

叫び終えた男は、急に体がフラついて気分が悪くなり、地面に座り込んでしまった。

彼には満足感も何もない。もう愛が実らない現実が辛く、精神的に限界だった。

男(叫び疲れたよ。どうせ何も起こらない、願いなんて叶わない……。)

男(叫んで、いろいろと吹っ切れたぜ。もうそろそろ現実を見よう……。)

男(今からでも、まだ間に合う。友人の生き方を見習ってみようか……。)

男(そうやって、生きよう。さようならイヤリング官女……。)

彼は立ち上がると自嘲気味に笑い、微かに涙声になりながら。

男「さて、明日からまた仕事だ!!。俺、ファイト!!」

彼はポジティブな自暴自棄の気分で独り言をいいながら

男(君を愛したことは永遠に忘れない…………。)

と、告げた。もう報われない愛で、苦しむのはやめようと…………。





そう真剣に考えだした矢先に、とんでもないことが!!。
0116地獄のッ2014/06/24(火) 01:27:27.05ID:y+hKrCL4
>>115
執筆お疲れ様です。かなりテンポ速いですね。主人公の心境、自分もよくわかりますよ(笑)
支援としてイヤリング官女の絵を描いたので貼らせていただきますね。
http://i.imgur.com/7UaJsXU.jpg
0117名無しさん2014/06/25(水) 18:09:22.78ID:gxyjKZGp
>>116さんへ ご支援、本当にありがとうございます。

家のPCで書いているので、誰かが使っていると
書くことができませんので遅れてしまいます。
すみません。

「五星戦隊ダイレンジャー」の17話まで、残り数日ですね。
待ちきれませんね。

絵には、イヤリング官女への愛情が溢れていますね。
私も見習いたいものです。

休日に一気に書き込みますので、気長に待っていてください。
0118名無しさん2014/06/26(木) 18:37:16.04ID:qoMQ34hl
なんと、遠くに見えた大きな流れ星がこちらに向かって落ちてくる。

男(まさか、願いを叶えてくれるのか?)

ギラギラと燃え上がりながら近づいてくる!!

男「エッ!!マジか!!」

うわーすげー うわーきれー なんて言っている場合じゃない……。

もしも…このまま…裏山に激突したら……。
それが原因で町が崩壊でもしたら……。

洒落にならないよ……。俺のせいで町一つ消滅なんてしたら……。
俺が頼んだのは俺を吹き飛ばすくらいの石つぶての隕石だって。
そんな、ビッグサイズのなんかいらないよ。
これじゃあ、町を巻き込んだ罪で天国に行けないよ。
どっちみち、俺みたいな性欲の塊は地獄行きですけどね…………。

男(まあ、こんなところにいたら結局潰されそうなんだけどな……。)

そうっている間にも流れ星はグングン近づいてくる!!

男「イヤリング官女と会えないくらいならそれでもいいけど……。」

口にするのは容易いが、足が震えて立ち眩みがする。
全身からヒャッとした汗が出て、体が急に凍える。
童貞のまま死ぬ自分に涙がこぼれる…………。

隕石が目の前に降ってきた。裏山にぶつかる!!

父よ母よごめんなさい。せめて、別れの挨拶がしたかった…………。
鈍い光が体を包む。僕はメテオと共に散り、灰と化す。

恐怖に耐えきれず、目を瞑った次の瞬間。
0119名無しさん2014/06/28(土) 20:51:52.91ID:Vh5x2v2+
瞼の裏側に眩い光を感じ取った。
ピカッて感じの眩しさよりも、ビカ〜っていう光りの映り方だ。

おぼろげな閃光が僕の体を包み込む。

男(何かに包まれて死ぬのなら、イヤリング官女の髪の毛に締め上げられたかったかな…………。)

男は最後までイヤリング官女のことを想った。

男(皆……さようなら…………。)

不思議な光に薄く目を開けると、ゴゴゴゴゴと唸りを上げ真っ赤な隕石が自分に向かってくるのが見えた。

男(もう終わりだ…………バイバイ…………。)

彼は静かに目を閉じたが、涙が止まらなかった。



男(おかしいな……。)

男(もうとっくのとうに、死んでいる頃なのに……。)

男(隕石は、まだ落ちてこないんだろうか……。)

しばらく経っても一向に何も起きない。
音一つ、風一つもしない。

男(まさか、もう死んだのかな…………。)

不審に思った男が目を開けると……そこには……。

男「エッ!?」

なんと、隕石が目の前で静止していた。

隕石は彼の体を押し潰し、裏山の辺り一帯を吹き飛ばしそうな勢いで落ちてきたのだが

どういう訳か、勢いが瞬時に失われて、静かに彼の前に浮いていた……。

男「隕石が…………止まっている!?」

男「なんで……どうして……?」

狼狽える僕の体は力が抜けて座り込んでしまった。

男(一体……これは……どういうことなんだよ…………。)
0120名無しさん2014/06/28(土) 21:46:02.33ID:Vh5x2v2+
男は腰を抜かしながらも、疑問が浮かび上がった。

男(何故、まだ燃え続けているんだ……?)

流れ星が光って見える理由は
宇宙の小岩石が、地球の大気に突入したときの摩擦熱で燃え上がりながら落下して
それがまるで、発光しているかのように見えるという……筈なのだが……。

静止しているこの隕石は、まだ燃えるように光っている。
勢いを失ったのにもかかわらず、摩擦熱でここまで燃えているのは不自然だ……。

男(それに、隕石っていうよりも……光の塊?)

それは、隕石のような形をしているが岩石のようなゴツゴツした見た目ではなく
何かが丸くなって光っているかのようだった。

男がまじまじとそれをを眺めていると……。



いきなり、光の塊がバチッと音がして次第に消えていく。

男「ウワッ!!もう、なんなんだよ!!」

突然の物音に驚く男。

光が消え始め、その中から姿を現したのは…………。



鈍く光り、角ばった形の機械のような物体だった!!

男「あれは一体何なんだ!!」

答えを考える暇もなく、今度はグォーンと音が響いた。

男「今度はなんだ!!」

男が震えながら叫ぶと、その物体はゆっくりと動き始めた。

男「嘘だろ……!?」

グォーン…グォーン…グォーン…。

不気味な音を響かせながら、それは形を変え
なんと、ジェット機のような流線型のフォルムに変化した!! 
0121名無しさん2014/06/28(土) 23:26:26.62ID:Vh5x2v2+
その物体はギラギラと輝き、翼はジェット機のようにそこまで大きくなく
小型のロケットエンジンっぽいものが付いている。

見た目を分かりやすく例えれば「電子戦隊デンジマン」の
デンジファイターを銀色に塗り替えたような外見だ。

男「戦闘機、そんなバカな……宇宙から来たんだぞ!?」

現代の科学力では、こんな代物を作り出すことはできない。

男「まさか……宇宙船なのか……。」

男「じゃあ、中に乗っているのは宇宙人か!?」

男「でも、そんな……ありえない……。」

言葉を失う男。謎と不安が渦巻くばかり。

そんな彼を尻目に機械の内部で目覚める者達がいた…………。
0122名無しさん2014/06/28(土) 23:38:01.43ID:Vh5x2v2+
やっと3章終わりました。毎度すみません。

仕事に行っているのと家族がPCを使っているので
SSの更新が遅れてしまいました。

章のタイトルも内容と一致していないので、後々訂正をします。

誤植も多いので私自信が、これは酷いと判断したところだけを直していきます。
私が直してないで、これは変だという箇所があれば
是非教えてください。お願いいたします。
0123名無しさん2014/06/28(土) 23:54:50.93ID:Vh5x2v2+
>>110  × 星の瞬きと月の光が天高くから、この町に降り注いでいる。
       その美しさに折れた心が浄化されていくようだ。
      言葉にできないほどの輝きを放つ。
       その美しさに汚れた心が、浄化されていくようだ。

     ○ 星の瞬きと月の光が天高くから、この町に降り注いでいる。
       言葉にできないほどの輝きが、俺の瞳に映る。
       その美しさに汚れた心が、浄化されていくようだ。

>>119  × 男(まさか、もう死んだのかな…………。)

     ○ 男(まさか、俺はもう死んでいるのかな……目を開ければ、三途の川にでもいるのか……。)

>>121  × 翼はジェット機のようにそこまで大きくなく
      小型のロケットエンジンっぽいものが付いている。

     ○ 翼はあるが、ジェット機のようにそこまで大きくはなく
      小型のロケットエンジンっぽいものが物体の後ろに付いている。
0124名無しさん2014/06/29(日) 00:51:32.24ID:iw/fYh5E
第4章「プレゼント」

目標地点に着陸した宇宙船のコンピュータが告げた。

「モクテキチ ニ トウチャク シマシタ」

電子音声が流れ、カプセルが開いた。
ガスが切れ、その中から5人は目を覚ました。

ブラウン「よし、到着だ!!皆起きろ!!」

ホワイト「ウ〜ン、よく寝た〜。」

ゴールド「やっと、着いたのか。」

ブラック・シルバー「…………。」

彼らは体を伸ばして、宇宙船の電子頭脳から
星のデータを詳しく調べる装置を起動させた。

ピピピピピとコンピュータが星のデータを集め始めた。

シルバー「移住できたら良いですね……。」

ブラック「そうだな……。」

その結果は…………。

「コノ ホシ ノ カンキョウ ハ マウスセイ ト ヒジョウ ニ ヨクニテイル
 ヒツヨウ ナ サンソ ミズ ヒカリ ヤミ ブッシツ スベテ ソロッテ イル」

ホワイト「フゥ〜、いいじゃん♪」

ゴールド「やったぜ!!もうこれで、退屈な任務は終わりだな!!」
0125名無しさん2014/06/29(日) 00:59:43.30ID:iw/fYh5E
「ザンネン ダガ コノ ホシ ニハ チテキ セイメイタイ 
 ノ ソンザイ アリ イジュウ ハ フカ ト スル」

ホワイト「えー、またダメなの……。」

ゴールド「クソッ!!これで、10回連続失敗だよ!!」

ブラック「…………。」

シルバー「ハァ……。」

落胆する4人。だが、この男は……。

ブラウン「綺麗な星だな……。」

ホワイト・シルバー「エッ……。」

ゴールド「ハァ?」

ブラック「…………。」
0126名無しさん2014/06/29(日) 01:08:06.20ID:iw/fYh5E
彼は宇宙船の窓から風景を見ていた。

ホワイト「どれどれ……ウワー、確かに綺麗ね〜。」

ブラック「本当だな……。」

シルバー「自然に溢れていますね。」

ゴールド「景色なんて、そんなのどうでもいい。」

ホワイト「ロマンがないのね、アンタ」

シルバー「すごい綺麗ですよ。」

ゴールド「結果が出たんだ、早く帰ろうぜ。」

ブラウン「まあまあ、落ち着いてくれ。」
0127名無しさん2014/06/29(日) 01:22:42.14ID:iw/fYh5E
ブラウン「他の星を見て学ぶことは多いからな。」

ブラウン「それに今、我々の星にはゆとりがない。」

ブラウン「だから、こうやって心を落ち着かせる時間も必要だ。」

だが、ゴールドは反論をした。

ゴールド「俺達だけが、怠けてどうするんですか。」

ゴールド「マウス星は、今この瞬間でも苦しんでいる状況だというのに。」

ゴールド「くだらないものなんか見てないで、さっさと、次の星を探しましょうよ。」

ブラウン「くだらない?ゴールド、お前はとりあえず、この景色を見てみろ。」

ブラウンの声に力がこもった。

ブラウン「文句はそれからだ。」

ゴールドはこれ以上、反論したら面倒だとおもい

ゴールド「分かったよ、見りゃいいんだろ、見れば……。」

そう言いながら、ゴールドは背けていた目を景色に映した。
0128名無しさん2014/06/29(日) 01:35:03.45ID:iw/fYh5E
ゴールド(ハァ!?……確かに……綺麗だな……。)

彼の目には、山から見下ろした町が見えた。

夜空の星と同じくらいに町の明かりも綺麗だった。
その明かりは人工的なマウス星のギラギラとした光とは違い
にじむように、あちこちで灯っている。

ブラウン「どうだ、勉強になったか。」

ゴールド「何がです。」

ブラウン「星と星の輝きの違いだよ。」

ブラウン「いや、星の存在の違いかもな。」

ゴールド「違い……。」

ブラウン「そうだ、違いだ。我々は最近、イライラばかりしていて……。」

ブラウン「物の本当の価値を忘れてしまっていたんだ。」

ゴールド「どういう意味ですか……。」
0129名無しさん2014/06/29(日) 01:50:21.35ID:iw/fYh5E
ブラウン「お前、さっきどうでもいいって言っただろう。」

ゴールド「言ったよ……。」

ブラウン「なんで、どうでもいいって言ったんだ?」

ゴールド「移住できない星に価値なんてないからだ。」

ブラウン「でも、その前はやったぜと言ったな。」

ゴールド「言いましたけど、それがなんだっていうんですか。」

ブラウン「お前は、この景色を見てどう思ったか?」

ゴールド「悪くはないって思ったよ。」

ブラウン「そうか、それは良いことだ。」

ゴールド「何故だよ。」

ブラウン「それは景色に価値があったってことだろ。」

ゴールド「…………。」

ブラウン「星の違いに気がついたか。」

ゴールド「マウス星にはない価値があることですか……。」

ブラウン「そういうことだ……。」
0130名無しさん2014/06/29(日) 02:07:59.69ID:iw/fYh5E
ブラウン「一つの意味で、価値があるかないかを判断するのではなくて
     一つでもいいところがあればそれを価値とし、自分の糧として学ぶ。」

ブラウン「それだけでも、この星に来た価値はあると思うけどな。」

ブラウン「俺は、あの町の光を見て、マウス星にはない優しげな光だと、思ったな。」

ホワイト「あ〜、私もそんな風に思ったよ。」

シルバー「僕もそう思いました。」

ブラック「フッ……。」

ゴールド「…………。」

ブラウン「ゴールド、お前はどう思ったんだ?」

ゴールド「ああ……優しそうな光だと思ったよ……。」

ブラウン「そうだろ、もっと周りの本質を見ろ。」

ブラウン「相手や物に本当の価値を、見出せるようになるんだ。」

ブラウン「悔いのない価値を探すんだ。極端ではない考えで……。」

ブラウン「今見た景色も、見なければ何も考えさせれなかったのだからな。」

ゴールド「…………。」
0131名無しさん2014/06/29(日) 02:22:47.05ID:iw/fYh5E
彼らは5人揃ってもう一度、町の景色を眺めた。

マウス星から移住することができない、意味のない星だが
自分達の星にはない光のあるこの星の価値。

何かを批判する前に、価値を探そう。
一つだけで判断せず、全体を見渡そう。

彼らは少しだけ、自分や相手を見直すことができた。
0132名無しさん2014/06/29(日) 02:51:52.05ID:iw/fYh5E
ブラウン「そういえば、この星にはマウス星と同じ、酸素があるんだよな。」

「ハイ ソウデス」

ブラウン「だったら、少しの間だけ宇宙船から降りて、あの町の景色を見に行かないか。」

ブラウン「気分転換にさ。チョットだけ。」

ホワイト「WOW〜賛成、いいんじゃない♪」

シルバー「もし……誰かに見つかったりでもしたら、どうするんですか?」

ブラウン「大丈夫だ、レーダーにはこの一帯での生命体の反応は殆どない。」

ブラウン「自然が多い星だから、遭遇するのはこの星の動物ぐらいだろう。」

ブラウン「万が一に備えて、俺達のスーツや宇宙船もステルスモードにすればOKだ。」

ブラック「見られたら、相手の記憶を消す道具もあるしな……。」

ゴールド「早く、景色を見て帰ろうぜ。マウス星が心配だ。」

ブラウン「まあまあ、気持ちは分かるけど、そんなに焦んないでくれよ。」

ブラウン「じゃあ、行こうぜ!!」

5人「「「おう!!」」」

「オキヲツケテ クダサイ」

こうして、彼らは出入り口のシャッターへと向かって行ったのが……。
姿を透明にする前に見られてしまったのである……。

運命の出会いというべきなのか……。
たった一人の男に……。
0133名無しさん2014/06/29(日) 03:33:29.06ID:iw/fYh5E
第5章「友達」

男は宇宙船の中から、変な生き物が出てくるのを見てしまった。
そして、絶叫した。

男「うわああああああああああ!!!」

5人は彼を見てなんだこの生物はと、驚き。
つられて、叫んでしまった。

5人「「「「あばばばばばばばばばば!!!」」」

お互いひとしきり、叫んだところで
冷静に状況を整理しようとした。

男(この人達って、宇宙人!?ハムスターみたいな顔してるけど!?)

ブラウン「どうする……逃げるか!?」

ブラック「記憶を消す。」

ホワイト「私にはどうしていいか分からない……。」

ゴールド「正当防衛を取る!!」

シルバー「まだ、相手は何もしていませんよゴールドさん!?」
0134名無しさん2014/06/29(日) 03:47:55.12ID:iw/fYh5E
男(何か言ってはいるみたいだけど、何を言っているのかはサッパリ分からない!?)

ブラウン「意思を通わせてみようか……。」

ブラック「記憶を消す。」

ホワイト「私はアイデア0、PASS。」

ゴールド「先制攻撃を取る!!」

シルバー「落ち着いて、話し合いをしましょうよ!!ゴールドさん!!」

そして、5人はこの男と意思を通わせることにした。

まずは、互いの言語が分からないので、5人はマウス星の発明品の一つ
言語記憶装置でコンタクトを図ろうとした。

この装置は、相手に触れて情報を貰うだけで現地の言葉を
瞬時に記憶できるという優れものである。
0135名無しさん2014/06/29(日) 04:04:12.83ID:iw/fYh5E
しかし、情報を貰う相手の体に触れなければならない。
仕方がない。5人は男が危険物を持っていないことを確認し

男に歩み寄った。

男(なになに!?俺をどうする気なの!?捕まえる気なの!?)

男(それで、俺の体を解剖でもするのか!?嫌だ!?そんな死に方したくない!?)

男は逃げようとしたが、足が震えて動けない。心臓も暴れっぱなしだ!!

ヤバイと、男が焦っているうちに5人は彼の周りを取り囲んだ!!

ハムスターのような顔をした宇宙人に、突然出会えば誰だって驚くだろう!!
取り囲まれたら尚更だ!!
男は気を失わないのに精一杯だった。

5人が彼に距離をさらに詰めた。

男は彼らの服の腰のあたりに、銃のようなものがホルダーに入っているのを見てしまった。

男(殺される!!!)

そう判断した男は雄叫び上げ、がむしゃらにその場で暴れた!!
0136名無しさん2014/06/29(日) 04:22:17.07ID:iw/fYh5E
それを見て、5人共パニックを起こした。
ゴールドは攻撃しようと銃を弄り
ブラウンとシルバーが銃を取り出そうとしたゴールドを制すのに必死になり
ホワイトは悲鳴を上げ
ブラックはただ、静かにこの阿鼻叫喚を見つめていた。

もう一刻の猶予はできない。今すぐに和解しないと大変なことになる。
そう判断したブラウンは、男の動きに隙を見つけて……。

ブラウン「今だ!!全員!!アイツの体を掴め!!一か八かだァァァ!!」

リーダーの指示に全員が従い、急いで男の体を掴み
そのまま、上に持ち上げ始めた。

男「ぎゃああああああああああ!!!離せええええええええええ!!!」

暴れる男を押さえつけ、5人は担ぎ上げた。

ブラウン「言語記憶装置ィィィ!!起動ォォォ!!」

ブラック「了解!!」

ホワイト「OK!!」

ゴールド「分かったよ!!」

シルバー「ハ、ハイ!!」

5人に言語記憶装置が、男からの情報がインプットされるまでの40秒程の間。
男はハムスター顔の宇宙人、5人に胴上げされていた…………。
0137名無しさん2014/06/29(日) 12:04:54.95ID:iw/fYh5E
5人にデータがインプットされるまで残り20秒。

ピコピコピコピコピコ……。

男「離せえええええ!!誰かあああああ!!助けてえええええ!!」

ブラウン「あと少しだァァァ!!耐えろォォォ!!」

ブラック・ゴールド「おおおおお!!」

ホワイト・シルバー「あああああ!!」

ピコピコピコピコピコ……。残り15秒。

ブラウン「カウントダウンだァァァ!!行くぞォォォ!!」

「「「「おう!!」」」

5人「10・9・8・7・6・5……。」

ピコピコピコピコピコ……。もう少しだ。

男「ぎゃああああああああああ!!」

5人「4・3・2……。」

ピコピコピコピコピコ……。もう残り僅か。

男「くそおおおおお!!降ろせえええええ!!」

5人「1……。ゼロおおおおお!!」

カウントダウンが終わりを告げた瞬間。
バチンと何かが弾ける音がして

5人の脳に男の住む星で住む国。
すなわち、日本の言語のデータが伝わった。
0138名無しさん2014/06/29(日) 12:29:52.70ID:iw/fYh5E
データが脳に伝わる瞬間。

ビリビリと5人の脳天に衝撃が走る。

5人「インプット完了!!」

男「ウワッ!!……痛っ!!」

その間に持ち上げられていた男は、地面に落っこちた。
そして、逃げ出そうとした。

男「ひいィィィ!!お助けェェェ!!」

だが、背後から声が追いかけてきた。

ブラウン「待ってくれ!!」

男「…………。」

さっきとは違う……。日本語で話しかけられ
男の体はピタッと立ち止まった。

男(まさか、あの宇宙人達が……話しかけて来たのか?)

男はゆっくりと振り返った。

ブラウン「話し合いをしてくれないか?」

ハムスター顔だが、体は人間のような宇宙人の
問いかけに男は、つい……。

男「あ、ハイ……良いですよ……。」

こんな返事を返してしまった。

その返事の意味は5人にも理解できた。

ブラウン「ありがとう。」

男「なんか……こちらこそ……どうも……。」

ついに、未知との会談が始まった!!
0139名無しさん2014/06/29(日) 13:11:02.72ID:iw/fYh5E
ブラウン「いきなり手荒い手段に出てしまい、申し訳ないことをした。」

ブラウン「だが、そのおかげでこの星の言語を知ることができた。」

ブラウン「心から礼を言いたい。」

ブラウン「ありがとう。」

ブラック「かたじけない。」

ホワイト「サンキュー♪」

ゴールド「…………。」

シルバー「ありがとうございました。」

男「いえいえ……私も怖くてパニックになっちゃって、すいませんでした。」

ブラウン「いや、悪いのは私達の方だ。」

ホワイト「そうよ、知らない人に囲まれて担がれたら、誰だってビビるわよ。」

ゴールド「俺だったら、あそこまでビビりはしない。」

ブラック「同じく……。」

ホワイト「あんた達ねぇ……本当に……。」

シルバー「そうですよ、相手の気持ちを考えましょうよ。」

ホワイト「ちょっと、シルバー……人の言おうとしたこと言わないでよ!!」

シルバー「あ、ごめんなさい……。」

ブラウン「お前達、よさないか。」

リーダーの一喝で4人は静かになった。

ブラウン「すまない、恥ずかしいところを見せてしまったね。」

男「いや、そんなこと……。」
0140名無しさん2014/06/29(日) 13:34:39.41ID:iw/fYh5E
ブラウン「いやいや、我々5人はチームを組んでしばらく経ったというのに……。」

ブラウン「未だに、チームワークがなくてね……。」

ゴールド「なくて悪かったな……。」

ブラウン「でも、私は彼らが、素晴らしい仲間になると思っているよ。」

ブラック・ホワイト・ゴールド「!?…………。」

シルバー「ブラウンさん……そう言ってもらえると僕……嬉しいです。」

ブラウン「おう、これからも皆で頑張ろうな。」

シルバー「ハ、ハイ。」

男「あの〜、お取込み中のところ、すみませんが……。」

ブラウン「はい、どうかしましたか?」

男「お名前を……教えてくれませんか?」

ブラウン「ああ!!すまない、自己紹介を忘れていました。」

ブラウン「うっかりしていたもので、つい……。」

男「いえいえ、私もまだ名前を言っていませんでしたし……。」

ブラウン「いや、ここは私達が先に自己紹介させて頂こう。」

ブラウン「皆、自己紹介だァァァ!!」

「「「「おう!!」」」」

男「ああ、そんなに無理しなくてもいいですよ……。」
0141名無しさん2014/06/29(日) 16:10:18.17ID:iw/fYh5E
ブラウン「ブラウン・ワン!!」 シュタッ!!

ブラック「ブラック・ツー」  グォン!!

ホワイト「ホワイト・スリー♪」 ピカッ!!

ゴールド「ゴールド・フォー!!」 ドガッ!!

シルバー「シルバー・ファイブ」 スタッ!!


ブラウン「星の輝きを守るため。」

ブラック「自分の命を守り抜き。」

ホワイト「相手の命も守りたい。」

ゴールド「俺たちは!!5人揃って!!」

シルバー「軍事レスキュー部隊」

「「「「ハムスターマン!!」」」 ドゴォーン!!

男(ハムスターマン……どういうことだ?)

男(彼らは何故、地球の動物、ハムスターに名称と姿が似ているんだ?)

ホワイト「ちょっと、アンタ今の名乗り見ていなかったの?」

男「いいえ、ちゃんと見ましたけど……。」

ブラウン「けど……どうしました?」
0142名無しさん2014/06/29(日) 16:20:59.97ID:iw/fYh5E
男「あなた方は何故、ハムスターに似ているのですか。」

ブラウン「ハムスター?」

シルバー「僕らと名前が似ていますけど、なんなんですか?ハムスターって?」

男「この星の動物です。」

ホワイト「私達と姿が似ているってどの辺が?」

男「首から上が似ています。」

男「後は、全然違うように見えますけど……。」

ブラック「宇宙船のコンピュータに聞いてみよう。」

ブラウン「そうだな、こんなところで立ち話もなんだから、我々の宇宙船の中へどうぞ。」

ゴールド「俺もその方がいい」

男「いいんですか。ありがとうございます。」

男は彼らの宇宙船に入って行った……。
0143名無しさん2014/06/29(日) 16:35:00.21ID:iw/fYh5E
宇宙船の内部は機械に囲まれてはいるが、少し奥の部屋はリビングのように家具が置かれている。
それより奥の部屋には、カプセルのようなものが並んでいる。

どうやら、入り口から機械操縦室、リビングルーム、カプセルルームの順のようだ。

男「中は意外と広いんですね。」

ゴールド「俺は狭いと思う。」

男「…………。」

ホワイト「気にしないで、コイツは誰にでもこういう態度だから。」

男「そうなんですか……。」

シルバー「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」

男「あ、僕も名前を言おうとしたのに忘れてました。すみません。」

ブラウン「まあ、お互い様だな。」

男「はい……僕の名前は男って言います。」

シルバー「じゃあ、男さんよろしくお願いします。」

男「こちらこそ、よろしくお願いします。」

ブラウン「まあ、ソファにでも座ってくつろいで。」

男「はい、では失礼します。」

ホワイト「そんなに〜、かしこまらなくてもいいよ。」

男「ありがとうございます……。」
0144名無しさん2014/06/29(日) 17:04:23.55ID:iw/fYh5E
男と皆が席に着くと、機械操縦室からブラックが戻ってきた。
そして、ハムスターの説明と人間との関係性を皆に話した。

ブラック「かくかくしかじか……。」

ブラウン・ホワイト・シルバー「へぇ〜、そうなんだ。」

ゴールド「つまり、お前らこの星の人間は俺らに近い生物で実験をしたり、折に閉じ込めたりして楽しんでいるのか。」

男「エッ……でも……別に痛めつけるつもりで実験をしていることではないと思いますけど……。」

ゴールド「だけど、苛める奴もいるんだろ!!」

男「ヒィッ……まあ……そういう奴もいますけど……。」

ゴールド「気に食わない、この星のハムスター達の解放戦争でもするか。」

男「そんな、戦争だなんて……。」

ブラック「待て、ゴールド。」

ゴールド「なんだよ。」

ブラック「他の星に攻撃をしてはいけない……俺達の星の決まりだ。」

ゴールド「だからって、ハムスターが可哀そうじゃないか!!」

ブラウン「仕方ないだろ、これがこの星のやり方なんだ。」

ホワイト「私達だって、似たようなことを他の生物でやってるんだし……。」

ブラック「要は、同族意識があるからって助けようって気になってるんじゃないか。」

ゴールド「そうかもしれねぇけど……。」

ブラウン「お前の仲間を大切に想う気持ちは立派だが、だからってマウス星と他の星の違いを、変えさせるようなことはしてはいけない。」

ブラウン「いろんな文化や歴史があるんだ。星や国一つ一つに。」

ブラウン「いや、人ひとりでも違いあるのは間違ってなんかいない。」

ブラウン「自分と違うからって排他的にはなってはいけないぞ。」

ゴールド「そうですね…………。」

シルバー「そうですよ……。」

ゴールド「お前は黙れ!!」

シルバー「すみませんでした……。」

ホワイト「ホラホラ、喧嘩は止めてさ〜。彼にこの星の話を聞きましょうよ〜。」

ブラウン「それは、いい考えだ。男君。」

男「は、はい。」
0145名無しさん2014/06/29(日) 17:23:00.87ID:iw/fYh5E
ブラウン「この星を君たちは、なんて呼んでいるのかを教えてほしい。」

男「はい、地球って呼んでます。」

ブラウン「良い名前だな。」

男「皆さんは、どこの星から来たんですか。」

ブラウン「マウス星っていう星だ。」

男「どんな星ですか?」

ブラウン「ああ、それはね…………。」

――――――――――――――――――――――――

それから彼ら、6人は互いが違う星の人間だということを忘れて
夜明け近くまで語り合った。

地球の環境の話や、マウス星から地球に来た理由。
お互いの星のテクノロジーの話に、文化や歴史の話。

6人は全ての悩みを吐き出した。人生への不安や星の未来への不安を…………。

男はこんなに楽しい人との交流は久しぶりだと思った。
5人もデータからは解らない地球の話を聞けて、とても満足した。

そして地球とマウス星の、星の違いでの話で大変盛り上がっていた彼らに
別れの時が迫っていた。
0146名無しさん2014/07/05(土) 16:45:56.10ID:rD5DdTfG
闇に眠る町に、夜明けが近づいていた。

ブラウン「もうそろそろ、マウス星に帰還しなくてはいけないな。」

男「そうなんですか?」

ホワイト「もうそんな時間なの?」

ブラック「この星の日が昇る前に帰らなくてはならない。」

男が腕時計を見ると、時刻は大体4時頃だった。

男「そうですね、もうすぐ朝がきます……。」

さっきまで、盛り上がっていたムードが嘘のように静かになる。

シルバー「なんか……寂しいですね……。」

ゴールド「仕方ねぇだろ、コイツ以外の奴に見つかって騒がれたら、後が大変だ。」

ゴールド「俺達の存在を知られる前にずらかるしかねぇだろ。」

男「僕の事は……いいんですか?」

ゴールド「ハァ?どういう意味だよ。」
0147名無しさん2014/07/05(土) 17:29:27.20ID:rD5DdTfG
男「僕は、あなた方を……見てしまったから。」

ゴールド「ああ、そういうことか。」

ゴールド「どうするんだ、リーダー。」

ブラウン「う〜ん、どうしようか……。」

ブラック「基本、我々の姿を見たものは……。」

ブラック「記憶を消すことになる。」

男「僕の記憶を消すんですか?」

ブラック「大丈夫だ、身体的苦痛や精神的苦痛、後遺症などはなにも残らない。」

男「そうなんですか……。」

ホワイト「ちょっと待ってよ!それでもいいの!」

ブラック「なにがだ……。」

ホワイト「お互い、辛いことを語り合った仲でしょうが!!」

シルバー「そうですよ、せっかく違う星の人と仲良くなれたのに……。」

ブラック「…………。」

ゴールド「じぁあ、どうするんだよ。」

ホワイト「ウッ、それは……その……。」

4人は悩んだ。どうしたら男の記憶を消さなくても
自分達、宇宙人の存在した証拠を残さなくてもいいかを……。

だがしかし、1人がその答えを導き出した。

ブラウン「諸君、私にいい考えがある。」

彼は、男に目を向けた。
そして、一つの質問をした。

ブラウン「男君、君は約束を守れる人か。」

男「エッ!」
0148名無しさん2014/07/05(土) 17:52:10.34ID:rD5DdTfG
ブラウン「男君、どうなんだ。」

男「そ、そんな、皆さんのことを話しても誰も信じたりなんかしませんよ。」

男「それに、誰かが信じたところで悪いことなんてしませんよ。」

男「第一に、この星はあなた方の星のような凄い科学力は持っていませんよ。」

男「だ、だから、宇宙に行って征服するための戦争とか起こしませんって……。」

男が矢継ぎ早に理由を話していると
彼は真剣な目で見つめながら、話を制した。

ブラウン「待ってくれ、男君。」

男「はい?」

ブラウン「私は君に約束を守れるかと聞いているんだ。」

ブラウン「誰かが信じるか、そういう話ではない。」

ブラウン「星同士の戦争の危険性の話でもない。」

ブラウン「君自身が人との約束を守れるかが知りたいんだ。」

男「…………。」

ブラウン「君自身が決めるんだ。」
0149名無しさん2014/07/05(土) 19:26:45.68ID:rD5DdTfG
男は自分に聞いてみた。俺は約束を守れる人かと
すると、素早く1人の声がささやいた。

男(俺が約束を破ったことがないかだって?)

男(約束を破ることは人の信用を失うことだ。)

男(俺はそこまで人の信用を失うようなことはしていない。)

男(だから、俺は約束を守れる人だ。)

だが、後からもう1一人の声が問いかけた。

男(本当にそうだろうか?)

男(確かに人の信用を失うようなことはしていない。)

男(だけど、小さな約束なら何度か破ったことがある……。)

男(ほとんどが、親の小さな言いつけばかりだけど……。)

男(だからといって、僕が今まで約束を全て守ってきた訳でもない……。)

男(それに、一生人のどんな約束でも、守り続ける自信もない……。)

男はどうしていいか分からなくなった。
彼がどちらが正しい答えかと、考え込んでいると……。

ブラウン「迷っているのか?」

不意に声をかけられて、彼は視線を戻した。

依然、真剣な顔をしていたブラウンは
彼から、2人の自分が言い争っていて決まらないと聞いた。

すると、ブラウンは男の心の霧を祓う助言をしてくれた。

ブラウン「過去や未来のことを考えるな。」

ブラウン「今、現在の自分に聞いてみるんだ。」

男「エッ!」
0150名無しさん2014/07/05(土) 19:39:32.06ID:rD5DdTfG
ブラウン「これは私の持論だが……。」

ブラウン「嫌な過去を思い出すとき、駄目だったことだけを思い出すのではない。」

ブラウン「起こってしまった悪い事を、次に向かってどう活かすかが大切なんだ。」

男「嫌な過去、すなわち失敗は次に向かっての反省点になるってことですか。」

ブラウン「そうだが、嫌なことがまた起こるのではないかと怯えることではない。」

ブラウン「次に同じ状況の時、良い方向に向かうために考えるのだ。」
0151名無しさん2014/07/05(土) 19:51:58.36ID:rD5DdTfG
ブラウン「次に嫌な未来を想像してしまう時は、他の未来を探すんだ。」

男「悪い方向に考えるな、という意味ですか。」

ブラウン「そうだ、悪い未来を打破することを考えてほしい。」

ブラウン「自分で未来を描き、進んで行くんだ。」

男「自分の描いた未来……。」
0152名無しさん2014/07/05(土) 20:12:38.01ID:rD5DdTfG
ブラウン「最後に現在、今の自分の気持ちに正直になる。」

男「今の自分に正直……。」

ブラウン「過去や未来を考えて、思考を止めるな。」

ブラウン「今の自分の気持ちを出すんだ。」

ブラウン「あの時はこうしとけばとか、こうしたらこうなるかもとか。」

ブラウン「確かにそう考えることも大事なことだが、失敗に怯えて自分の気持ちを押し殺してはいけない。」

ブラウン「そして、やっぱりあの時に、といった過去を増やすな。」

ブラウン「今の自分の考えや意見を尊重するんだ。」

ブラウン「未練の残る選択なんて選んではいけない。」

ブラウン「はっきり出していいんだ、正直な気持ちを……。」

男「今の自分の気持ち、考え、意見……。」
0153名無しさん2014/07/05(土) 20:35:14.71ID:rD5DdTfG
ブラウン「これが私の人生の見つめ方だが、全ての人に当てはまるわけではない。」

ブラウン「私の考えが君に当てはまるかは分からない。」

ブラウン「だけど、最後に決めるのは自分自身だ。」

ブラウン「君の人生だから、君が選ぶんだ。」

ブラウン「思い出す過去と描いた未来、現在の気持ちを……。」

男「選ぶのは自分自身……。」

男(思い出す過去は僕でも選べる……。)

男(でも、俺は描いた未来を選べない……。)

ブラウン「悪いね、私の考えを押し付けて……。」

男「…………。」

ブラウン「どうしたんだい、男君?」

ホワイト「気分でも悪いの?」

男の中で、心が炎のように激しく燃え上がっていた。
それは、熱いハートとは違う、塞き止められた感情の昂ぶりだった。
0154名無しさん2014/07/05(土) 21:30:20.56ID:rD5DdTfG
男「ブラウンさん、僕は約束は守りますよ。」

ブラウン「そ、そうか。」

男「でもね、僕は未来を選ぶことはできないんですよ。」

ブラウン「どういう意味だい。」

男「僕は……好きな人がいるんだ……。」

ホワイト「そうなの?」

男「でもね、その人とは生きている世界が違う、次元が違うんだ。」

男「比喩ではなくて、本当に会うことのできない世界にいるんだ。」

ゴールド「どんな奴なんだよ。」

男「想像上の人物、生きているように見えるだけで実際には生きてはいない。」

男「そんな人を……僕はもう20年近くも愛していたんだ。」

シルバー「20年もですか!!」

男「その人と結ばれることは絶対にない。」

男「それでも、彼女を諦めきれずに今まで生きてきた。」

男「だけど、もうこれ以上は叶いもしない彼女への思いだけでは生きてはいけない。」

男「彼女を忘れてこれからの人生をどう生きようか、と思った矢先に皆さんに会えた。」

男「皆さんに会ったとき、最初は驚いたけど、凄い嬉しかった。」

男「だって、宇宙人と話したのって多分、世界中で俺一人しかいないだろうから。」

ブラック「それはどうだかな……。」

男「ブラウンさんの考えは分かるんですけど……。」

男「俺は……描いた未来を……選べないんですよ……。」

そう口にした瞬間、目頭が熱くなり
大粒の涙が止め処もなく溢れてきた。

男(こんなこと、初めてだっけ……他の人にこの思いを打ち明けたのは……。)
0155名無しさん2014/07/05(土) 22:03:46.94ID:rD5DdTfG
ゴールド「オイオイ、泣くなよ……。」

シルバー「男さん!大丈夫ですか!」

ホワイト「STOP!泣かないでよ!」

男「仕方ないでしょ!!涙がとまらないんだよぉ!!」

男のフォローに回る3人を尻目に
ブラウンは何かを考えているようだ。

ブラックはそんなブラウンを不審に思い、声をかけた。

ブラック「何をそんなに考えているんだ……。」

ブラウン「あ、ああ、この状況の打開策を。」

ブラック「まさか、アレを彼に渡すつもりなのか。」

ブラウン「!?……よく分かったな。」

ブラック「やめろ、それは俺達、マウス星の決まりを違反している……。」

ブラック「それに、彼がアレを使いこなせるとは思えない。」

ブラウン「だが、俺が彼に自分の安易な考えを押し付けたせいで……。」

ブラウン「彼の傷口を抉るようなことをしてしまった。」

ブラック「お前に悪気はなかったんだろ。」

ブラウン「でも、彼を傷つけた。悪意はなくても俺は彼を苦しめた。」

ブラウン「だから、俺は彼を救いたい。」

ブラウン「友人が悲しんでいたら、助けるのは当然のことだ。」

ブラック「ブラウン、お前って奴は……。」

ブラック「だけどなぁ、上にはなんて言えばいいんだ……。」

ブラック「アレを無くしましたとでも言うのか。」

ブラウン「それは俺が何とか説明するから!!」

ブラウン「頼む、止めないでくれ!!」

ブラック「お前……。」
0156名無しさん2014/07/05(土) 22:19:30.25ID:rD5DdTfG
ブラック「ハァ……分かったよ……。」

ブラウンの熱意に負けたブラックは彼の考えを認めた。

ブラック「俺も折れた以上は、お前にできるだけ協力はする。」

ブラウン「ありがとう、ブラック。」

ブラック「だけどな、アイツ等や上にも説明しないといけない。」

ブラック「無論、彼にもな……彼が使いこなせる保証はないけどな……。」

ブラウン「ああ、勿論だ。」

ブラウン「彼とは堅い約束を結ばなければならない。」
0157名無しさん2014/07/05(土) 22:38:23.02ID:rD5DdTfG
一方、3人と男は……。

ゴールド「そんな女はさっさと諦めな!!」

男「そう簡単にできるなら苦労はしないよぉ!!」

ホワイト「他の人を探しなさいよ!!」

男「彼女一筋なんだよぉ!!」

シルバー「その人の名前はなんていうんですか?」

男「ああ、それはね……。」

ブラウン「お〜い、皆集まれ!」

男が返事を返す前にブラウンとブラックが向こうから戻ってきた。
ブラウンの手には、さっきまでは持っていなかった銀色のケースがあった。

男「そ、それは一体なんですか?」

ブラウン「コレかい?君にプレゼントするものだ。」

男「僕に、プレゼントですか?」

男が中身を聞く前に3人が叫んだ。

ホワイト「マジで言っているの!!ブラウン!!」

ゴールド「気でも狂ったのか!!」

シルバー「大丈夫なんですか!!コレを渡しても!!」

男は3人の叫び様から中身はトンデモナイ物だと感じ取った。

そして、男の推測は的中することになる……。
0158名無しさん2014/07/05(土) 23:00:30.18ID:rD5DdTfG
ブラウン「そうだ、マジで言っているんだ。」

ブラック「ああ、それに狂ってもいない。」

ブラウン「彼にコレを託したいと思ったからだ。」

ブラック「本当は、彼を安易な考えで傷つけたコイツの罪滅ぼしだ。」

ブラウン「それだけじゃない、友人が悲しんでいるときに手を差し伸べるのは当たり前のことだ。」

シルバー「そうですけど……ゲンシ大佐にはなんて言えば……。」

ゴールド「そうだ、決まりを守らなければ俺達は除隊されるぜ。」

ホワイト「もしも、取り返しに行けって大佐に言われたらどうするのよ。」

ブラウン「俺が大佐に掛け合う、大佐だって俺達のしたことを認めてくれる。」

ホワイト「そんな、だからって彼が変な風に使ったら……。」

ゴールド「ああ、やめといたほうがいいぜ。」

シルバー「男さんを助けたい気持ちは僕にも分かりますけど……。」

ブラウン「そのことだ、彼にはこれから約束をしてもらう。」

ブラウン「それで、決める。」

ブラウンは男の方に向き直り、真剣な顔をした。

ブラウン「男君、一度しか言わないよ……よく聞いてくれ。」

男「は、はい。」

男(一体なんなんだ……。)
0159名無しさん2014/07/05(土) 23:28:32.16ID:rD5DdTfG
ブラウン「君がもしも、この星で一番の力を持った時に……。」

ブラウン「君は力に溺れて、悪の道に進んだりしないか。」

ブラウン「今の純粋な君でいられるのか。」

ブラウン「どうなんだ、答えてほしい。」

男は必死になって考えた。

男(俺が悪の道に進む?そんなことないだろ。)

男(俺みたいな小心者が悪事を働く勇気もないし、それに暴力は嫌いだ。)

男(でも、世界で一番強くなれたら……。)

男(誰も俺を止めることができないのなら……。)

男(自暴自棄になって悪の道に進むのかもしれない……。)

男の自信が消えかけた瞬間。
彼の優しさが呼びかけた。
その声は、彼の心に小さな
だが、決して消えることのない真っ赤な火を灯した。

男(僕は人に優しくありたい。)

男(皆が僕に優しくしてくれたみたいに。)

男(もしも、世界で一番の力があっても、周りに優しくして生きていたい。)

男(たとえ、性癖が理解されなくても、夢が叶わなかったとしても。)

男(僕は心の優しさを忘れたくない!!!)

彼の目に優しさと自信が満ちている。
どうやら、彼の答えは決まったようだ。
0160名無しさん2014/07/05(土) 23:44:28.48ID:rD5DdTfG
ブラウン「さぁ、君の答えを聞こう!!」

男「僕は強く優しく純粋に生きていきたいです!!!」

ブラウン「そうか…………。」

男「ハァハァ…………。」

男が偽りのない気持ちで叫んだ瞬間。
彼の顔に笑みがこぼれた。

ブラウン「その言葉が聞きたかった……。」

ブラウン「いいだろう、私は君にコレを授ける。」

ブラウン「このバトルスーツとバトルアイテム。」

ブラウン「そして、ワールド・クリエイター・セットを。」
0161名無しさん2014/07/05(土) 23:57:25.23ID:rD5DdTfG
ホワイト「正気なの!!ブラウン!!」

ブラウン「俺は正気だぞ、ホワイト。」

ゴールド「コイツが信用に値するのか。」

ブラウン「少なくとも、俺は彼を信じる。」

ブラック「俺もだ……。」

ゴールド「ブラック、アンタもかよ。」

ホワイト「そうよ、アンタが一番こういう話に堅物じゃない!!」

ブラック「別に男を信じたわけではない、ブラウンを信じただけだ。」

ホワイト「そんな……。」

シルバー「僕も男さんを信じてみます。」

ゴールド「お前まで何を言ってるんだよ。」

シルバー「だって、男さんがこれで願いを叶えられるんですよ。」

シルバー「20年も好きな人を想っていたんですから、その人を愛する気持ちを僕は信じます。」

ホワイト「シルバー……。」

ゴールド「お前……。」

ホワイト「わかったわ、私も男君を信じてみる。」

ゴールド「ハァ?お前まで、一体どうしちまったんだよ……。」
0162名無しさん2014/07/06(日) 00:17:54.86ID:w77C17UI
ホワイト「別に、深い理由はないわ。」

ホワイト「けど、なんかコレが今の彼に必要な気がしたのよ。」

ホワイト「それに、彼にコレを渡す流れだし。」

ゴールド「だからって……。」

ホワイト「アンタはどうするの?」

ゴールド「ハァ?」

ホワイト「4対1よ。」

ホワイト「信じるの?男君を?」

ゴールド「クソッ!卑怯だぜ……。」

ゴールド「…………。」

ゴールド「チッ、仕方ねぇ……。」

ゴールド「分かった、俺もコイツを信じる……。」

ゴールド「だけどな、コイツを認めたわけじゃねぇからな。」

ブラウン「これで考えが満場一致したな。」

ゴールド「ちゃんと、大佐には話をつけてくれよな。」

ブラウン「分かっている。」

ホワイト「男君も約束したからね、ちゃんと守ってよ。」

男「はい、約束しました。」

ブラック「よし、君にこれから軽くコレの説明をする。」

ブラック「もう時間がないから、よく聞いておけよ。」

男「はい。」
0163名無しさん2014/07/06(日) 00:54:36.63ID:w77C17UI
ブラックがケースを開けた。
中には、銀色のブレスレットがが入っていた。
リングの真ん中に金色に光るひし形の装飾品が付いている

ブラック「よく見ておけ。」

男「はい。」

ブラックはブレスレットに話しかけた。

ブラック「出てこい。」

すると、ブレスレットが輝いて
中から、銀色のスーツと武器のような物が2つ
バックルが大きなベルトっぽい物が飛び出してきた。

ブラック「音声認識だ、出てこいと言えば収納されているアイテムが出てくる。」

男「凄い……小さなブレスレットから何倍の物を取り出すなんて……。」

ブラック「次は一つ一つざっくり説明をする。」

ブラック「まずはこれだ、バトルスーツ。」

ブラック「装着した者の総合能力を何十倍にも高めてくれる。」

男「それは凄いですね……。」

ブラック「このスーツに慣れれば、もっと強くなれる可能性もある。」

ブラック「ただし、これを装着するだけで意外と体力を使うぞ。」

男「そうなんですか?」

ブラック「疲れているときには安易に装着しない方が身のためだ。」

男「まさか……死ぬほどの負担なんですか……。」

ブラック「いいや、心配するな、せいぜい軽い筋肉痛程度だ。」

男「そうですか、良かった……。」
0164名無しさん2014/07/06(日) 01:36:57.01ID:w77C17UI
ブラック「次はこれだ、メタルヤイバー。」

ブラック「強力な合金で作った切れ味抜群の刃だが……。」

男「刃だが……?」

ブラック「こうすると……チェンジ・メタルロッド!」

ブラックが刃を手に取り、そう声を上げると
刃は形を変えて長い棒状のものになった。

男「変化した!」

ブラック「これがメタルロッド、当たり前だが棒術に優れている。」

ブラック「そして、チェンジ・メタルシールド!」

ブラックの手の中でメタルロッドは片手で持てるサイズの盾に変化した。

男「また変わった!」

ブラック「これはメタルシールドだ、攻撃を防御しながら格闘戦に持ち込むことができる。」

ブラック「これで、チェンジ・メタルヤイバ―!」

言うが早いか、盾は刃に戻った。

ブラック「チェンジって言った後に、変化させたい武器の名称を言えばそれに変わる。」

ブラック「これでヤイバーとロッド、シールドの説明は終わりだ。」
0165名無しさん2014/07/06(日) 02:02:03.34ID:w77C17UI
ブラック「お次はこれだ、ロックバスター。」

ブラック「威力は普通のレーザーレベルだが、これにエネルギーを貯めて撃つと……。」

男「普通のレーザーって……まあいいや、どうなるんですか?」

ブラック「ここでは試せないが、その威力は大き目の岩石を木端微塵に打ち砕くまでに上がる。」

男「滅茶苦茶、危ないじゃないですか!」

ブラック「だから悪用するなと言っているんだ。」

ブラック「いいか、カチカチ連打して撃ちまくればある程度の弾幕が張れる。」

ブラック「長押しをして、チャージすれば最大威力で打てるようになる。」

男「チャージには、どのぐらいの時間が掛かりますか?」

ブラック「約20秒間ほどだ。」

男「なるほど。」

ブラック「ロックバスターの説明は以上だ。」
0166名無しさん2014/07/06(日) 02:28:19.04ID:w77C17UI
ブラック「最後はこれだ、ワールド・クリエイター。」

男「せ、世界を作るって意味ですか?」

ブラック「そうだ……名前の通りのことができる。」

男「ほ、本当に世界を作ることができるのですか?」

ブラック「自分が想像した世界に行くことができる。」

ブラック「簡単に言うと脳からイメージを取り出して、想像の世界の空間を作り出し、その世界に入ることができる。」

男「凄過ぎる!!」

男(ということは、イヤリング官女のいる世界を僕が作り出すこともできるのか。)

ブラック「そして、その世界から何かを取って帰ってくることさえもできる。」

男「マジですか!!それなら!!」

ブラック「ん、どうかしたのか?」

男「あ、ああ、いいえ、別に驚いただけですよ。」

ブラック「そうか……。」

男「でも、なんでこれを使わないんですか?」

ブラック「どういう意味だ?」
0167名無しさん2014/07/06(日) 03:10:19.30ID:w77C17UI
男「これを使えば食べ物をいくらでも想像して取れるじゃないですか?」

男「条件の合う星だって想像して作り出すこともできるんじゃないですか?」

ゴールド「それができたら苦労はしねぇよ。」

男「どういうことなんですか?」

ゴールド「あのなぁ、コイツは1回使うだけでも精神力をかなり使うぜ。」

ゴールド「取ってくる物のサイズもデカければデカいほど、その分だけ体力も消耗する。」

ゴールド「惑星サイズにでもなれば持ち帰りは100%不可能だ、体が耐えられない。」

ゴールド「考えてみろよ、自分一人の力だけで星を動かせるかよ。」

ゴールド「たとえ、百億人いたって星を持ち上げられる訳がない。」

男「そうなんですか……すみません、簡単そうに言ってしまって……。」

ホワイト「気にしないで〜、誰だってそう考えるわよ。」

ホワイト「こうやって地道に探していれば、いつかは理想の星に出会えるわ。」

シルバー「そうですよ、男さん、ホワイトさんの言う通りですよ。」

男「ありがとうございます、ホワイトさん、シルバーさん。」

ホワイト「いえいえ。」

シルバー「どうも、こちらこそ。」

男「解説をありがとうございます、ゴールドさん。」

ゴールド「お、おぅ。」

ブラック「お取込み中で悪いがこれで最後の説明だ……。」

ブラック「これが一番大事な説明だからな、よく覚えとけよ。」

男「はい、ブラックさん。」
0168名無しさん2014/07/06(日) 03:48:53.94ID:w77C17UI
ブラック「このワールド・クリエイターを作動するときには……。」

ブラック「キツイと思うがバトルスーツを着用した方がいい……。」

ブラック「体力を何十倍に上げることができるからな……。」

ブラック「ただし、言い忘れていたが……バトルスーツは体力が限界を迎えると……。」

ブラック「自動的に装着が解除される……。」

ブラック「ワールド・クリエイターで作り出した世界でも体力は徐々に削られていく……。」

ブラック「よって、長時間の間、作り出した世界にいることはできない……。」

ブラック「何かを持ち帰っている途中だとしても体力に限界を迎えた場合は……。」

ブラック「強制的に手ぶらで元の世界へと帰される……。」

ブラック「あと、バトルスーツを装着しても精神力は強くはならない……。」

ブラック「バトルスーツの力でも心の強さは上げることができない……。」

ブラック「だから、最初は世界を作るのでさえ難しいと思う……。」
0169名無しさん2014/07/06(日) 11:54:58.69ID:w77C17UI
ブラック「まあ、今の君だったら大丈夫だろう。」

ブラック「時間は掛かりそうだが、直に使いこなせる筈だ。」

男「元の世界に帰るには、どうすればいいんですか?」

ブラック「ああ、元の世界に帰りたくなった時は……。」

ブラック「元の世界を強くイメージしろ……。」

ブラック「そうすれば空間に穴が開き、入れば戻れる……。」

ブラック「行きの場合でも同じだ、空間の穴をくぐればいい……。」

ブラック「そして、これを使った後のダメージは大きいぞ……。」

ブラック「回復に個人差はあるが、最低でも12時間近くは昏睡状態になる……。」

ブラック「行きに成功した場合は、その世界ではダメージは軽いが……。」

ブラック「戻ってきたときに、蓄積された分が一気に体へ襲い掛かるぞ……。」

男「つまり……成功しようと失敗しようと、肉体と精神に大きな負担を掛けるってことですか。」

ブラック「そうだ、多かれ少なかれダメージは必ずに起こる……。」

ブラック「最後に教えるのは、不具合が起きた場合についてだ……。」

男「不具合?」
0170名無しさん2014/07/06(日) 12:19:45.75ID:w77C17UI
ブラック「たまにだが、取って帰ってきた物が従来と違う物になる場合がある……。」

男「それって……どういう意味ですか?」

ブラック「簡単に例えれば、向こうの世界から食べ物を取ってきたとする……。」

ブラック「見た目はとても美味しそうな食べ物だ……。」

ブラック「だが、それが形だけでなにも味や栄養がなかったらどうする?」

男「それじゃあ、食べる意味がないじゃないですか。」

ブラック「そうだ、意味がない……。」

ブラック「想像した物と違う場合があるから気をつけろよ……。」

男「はい。」

ブラック「ついでに、元の世界に取ってきた物を返すこともできる……。」

ブラック「取ってきた対象物の元にいた世界をイメージして空間の穴を開き……。」

ブラック「そこに放り込めばいい、そうすれば対象物は勝手に元の世界へと帰って行く……。」

男「このワールド・クリエイターも万能ではないんですね……。」

ブラック「これはまだまだ、試作品の段階だからな……。」

男「エッ!……そ、そうなんですか?」

ブラック「ああ、そうだ。」
0171名無しさん2014/07/06(日) 12:54:34.35ID:w77C17UI
ブラック「マウス星ではこれと同じ物が二千個ほどある……。」

男「そ、そんなにあるんですか!!」

ブラック「星の人口に比べれば全然、多くはない……。」

ブラック「これを作るには特別な材料と特殊な製造が必要なんだ……。」

ブラック「これ以上は量産できない……。」

ブラック「だから、これは我々のような軍隊が所有している……。」

ブラック「一度に多くを集めて保管していたら、万が一盗まれて各地に広まったら収拾がつかなくなる……。」

ブラック「誰でも簡単に使えて量産ができるぐらいになるまでは……。」

ブラック「こうやって1チーム1個で我々が軍隊が管理しているんだが……。」

ブラック「まさか、こんなことになるなんてな……。」

男「本当に……僕に渡してもいいんですか……皆さん……決まりを破ってまで……。」

ブラック「気にするな……我々の友情の証とでもして受け取ってくれ。」

シルバー「大変です!もう時間がないですよ、ブラックさん。」

ブラック「ああ、もっと説明することは山ほどあるのだが……仕方がない……。」

ブラック「すまない、残りの使い方は君一人で見つけてくれないか……。」

ブラウン「いや、その心配はない。」

ブラウンが機械室から戻ってきた。
手には本のような物を持っている。
0172名無しさん2014/07/06(日) 13:21:24.84ID:w77C17UI
男「ブラウンさん、それは……。」

ブラウン「この道具一式の説明書だ。」

ブラウン「だが、このままでは君がマウス星の字を読めないから……。」

ブラウン「機械室でこの星の言語、日本語に訳しておいたよ。」

男「あ、ありがとうございます。」

ブラック「お前、いつの間にそんな物を作ったんだ?」

ブラウン「お前は口下手だからな、説明不足が出ないようにだ。」

ブラック「悪かったな、説明不足で……。」

男「そんなことないですよ、ブラックさんの説明が詳しくて助かりました。」

ブラック「男……。」

ブラウン「まあまあ、これで大丈夫だ。」

ブラウン「だけど、翻訳には骨が折れたよ、君の星の言語は共通言語じゃないからね。」

男「すみません、余計な心配掛けさせちゃって……。」

ブラウン「いいんだ、違いがあることだって悪い事なんかじゃない。」

ブラウン「むしろ、お互いの違いを尊重して認め合うべきだと思う。」

男「僕もそう思います……。」

ブラウン「さて、もう時間がない。」

ブラウン「これを全て君に託す、くれぐれも悪事には使わないでくれよ……。」

男「はい、自分と皆さんに約束しましたから。」

ブラウン「絶対にだぞ。」

ブラウン「さてと、お別れだ……。」

男「ブラウンさん……。」
0173名無しさん2014/07/06(日) 14:10:52.32ID:w77C17UI
ブラウン「男君、君に会えて嬉しかったよ。」

男「僕も皆さんに会えて嬉しかったです、ブラウンさん。」

ブラック「こんなに人と話したのは久しぶりだな。」

男「丁寧なご説明をありがとうございました、ブラックさん。」

ブラック「オイオイ、それは口下手な俺への皮肉かい。」

男「あ、いえ、そんなつもりじゃ……。」

ブラック「フッ、冗談だ。」

ホワイト「私達のこと、絶対に忘れないでよ。」

男「忘れることなんてありえませんよ、ホワイトさん。」

ホワイト「そうよね、私も忘れるなんて無理だわ。」

シルバー「僕、男さんのこと……カッコイイって思いました。」

男「僕が……ですか?」

シルバー「一人の女性を、今までずっと愛し続けたんですよね。」

シルバー「それって、男してカッコイイじゃないですか。」

男「ありがとう……シルバーさん。」

ホワイト「そうよ、もっと胸を張っていなさいよ。」

ホワイト「男君にはその資格があるわ。」

ホワイト「足りないのは自信だけよ。」

男「はい、確かにそうですよね。」

ホワイト「男君の夢……叶えられるといいわね。」

シルバー「無責任な言い方ですけど……頑張ってください、男さん。」

ホワイト「彼女ができたら大切にしてあげるのよ。」

男「はい、頑張ります!」

ホワイト「アンタはなにも言わなくていいの?」

ゴールド「…………。」
0174名無しさん2014/07/06(日) 14:53:37.10ID:w77C17UI
男「あの、すいません……ゴールドさん、話を長引かせちゃって……。」

ゴールド「…………。」

ホワイト「気にしないで、前からコイツはこんな感じだから。」

ゴールド「黙れ!ホワイト!」

ゴールド「オイ!!男!!」

男「は、はい。」

ゴールド「お前、絶対に俺らのことを周りの奴らに話すなよ。」

ゴールド「それに変なことに力を使うんじゃねぇぞ。」

男「はい、わかってます。」

ゴールド「最後に…………。」
0175名無しさん2014/07/06(日) 14:54:39.09ID:w77C17UI
ゴールド「…………頑張れよ。」

男「う、うん。」

シルバー「ゴールドさん……。」

ホワイト「アンタも良いこと言うじゃん。」

ゴールド「うるさい!ただ俺は……。」

ホワイト「ただ俺は?」

ゴールド「ウジウジしている奴は嫌いなだけなんだよ!!」

ゴールド「だからシルバー、お前もあまりウジウジすんなよ!!」

シルバー「は、はい、了解しました。」

ゴールド「別にそんなにかしこまらなくてもいいんだよ。」

シルバー「エッ…。」

ゴールド「俺はな、こういう態度でしか人と向き合えないだけなんだよ。」

ゴールド「お前や皆が嫌いなわけじゃない。」

ゴールド「だから、気にしないでくれ。」

シルバー「ゴールドさん……。」

ブラック「お前……フッ……シャイなだけだな……。」

ゴールド「笑うんじゃねぇ!!ブラック!!」

ホワイト「まあまあ、照れない照れない♪。」

ゴールド「ホワイト!!てめぇ…!」

ブラウン「はいはい、そこまでにしとけよ。」

ブラウン「この続きはマウス星に帰ってからでも遅くはない。」
0176名無しさん2014/07/06(日) 15:41:01.92ID:w77C17UI
彼らは外に出た。時刻は4時30分頃
空が黒から青へと変わり、微かに太陽の光が見える
海の向こうの国では、もうオレンジの色の朝を迎えているのだろうか。

ブラウン「君の記憶は消さない、そしてこれを使って君の夢を叶えてくれ。」

ブラック「お互い、未来に向かって任務を果たそう……。」

ホワイト「またいつか、会えるといいわね。」

ゴールド「俺達との約束を破んじゃねぇぞ!!」

シルバー「頑張ってください、僕らも必ず新しい星を見つけ出してみせます。」

男「僕は辛い過去を変えられなくても、未来がどんなに厳しくても……。」

男「必ず希望は捨てないことにします。」

男「皆さんのおかげです、本当にありがとうございました。」

5人「「「おう!!」」」

6人は固い握手を交わした。
お互いの心に希望の輝きが煌めきはじめた。
もう、恐れるものは何もない。
0177名無しさん2014/07/06(日) 16:10:08.21ID:w77C17UI
ブラウン「では、さらばだ!!」

ブラウンは男にケースを渡し、宇宙船へと戻って行く。

ブラック「元気でな……。」

ブラックも彼に続く。

ホワイト「バイバ〜イ。」

ゴールド「じゃあな!!」

シルバー「さようなら!男さん!」

ホワイト、ゴールド、シルバーも男に別れを告げた。

男「皆さんのことは!!絶対に忘れません!!」

男は叫びながら彼らを見送る。
その目には決意が宿っていた。

男「必ず!!全てを守ります!!」

男「約束も!!優しさも!!希望も守ります!!」

男「だから安心してください!!」

男「皆さんも頑張ってください!!いつまでも応援しますから!!」

男「本当にありがとうございました!!!」

男の決意の雄叫びと感謝の気持ちを受け止めた5人は
後ろを向きながらも手を上げて、指十字を作り彼にYELLを送った。

男「GOOD LUCK……。」

男もそれに応じて、彼らに同じハンドサインを送った。
たとえ、後ろからは見えなくても心にはきっと届く。

彼らは名残惜しそうに手を下ろし、宇宙船の中へと戻って行った。
0178名無しさん2014/07/06(日) 16:22:39.01ID:w77C17UI
シャッターがガラガラと閉まり、宇宙船の内部で確認作業が始まった。

ブラウン「「防御カプセルは異常なしだ。」

ゴールド「燃料タンクは大して減ってないぜ、異常なしだな。」

ブラック「スピード装置、コントロール装置……共に異常なしだ。」

ホワイト「パワーエンジンとバリア装置も異常ないわよ。」

シルバー「レーダーや計器、その他諸々も大丈夫です。」

ゴールド「お前、行きの時とは変わったな。」

シルバー「僕も男さんと同じように変わります。」

シルバー「これからは堂々といきますよ、ゴールドさん。」

ゴールド「そ、そうか、それは良いことだな……。」

ブラック「フッ、安全確認終了だ……ブラウン。」

ブラウン「よし、全員防御カプセルに入ってくれ、出発だ。」
0179名無しさん2014/07/06(日) 17:06:06.22ID:w77C17UI
全員がカプセルに入り込み、プシュー、パタンと蓋が閉じた
カプセルにロックが掛かり、スリープガスが流れ出した。
5人の意識が薄れていく……。

5人「さようなら、地球……。」

5人「さようなら、男……。」

一方、宇宙船から少し離れた場所で、男が彼らの帰還を見守っていた。

男「宇宙船の形が変わっていく……。」

ウィーン…ウィーン…ウィーン…。

戦闘機型から四角い形状に変化した宇宙船は
軽いエンジン音を上げ宙に浮かび上がった。

男「行っちゃうんだね……皆さん。」

宇宙船の周りにバチバチと火花が散り始める。

男「皆さん!!またいつか、会いましょうね〜!!!」

その別れの叫びが出発の合図だったかのように
宇宙船は光の塊に包まれた。
そしてバチッと音がしたかと思うと、一瞬で宇宙の彼方に飛んで行ってしまった。

男「早っ!!流石だな、確かに凄い科学力だ。」

男「あっという間に……行っちまった……。」

男は素直な感想をつぶやきながら
彼らが去って行った方角の空を眺めた。

眩しい朝日が町を眠りから目覚めさせる。

男は彼らから託されたケースを強く、胸に抱え込んだ。

男(絶対にやり遂げてみせる!!)

男(何が何でも……絶対にだ……。)

男は彼らとの別れの寂しさを噛みしめて
彼らのくれたチャンスを無駄にしないために……。

夢を叶える決意をさらに強くした。
0180名無しさん2014/07/06(日) 17:28:01.86ID:w77C17UI
?「オイ、お前。」

男「!?」

不意に背後から声がして男は縮み上がる。
あまりの驚きに声が一切出ない。

声は出ないが、頭の中で言葉が湧き出す。

男(誰だ!!一体何者だ!!)

男(もしかすると、よく映画である黒服の人達がいるのか?)

男(宇宙人の秘密を教えろとか言われて何処かに連れて行かれるかもしれない。)

男(そうなったら、これを盗られる。)

男(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。)

男の変な想像力が悪い方に傾く。

しかし、男は悪いビジョンを掻き消した。

男(いや、悪く考えちゃ駄目だ。)

男(そんな映画みたいなことがあるわけがない。)

男(まあ、宇宙人から世界を作り出すものを与えられたことも、現実にはありえないが……。)

男(…………。)

男(とりあえず……後ろにいるのは誰かを……確認をしよう……。)

男がカラクリ仕掛けの人形のように
ガクガクと震えながら、後ろに振り向いた。

そこには…………。
0181名無しさん@ピンキー2014/07/07(月) 19:27:02.42ID:???
>>180
執筆お疲れさまです。先日金曜から18話配信でイヤリング官女の黒髪攻撃が最大限に発揮される楽しみとキバレンジャーによって倒されるという悲しさが入り交じってます。
しかしイヤリング官女への思いは不変でありますよ。次回の更新も楽しみにしてます。
0183名無しさん2014/07/08(火) 14:15:03.88ID:SeA5Z37j
そこには、友人が立っていた。

男「ゆ、ゆ、友人!?」

友人「や、やっぱり男じゃん。」

男「ど、どうしてここに!?」

友人「い、いや、朝日を眺めにだけど……。」

男「なんでわざわざ朝日を眺めに?」

友人「ほ、ほら、俺達よく裏山に来て景色を眺めていたじゃん。」

友人「夕焼けとか、星空とかさ。」

友人「でも、まだ朝日は見たことがなかったな、と思って。」

友人「思い立ったが吉日で見にきたら、なぜかお前がいて。」

友人「お前が驚いた声を上げるもんだから、こっちまで驚かされて。」

友人「今に至るわけなんだが……。」

男「そ、そうなの……。」
0184名無しさん2014/07/08(火) 14:43:04.00ID:SeA5Z37j
友人「じゃあ、お前はどうしてここに?」

男「えーと、その〜。」

友人「朝早くから仕事があるんじゃなかったっけ?」

男「そ、それは平気、まだ時間に余裕はあるし。」

友人「ふ〜ん、で、どれぐらい前からここに来てた?」

男「30分ぐらい前にかな……。」

友人「何をしにここに来た?」

男「ああ…その…うーん……。」

男(参ったなぁ、正直に話すわけにはいかないからなぁ……。)

男(なんて言えばいいんだろう……仕方がない……。)

男「俺も朝日を見に来たのさ。」

男(すまんな、友人……嘘はいかんけど……ブラウンさん達との約束したからね……。)

友人「へぇー、奇遇だな。」

男「これって運命かも?」

友人「ハハッ、そういう言い方やめろよ、気持ちわりぃな。」

男「アハハ、ごめんごめん。」

友人「あのさ、さっきから気になるんだけどそのケースは何?」

男「ウッ!?」
0185名無しさん2014/07/08(火) 14:55:16.98ID:SeA5Z37j
男「……これのこと?」

友人「そう、お前が今、大事そうに抱きしめているやつ。」

男「これですか〜、これはね〜……。」

男(うわあああああ、でたよ、この質問……。)

男(答えられるわけないよ……急いで隠しておけばよかった……。)

男(こうなったら、話を逸らすしかないな……。)

男「あっ、朝日が見えてきたよ。」

友人「おっ、本当だ。」

男(よし、いいぞ。)

朝日が遠くの山の向こう側から射している。
0186名無しさん2014/07/08(火) 15:43:29.05ID:SeA5Z37j
男「はぇー、綺麗だな……。」

友人「そうだな。」

話を誤魔化すために言ったのだが、男は朝日に見とれてしまった。

見下ろした町並みがゆっくりと光へと包まれていく。
目に眩しいような光ではなく、ぼんやりとした優しい光……。
それは裏山も照らしはじめた。

男「あったかいな……。」

友人「おお、体に染み込んでいくようだな……。」

近くから鳥のさえずりが聞こえる。

男「友人、もしも……。」

友人「ん、どうした?」

男「俺には好きな人がいる、って言ったら笑うか?」

友人「え、なんだよ急に……。」

男「いや、別になんでもない……冗談だよ。」

友人「…………。」

男「呆れたのか?……。」

友人「いいや、俺は応援するよ……。」

男「お前……。」

友人「俺な、実はお前に言いたいことがあるんだ……。」

男「え、何だよ一体。」
0187名無しさん2014/07/08(火) 16:05:14.94ID:SeA5Z37j
友人「実は俺さ、お前と同じタイプなんだ。」

男「同じって?」

友人「性格がだよ、引っ込み思案な所がさ、お前と似ているんだ……。」

男「俺は確かにそうだけど……お前はそんなことないだろ、お前は友達も多いんだし……。」

友人「本当に友達と言い切れる人は少ないよ。」

男「えっ?」

友人「家族と彼女とお前を入れて数人ぐらいしかないよ、本音が言えるのは……。」

男「何言ってんの?」

友人「俺さ、意外に見えるかもしれないけど、賑やかなのは苦手なんだ……。」

友人「それと、俺は都合のいい奴が嫌いなんだ……。」

男「どういうことなの……。」
0188名無しさん2014/07/08(火) 16:29:17.96ID:SeA5Z37j
友人「俺……会社では都合よく使われているんだ……。」

男「え、でも昨日はいい会社だって……。」

友人「見栄を張っただけだよ……。」

友人「給料だって高くならないし、面倒な仕事ばかり押し付けられる。」

男「そうだったんだ……。」

男(正社員もいろいろと大変なんだな……。)

友人「学生時代もお前と他の奴、数人ぐらいだよ……。」

友人「一緒に遊んでいたのは……。」

友人「残りの全員からは、いいようにされたよ……。」

友人「サンドバックにされたり、財布になったりしたよ……。」

男「友人!?お前……それって、イジメじゃねぇか!!」

友人「そうだな……。」

男「なんで教えてくれなかったんだ!!俺でも少しは助けられたかもしれないのに!!」

友人「お前に迷惑を掛けたくなかったんだ。」

男「すまない、お前が大変な時に気づいてやれなくて……。」

友人「いいんだ、もう過ぎたことだ……。」
0189名無しさん2014/07/09(水) 13:34:19.61ID:x6heg/a6
男には大変なショックだった。

友人は会社の正社員で友達が大勢、おまけに彼女持ちという勝ち組。
悩みなんて一つもない人だと思ったのに。
本当はこんなに辛い思いを陰でしていたなんて……。

友人が辛い時になにもしてやれなかった自分が……。
いや、何も知らないでただただ羨ましがっていた自分が腹立たしい。

男(俺の見えないところでコイツは辛い思いをしていたなんて……。)

男(俺……友人のこと……心のどこかで……嫉妬してた……。)

男(いいな〜、お前は人生楽しそうで、とか思って……。)

男(友人の幸せを、素直に祝えずに……妬んでいたんだ。)

男(なんて、僕は最低な人間なんだ!!)
0190名無しさん2014/07/09(水) 13:50:23.53ID:x6heg/a6
友人「俺さぁ、会社辞めようかなって思うんだ……。」

男「そうなんだ……。」

友人「うん、別にやりたい仕事でもなかったし。」

友人「このご時勢、正社員になれるだけでもありがたいけど。」

友人「このまま残業ばかりしてたら、俺の体が持たないよ。」

友人「働くってさ、金を貰うこと以外になんの意味があるんだろうね……。」

男「会社を辞めたらどうするんだ。」

友人「こっちに帰ってこようかなって考えてる。」

男「家族にはこのこと、話したのか。」

友人「いや、まだ話していない……。」

男「お前には彼女がいるんだろ、彼女はどうするんだ。」

友人「彼女とは、デートをする日に会うから、その時に別れるつもりだ。」

男「……ハァ?」
0191名無しさん2014/07/09(水) 14:10:09.31ID:x6heg/a6
男「どうして……別れるんだ。」

友人「仕事を辞めたら、収入が0になるし別の仕事を見つけるにしても就職難だろ。」

友人「彼女にお金や将来の心配は掛けたくない。」

友人「まだ1年ぐらいしか付き合ってないけど。」

友人「結婚する気がお互いあったんだ、そろそろかなって……。」

友人「でもしなくてよかったよ、彼女に×を付けずにすんだ。」

男「お前、平気なのかよ……。」

友人「大丈夫だよ、彼女はまだ若いし可愛いから平気だよ。」

友人「きっと、他の相手が見つか――」

男「彼女のこと言ってんじゃなくて、お前のこと言ってんだよ!!」
0192名無しさん2014/07/09(水) 14:33:19.00ID:x6heg/a6
男「お前は別れてもいいのかよ!!彼女のことが好きなんじゃないのかよ!!」

友人「彼女のことは好きだよ……でも、仕方がないだろ。」

友人「これも彼女のためなんだよ。」

男「バカヤロー!!」

友人「えっ!?」

男「彼女が本当に好きならなぁ……そんなくだらないことで別れるんじゃねぇよ!!」

男「お前はもっと自分と大切な人を大事にしろよ!!」

友人「……簡単な風に言いやがって……。」

友人「ふざけんな!!お前に何がわかる!!」

友人「俺だってな、もっとやりたかった仕事に就いて!!」

友人「イジメられたり、雑用を押し付けられたりすることなんかなくて!!」

友人「もっと充実した人生を送りたかったよ!!」

男「諦めるなよぉ!!」

男「俺だって叶わなかった夢があるんだ!!」

友人「なんなんだよ!!その夢ってのは!!」
0193名無しさん2014/07/09(水) 14:54:47.31ID:x6heg/a6
男(あ、やべぇ、架空の人物を愛しているなんて恥ずかしくて言えねぇ。)

男「でも、それが叶いそうなんだよ!!」

友人「だから何が叶うんだよ!!」

男「だから、お前も最後まで希望を捨てるな!!」

友人「俺の質問に答えてくれよ!!」

男「諦めたら絶対に後悔するから!!」

友人「ちょっと待って。」

男「人を愛する優しさを失ってはいけない!!」

友人「頼む、俺の質問に――」

男「金と仕事がなんだ、彼女に相談してもないくせに決め付けるな!!」

友人「オイ、落ち着――」

男「俺もお前のことを今日から全力でバックアップしてやる!!」

友人「あの――。」

男「辛いことがあったらなんでも相談してくれ、お前の力になりたい!!」

友人「…………。」

男「頑張れ友人、君には明るい未来が待っている!!」

友人「…………。」
0194名無しさん2014/07/09(水) 21:57:55.62ID:NwIfO6hZ
男「あ、ごめん……。」

友人「…………。」

男「いろいろと簡単に言っちまって……。」

友人「ああ……お前の言いたいことはわかったよ。」

男「えっ、本当に?」

友人「わかったけど、納得はできない。」

男「どうして?」

友人「お前の考え方は俺には理解できない。」

友人「夢とか希望とかいう不確定なものを信じられない。」

友人「これから未来がどうなるかなんて誰にも予測できない……。」

友人「夢だって必ずしも、叶うわけではない……。」

友人「結局、俺はお前の言う、明るい未来を信じたらいいのか分からない……。」

男「じゃあ、どうすればお前は明るい未来を信じられる?」

男「明るい未来を諦めない気持ちを捨てなくて済む?」

友人「…………。」

友人「そうだな……一つ提案がある。」
0195名無しさん2014/07/09(水) 22:11:03.63ID:NwIfO6hZ
友人「お前さっきさ、叶いそうな夢があるって言ったよな。」

男「あ、ああ……。」

友人「どんな夢が叶うんだ?」

男「それは……うまく説明できない……。」

友人「ハァ?なにそれ?」

男「すまん……。」

友人「じゃあいいよ、どのぐらいすごい夢が叶うのか。」

友人「簡単でいいから、具体的に説明してくれよ。」

男「……俺が結婚できるぐらい。」

友人「マジで!?」

男「うまくいけばだけど……。」

友人「へぇー、お前がか……ハハッ。」

男「な、なにが可笑しいんだよ。」

友人「……よし、決めた。」

友人「それくらいすごいなら、この提案をしよう。」

男「どんな提案なんだ?」
0196名無しさん2014/07/09(水) 22:26:07.81ID:NwIfO6hZ
友人「お前がその夢を叶えられたら、俺も未来を諦めない。」

友人「それが、俺からの提案だ。」

男「もしも、できなかったら……どうするんだ?」

友人「そしたら俺は……もう一生、一人で生き抜くつもりだ。」

友人「誰にも迷惑を掛けたくないしし、利用されたくもないからな。」

男「そんな……。」

友人「どうだ、乗るか。」

男「極端すぎないか、もう少し冷静に――」

友人「提案に乗るか、乗らないのかを聞いているんだ。」

男「…………。」

友人「無理なのか?」
0197名無しさん2014/07/09(水) 22:48:23.39ID:NwIfO6hZ
男「……いいぜ。」

男「乗った!!お前の挑戦を受けてやるよ!!」

男「お前にも、諦めない心ってやつを教えてやる!!」

友人「で、いつまでに教えてくれるんだ?」

男「そいつは……時間が掛かりそうだ。」

友人「よし……3ヶ月ぐらいまでなら待ってもいい。」

友人「それまでなら、俺は待ってやる……。」

友人「ただし、それ以降は……GAMEOVERだ。」

男「……3ヶ月だな。」

友人「足りないのか?残念だが、これ以上は待てない。」

男「いや、十分だ。」

友人「よし、契約成立だな。」

男「OK、異議なし。」
0198名無しさん2014/07/09(水) 23:07:57.69ID:NwIfO6hZ
友人「フッ……せいぜい夢に向かって、頑張ってくれたまえ。」

男「ハハッ、お前こそ……お仕事頑張れよ〜。」

友人「あれ、そういえばお前は今日仕事があるんじゃなかったけ……。」

男「ゲェッ、忘れてた……まだ間に合うかな?」

友人「俺に聞くな、時計を見ろよ。」

男「だよな……おっ、まだ少し余裕があるな。」

友人「なぁ、時間があるならもう少し景色でも見ないか?」

友人「こんな輝かしい町並みを見たのは初めてだ。」

男「賛成、俺も同じ気分だ。」

男(やれやれ、このケースのことはバレずに済んだか……。)
0199名無しさん2014/07/09(水) 23:37:35.39ID:NwIfO6hZ
友人「でさ、お前の持っているそのケースは何?」

男(ギクッ!?やっぱり聞いちゃうのか……。)

男「これは……秘密だよ。」

友人「え〜、俺達は友達だ、隠し事なんかするなよ。」

男「お前だって隠し事してただろ。」

友人「それとこれとは理由が違うだろ……。」

男「まあまあ、そのうち教えてやるよ。」

友人「もったいぶんなよ。」

パタパタバサバサバタバタ

男「おっ、鳥たちが飛び立ちはじめた。」

友人「おお〜、本当だ。」

男(あぶねぇ〜、ナイスタイミングだ。)

男(ありがとう、裏山の鳥たちよ。)
0200名無しさん2014/07/10(木) 00:00:43.37ID:pKok3VTV
鳥たちが青く染まりはじめた空にめがけて、次々と飛んでいく。
ほとばしる太陽の光を浴びながら……。

俺達にも輝かしい未来が待っていることを願いたい……。

いや、未来は自分で掴み取るものだ。

俺が言っても説得力ないかもしれないけど
最後まで希望はあるんだって、友人には教えてやるんだ。

夢と希望は絶対ではないけれど、諦めたら本当におしまいなんだって……。

俺の心も鳥のように青空を舞いたくなる。

男(絶対に全ての約束を守りきってやる。)

男(待ってろよ……イヤリング官女。)

男(君を必ず……俺の嫁にしてみせる。)

俺の人生はまだまだ始まったばかりだ。
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