(魔法使いが拠点としている屋敷は街の郊外にある)
(郊外と言ってもスラムではなく、自然に囲まれた静かな地域だ)
(屋敷の外観は、中で魔術の研究が行われているは思えないほど普通の洋館で)
(内装も、魔道書や魔術用の器具が所狭しと並べられている事以外、特筆する点が無い)
(夕方頃に明かりが灯り、夜遅くに消えるというのもよくある光景と言えるだろう)
(そんな屋敷は今、午後の暖かな日差しに包まれていた)
「ノエラ! 工房に来てくれ」
(屋敷の地下一階にある一室から上の階に向けて声が響き渡る)
(声の主は、見た目20代ほどの男で黒いローブを纏った明らかに魔法使い然とした格好)
(工房と呼んだ部屋は薄暗い地下室で、実験の影響か所々に焦げた跡が見える)
(地下室は階段で屋敷内と繋がっており、階段とは反対の側には別の部屋に繋がる扉があった)
(男が呼んだのは同居人として共に暮らしている少女だ)
(朝昼夕の食事は一緒に取り、雑用を任せることもあるが基本は自由にさせている)
(自由、と言ってもこの屋敷の敷地内という限られた範囲で、なのだが)
(庭の周りには使い魔を放っているし、外の森には狼や熊がいて危険だと言い聞かせていた)
(だから少女がいるとしたら屋敷内か庭である筈だし、それなら声は届くだろう)
(少女が来るまでの間、男は工房の整理をしていた)
(使っていた器具に指を向けて小声で術式を呟き、指の向きを壁に向ける)
(それだけで器具が勝手に飛んで元の位置に戻るのだから、整理と言えないほど楽な作業だが)
(そんな片付けをしている間に、少女が階段を降りてくる音が聞こえると、男は振り返り)
「来たか。前回から期間も空いたことだし、魔力供給を行うぞ、ノエラ」
(淡々と事務的な様子で、これから魔力供給をすると告げた)
(前回したのはおよそ一ヶ月以上前で、これまでの魔力供給より間隔が開いていた)
(取り掛かっていた魔術の研究で忙しかったのが原因だが、その目処が付いたという事だろう)
(男は告げた後は、黙ってノエラの様子を見ていた)
(これまで何回もあったようにまた抵抗するのだろうかと考え、その際の対策を考えて)
【書き出しはこんな感じで大丈夫でしょうか】
【名前はあった方がいいかと思い、付けさせて頂きました】
【問題無ければ、よろしくお願いします】