えっ! 紗枝ちゃん、なにか言った?
(スカート姿の確認に夢中になっていて、紗枝の呟きに気持ちが向いていなくて完全には聞き取れなくて問い返す)
うん、この前は店の中で見られる人数も限られていたし……。
(素の状態でスカートを穿いて不特定多数の前に出たのは初めてで、紗枝の声に頷きながら)
(トートバッグか何かの方がスカートの裾が上手く隠せて良かったかなと思っていた)
本当の事だから、綺麗な物は綺麗って言うしかないよ。
憧れちゃうな。
(自分より身長も高くスタイルも良く、性格も含めてクールビューティーと言う感じで)
(彩文が綺麗と感じていることに偽りはなく、素直に自分の紗枝のように恰好良い素敵な女性になれたらと見つめていた)
う〜ん、その辺はどうなのかな。
食生活って言ってもそんなに変わらない気がするし、誰も経験したことの無い変化だから……。
もしかしたら、普通より伸びるのが早い可能性はあるかもしれないね。
(指を絡められて少しだけ驚きの表情を浮かべたものの、彩文もキュッと握って軽く振って歩きながら)
(女性化の変化は何とか心の整理をつけて受け入れたものの、まだ困惑も残っていて)
(紗枝の話を聞いて、もともと男子としては食が太くなく、男子が好むような食べ物もそれほど好きでは無かったので)
(そんなに変化があるとは思わなかったが、検査で普通の女子より少し女性ホルモンが濃いと聞いていれば)
(髪の伸びる速さも成長期も相俟って早くなるかどうか分からず、神妙な顔つきで紗枝の過程を否定せずに頷き考えていた)
前みたいのはもういいかな。
紗枝ちゃん、匂い大丈夫だった?
……何かなかなか取れないような気がして、身体何度も洗っちゃった。
(この前妖魔に襲われた時に何も出来なかった悔しさは残っていたが、紗枝の目の前でサファイアになる気もなくて)
(今日はゆっくりと何処へ行くとも決めていなかったがゆっくりと時間を楽しみたいと思っていて)
(妖魔の事を言われて、身体が少女になったタイミングで男性の匂いにも少し敏感になっていて)
(精液に似た匂いと滑りがあった白濁液の事を思い出し、匂いが気になって身体をボディーソープで何度も洗ったことを笑顔で言って)
(紗枝が大丈夫だったか表情をクルクル変えて心配そうにのぞき込む)
……本当に……可愛いかな?
でも、今はきっと綺麗な紗枝ちゃんと一緒にいるからだよ。
(今まではどちらかと言うと「可愛い」という表現は、男性としてのプライドを傷つけられた気がしていたが)
(まだ恥ずかしさは感じるものの、受け入れることへの抵抗感は減って来ていて)
(頬を赤らめつつ上目遣いに確かめるように尋ねて、今は明らかに通過して行く人の視線を集めているのは)
(自分だけでなく美人で綺麗な紗枝も一緒だからと力説する)
駄目だよ。この前みたいな化け物がでたら急いで逃げないと。
隠れていればいずれ助けがくるから。
(今は妖魔の気配も、変身して戦っているキューティー・エンジェルズの気配もなかったが)
(力になれるとの言葉を聞き、彩文は力強く頭を左右に振って戦うのではなく逃げて貰えば)
(自分がサファイアになって倒すことが出来ると思って、隠れてやり過ごすことを勧める)
身体は熱くなったりしてないけど、…………紗枝ちゃんとキスしたいかな。
どっか誰にも見られない所に行かない?
(淫紋の影響や身体の変化が進む過程での疼きは今は無かったものの、紗枝との濃厚な行為は彩文の身体に刻み込まれていて)
(会えない数日の間紗枝に触れたいという気持ちが強くなっていて、少し潤み始めた瞳を紗枝に向け)
(耳までまた顔を紅くして、キスしたいと小さな少し震える声でお願いする)