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「……だ、旦那様……?」
一瞬誰の事を言っているのだろうかと肇は思うが、直ぐにそれが自分の事なのだと察した。
何故なら今この場では二人しかいないからだ。幸い(?)肇は妖魔との闘いで痛みには慣れていた為
辛うじて痛みをこらえる事は出来たのだが、先ほど植え付けられた男根と、今身体を蝕んでいる謎の痛みにより
まともに動くことさえできない状態だ。なんとか息を整える肇だったが

「わ、私は……貴方の、旦那様等ではありません……!
今すぐ、この場から解放して……っ!?あ、ぎぁぁあぁあぁーーー!!!!?」
「あっ、あ゛ああぁぁぁぁぁーーーー!?痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃーー!?」

此方の話を聞いてないかのように領主は突如として金属製の怪しげな文様の書いたハンコを熱されたかまどへと
入れ、そして赤黒く変色したそれを素手でつかんだのだ。その異常な行動に目を見開く肇だったが
同時に自身の手も又すさまじい痛覚に襲われ、更にはそのハンコを自身の腹に押し付ける領主は当然苦しみ悶えるが
肇もまた領主と同じ個所に激痛を覚え、その場で転げまわる。どうやら身体に覚えた異常とは痛覚のリンクだった様で…
肇の腹部には鉄ごてのハンコと同じ紋様がくっきりと浮かび上がる。当然これもまた一種の呪いでさらなる枷を嵌められたことに気づく肇だが

「はぁ、はぁ……あぐっ………!!こ、これ…以上、は………」

拘束から外れた事で自由になった両手。激痛に抗い、壁に手をついて、凄まじい汗を掻きながらなんとか立ち上がる。

「わ、私……は、退魔……巫女です………侮らないで、ください……」
そう呟き、領主をなんとかしようと、ガクガクと震えながらファイティングポーズを取る。その視線はこれだけの事をされながらも
まだなんとかしてみせると言わんばかりで。