【ナナ ◆5ilIEDfMboへの置きレスに、お借りします】
(武装商船『灰色の稲妻号』の今回の航海は、正直に言えばハズレだった)
(期待した香辛料も、美術品も、宝石も、めぼしい物は手に入らず)
(肩を落としての帰りの航路では大嵐に見舞われ、大幅に航路をずらすこととなった)
(筋骨隆々、体力自慢の船員達も、体力を削られ、立っているのがやっと、という状態)
(水も食料も残り少なく、いよいよ餓死を覚悟した時――)

――島だ!! 島だぁーーーっ!!
(マストの上の物見が、大声を張り上げた)
(そう大きくはないが、木々が生い茂る豊かな島)
(それはつまり、豊富な水と、あわよくば動物の存在を示唆するもので)
「水だ!」「果物もあるかも知れねえ!!」「獣がいりゃ肉が食える!!」「そうでなくても鳥くらい居るだろうよ!!」
(今までの疲労困憊の状況はどこへやら、色めき立つ船員達を前に)
――よおし野郎共!! 上陸の準備だ!!
(歴戦の船乗りである船長の、力強い声が響き渡った)
(錨を下ろし、上陸艇を浮かべ、普段は見張りを残す所を全員で乗り込む)
(それほどまでに、皆ヘトヘトだったのだ)
(そして……)

「おい、人だ、人間が居るぞ!!」
(誰かが、ボートを進める先を指さし、叫んだ)
(見れば、南洋の人間に多い、黒い肌の人々が、こちらを見つめている)
(指差してなにか言ってはいるが、武装している様子も、恐れている様子すら無い)
(そして――)

なんだあ、こりゃあ……
(長老と思しき年寄りが、恭しく跪き、付いてきた少女達が、果物の入ったカゴと、酒と思しき壷を差し出してくる)
(言葉は全く通じないが、その所作に敵意は微塵も感じられず)
(船員達は我先に果物籠に手を伸ばし、歓声を上げながらかぶりついた)
「うんんめええええ!」「新鮮な果物なんて何時ぶりだよオイ!」「生きてて良かったぁ……!!」
(涙まで流しながら、果物をあっという間に食いつくし、酒壷を回し飲みしている)
(そんな中で、船長と、この船の中で最も博識な副長は、冷静さを保っていた)
どういうことだ、こりゃあ。
「――聞いたことが有ります、野蛮人の中には、俺達みたいな船乗りを神様と間違っちまう奴らが居ると。
 コルテスってぇ公爵様も、どこぞの野蛮人に神の使いだと出迎えられたとか。
 もしかしたら、こいつらも……」
なるほど、じゃあこの女共は、俺らが神様に見えてるってか。
(少女達の先頭で、熱に浮かされたような顔でこちらを見上げる娘を、じろじろと見定める)
(ジャラジャラと稚拙なアクセサリーで飾り立てられた姿は、なるほど、神への供物にも見える)
――そいつぁ良いなあ。
(その少女――ナナの腕を掴んで立ち上がらせ、顎を掴むと、柔らかそうな唇にむしゃぶりついた)
んじゅっ、んん、ぶちゅ、ちゅう……っ!
(唇を割って舌を侵入させ、思う様口内を蹂躙してから引き抜くと)
野郎共!! どうやらこの人々は、我々を歓迎してくださるらしい!!
今回の航海は痛い目を散々見てきたが、やっと運が向いてきたってことだ!!
『せいぜい、楽しませてもらうとしよう』!!
(ナナの肩を抱き、船員達に宣言した)
「マジか!?」「やったぜ船長!!」「帰りの航路は楽しくなりそうだぜ!!」「ちょ、俺らも女の子欲しい!!」
(歓声を上げてナナに付き従う少女達のもとに向かい、自分ごのみの少女を侍らせる船員達)
(流石に人数は船員のほうが多く、少女一人に複数人の船員がまとわりついていることもあるが、誰も彼も文句など言わず)
それじゃあ、合図するまでは紳士的に楽しめ!! お前ら、分かってるな!?
(船長の確認の言葉に、船員達は大きく頷くと)

「「「「「男と年寄りはお呼びじゃねえ、女とガキはかっさらえ!!!」」」」」

(ピッタリと息を合わせて、合唱した……)