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(握り返した手を耀が包むように優しく握ってくる)
(手を包まれると、そこから伝わってくる体温で寒さが和らいでくる)
(そうやって温めながら話し掛けてくる耀に、少女はこくりと頷く)
ううん、大丈夫だよ!
だって今日すごく楽しみだったんだもん
(旅行への楽しみと耀の手の温かさで、気分が昂ぶってくるのが分かる)
だから、たくさん楽しもうね?
(話しているうちにホームに入ってきた電車に、手を引かれて乗り込む)
(当然だが車内は暖房で温かくて、このままでは汗をかいてしまいそうだった)

(空いている車内の席に並んで座る)
(耀の言う通り、朝早いからか乗客はまばらだ)
(発車のベルが鳴り、扉が閉まる)
(耀が車内を見渡しながら、乗り換えの予定を伝えてきた)
うん、次の次だね。
…じゃあコートは脱がないでもいいかな。
(その時電車が動いて、隣の耀の身体が少女の方に寄り掛かってくる)
わわ…えへへ…
(対抗するように少女も身体を寄り掛からせ、耀の腕に頭を預ける格好になった)
ねぇねぇ、どっかでさ、駅弁買って食べようよ、ね?
(朝ごはんは駅弁を食べたいようだ)

【はい、時間まで楽しみましょう?】
【あ、でももしも眠くなったら遠慮なく言ってくださいね】