(最初は大人しめだった視線が、だんだんとギラギラしたものを帯びていく)
(距離は十分あるものの、荒い息遣いまで聞こえてきそうで)

(……いや、よく見ると覗きは少しずつ近づいているらしい)
(少しずつ気配がよってきて、よりアリサの姿をしっかりと伺おうという魂胆らしい)
(当然、アリサがしっかり姿を見ることもできるようになるわけで)

(覗きは、興業を見に来ていたお客さん、ちょうど真正面にいた少年だった)
(真っ赤な顔で、もぞもぞしながらアリサに見つからない(と本人は思っている)距離まで寄っていて)