(箱の中でじっと息をひそめる千歳)
(耳を澄ましていると、何かが食糧庫に入ってくる足音が聞こえる)
(音の大きさからするとそんなに大きくない感じだけど、当然油断はできない)
(足音は近くで止まり、隣の箱を開ける音が聞こえる)
(このまま食材を取り出して、厨房に戻ってもらえればありがたい)
……
(無言で耳を澄ます千歳に、箱を閉める音と独り言がが聞こえた)
(この魔物は肉をさ探しているみたいだけど、どうやら隣の箱にはなかったらしい)
(ということは、次に開けるのはこの箱の可能性が高い)
……!
(無言のまま考えを巡らせる千歳)
(何もしなかったら、間違いなく捕まってしまう)
(運が良ければ食料として魔王のところに連れていかれるかもしれないけど、運任せは危険だ)
(何とかして逃げ出す手もあるけど、それだと侵入したことがバレてたくさんの魔物が襲い掛かってくるだろう)
(じゃあどうしようか)
……誘惑…できるかなぁ…
(誘惑の呪文が効けば、魔王の居場所とかの情報がきけるかもしれない)
(万が一効かなかったときは、気絶させるなりして逃げるしかないだろう)
(などと考えていたら、前に立った魔物が箱に手をかける音が聞こえる)
……
(無言で杖を構え、蓋が開けられるのを待つ)
(そしてゆっくりと蓋が開けられた瞬間、千歳は目の前にいるカエルに似た魔物に誘惑の魔法を唱えた)
……
(見た目が人間と違いすぎるから、効いたかどうかが全然わからない)
ハ…ハ〜イっ
(迷った千歳は、とりあえず魔物に話しかけてみた)
【うん、じゃあこのレスで凍結でいい?】
【それでぼくの予定だけど、明日は16時くらいに来れると思うよ】
【お兄さんはその時間で大丈夫そう?】