>>121
不意に現れたその気配に、エリカはコートのボタンを外す手を止めた。

「どうなさったのかしら?」

そういって振り返ったエリカは、相手の顔に何処となく見覚えがあることに気付く。
如何にも人畜無害そうな顔つきの少年を、少しからかってみたくなったのもあって、徐に彼のそばに歩み寄っていく。

「あら……○○大の付属の生徒さんですわね。いけませんわ、こんな夜中にこんな場所を出歩いたりして……」

そのまま、コートに包まれたままの肉感的な体を彼の腕に摺り寄せるようにして、さりげなくスマホを覗き込んだ。
そこに写っているのは、間違いなく彼女自身。
競泳水着のヒップへの食い込みを直す仕草を斜め後ろから写した、中々に際どいアングルの写真である。
一体、いつの間に撮られていたのだろう――隠し撮りされていたという事実に、驚きと、そして僅かな興奮とを覚えながら、エリカは写真と少年の顔とを見比べた。
そして、ようやく思い出す。

(……ああ、確か今年の男子水泳部の……)

練習中に時々、エリカの体をいやらしい目で覗き見てくる男子部員たちの中に、彼の顔があったのを思い出して納得する。
思春期特有の青臭い性欲を滾らせながら、こんな写真で自らを慰めていたのかと思うと、いよいよ羞恥と興奮とが増してくるのを感じ……。

「……変質者に襲われてしまいますわよ?」

少しばかり悪戯してやろうと、彼の二の腕に両手を絡め、豊満なバストを一層強く押し当てた。