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(売店で耀は自分のプリンがない事に、特にこだわってはいない感じだった)
(でもプリンを食べたくないわけではないみたいで、何か含みを持ったような話をしていた)
(何だか胸の内を見透かされたみたいで、心臓がドキリと鳴ったのを感じた少女)
(いつもの耀との甘い甘い口づけを思い出し、僅かに体温が上がったような気がした)

(窓際の席に座ってはしゃぐ少女に耀が話してくる)
うん、わかってるわかってる♪
(分かってるようで分かってないような口調で答えて外を眺める少女)
(耀によると、ここから暫くは新幹線に乗る事になる)
(だから乗っている間にさっき買った弁当でお昼ご飯を取るつもりのだようだ)
(もちろんさっき買ったお菓子を食べすぎないようにと、くぎを刺されてしまった)
は、は〜い。気を付けるね
(ちょっと自信なさげに返事をした少女)
(そのあと少し待っていたら、ゆっくりと新幹線が動き始めた)
わっ、わぁっ、ねぇお兄ちゃんっ!動いたよっ!
(人間として暮らしていた少女にとっては、さして珍しくない光景)
(でも今日の少女はいつもよりもずっとテンションが高かった)
わぁ…どんどん速くなってく
(久しぶりに館の外に出た事もあるが、何よりも大好きな耀との旅行という事が何よりも大きな要因だろう)
ねぇお兄ちゃん…新幹線って…すごいね。
(流れていく景色をうっとりと見ながら、少女はぽつりと呟くように話した)

【耀さん、お待たせしました】