>>366
(込み合った車内は進みにくく、客をかき分けていくのも苦労するように思える)
(だけど一刻も早く逃げたくて、踏み出す足に力を込めようとした瞬間)
(横から奏が千歳を抱き寄せて、無理やり人と人の間をかき分けて千歳を押し出す)
あっ…かなちゃ…
(千歳も奏と繋いだ手を離さないように、ぎゅっと力を込めて目に進む)
(こうして2人は何とか電車から出ることができた)
(ホームに降りた奏が大きく息を吐いている)
う、うん…ホントに、痴漢っているんだね…
(続く奏の言葉に、千歳は小さく笑う)
あはは…かなちゃんは男の子だけどすっごい可愛いから、女の子と間違えるのもしょがないよぉ
(話しながら奏と一緒に駅から出て、近くのデパートへ向かっていく)

(デパートとは言っても結構大きくて、色々な店が並んでいる)
(その中にはもちろん水着を売っている店もあったから、2人はそこで商品を見ていた)
(奏は上機嫌で、色々な水着を手に取っては千歳に見せてくれる)
え…ちょ、ちょっと大胆じゃないかなぁ
(奏の手のビキニを困ったような表情で見つめる千歳)
(でも奏の言うように、パレオを付ければ問題ないように思える)
(実際に映る奏の身体に、手にした水着は良く似合っている)
えと…かなちゃんには白ってすごく合うと思うよ。
きっとパレオ付けたら、とても綺麗なんじゃないかなぁ
(パレオを付けた奏を想像しながら、千歳はちょっと頬を染める)
…あ、そだ…ぼくも水着選ばないと…
(そういいつつ手にしたのは、スカート付きのワンピース)
(やっぱり恥ずかしいのか、ビキニには手を出しづらいみたいだ)

【うん、じゃあその時まで痴漢さんとはお別れだね】
【こっちこそよろしくねぇ】