残念だけど…………彩ちゃんとはほぼ毎日会えてるからね
学校とか、こうして予定を合わせて……いつでも…………ね
(少し残念そうな口ぶりをする彩文に対し紗枝はそう返して自身も身支度を整え始める)
帰りは……うん、大丈夫…………彩ちゃんと二人で歩いてると多分匂いも強くなっちゃうだろうから…………少し遠回りして帰れば……平気だと思うから……
(自身が拠点としている場所への帰路は彩文の言う通り人通りが多いため、普通に帰るのであれば人目を多く集めてしまうことも予想できるが)
(彼女自身も人間としての身体をなるべく早めに休めさせたいと考えており、彩文と別れることができれば即座に拠点へと魔術で移動しようと考えていた)
……あ、ごめんね…………もう少しゆっくりするから……
(彩文の汗や愛液を取得することも兼ねて念入りに彼女の身体を拭っていたが、それが災いして彼女自身が快楽を感じて嬌声を上げており、このままでは再び愛液が漏れだすと考えて力を弱める)
やっぱり……窮屈だよね…………
(長袖Tシャツとパーカーに袖を通し、チノパンを再び履こうと試みていた彩文だったが、腰まで上げたところで窮屈さを感じていたのか脱ぐと他にいくつか買っていたジーンズを履いていた)
……
(トップスは紗枝が指定していた『男の子らしい服装』でボトムスもそれに準じて違和感のないジーンズを履いていたのだが)
(やはり先程からの度重なる淫行や彩文の意識の変化、先ほどまで快楽に狂う一人の少女の姿を経て見るとパーカーなどで体の線が隠れていても少女の姿にしか見えずにいた)
うん……あとちょっとで私達…………危なかったみたいだね……
(魔力の気配などから外で発生していた事象も予測はつくが、実際運よくルビーが訪れて妖魔を滅した後に即座に立ち去ってくれたのは非常に運が良かったと感じていた)
……それじゃあ、彩ちゃん…………学校でね……
私も……色々あったけど楽しかったよ…………またね……
(彩文が自宅の方向へ駆けていくのを手を振り見届けると紗枝も踵を返して歩き始める)
もうあの子も立派に覚醒してきたみたいね、意識の変化も順調に進んでるし……
(夕暮れの日差しに紛れ、紫色の蝶が舞うと次の瞬間には紗枝の姿は消えていた)
……
(翌週の初日、彩文は学校に訪れず紗枝は表情などには出さないもののどこか退屈そうな様子で日常を送っていた)
(身体の変異などで家族間やそういったところでの問題、自身の体調などにも不調が訪れているのが理由だろうと推測立てて深く干渉する自摸もなく紗枝の方からアプローチすることは避けていた)
(それから2日、3日と日数が立つ間も彼女は紗枝として最低限一人の人間であることを通すために学校へ通い、退屈な日常を送り続けていた)
(件の事情が原因で彩文がどこか遠くへ行ってしまうのであれば自分もあらゆる手を講じて追跡していく腹積もりであり、『紗枝』の姿で近づくことが困難になればまた新たな人格や人としての姿を用意して彼女に接近しようと考えるほどに彼女は彩文に心酔していた)
(そして4日目、ようやく彩文は登校するが彼女の様子は元気がないように見えたものの、その容姿は完全に少女となっていて男子の制服を着ていることの方が違和感を覚えるものとなっていた)
おはよう…………彩……くん、元気がないみたいだけど……大丈夫……?
(声色からも以前の体の不調からくるものとは違い、精神面からの不調を感じさせるような様子を見せていた彩文に心配そうに声をかける)
……休んでた理由とか……深い事情は聞かないけど…………彩くんが辛かったら私……力になるから…………いつでも相談してね……
(何事にも紗枝が見ていた限りでは体の不調がなければ快活な印象を見せていた彩文がどこか暗い印象を見せていたことに紗枝は一人の恋人として不安に思い彼女に声をかける)
(あまり過干渉になりすぎないよう彼女に声をかけることは控えながらも、その様子や周囲を常に伺いながら紗枝は席に戻る)