>>238
(辺りを改めて調べる弦場に習い、渡辺も他の場所を調査する)
(もしかしたら何か抜け道があるかもしれないからだ)

建物には入れない、入り口のガラスはいくら殴ってもヒビ一つ入らない。
完成された処刑場って感じだな。

(そして弦場の提案の中身、具体的な方法を聞く)
(それは、渡辺が異能者でなければ納得しきれない策だ)
(普通の一般人であれば手をとることを躊躇うのは間違いないだろう)
(出会ったばかりの人間を信用し、命を預けるどころか捨てるようなことだ)

……分かった!
理屈は後で説明してもらう、まずは実践といこう。

(差し出された手を握り、曇りのない目で弦場をまっすぐに見つめる)
(その瞳には自暴自棄になったわけではないということを示す、強い意志が込められていた)
(踏切前に手を繋いだ二人は立ち、カンカンカンと鳴り続けて止まないベルの音色はより一層甲高くなる)
(よく観察してみれば、踏切の向こうだけは景色の揺らぎが少なく、まともに見える)
(それは犠牲者をより早く飛び込ませるための罠なのかもしれないが)
(今の渡辺には、それが出口だと示す、大きな希望になった)

『いっせーの、せっ』だな?俺は身体が丈夫だから
タイミングがズレても万が一生き残るかもしれん、そうなったら
あっちに放り投げる。上手く飛び込んでくれ。

(蠢く異形は、哀れな二匹の犠牲者をひき殺したくてうずうずしていた)
(無駄な足掻きを繰り返していたようだが、厳しい制約の下作り上げたこの縄張りに出口は二つしかない)
(すなわち、踏切と交差点それぞれの向こう側だ)
(どちらかに行こうとする愚かな獲物は容赦なくひき潰すか跳ね飛ばすのみ)

……タイミングは任せるぞ、その方が『能力』を発動しやすいだろう?


【本日もよろしくお願いします!】
【異形さんと二人のタイミング勝負ですね】