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(続けてイクラを箸に乗せて口に運ぶ)
(プリプリしたそれを咀嚼すると、口の中いっぱいに味が広がっていく)
はふ…これも美味し…ぃ?
(すると横から伸びてきた耀の箸が、少女の海鮮丼の一部を持って行った)
もごごっ…!
(頬張ったイクラが詰まったような声を上げた少女)
(でも耀が牛丼を少し分けてくれると、納得したように静かになった)
んん…こくっ…もぉ、お兄ちゃんびっくりさせないでよぉ
…でも、お兄ちゃんのお弁当、分けてくれてありがとね?
(耀にお礼を言ってから、分けてもらった弁当から牛肉を摘まんで食べてみる)
んう…っ…これも、美味しい…!
ねぇねぇお兄ちゃん、あのお店のお弁当、当たりだったね!
(言いながら、なおもパクパクと食べ進めていく少女)
はぁ…楽しいなぁ
(こくりとご飯を飲み込んで、嬉しそうにしみじみと呟いた少女)
館でお兄ちゃんと食べるご飯もいいけど…でも、こうやって旅行してお兄ちゃんと食べるご飯も、特別…
(あの日から少女は、耀の事を心の底から好いている)
(それを認識した次の日から、耀と過ごす日々が何もかも特別になった)
(そして今日少女は、その好いている人と旅行という特別な日を過ごそうとしている)
(少女の表情を崩させる弁当の美味しさは、その雰囲気がもたらしていると言ってもいいのだろう)

(しばらく弁当に夢中になっていたら、新幹線はいつのまにか街に近づいてきているようだ)
(窓いっぱいに広がっていた自然の風景に、また建物が混ざってきた)
んく…ふぁ、お兄ちゃん…もうすぐ次の駅、かな…?
(ペットボトルのお茶を飲みながら、しばらく見ていなかった窓の外の景色を眺めはじめる)
(次の駅に着くという事は、2人の目的地がまた近づいたという事でもある)
(少女は嬉しそうに流れる風景を見つめている)

【北陸ですね、了解です】
【私の中では何となく東北の方でした(笑】
【あと、もうそろそろ時間なので凍結にしてもらっていいでしょうか?】