冬場は結構穿いていた子もいたけど、暖かくなって減ってきたね。
うん、服装ではそんなに困らないかな、今までよりは。
困るって程じゃないかもしれないけど、女の子と今まで以上に仲良くしないと言行けないのが少し気になるかな。
(冬の寒い時期にはスラックスを穿いた女子も多くいたが、暖かくなるにつれ温かさより可愛さを優先する女子も増えて)
(目を細めて遠くを歩くスカート姿の女子を眺めながら、まだ自分には無理と思いもあり)
(ただ、身体が華奢だった分、肩幅がなかなか合わないYシャツに悩まなくて済むのは嬉しく思っていた)
(それよりも気になっているのは、今まで男子と仲良くしてくれていた女子がグループに入れてくれるかの方が気になっていた)
…………そう……かな? お母さんもスカートきっと似合うからって……言うんだけど……。
紗枝ちゃんも言うんなら……。
(買い物に行く度に何か女の子らしい物を買ってきたり、ガールズファッションの雑誌を買って来て彩文に「これどう」と聞いてきて)
(脚も綺麗だからと雑誌のミニスカートを勧めてくる母親に少々困っていて)
(無条件で受け入れてくれたのは嬉しいものの、着せ替え人形状態になりそうな気もしていた)
(ただ、紗枝も褒めてくれると、行為のことはぼかして言われても頬を赤らめて)(少しは自信を持っても良いのかなと気持ちになって、いつもの朗らかな笑みを浮かべて)
(紗枝にお母さんの作った卵焼きが美味しいからと、口の中へ入れてあげる)
放課後……?
そうだね。クラブはまだ結論が出てないけど、辞めるか移動するかになるだろうし、図書委員の活動の無い日にお願いしようかな。
突然だけど、今日の放課後ならボクは空いているけど、紗枝ちゃんはどう?
(バスケのクラブは性別が変わったこともあり、そのまま在籍するという訳にも行かず)
(学校も受け入れたもののすべてが解決してはいなくて、クラブの扱いは保留になっていたが)
(図書委員はそのまま続けてOKとなっていて、今日の放課後は当番の日ではなく)
(紗枝の予定がどうかと気にしつつ、放課後に散歩に行かないかと誘う)
じゃあ、またあとで公園の噴水の所でね。
(授業とHRが終わり、まだ色々と聞き足りなそうにしているクラスメイトを上手く躱した彩文は)
(途中まで一緒に帰っ来た紗枝に、分かれ道で手を振ると自分の家の方向へと走って行った)
…………どうかな、紗枝ちゃん?
ブラウスもスカートも全部お母さんが選んだんだけど……。
(ほぼ1時間後、待ち合わせの場所である公園の噴水の前に現れた彩文は桃色の丸襟のブラウスにレモンイエローのプリーツスカート)
(ブラウスの上には白いカーディガンを羽織りデイバックを背負い、紺のオーバーニーソックスにスニーカーといういで立ちで現れた)