>>112
「で、ですよねあはは…すいませんヘンな事を聞いてしまって。では私はこれで失礼しますね」
(男はあきれ顔で語りかけてくる。それもそうだろう。男にとっては当たり前の事なのだろうから)
(此方にしてみれば当たり前の様で異常事態なのだ。なんとかして元いた世界に戻らないといけない。)
(そうして男の脇をすり抜けようとした時だった。)

―ブウウウンー
「痛っ……何、蟲……?あっ…中に…い、嫌っ…!!!」
(耳元で羽音が聞こえたかと思えばそれがいきなり中に入り込んできた。そして激痛にも近い痛みが)
(耳奥から走り思わず蹲る。そしてグチュグチュと耳奥から何かが這いずる音が聞こえてくる。)
(たまらず大声をあげようとするが)

「大声は出すなよ」…それと、「万歳してみろ」

「えっ……」
(唐突に声が出せなくなってしまう。そして両手がゆっくりと万歳する様にひとりでに上がり始める)
ーそんな……身体が、勝手に…どうして……!?い、言う事を…聞かない……ー
(男に言われた通りに万歳してしまう。必死で身体を動かそうとするがどうにもぎこちない動きしかできず。)
(辛うじて動くものの、ほとんどそれは動けていないと同義に近い状況だ)