>>161
匂いは……大丈夫…………だったかな
どっちかっていうと……あの匂いも彩ちゃんの匂いに上書きされて……掻き消えてたみたいだったから……
(妖魔が放つ白濁液の匂いは魔族由来の物であったこともあり、紗枝の力で容易に掻き消えていて彼女の記憶に残っていたのは少女として覚醒した彩文の淡い汗と石鹸の匂いのみだった)
心配しなくても……大丈夫、彩ちゃんも…………良い香りがするから……大丈夫だよ
(心配そうにこちら覗き込む彩文にそう告げると紗枝は笑顔を向ける)

そうだね……あの女の子…………彩ちゃんと別れた後とか……学校でも一度見たけど……彼女が対峙してくれるよね……
私達ができるのは……被害にあわないように逃げること…………だけだからね……
(一人の人間として、魔族から見れば取るに足らない存在の餌として数えられるような非力な一般人は逃げ惑う事しかできないのだろうと改めて思い知る)
(彩文がキューティー・エンジェルズに変身できることは知っていても、彼女自身が紗枝に対して秘密としていることに自身がとやかく言及する筋合いもなく、彩文もまた『普通の女の子』として話を続ける)

……?
…………うん、わかった……人気のないところ……行こうか……
(彩文の様子も見る限りでは不調なども見えず、自身も今は何も施していないにもかかわらず彩文がキスをしたいと訴えると、その自発的な態度に意表を突かれて驚いた様子を見せるがすぐに受け入れて人気のない場所を探すために辺りを見回す)
(彩文の手を引き、公園の茂みに向かうと紗枝は彼女の身体に手を回し抱き寄せて、もう一方の手を後頭部に添える)
ここなら……人気も少ないし…………大丈夫だと思うから……ね?
(数日間会えなかったことが中毒症状のように彩文の体内へ蓄積し、体調には表れずとも心理的に彼女を求めるようになっている状態に至っていることを悟ると紗枝はその欲求を満たすかのように彼女を強く抱き寄せる)
……私…………数日間の間だけどやっぱり……彩ちゃんに会えなかったのは寂しかったかな…………
(そう呟くと紗枝は彩文の唇に自身の唇を重ねてゆっくりと舌を絡ませていく)
(余計な邪魔などが入らないように人払いの術を展開させており、彩文の死角を縫うようにして紫色の蝶が舞い、彼女の視界に入らないように調整しながらそれを二人の周辺を覆うように囲っていく)