楽しいと……時間はあっという間に過ぎちゃうから……私はそう思うけど……
(気が付けば外はすでに昼下がりとなっていて昼食の話を受けて彩文はパスタ屋を紹介していた)
……うん、それで良いよ
(元々妖魔であるため栄養の補給は人間とは大きく異なり、人間の行う食事自体は紗枝には必要のない物事で娯楽の一環として食事を楽しんでおり、人間たちの行う衣食住の全ての行いを妖魔である彼女は文化を知るための娯楽の一環として見なしている節があった)
結構自由が利くお店なんだね……、そういうお店で食事する機会も……あんまりなかったから…………楽しみ……
(人間界の文化を知る機会も愛情を抱いた相手と共有することで記憶しており、長く生きていながらも未だ未知の領域も多いため、彩文とともにいる紗枝は時折純粋に好奇心に目を輝かせながら彩文の紹介する物事へ意識を傾けていた)
あんまり……気にしないでもいいと……思うけど…………
(先ほどまで履いていたチノパンと比べ動きやすく履き心地は良いのは認めていたが、やはり女子用ということに僅かな蟠りがあるようで、少し気にしている様子の彩文を紗枝はフォローするように話す)
……今の彩くんは…………“可愛い”で良いと思うよ、着替える前の男の子らしい……カッコいい服装の彩くんも好き……だけど、こういう……可愛い服装の…………彩くんも…………私は好きだから
(その言葉に偽りはないが、今の彩文が男の子らしい服装をしてもそれは一人の少女が精一杯ボーイッシュな服装をしている状態解いても過言ではなく、そういった姿にいとおしさを感じてもいた)
……っ!
(近道として公園を抜けようと通りがかった際、紗枝の嗅覚に妖魔の匂いが感じ取られ一瞬穏やかな少女の顔つきから獣のような鋭い目つきへと変わる)
(人間に完全に擬態している手前、自身のことを知らない妖魔からすれば紗枝も立派な一人の人間であり餌の一つでしかないため一緒にいた彩文とともに襲われ、彩文が声をかけた直後に紗枝も回避行動をとる)
(咄嗟のことで反射的に地面を蹴って後退したものの、その際わずかに瞳が赤く染まっていたが、彩文が自身を庇いながら走り始めるころにはその瞳の色や目つきは元に戻っていた)
……あ……あれって…………
(少しおびえた様子を見せながら彩文に庇われ逃げる紗枝のワンピースには先ほどの奇襲の際に付着した粘液の飛沫がわずかに付着していた)
【承知しました、詳細ありがとうございます】