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みんなでお泊りの日より少し前の事。
わたしはいつものように放課後、バイトへ向かおうと校内の自転車置き場へ来ていた。
「……うーん……ない……」
自転車の前で自分のかばんの中を漁るわたし。
自転車の鍵が見当たらなかった。
今朝止めたとき確かに鍵を外してかばんの中に入れたと思ったのだけれど、どこにもない。
鍵が見つからないとちょっとまずい事になってしまう。
まず、バイトに遅刻してしまう。
一応余裕を持ってシフトは入れてあるので、バイトへは急げばまだ間に合う。
でもそれよりも、自転車が無いと村へ帰れなくなる。
わたしの村は少し特殊で、電車も走っていないし、車だってめったな事では見かけない。
一応道路は繋がっているが舗装なんかされていないため、まさか村があるとは思わない人達は途中で引き返していく人がほとんどだ。
車なら1時間も走れば村へと帰宅できるのだが、まだわたしは自転車通学がやっと。
学校から村へと帰るのに2時間くらいはかかってしまう。
自転車で2時間なのだから、歩いて帰るのは殆ど絶望的だった。
こんな時に限って予備の鍵も忘れて来てしまうのだから、ついてない。
わたしは一度教室に戻って探してみようと、自転車置き場からまた教室へと歩き始めた。
「ふぅ…」
教室の前につき扉を開けようとした時だった。
……。
何か、中から聞こえる。
人の声……。
わたしはドアを少しだけ開けると中をそっと覗き見た。
「っ!!」
そこに見えたのは、同じクラスの男子と女子が抱きつき、一心不乱にキスをしていた。
初々しい恋人がするようなものではなく、ものすごくいやらしいねっとりとしたディープキスをしている。
耳を澄ませば女生徒の口から気持ちよさげな喘ぎ声が漏れていた。
「…………」
わたしは何かに取り付かれたかのように、キスをする二人から眼が離せなかった。
その内男子は女子を机の上に押し倒し胸元のスカーフを抜き取りブラウスを開いていく。
恐らく女子の胸は丸見えになっている。
男子は女子の胸元へ顔をうずめるとそのまま口で舐めたり吸い付いたりしているようだった。
二人とも本格的にえっちをはじめてしまった。
わたしは当初の目的をすっかり忘れて、ふたりの行為に夢中になって見つめていた。
心なしか、わたし自身の身体も先ほどからうずうずしてたまらなくなっていた。
二人のえっちに触発されてしまったのだろうか。
段々と吐息も「はぁ…はぁ…」と乱れてくる。
そんな時だった。
後ろの方から男子達の声が聞こえてきた。
まずい、こんなところ見られたら何を言われるかわからない。
わたしはすぐに教室の前から立ち去ると、適当な場所へ身を隠した。
そうしてすぐ後に男子達が教室へと向かっていくのが見えた。
あの二人、どうなっちゃったんだろう。
えっちしてるところみんなに見られちゃったかな?
それとも、結構大きい声だったから誰かが来る事に気づいて見られなかったかな?
考えてもわからない、それよりも行くなら今しかない。
わたしはこの期を逃さないように教室へと戻っていく。
恐る恐るドアを開くと先ほど入っていった男子達と、さっきまでえっちをしていた男子と女子が普通に話しているところだった。
どうやらばれなかったみたいだ。
わたしはすぐに自分の席へと戻ると机の中やロッカーの中を確認した。
「あ、あった!」
へんなとこにしまいこんでしまっていたみたいだったが、自転車の鍵を見つけられた。
わたしはクラスメイトにも目もくれず、早足で教室から出ると自転車置き場へ向かい、そのまま学校を後にした。