>>152
それなら平気そうだね。
(匂いが強くなるとの紗枝の言葉に苦笑を浮かべ、遠回りをすると聞けばきっと気づかれないだろうと安堵の表情を浮かべる)
うん、ボクこそ……変な声だしてごめんね。
(妖魔の白濁液を浴びた影響が絶頂の余韻と共にまだ残っていて、紗枝に詫びつつも)
(拭う力が少し弱まったのに小さく深呼吸して、自分を落ち着かせようと試みていた)
穿けることは穿けるんだけど、やっぱり動くとお尻の辺りが余裕が無くて引っ張られるような窮屈さがあるね。
……仕方ないじゃないかな。確かに鏡で見て肉付きが変わってきているの分かるもの。
(穿きかけたチノパンを脱ぎ新しく買ったジーンズに穿き替えながら、ウエストは緩くヒップ周りがパッツンパッツンで窮屈なことを言って)
(認めたくない気持ちが持っていたものの、明らかにウエスト周りが細く、お尻の辺りが丸みを帯びたことを否定し切れず)
(それは仕方ないこととある程度諦め、割り切っている表情を見せる)
本当だね。もし建物の変形がもっと酷くて扉が開かなくなっても騒ぎになってたろうし、どっちに転んでもかなり危なかったのは事実みたい。
(妖魔の滅茶苦茶な攻撃で鍵が壊れ扉が開き、白濁液を浴びせ掛けれられたのも嫌だったが)
(逆に鍵が掛ったまま建物全体が変形し、扉が開かなくなる状況もあり得たかもしれず)
(家族に心配を掛けた上に、抱き合っているのを見られたら大騒ぎになった筈で)
(どちらにせよ回避できて良かったと苦笑を浮かべた)
……ボクも楽しかったよ!!
(一度足を止め振り返り大声で言うと、手を振って前を向きまた走り出して帰途へついた)

……うん、大丈夫。ただ、少し緊張してるかな……。
(紗枝にこれ以上心配を掛けないようにと作った笑みはぎこちなく、本人の言うようにかなり緊張しているのが見て取れて)
ありがとう、紗枝ちゃん。
……お昼……人の来ない所で一緒にしない? 聞いて欲しいんだ。
(気に掛けてくれたことは嬉しくてキュッと短く軽く手を握って、お昼を誘いながら事情をちゃんと聞くことをお願いする)
「薬師寺、前へ」
(ホームルームが始まれば、担任が彩文を前に出るように促して、緊張した表情の彩文は俯いたまま前に出ると)
(担任から詳しい説明はないものの、彩文が男性から女性に変わったこと、医師の診断書も提出されていること)
(今まで通りに接して欲しいこと、男子はセクハラをせず、体育はしばらく見学するが女子は仲間として受け入れて欲しいことが伝えられて)
(各々の生徒が色々と言ってしばらくは収拾がつかなかったが、授業の始めるチャイムが鳴れば一度は収まり)
(休み時間ごとに彩文の周りには入れ替わり立ち代わり男子や女子が集まる状態が続いていた)

……疲れた。皆、騒ぎすぎだよ……ボクだってまだ完全に頭の中整理できたわけじゃないのに。
休んでる間にお医者さんに診てもらったんだけど、ボクの身体完全に女の子になっちゃったみたい。
生殖医学っていう分野が専門のお医者さんが言うには、とても稀らしいんだけど、性別の違う双子が融合したのがボクで、最初は男子が勝ってたんだけど、何かの理由で女子が優勢になったんじゃないかって……。
その理由は研究しないと分からないらしいんだけど、証明するのも難しいらしいんだよね。
ただ、事実としては今は完全に女の子ってだけ。
お母さんは驚くどころか喜んでたし、お父さんは困惑したみたいだけど、ボクはボクだからって納得してくれた。
……お母さんは「さあや」が良いって言うし、ボクも紗枝ちゃんが綺麗な名って言ってくれたからそれで良いかなって思うんだ。
(クラスメイトの質問攻めから上手く逃げて、あまり人の来ない所でお昼を食べていた彩文は)
(食事をしながら、事情を紗枝に語りだして少し元気を取り戻して少女らしい笑みを浮かべた)