>>393
(奏と手を繋いで歩いていくと、砂浜から少し離れた場所にクルーザーが泊めてあった)
わぁ…!
(想像よりも立派なクルーザーを見て、瞳を見開いて声を漏らす)
(クルーザーを見上げて、またため息に似た声を漏らしている)
(奏の方も感動しているような表情でクルーザーを見て、千歳の手を引いて乗り込んでいく)
(好奇心の方がはるかに上に来て、警戒心が薄らいでいく)
(やがて静かにクルーザーが動き出すと、それだけで千歳は奏とはしゃいでしまう)
(千歳からすればこの機会を逃したら、一生機会がないかもしれない)
(それを考えたら、千歳の警戒心が緩んでしまうのも仕方ないかもしれなかった)

(海を走るクルーザーから奏と千歳は海を眺めていた)
(積極的な奏は身を乗り出すようにして喜んでいるけど、千歳はちょっと怖いから手すりに掴まっているだけだった)
うんっ、すごい風…帽子気をつけないと…
(麦わら帽子に気をつけながら、奏の声に思わず海を見下ろす)
ふわ…ホントだっ、お魚、たくさんいるねっ!
お魚さんたち、気持ちよさそう…
(優雅に泳ぐ魚の群れを見て、知らず知らずに千歳もちょっと身を乗り出してしまう)
(初めての体験に夢中になる千歳の後ろで、男の人たちが何かをしている)
(気づいていたら、また男の人たちに対して警戒心が沸き上がってきたかもしれない)
あっ、ほらかなちゃんっ!
かもめさんっ!かもめさんも一緒に飛んでる!
(クルーザーの横を飛んでいるカモメを見て、千歳は我を忘れて指をさしている)