(飛沫が光を分散させて、空中に虹を作った)
(いつからだったかもう記憶にないが、ノエラの日課になっている庭の水やりはだいたい昼下がりに行われる)
(手に持った丸い石のようなものにホースなど繋がっていないのに大量の水が放出され、当然のように少女はそれで草木に水を撒きながら庭をゆっくりまわる)
(しばらくすると水の出が悪くなり、やがて小さな一滴を最後にとまった。振り返れば井戸からだいぶ歩いてきてしまっていた)
(仕方ない、と小走りで戻ると水を組み上げてその中に石を落としてつつきながらしばらく待つ。ころあいをみて片手で袖を抑えながら石を拾い上げてさっきの場所から水やりを再開して)
こんな簡単な水魔法くらい、教えてくれたっていいのに
(水にひかれてやってきた使い魔のちいさな竜に不満そうに話しかける)
(そうしたらいちいち井戸まで戻る必要ないのに、と手の中の魔法道具をみながらぼやく)
(その石のような魔法道具は体積以上の水を溜めてはおけるものの、量は無限ではない)
(魔法さえ使えればなにもなくても水を出せるし、クラウスが危険だと言う屋敷の外でも平気に思える。なにより彼の役に立てるのにと不満げに使い魔にでこぴんして八つ当たり)
は、はーい!いまいきまーす!
(そんなことを考えている真っ最中によびつけられて、考えを見透かされた気がして飛び上がるとうっかりして魔法道具から水を出してしまって顔にかかる)
(ワンピースタイプのローブの袖で拭いながらの階段を駆け下りると何の用かと期待してノックもしないで地下室に滑り込む)
もういやです!
わざわざ私に魔力を溜めておかないでも液体化なり結晶化なりしておけばいいじゃないですかっ
(しばらくクラウスが工房にこもりきりで寂しくて、やっと食事以外で話せると思ったら性交の要求で肩を落とす)
(人の気も知らないで、と憤って踵を返すと入ってきたドアのノブに手をかけて)
まだ水やりの途中なのでもどりますっ
(惚れた欲目なのか彼の一挙手一投足すべてにときめいて鼓動の音が聞こえてしまいそうで、なんとしてもそれだけは隠したくて適当に理由をつけてさっさと地下室から出ようとノブを回した)
【とっても楽しそうな書き出しありがとうございます】
【申しあげましたように置きレス形式は初めてですので不慣れでご迷惑おかけしたらごめんなさい】