>>201
(蝙蝠を肩に乗せてから、千歳は精神を集中する)
(頭の中に、ぼんやりと魔王の城の情景が浮かんでくる)
(殆どの魔力を分身の自分に渡した千歳だけど、魔力を失ったわけではない)
(蝙蝠と意思の疎通ができるのも魔力のおかげだから、僅かでも残しておかないといけなかった)
(寝室の中だろうか、魔王と交わった後の分身が窓を見上げて微笑んでいるのが見える)
(その邪気のない笑みが自分を励ましているように見え、千歳は心が安らぐのを感じた)

(透視を止めてから、千歳は森に隠した荷物を取りに行った)
(荷物の中には旅で使った路銀も含まれているから、取りに行かないわけにはいかない)
(蝙蝠も回復したようで、千歳の肩で元気に鳴いている)
(置いてある荷物から、お金のほかに保存食や着替えなどを1つにまとめる)
(少し重くなったけど、千歳1人でも持つことはできる)
(蝙蝠が心配そうに鳴いているけど、千歳はにっこりと笑顔を見せる)
だいじょうぶだよっ、魔力は少なくなったけど体力は余ってるし
(ここまで蝙蝠に運んでもらったから、体力は相当残っている)
ん、しょっと
(掛け声をかけて荷物を背負うと、蝙蝠が肩から飛んで先を進み始めた)
そっちにいけばいいの?
(千歳も蝙蝠を見ながら歩きだす)
(元気に飛んでいる蝙蝠を見る千歳の心に、もう寂しさはない)

【お兄さんお待たせっ】
【きょうもよろしくねっ】