やっぱりちょっとね……。
ありがとう。確かにぱっと見には分からないし、きっと他人が穿いてるのなんて興味ある人なんてそうそう居ないし……。
(僅かに抵抗があることは隠さずに認めて、自分のスキニーが女子用なのを気にする人は居ないと自分で言いながら気になっていて)
(試着室にある全身が映る鏡に何度も角度を変えて、それほど目立たないかを十分にチェックしていた)
紗枝ちゃんに似合うのって選んだんだけど、ちょっとだけ…………良いなって思って……。
(前にクラスの女子に連れ込まれた時はただ恥ずかしいだけで、勝手にこれ着てみたらと押し付けられたりしてゆっくりと見る余裕もなく)
(着せ替え人形のおもちゃになっている気分もあったのだが、今回は二人でゆっくり見られて好きなのを選ぶことも出来たので)
(選んでいる最中にもし自分が本当の女の子だったらという気持ちが湧いて、その気持ちを紗枝に小さな声で顔を真っ赤にしながら伝えた)
でも、紗枝ちゃんみたいには着こなせないかもよ。
(見たいという紗枝の言葉に、男の娘モデルとして女装するのとは違って似合わないかもと苦笑を浮かべて)
(紗枝が試着室へ入ると自分も試着室へと入ると着替えをしていった)
やっぱり髪がもう少し長くて……、胸も……っていくら体つきが女の子みたいになって来てるからって違うでしょ。
(試着の着替えが終わり、紗枝に来てもらうのを頼む前に再び鏡の前で振り返ったりしてふわりとスカートが翻れば)
(思わず呟いていた自分の声に突っ込みを入れて、頭を左右に振って浮かんだ考えを強引に振り切り紗枝を呼ぶ)
印象が違うのは服の色もあると思うけど…………、綺麗………………本当に?
(印象が変わると言われると着ている人間と服の色もあると言ってはにかんで、綺麗と言われると一瞬嬉しそうに華やかな笑みを浮かべるが)
(褒められて恥ずかしさが増したのか耳まで真っ赤に染めて、恥ずかしさに揺れる瞳で上目遣いで紗枝を見つめれば)
(何やら円らな瞳の小動物がじっと一点を見つめているような可愛さが醸し出されて)
繊細で慎ましい……、まぁ、ボク細いし背が低いからかな……もう少し背があると良いんだけどね。
(紗枝ちゃんくらいな身長と胸があればと自然に考えていて、元々小さな頃から女の子とよく間違えられて)
(性認識がいつも揺らいでいた彩文は、意識しないと思考が女の子よりに流れ始めていることに自身では全く気付いていなかった)
うん…………、せっかく紗枝ちゃんが僕が選んだ服を着て外歩いてくれるなら……。
ちょっと恥ずかしいけど、僕も良いよ。
あっ、でも伊達眼鏡や帽子はいらないかな、分かる人には分かっちゃうし……。
(最初はかなり紗枝の提案に驚いて、どうしようか躊躇していたがまだワンピースは着たままで)
(顔を赤くしながら、街を歩くことに同意して頷き、眼鏡や帽子を掛けても既に雑誌に載った時にしていたことがあり)
(紗枝にははっきりと言わないが、どうせそんなことしてもバレるからと腹を括り)
(一度ワンピースを脱ぎ、紗枝が選んでくれた三種のトップスとスキニージーンズ、そしてワンピースを購入して)
(店で買ったものに着替えると言って試着室へ戻り、カットソーとスキニーを着替えて)
(そのまま店を出て、買った服と着てきた服の入った紙袋を持ち、空いている手で紗枝の手を握り歩き出す)
次何処へ行く? あまり良く考えてなくて、行きたいところがあったら連れて行くよ。
(結構ショップで色々な服を見ていたせいで時間は昼近くになっていて、暖かな日差しの中ゆっくりと歩いていく)
やっぱりサイズの合ったジーンズは歩きやすいね。
……でも、何か見られている気がするんだけど……。
(お尻がきつく、ウエスト余ったチノパンよりは遥かに動き易く嬉しそうな笑みを浮かべるが)
(通り過ぎる人たちの注目の視線を感じて、もしかして女装がバレてるかと心配な表情を浮かべる)
【注目を浴びているのは可愛い女子二人連れで歩いてるからで、彩文の心配は杞憂です】
【それとこの後なにか考えていますか? 妖魔に襲われても良いのですがどうしようか考えてます】